>>448
「よっ!」
アカリは努めて明るく振る舞った。カメイさんから『調子が悪いようだ』と聞かされていたからである。
「あ…アカリちゃん、よっ」
アカリの姿を認めたフユカは軽く手を挙げた。しかし、その手の動きは弱々しく、彼女の体自体もまた、非常に華奢に見える。

アカリはドアを閉めると、フユカのベッドの横にある椅子に座った。そして、自然にフユカの手を握る。これは彼が見舞いにやって来る時に、必ず行うことであった。
「調子悪いんだって?大丈夫?」
「うん…ちょっとね。でも大丈夫だよ」
そう話すフユカの顔は青ざめていて、血色が悪い。声にも力がないようだ。
「明日…検査なんだ」
「そっか…よかったら、いいね」
「うん」

二人の会話が途切れた。自分の体調のせいで会話が続かない、空気が重いと察したフユカは、アカリに話を振った。