「ジョークグッズです」で許される時代が終わりつつあります。

米国のデューク大学(DKU)で行われた研究によって、調査対象となった全ての「大人のおもちゃ」に、ホルモンかく乱物質であるフタル酸エステル類が含まれていることが示されました。

子供用玩具ではフタル酸エステルの量は基準値が厳しく定められていますが「大人のおもちゃ」では材料に対する表示義務や使用制限が緩く、企業の自主努力に任されているのが現状です。

今回の研究によって検出されたフタル酸エステルが大人の健康にどれほど影響をあたえるかは不明です。

しかし研究者たちは「大人のおもちゃ」の使用が一般的である現在、何らかの安全基準を制定する必要があると述べています。

「大人のおもちゃ」をアンダーグラウンドから正規の衛生用品に格上げするためにも、安全基準の制定は避けては通れない道となるでしょう。

研究内容の詳細は『Micro Plastics and Nano Plastics』にて公開されています。

「大人のおもちゃ」と私たちが呼ぶ性具は、少なくとも石器時代には存在していたと考えられています。

ドイツの洞窟からは今から4800年以上前に作られたとされるペニスを模した石器が発見されています。

古代のペニスは性的快楽だけでなく処女喪失など儀式にも用いられていましたが、人間の生殖器にアプローチする性具であるのは間違いありません。

人類の科学技術が進歩するにつれ「大人のおもちゃ」の素材も進歩し、石器や木製だった素材は、ゴムやプラスチックなどの樹脂へと変わり、現在では医療用シリコンも使われるようになっています。

また工作技術の進歩により駆動部品が内蔵されて「振動」機能が加わり、電子部品の導入で高度な制御も可能になってきました。

しかし技術進歩の歩みとは裏腹に「大人のおもちゃ」は常にアンダーグラウンドの領域に隠されていました。

その象徴的な存在が、大人のおもちゃの販売ケースにしばしばみられる「ジョークグッズです」という表記です。

この表記は購入者の心理的負担を減らす役割も果たすものの反面、実際の使用に伴うリスクを回避する口実にもなっています。

そのため子供用玩具に対してはいち早く導入された材料や塗装剤にかんする化学物質の規制や表示義務も存在せず、安全性については企業の良心にゆだねられています。

一方「大人のおもちゃ」の普及は拡大しつづけており、現在米国では異性愛者の男性の50%、異性愛者の女性の50%がバイブレーターを使用しています。

またLGBTQの人々ではこの割合はさらに高く、レズビアン女性の70.6%、バイセクシャル女性の79.7%%、バイセクシャル男性およびゲイ男性では78.5%が使用していることが報告されています。

そこで今回、デューク大学の研究者たちは複数の大人のおもちゃに使用されている化学物質の分析を行うことにしました。

対称となったのは@デュアルバイブ Aアナルビーズ Bアナルバイブ Cマッサージ型バイブレーター の4種類であり、どれも米国で市販されています。

調査に当たっては上記の4種類の大人のおもちゃが3個ずつ購入され、成分分析が行われました。

結果、4種類の全てからフタル酸エステル類が検出されました。

特に@のデュアルバイブとAのアナルビーズでは米国の規制当局によって子供用玩具に許可されているより多くのフタル酸エステル類が検出されました。

フタル酸エステル類はホルモンかく乱物質の一種として知られており、人間の健康に悪影響を与える可能性が指摘されています。

高濃度のフタル酸エステルを動物に注射した実験では、動物たちの肝臓・腎臓・肺・生殖器の細胞組織が損傷を受け、機能が低下することが報告されています。

そのため幼い子供が口に入れる可能性のある玩具などには、フタル酸エステル類の利用が規制されています。

続く

以下ソース
https://nazology.net/archives/131363

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