チサトは手際よく部室を掃除していく。まだ春先ではあるが、動いている間にだんだん暑くなってきて、彼女はジャージの裾を捲くった。
「あー、ゴミ箱の中、空にしなきゃ」
何気なくゴミ箱の中を覗くと、そこにはくしゃくしゃになったティッシュペーパーが入っていた。しかもその量は非常に多く、一箱まるまる使い切ったのではないかと
思うぐらいの量である。
「えぇ?何でこんなにいっぱい…」
チサトの頭の中に疑問符が浮かんだ。誰かが鼻血でも出したのかと思ったが、見たところ血の痕は見当たらない。
では一体何を…と思って、チサトは箱の中に顔を突っ込んだ。
「うわ、何これ、臭っ!」
ゴミ箱の中は異様な臭いがした。その異様な臭いに接した時、チサトはふと、あることを思った。
「もしかして、これって…」