「半割れ」南海トラフ巨大地震 もう1つの最悪想定
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230303/k10013996951000.html
超高層ビルが…
今回、建築物の構造設計に詳しい摂南大学の西村勝尚特任教授らの協力を得て、超高層ビルが「半割れ」の2度の揺れに襲われたケースをシミュレーションしました。
大阪にある25階建て、高さ約100メートルの鉄骨造、制震装置のあるオフィスビルの構造を、コンピューター上で再現。大阪・此花区の地盤で想定される揺れを2回、入力しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230303/K10013996951_2303031733_0303173447_01_11.jpg
その結果、1回目の揺れではビルの鉄骨の一部が赤色に。変形したことを示します。この鉄骨を修復できないまま2回目の揺れに襲われた場合、下の階を中心に青色に変わった部分がありました。
これは変形した鉄骨が、揺れに耐えられずに破断したことを意味しています。
超高層ビルが、継続して使用できないダメージを受けてしまう可能性があるという結果となりました。
分析を行った西村特任教授は、超高層ビルの倒壊の可能性は低いとした上で、南海トラフ地震で大阪を襲うような2度の大きな揺れは、今のビルの設計の基準では想定されていないものだと指摘します。
摂南大学 西村勝尚特任教授
「たとえば針金をクネクネと曲げても、1回や2回曲げたくらいでは変形するだけで折れることはありません。しかし10回くらい継続して曲げているとポキッと折れてしまう。それと同じことが起きるのです。
今の建物の設計基準では継続時間の長い2回の揺れに襲われることが想定されていないため、南海トラフ地震が起きた場合にこういうリスクがあるということを構造設計者や建築主、そして建物を利用する私たちも理解しておくことが必要です」