「あら、アカリくん」
少年は声をかけた女性に挨拶をした。
「こんにちは、カメイさん」
どうやら、女性の名前は『カメイさん』というらしい。
「今日もお見舞いですか?」
「はい」
「そう…あの子、ちょっと調子が悪いみたいだから、気をつけてね」
「わかりました。どうも」
カメイさんにお礼を言うと、アカリは病室へと向かった。
六階の一番奥に一人部屋があった。アカリの目的地はこの病室のようだ。入口には『コスガフユカ殿』と書かれている。
アカリはドアをノックした。奥から細い声で返事があった。ドアを開けると、そこにはベッドに横たわる一人の少女がいた。