ハイパースカトロジスト(超糞便学者)としても知られる稀代の哲学者・三浦俊彦(東京大学教授)が、世の中の“ウンコな正論”を哲学的直観で分析する【超スカトロジスト時評】――

 12月12日、戸籍上の性別が男性であることを理由に、職員の女子トイレ利用を制限することは違法だとして、東京地裁が国に対して、当該の経済産業省職員に132万円の賠償を払えと命じました。このニュース、毎日放送やJNN/TBS系を中心に、多くの見出しが、こうなっていましたが――

性同一性障害男性「女子トイレ使用可」

 しばらくして見にいくと、記事のほとんどがネットから削除。あるいは、違う記事見出しに変更されている。

性同一性障害職員「女子トイレ使用可」

 ああ、そういうことか……。「男性」と書かれたテレビ画面のバナーもきっちり消されていました。

 「ミスジェンダリング、通報しました!」誇らしく宣言する声がネットのあちこちに。隣組の血を引く自警団、まことに頼もしい。原告に批判的なツイートもたちまち削除されていきました。

 〈性同一性障害男性〉という表記の是非はともかく、この判決と報道には多くの問題点が指摘できます。

 原告の50代経産省職員は性別適合手術を受けておらず、男性器を持ったまま。法律上も男性。それゆえ女子トイレ使用が制限されていましたが、判決は「制限するな」と命ずるものでした。海外でも報道されたのは、国際水準からしても「先進的」な判決だからでしょう。ただ、先進的なだけに引っかかるのが、報道でも判決文でも「性同一性障害」「トランスジェンダー」という二つの言葉が同義語であるかのように使われていたことです。

 「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」によれば、性同一性障害とは、「自分の一次ならびに二次性徴から解放されたいと考える」人の診断名。生まれ持つ生殖器に不快感を抱く人々です。トランスジェンダーはもっと範囲が広く、「体の性」に違和感はなく、異性の性表現・性役割ステレオタイプに自分を合わせようとするだけの人々も含みます。発達障害、統合失調症、異性装フェチ、オートガイネフィリアなど「除外診断」に該当する人々が99%以上を占めます[1]。

 具体的な身体違和に悩む性同一性障害者と、「心の性」という抽象的な言葉でくくられるトランスジェンダーとの区別は、きわめて重要です[2]。多くの人がこの違いを理解しておらず、性同一性障害者のイメージをトランスジェンダーすべてに当てはめ、画一的な「理解」を示しがちです。適切な支援のあり方が全然違うのに……[3]。

[1] 真正の性同一性障害は稀で、2万人に1人未満(J.M.Bailey, The Man Who Would Be Queen, Joseph Henry Press, 2003, p.142)。除外診断にあたる症例は二次障害なので、一次障害の軽減とともに性別違和は消失する。
[2] 「心の性」に関する性同一性障害当事者の優れた考察例として、https://eternal.relove.org/?p=79
[3] 覚醒剤依存者に対して、本人の希望通りにさせるよりも、覚醒剤を取り上げる方が支援になる。同様に、身体違和のないジェンダー違和には、同意よりも、合理的対話による自己客観視(認知行動療法など)が真の支援になる。https://www.parentsofrogdkids.com/other-causes-for-gender-dysphoria

 当事者もこの区別については必ずしもわかっておらず、いわゆる精神的感染(トレンドに影響された思い込み)により、自分が性同一性障害だと錯覚するケースが増えていて、度々問題となっているのは周知の通り[4]。身体違和がないにもかかわらず、性同一性障害の診断をもらって手術を受け、後悔する人、自殺する人も少なくありません[5]。「診断と治療のガイドライン」に従うことなく「一日で診断書を発行」してくれるジェンダークリニックや病院はたくさんありますから[6]。

続く

以下ソース
https://tocana.jp/2020/01/post_137771_entry.html

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