景気が悪くなると、二束三文にしかならないハメ撮りモデルが編集部へ応募してくるようになった。
大々的に募集していないにもかかわらず、電話やメールで売り込みが殺到。
しかし、
「素人の女がエロ本の電話番号やメールアドレスを知るわけねぇだろう」
と無視した。
ほとんどは素人を装ったAVプロダクション所属の売れないモデルなのだ。
そんな連中の相手に辟易していたある日、男の声で電話があった。
エロ本編集部に電話してくる男が言い出す内容といえば、
「お前のところの雑誌はヌケねぇんだよ!」
という罵倒か、
「雑誌に掲載されている広告に騙された」
というクレームばかり。外ではメンヘラ、中ではマジキチの相手というサグライフ。
シラフでやっていられる商売じゃない。
缶ビールを飲みながら「さて、今日はどんな文句を言われるのだろうか」と受話器に耳を当てていると、
「私の妻を撮影してもらえませんか?」
とか言い出した。普通なら
「アタマおかしいんじゃねぇの?」
と思うところだが、こういう変態紳士が昔の投稿雑誌を支えていたので、エロ業界では珍しい話でもない。
男は“佐々木”と名乗った。
佐々木は、
妻が見知らぬ男に犯される様を見るのが何よりも楽しく、痴態が全国に晒されたらさらに快感が増すのではないか
と思い連絡したという。
今日ならネットで配信すればいいのだが、当時はエロ本が十数万部も売れるような時代で、佐々木の願望を満たす媒体としてエロ本が最適だった。
願望は十分理解できたが、電話で一方的にそんな話をされても脳内には“美人局”という単語しか浮かばなかった。
仮に佐々木の申し出が事実だとしても、どういうわけか不細工ほどこの手の性癖が多い。つまり、どちらにしてもロクなことにならない。
「さて、どうしたものか」と思案していた数日後、カラーページに掲載する予定だった某セクシー女優が奇声を発して撮影現場から失踪するというハートウォーミングな事態に見舞われた。
校了日を逆算するとプロダクションと交渉して云々なんてことをやっている余裕はなかった。
ということで、強制的に佐々木の申し出を受けるハメと相成った。
佐々木に指定された場所は、ネズミで有名な夢の国にあるホテル。これから人生の澱を舌でこそぎ取る行為をするというのに、ファンシーすぎだと思った。
ラウンジで「せめて人間っぽいのが来ますように」と神に祈っていると、「伊藤さんですか?」と声を掛けられた。
まぁ、家族連れかカップルしかいない場所に、カメラを抱えたやさぐれた男が独りでいれば、携帯電話に連絡を入れずとも分かるというものだ。
佐々木とその妻は、ともに30代半ば。どちらも身なりがよく、アッパーミドル階級の人間だと見当がつく。
打ち合わせがてら雑談をしてふたりがどういう人間なのか探るが、職業や住まいなど個人情報はすべてはぐらかされた。
当人の弁を信じるなら、佐々木は小さな会社の経営者で妻は34歳。名前は「香織」と言っていたが、当然仮名だろう。
饒舌な佐々木に対し、香織はうつむいたままで一言も発しない。
今回の主役は彼女なのだから、何も分かりませんでは簡単なルポも書けない。
何とか香織に話を聞こうとしてみるが、その都度佐々木から「詳しくは部屋で」と遮られてしまった。
エロ本編集者が言うのも何だが、胡散臭い。
職掌柄、変態カップルなど掃いて捨てるほど見てきたが、こういう撮影の多くはどちらもノリノリだったりするもの。
ところが、香織の態度からは拒絶しか感じなかった。
佐々木が電話で「妻が犯されている姿を見るのが好きなんです」と述べた台詞は、単純に“他人とセックスをする”という意味ではなく“合意なしでセックスする”という意味なのかも知れない。
それって…
犯罪じゃねぇか!
続く
以下ソース
http://www.menscyzo.com/2017/10/post_14936.html
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