プライベートの時間の大半を趣味に費やし、稼いだお金も許される限り投じる──こんな生活に憧れる人は少なくないだろうが、ある時、ふと情熱が冷めてしまったらどうなるか? ある50代女性は、韓流ファンを20年近く続け、許す限りの時間と金を趣味に投じてきたが、コロナ禍で趣味への興味が減退。今後の“身の振り方”に真剣に悩んでいるという。

 東京都内に住むMさん(50代女性)が韓流にのめり込んだきっかけは、今から約20年前、姉の友人のAさんからDVDを借りたことだった。Mさんには1才違いの姉がおり、姉妹で同じ女子校に通っていたため、姉の友人はほとんど顔見知り。姉が同窓会で「妹はまだ結婚していない」と漏らしたところ、参加メンバーで数少ない未婚女性だったAさんが食いつき、「今度、妹さんを食事に誘ってもいい?」と言ったのだ。Mさんはいう。

「もともとAさんは顔見知りだったので、すぐにAさんと食事に行きました。小中高と同じ学校だったので、共通の話題はいくらでもあり、おしゃべりは大盛り上がり。別れ際にAさんから『Mちゃん、韓国ドラマって見たことある? 私、最近ハマってるから、今度DVD貸すね』と言われたのが、韓流にハマったきっかけです」(Mさん。以下同)

 当時は、ちょうど日韓ワールドカップで日本中が盛り上がっていた頃。もともと流行りモノに弱いMさんは、まんまと韓流ドラマにハマった。Aさんは、Mさんを仲間に引きずり込むことに成功したのだ。

「最初に借りたドラマが本当に面白かったので、そう伝えると、Aさんは『次はコレ』『その次はコレ』と、どんどんDVDを貸してくれました。AさんはDVDを山ほど持っていたのです。そのうち、自分でもDVDやCDを買うようになり、Aさんに誘われて韓流スターのコンサートに足を運ぶようになり、やがてドラマのロケ地を訪ねるため、韓国にまで足を運ぶようになりました」

 現地では、昼はロケ地巡りと買い物、夜は本場韓国の焼き肉にエステと、優雅な時間を過ごし、時には3か月連続で韓国に行ったというMさん。金曜の夜、仕事が終わってそのまま韓国に飛び、月曜の朝に戻ってそのまま仕事に行ったこともあったという。Mさんは外資系企業に勤めており、財布には余裕があったのだ。

 そこまで韓流にハマった第一の理由はドラマが面白かったからだが、SNSを通じて韓流ファンの友人がどんどん増えていくのも、のめり込む大きな要因だったという。

「私は小学校から大学までずっと同じ系列の女子校に通ったので、友達との関係は深いのですが、何となく似たような子ばかり。私以外はほとんど結婚してしまい、話が合わなくなって、少しずつ疎遠になっていました。やはり独身と子持ちでは、どうしても話が合わなくなりますから。そんな時に出来たのが韓流仲間。学生時代の友人とは違い、様々なバックボーンを持つ友達が出来たのが嬉しくて、そちらの友達とばかり遊ぶようになりました」

 残念ながらその輪の中に異性はおらず、今に至るまで良縁には恵まれていないが、同じ趣味を持つ友人がたくさんいるため、不満は感じていなかったMさん。しかし、長引くコロナ禍が彼女を立ち止まらせた。

「コロナで仕事が完全にリモートワークになり、出かけることも出来ないので、ステイホームが始まった頃は、家に大量にあるDVDを見直したりしていました。けれども、韓流仲間に会えず、ライブにも行けず、韓国にも行けない時期が続き、しかもそれがいつまで続くか分からない状況で、徐々に自分の韓流熱が冷めていることに気付いてしまいました。

 こうなると、韓流仲間とどういう風に付き合えば良いのか分かりません。もう10年以上、友達といえば韓流仲間だったので、ここで関係を断ってしまったら、私には友達がいなくなってしまいます。けれども、韓流仲間との付き合いは、話題の大半が韓流の話。興味が無くなった話を聞き続けるのは辛そうだし、かといって『もう興味がない』とも言えないし……」

 かくしてファンを辞めたいのに辞められないという、厄介な状況に追い込まれているMさん。その状況を知る姉は、今さらながら妹にAさんを紹介したことを後悔しているそうだ。

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20210623_1670482.html