警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、暴力団員と信仰について。

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 世間では旧統一教会と政治家の密接な関係が取り沙汰され、教団をめぐる霊感商法などの問題や宗教2世信らの救済について、様々に論じられているが、ヤクザ稼業に身を置く者たちはこれらの問題についてどう思っているのか、ある暴力団幹部に話を聞いてみた。

「何千人といる組の中には、たぶん教団信者もいるだろう。今、教団の人がいたら手を上げてと言っても、誰も上げないだろうから、はっきりはわからないが」と幹部は前置きをした。

「実際、ヤクザの中には色々な宗教の人がいる。そこは個人の自由。誰が何教だろうと構わない。ヤクザは神道が多いが、神道が祀るのは”八百万(やおよろず)の神”だから、これでなければならないというものでもない。それに普段は、誰がどんな宗教を信じているのか、ほとんどわからない」

 それがわかるのは、葬式の時だ。「手にしている数珠が違うからね。例えば天台宗だとそろばんの玉に似た平玉だし、臨済宗や曹洞宗は房が紐房になっている。創価学会だと独自の数珠があって、自分たちが使うような物よりかなり長いからすぐにわかる。キリスト教だと、ロザリオを手に巻いて十字架を掌の中に入れていることが多い。人によっては、クロスを表に見せている人もいる」と幹部は話す。

 旧統一教会の数珠は見たことがないからわからないそうだが、創価学会の信者とカソリックやプロテスタントも含めたキリストの信者は、自分の数珠を持ってくる組員が多いという。「俺たちなら忘れてきても、葬儀会場で売られているのを買って間に合わせるか、焼香が先に終わったヤツに借りるかするが、彼らは違う」(幹部)。

 宗教がわかったからといって、それを組の内部に持ち込まなければ、組がどういうことはないという。「組長が何らかの宗教を信仰していても、それを組員や若い者に強制することはない。そこは”政教分離”なんでね。組の中で布教するような者はこれまで見たことがない」。

 その理由を幹部はこう説明する。

「新興宗教では教祖こそが信じるべき存在だが、組員にとっては自分が信じる宗教以上に、ヤクザのトップの方が絶対的存在。組員は戦時中の日本兵みたいなものだ」

 幹部はその話しの流れで、「暴力団も山口組なら山口教、稲川会なら稲川教があるようなもの」と表現したが、宗教より”国家主義”という方が当てはまるだろう。

 国家主義は個人やあらゆる集団よりも自身の国家が第一義と考え、そこに君臨する君主の権力は法や道徳、宗教よりも優位であるという思想になる。国家の価値を守るためなら、個人の利益や幸福が損なわれてもかまわないとされるため暴力的な言動が起きやすく、暴力団組織の在り方を思い起こさせる。なので、たとえるなら六代目山口組は山口主義、稲川会なら稲川主義といったところではないだろうか。

 組織にはトップには決して嫌とは言えない絶対的な決まりがあり、襲撃に行けと言われれば行くしかない。身体や命を賭けろと言われれば、賭けるしかない。

 組長が絶対的な存在として君臨する国家主義的組織の中で、自らが信じる宗教を持つ組員は、敵対組織の事務所や相手を襲撃したり、殴り込みをかける”カチコミ”に行った後、特に強い信仰を持たない組員とは少し異なる受け止め方をすることがある。逮捕され有罪が確定したとき「死刑になるところを、信心があるから無期懲役になった」「懲役15年の実刑のところ、毎日熱心に拝んでいたから10年になった」と、その信仰をありがたがるのだという。

続く

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20221110_1810969.html

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