​私が小学生の頃、ダム工事の監督をしていた父は、家を空けることが多かった。ある夜、ふと目が覚めると母の姿がなかった。しばらくすると、玄関で人の気配がした。母が帰ってきたのだと思った。しかし、ひとりではないような気がして、私は寝たふりを続けた。
​潜めた声のひそひそ話が耳に届く。子供心に、母の布団に近づいてはいけないと感じた。すぐに、もうひとりの気配が父ではないと悟った。その時、母から聞いたことのない甘く濡れた吐息が、闇に溶けだした。それは、父と交わすものとは違う、淫らな響きを帯びていた。
​私は子供心にも、見てはいけないものを目撃してしまったと、ただ息を潜めた。そして、その夜の出来事を父には語らず、秘密を胸に仕舞い込んだ。
そんな母は今もパート先で男遊びしてるようだ