>>489
ミヤモト、というのはこのロッカーの主であり、野球部の四番打者の名前である。長打力はないが確実な打撃が武器の男だ。しかし、まさか部室のロッカーに
こんなものを隠し持っているとは思わなかった。そして―確証はないが―部室のゴミ箱に大量に捨てられていた臭いティッシュペーパーの生みの親も、
ミヤモトではないかという気になった。
「…ヤバっ、早く片付けなきゃ」
こんなものがゴトウの目に見つかったら何を言われるか分かったものではない。"見なかったこと"にして、この事実は自分の胸の中にしまっておくのが一番いい。
チサトはそう考え、そして本を慌てて閉じた…時だった。

本の中から何かが落ちた。チサトは足元に落ちたそれを拾い上げた。
それは一枚の写真だった。その写真に写っていたのは…
「マエダさんだ…」