>>490
写真に写っていたのはマエダユウカという名の少女であった。彼女は高等部に通う、チサトと同学年の人間である。今まであまり面識はなかったが、あどけない顔つきと
色白の肌、そして甘い声に柔らかそうな体という男好きのする風貌で、男子には割と人気のある子だった。

「ミヤモトくん…マエダさんのこと、好きだったんだ…」
ミヤモトが部室に怪しい本を持ち込んでいたことにも驚いたが、ミヤモトがマエダユウカの写真を後生大事に持っていたことにも驚かされた。今までそんな雰囲気は
全然感じられなかったのに、である。

「私って鈍感なのかな」

チサトは頭の中でそんなことを思った。そして、これも"見なかったこと"にして、再び本の中に写真を挟み込むのであった。