第7話『さんにんぐらし』
「あれ、タケ坊じゃん。どしたのこんなところで」
「兄貴こそ、どうしたんだよ」
アカリはそう言うと、声の主の隣に立った。声の主の名をヤジママイミという。女のような名前を持ち、女のような顔つきと肌の白さではあるが、筋肉質の体つきをした、
れっきとした男である。アカリには『兄貴』と呼ばれているが、実の兄ではない。彼はアカリの従兄弟であった。
「いやぁ、買物に行っててさ。ほら」
そう話すマイミの両手にはエコバッグが握られていて、中には沢山の野菜や果物が入っているようだった。
「ふぅん…」
アカリはそう言うと、エコバッグの中からペットボトルのお茶を勝手に取り出して飲み始めた。
「勝手に飲むなよな」
「いいじゃん別に」