腹部のないセミが飛び回り、オスメス構わず交尾を迫る……。そんなホラー映画さながらの行動を引き起こす病原菌が存在するという。セミの成虫に感染して生殖器を含む腹部を侵して脱落させ、休みもせずに飛び回り、雌雄関係なく交尾をしまくって感染を広げていくという。病原菌が宿主を都合よく操っているのだが、そのカラクリの一端が明らかになったと話題になっている。感染したセミから、実に意外な物質が発見されたのだ。英紙「Daily Mail」が報じている。
ご存知の通り、セミは孵化すると土の中に潜り込んで成虫になるまでの長い時間を過ごす。そして時が来れば土から出て、成虫となり、大きな鳴き声を上げながら交尾相手を探す。だが、成虫になった途端、恐ろしい病原菌に侵されてしまうセミもいる。
Massospora(マッソスポラ)属の菌類はセミに感染する病原体の一つだ。カナダやアメリカの17年ゼミや13年ゼミなどで感染が報告されている。この菌に感染したセミの腹部は、1週間ほどで表面が剥がれ落ち、白いプラグが現れる。プラグは成長し、セミの腹部は正常な形を失い、元の3分の1ほどの大きさの“白い塊”になってしまう。
だが、腹部を失ってもセミは死なない。腹の白い塊の中には病原体の胞子がぎっしり詰まっているのだが、それを撒き散らすように飛び回ってオスメス問わず交尾しようとする。生殖器は腹部にあるので、とうに脱落して白いプラグに取って代わられているのだが、セミは食事をする時間すら惜しむように相手を見つけては交尾に誘って感染を広げているのだ。以前の研究では、感染したオスがメスのように振る舞い、オスに交尾を誘う行動が確認されている。
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セミにとっては実に恐ろしいこの病原菌について、最近興味深い論文が発表された。米ウェストバージニア大学のマシュー・カーソン氏はMassospora cicadinaに侵されたセミを調べたところ、シロシビンという化学物質が検出されたのだ。
シロシビンはマジックマッシュルームの幻覚成分として知られている物質で、人間でも摂取すると幻覚や幻聴を体験し、多幸感を覚えたり神秘的な心的体験をしたりするという。日本でも麻薬として取り締まりの対象になっている物質である。
だが、驚くことに、検出されたのはシロシビンだけではなかった。Massospora platypediaeやMassospora levisporaに感染したセミからは、カチノンというアンフェタミンに似た中枢神経興奮作用を持つ物質が見つかったのだ。こちらも日本では覚醒剤として規制の対象となっている。カーソン氏はシロシビンやカチノンが腹部がボロボロになったセミが食事もせずに動き回り、交尾を続ける原因と考えている。論文はプレプリントサーバ「bioRxiv」に7月24日付で公開された。
宿主を操って自分の都合の良いように行動させる病原菌はマッソスポラだけではない。例えばタイワンアリタケという菌はアリに感染し、葉の裏などに移動させてから殺し、その体を突き破ってキノコを生やす(詳しくはこちらの記事)。また、寄生ハチなどに感染するボルバキアという細菌の一種は、感染した宿主がメスの場合はオスなしでも単性生殖できるように変化させることが知られている。メスの生んだ卵からはボルバキアに感染した子が生まれる。もし宿主がオスだった場合、体がメス化して子孫は残せなくなる。
いずれの病原体も、人間に置き換えて考えるといずれも大惨事としか言いようのない事態を引き起こす。幸いなことに人間でこのような症状を引き起こす病原体は存在しないが、最近、トキソプラズマという原虫に感染しているとリスクを恐れぬ起業家になりやすいという研究も発表されている(詳しくはこちらの記事)。まだ気付いていないだけで、人間の行動や心理に影響を与える病原体は存在しているのかもしれない。
続く
以下ソース
https://tocana.jp/2018/10/post_17687_entry.html
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