>>469
サキは地元の高校を卒業した後の進路を、進学ではなく就職する道を選ぶことにした。しかし、なかなか就職先が決まらない。次第に彼女は焦りを感じ始めた。
周囲が進学や就職を次々と決める中で、彼女だけが取り残されてしまったからである。
「どうしよう…どこにも行き先が決まらなかったらどうしよう…」
彼女は不安に駆られた。何社も採用試験に落ちて、これで決まらなかったら本当に後がない、という状況で受験したのが、この自動車販売店であった。
筆記試験をパスし、最終面接に臨んだ時だった。

ヤスダ、と名乗った試験官の男が、サキにこんなことを訊ねた。
「今回、君のほかに数人がこの最終面接に臨んでいる。…君はその人たちを蹴落としてでも、我が社に入社したいかね?」