砂糖はサトウキビやサトウダイコンから生産されてきましたが、この度、「第三の砂糖供給源」の開発が発表されました。

福建農林大学の笠原竜四郎教授(元 名古屋大学博士研究員)ら研究チームが10月27日付けの科学誌『Communications Biology』で、砂糖を生産する「砂糖イネ」を開発したと報告。

彼らによると、イネを意図的に受精失敗させることにより、胚珠からデンプンではなくショ糖が得られるそうです。

種子植物には胚珠(はいしゅ)と呼ばれる種子になる部分が存在します。この胚珠には卵細胞が内蔵されており、受精することで種子へと発達するのです。

そして受精までの流れは、以下のようになっています。

@花粉が雌しべに付着
A花粉が花粉管を伸ばして、胚珠に「精細胞」と「花粉管内容物」を注入
B胚珠内の卵細胞が受精し、種子へと成長

イネやコムギ、トウモロコシ、エンドウマメなどはこの成長した種子を食用としており、主な成分は胚乳(ほとんどデンプン)となっています。

さて、笠原氏らは2016年に、シロイヌナズナが受精失敗するとその胚珠が受精なしでも肥大するPOEM現象を発見しました。

これは、上記のAの段階で「精細胞」が無くても胚珠が成長するという現象です。

胚珠は花粉管から「花粉管内容物」を注入されることで、いわば勘違いし、胚珠を成長させる準備を始めてしまうのでしょう。

もちろん肝心の精細胞はないので受精卵はできませんが、胚珠は肥大し胚乳(栄養源)を蓄えます。

もしイネやコムギなどで同様の現象が起こるなら、わたしたちは胚乳を食用としているため、「受精させずに可食部だけつくる」ことが可能かもしれません。

さて、イネでPOEM現象を再現したのが、今回の研究です。

精細胞を取り除き受精失敗させても、米粒(胚乳つまりデンプン)は作られるのでしょうか?

結果は研究チームの期待を良い方向に裏切るものでした。

受精失敗したイネの胚珠は肥大化したものの、デンプンを合成することはなかったのです。ただし、胚珠内にはデンプンの代わりに前駆体である液体が満たされていました。

https://nazology.net/wp-content/uploads/2020/10/20201028155509.jpg
通常のイネ(C,D)には胚乳が蓄えられるが、受精失敗した砂糖イネ(E,F)には砂糖水が蓄えられる

この液体を解析したところ、砂糖水だと判明。

しかも糖別の割合は、ショ糖が98%、果糖1%、ブドウ糖1%となっていました。受精失敗イネから高純度のショ糖が生産されていたのです。これは私たちが食卓で用いる上白糖とほとんど同じ成分です。

つまり、意図的に受精を失敗させた変異体イネ(砂糖イネ)を利用すれば砂糖生産が可能なのです。これはサトウキビ、サトウダイコンに続く第三の砂糖原料になり得ます。

サトウキビやサトウダイコンは栽培できる環境が限定的であるため、より広範に栽培できる砂糖イネは大きなアドバンテージがもっています。

実際イネは世界各地で栽培されているため、世界中で高純度の砂糖が生産できるかもしれないのです。

今後、研究チームはトウモロコシやコムギなど他の植物での糖生産を考慮していきます。

以下ソース
https://nazology.net/archives/72516

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