縄文人が朝鮮半島に移住していたかもしれません。

オーストリアのウィーン大学(Universitat Wien)で行われた研究によって、古代朝鮮の南部に存在した「伽耶(かや)」の古墳において、日本人に特徴的な縄文人のDNAを多く持つ人々が埋葬されていたことが判明しました。

伽耶は古代の日本と朝鮮の交流が盛んな地域として知られています。

研究者たちは考えられる仮説の1つとして、古代において日本列島から半島南部に進出した人々がいた可能性があると述べています。

日本と韓国、両国の歴史学者たちは古くから伽耶の起源や政治的な立ち位置について議論してきましたが、遺伝学による分析結果は新たな視点を与えてくれるでしょう。

研究内容の詳細は2022年6月21日に『Current Biology』にて掲載されています。

日本では古墳時代にあたる3世紀〜6世紀にかけて、朝鮮半島の南部には伽耶と呼ばれた複数の小国が緩やかに連合した地域が存在していました。

これらの地域は古代日本との交流が盛んであり、複数の史書において古代日本との関係が記載されています。

しかしこれまで韓国における歴史的調査のほとんどが伝統的な考古学に基づくものであり、古代人の遺伝的な性質について(伽耶を含めて)調べられることは非常にまれでした。

そこで今回、ウィーン大学の研究者たちは古代の伽耶(4〜5世紀)の古墳から採取された8人の人骨からDNAを抽出し、伽耶の人々がどんな遺伝的特徴を持っていたのかを調べることにしました。

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古代朝鮮の伽耶には日本人の遺伝子を持った人々がいたと判明!

結果、8人中6人のDNAが現代の韓国人に類似する要素を持った遺伝子だった一方で、残りの2人のDNAは日本の縄文人に近い遺伝子を多く持っていることが判明しました。

現在の韓国人の遺伝子は非常に均質性が高く遺伝的に孤立しており、縄文人に特徴的な遺伝子を持った人々はほとんど存在しません。

そのため研究者たちは、古代の朝鮮半島に住む人々は、現代に比べて遺伝的多様性が大きかったと結論しました。

しかし、かつては存在したはずの縄文人の遺伝子は、なぜ現代の韓国人にはみられなくなってしまったのでしょうか?

この疑問について研究者たちは、現在の韓国人の祖先を構成する、中国北部出身の集団が原因であると述べています。

この集団は朝鮮半島の海岸線に沿って勢力域を拡大したと考えられており、伽耶などの地域に住んでいた縄文人の遺伝子を持つ人々は最終的に排除・吸収された可能性があるようです。

なお今回の研究では、発掘された人々の顔の復元も試みられました。

古代朝鮮に住んでいた縄文人の遺伝子を持つ人々は、いったいどんな風貌をしていたのでしょうか?

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古代の伽耶に住んでいた人々の顔をDNA情報のみに基づいて復元した

今回の研究では、DNAにもとづいて埋葬された人々の顔の推測が行われました。

通常、顔の形などの推測は頭蓋骨をもとに肉付けをしていくことで行われますが、発見された骨は劣化が進んでいたため、DNAをもとにした復元が試みられました。

生命の設計図であるDNAには顔の特徴を記録している部位もあるため、DNAを参考にすることで当時の人々の顔をある程度、予測することが可能だからです。

結果、上の図のような顔が復元されました。

このうち、縄文人の遺伝子を多く受け継いでいるのは、古墳の主であると推測される男性「AKG 10203」であり、銅製の遺物や矢筒と一緒に埋葬されていました。

また同じく縄文人の遺伝子を継ぐ女性「AKG 10207」のほうは鉄矛や銅鏡と共に埋葬されており、殉死させられたと考えられます。

殉死(じゅんし)とは高貴な身分の人や主君などの死に際して、その従者や妻子らが殺されて一緒に埋葬されることです。

ここからは、朝鮮半島に進出していた縄文人が、この地で王族に準ずるような高貴な身分にあった可能性が伺えます。

続く

以下ソース
https://nazology.net/archives/110991

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