何事もなく中学校生活の初日が終わろうとしていた。初日の行事がすべて終わり、下駄箱の周りには下校しようとする生徒たちで混雑している。
しかし、ハルカはその生徒たちとは逆の方向へ歩き出した。今まで行ったことがない、高等部の校舎を見に行ってみたくなったのである。
「こっち行けばいいのかなぁ」
人の多そうな通路とは逆へ逆へ、ハルカは歩き続けた。何だか学校の中を探検しているみたいで、無性に楽しくなってきた。
「へー、こんなところに井戸なんてあるのかぁ」
井戸の前を過ぎ、人のいない教室の横を過ぎ、図書館の横を過ぎると、体育館の裏に辿り着いた。
体育館の裏といえば何かとダーティーなイメージがあるが、この学校はそんなイメージとは無縁で、しっかりと清掃が行き届いている。
ハルカが体育館の裏から表に回った時だった。