スイカヅラの茎を切って、切り口に焼酎を垂らしておいた。
「さてと……」
俺は作業場の隅に置いてあるテーブルに座り、目の前の籠に入っているカツラを取りだした。
そして、そのカツラから一本の毛を引き抜く。
この毛は先日、俺が『髭剃り』をした時に抜け落ちたものだ。
「これをこうしてっと…………よし!」
俺は引き抜いた毛を、昨晩のうちに用意していた別の毛と混ぜ合わせた。
それをさらに細かく千切っていき、布の上にばら撒いていく。
すると……
「ふむ、こんなもんかな?」
そこには白髪のような灰色の毛が生えた小さな塊が出来上がっていた。
そう、これはスイカヅラの葉っぱを乾燥させた『脱色剤』である。
実は俺がスイカヅラの葉を使って染め物をしようと思った時、最初に思いついたアイデアはこの『脱色剤』だったのだ。
しかし、染料を作る過程で葉に含まれる色素が全て流れ出てしまい、結果的に白くなってしまった。
ヒャクニチソウは鮮やかな黄色に染まったというのに……。
そこで俺は考えた。
色素が流れ出るなら、その色素だけを抽出すればいいのではないかと。
幸いにも俺は植物に関する知識が豊富にある。
そこから導き出した答えが、スイカヅラの葉に含まれている『アントシアニン』だけを取り出すことだったのだ。