「でも……でも……」
「おまえのせいじゃないよ。おれがそう決めたからだよ。だけど、おれたちは生きてるんだから、これからどうするか考えなくちゃいけない」
「これからはずっと一緒?」
「わからない」
「どうして?」
「それは無理だな」
「どうして?」
「だって……お前は花だから」
「スイカズラは? スイカズラも花だったでしょ?」
「そうだね。花だったね」
「スイカズラは死んじゃったけど、私は生きてるわ」
「うん」
「ねえ、私を見て」
シクラメンの鉢植えに咲いた赤い花は、確かに生きていた。
その生命力は強い。
だが、それは人間とは比べ物にならないほど短い命なのだ。
それに気付くと、男は急に恐ろしくなった。
この小さな花の命を摘み取ってしまったのではないか。