野球選手の中では左利きはそれほど珍しくないが、一般的には左利きは人口のわずか10%を占めるに過ぎないといわれている。最も身近な“レアケース”とも言える左利きの秘密について最新の研究で理解が進んできているようだ。なんと“左利き遺伝子”が特定されたのだ。

 動物の多くも個体によって右利きだったり左利きだったりすることがわかってきているが、9割が右利きという人間界の“右利き偏重”は珍しいケースであるという。

 いったいどんな要因が働いて人は左利きになるのか? これまでの研究で左利きになる要因に遺伝的な影響が25%あることが報告されているのだが、新たな研究で、人を左利きにしている遺伝子領域を特定することに成功している。

 イギリス・オックスフォード大学の研究チームが今年9月に「Brain」で発表した研究では、イギリスの遺伝子データベース「UKバイオバンク」に登録されている40万人ものゲノムを分析している。

 研究チームが分析した結果、利き手に関連する4つの遺伝子領域が見つかり、そのうち3つは脳の構造と発達に関与するタンパク質に関係していた。これらのタンパク質は細胞の形態を維持する繊維状構造体である細胞骨格(cytoskeleton)に関係しているということだ。

 そして研究チームが約1万人の参加者の脳をスキャンしてさらに詳しく分析したところ、左利きに関連する遺伝子変異は、脳の左右の言語処理領域の間をつなぐ白質と強く関係していることが突き止められた。つまり左利きの人は言語をつかさどる脳の領域がより密接に結びついており、それゆえに言語運用能力が高くなる可能性があるというのだ。

「左利きの参加者の脳では、左右の言語領域がより調和した方法で互いに通信していることがわかりました」と研究チームのアキラ・ウイバーグ氏は語る。

 本当に左利きの者の言語能力が高いのかどうかは今後の研究に委ねられるが、脳活動からはその可能性が示唆されているという。

「多くの研究者が利き手の生物学的基礎を研究してきましたが、UKバイオバングの大規模なデータセットを使用することで、人が左利きになるプロセスにかなりの光を当てることができました」(アキラ・ウイバーグ氏)

 今年5月には東京大学の研究チームが遺伝子編集技術である「CRISPR/Cas9」を使ってカタツムリの殻を左巻きに変異させることに成功している。遺伝子を操作することで、細胞骨格の発達に違いが生じてくるということになる。

 研究者たちは将来の利き手を決める発達が子宮内で行われている可能性があるとも考えているが、今のところは可能性を指摘するにとどまっている。

 今回特定された遺伝子が利き手を決定すると結論付けるのはまだ時期尚早ではあるが、研究チームはさらなる研究によって、この2つの間の重要な関連性を解明していくつもりであるという。つまり利き手の決定に影響を及ぼす遺伝子コーディングの意味を解明する入り口に立ったということになる。

 また、左利きであることは右利きに比べて不運であり、劣っているのではないかという誤った認識を払拭するのに今回の発見が役立つことになるかもしれない。

「左利きは脳の発達生物学の結果であり、その一部は多くの遺伝子の複雑な相互作用によって引き起されていることを実証しました。それは人間を人間たらしめる豊かなタペストリーの一部なのです」と研究チームのドミニク・ファーニス教授は語る。

 今回は左利きの遺伝的な側面にフォーカスを当てた研究となったが、特に野球やボクシングなどで、少なくないスポーツ選手は後天的に左利きになっている実態もある。また加齢とともに“両手利き”になる人も少なくないともいわれている。まだまだ謎が多い“利き手”についての理解が進むことを期待したい。

文=仲田しんじ

以下ソース
https://tocana.jp/2019/09/post_113591_entry.html

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