違う。
 あの上機嫌な猫の目を持つ長身のあの人は、もっと、違う触れ方をした。
 指の腹で、焦らすように。
 気持ちいいところをわざと、外すように。
 そして焦れて焦れて喘ぎの形に口を開くおれに、唇を落とした。
 触れて。
 離れて。
 また触れて、そして舌を深く、差し込んで。
 明け方近くに黒いシルエットの、長い指を持つ男の夢を見た。
 思わず喘いだおれの、あまりにもの声を心配して駆けつけてくれた
ギタリストとベーシストが、なぜか今、おれの身体を撫で回している。
 でも。
 違う。
 触れ方が。
(アベ、君……)
 違う。
 もどかしさだけが、背中を這い上がっていく。

 みたいな感じですか?