岸田文雄首相は10月30日、衆議院予算委員会で、安定的な皇位継承は「喫緊の重要な課題」だとし、自民党内に総裁直属の新しい会議体を設置して議論を進めると発表した。

「代表を務めるのは、2022年1月に『皇室に関する課題を議論する懇親会』の会合の座長を務めた麻生太郎氏とみられています。麻生氏は、派閥を超えて自民党内をまとめる力がある。また、三笠宮信子さまの兄でもあり、皇族の事情にも明るいですから、適任と判断されたのでしょう。

 首相がこの問題についてこれほど積極的なのも珍しく、本気で議論を進めるのではないかとみられています」(全国紙政治部記者)

 2022年1月、岸田首相が政府の有識者会議の最終報告書を衆参両院の議長に提出して以降、遅々として進まなかった皇位継承についての議論。しかし、今年に入ってからというもの岸田首相は、2月の自民党大会、7月に行われた安倍晋三氏をしのぶ会、10月23日の所信表明演説など、たびたび安定的な皇位継承について議論を進めるべきだと訴えてきた。

 岸田氏の自民党総裁の任期満了は来年9月。それまでに衆院解散・総選挙を行うタイミングを見極めようとするものの、支持率の急低下を受け、ままならない状況だという。

「このような低い支持率が続けば、解散・総選挙を打てずに行き詰まり、来秋の総裁選での再選など夢のまた夢。窮地に追い込まれていると言っていい。

 物価高で国民の不満は募り、経済対策もうまくいかず、外交もいいところなし。そんな岸田首相が起死回生の一手の『奇策』として繰り出したのが、安定的な皇位継承をはかるための『皇室改革』なのです。これだけは、菅義偉前首相も、安倍晋三元首相も、成し遂げることができなかった。難しい舵取りにはなりますが、国民の関心事である皇室改革をテーマにできれば、総選挙にも打って出られる、という大どんでん返しのそろばんを弾いているのではないでしょうか」(前出・全国紙政治部記者)

 天皇の血筋を父方から受け継いだ女性の天皇を「女性天皇」、母方から受け継いだ天皇は女性、男性ともに「女系天皇」という。天皇家は一貫して男系男子によって継承されてきたとされており、「万世一系」という男系維持の観点から、女系天皇に対しては根強い反対の声がある。しかし、こと「女性天皇」については近年、風向きが変わってきている。

 岸田首相も麻生氏も、女系天皇容認こそ反対という立場を取っているが、女性天皇については明言していない。

「男女平等が標榜される時代において、男系である女性天皇までも否定する正当性があるのかどうか。自民党内でも『女系天皇は難しいけれど女性天皇なら……』という意見が増えてきています」(自民党関係者)

 前述の2022年の有識者会議の報告書では、悠仁さままでの皇位継承の流れを「ゆるがせにしてはならない」と明記してある。しかし別の政府関係者は、岸田首相は「愛子天皇」を念頭に置くのではないかとみる。

「国民の8割が女性天皇の実現に賛成という世論調査もあります。つまり、大多数の国民は『愛子天皇』を歓迎しているということなのです。

 もし岸田総理が女性天皇容認を俎上に載せれば、世論は『愛子天皇実現』に傾くでしょう。これまで総理は『女性活躍』の重要性を主張してきましたから、信条ともリンクする。これほど支持率上昇の期待ができる政策はありません。実際、日本の女性たちをどれだけ勇気づけることになるかわかりませんし、経済効果は計り知れません。男女平等の改革は、海外からの評価も得られるはずです。

 総裁選前の衆院解散・総選挙をにらむと、来春までに党内の意見を一本化し、決着をつけるというスケジュールしかない。今後、宮内庁も含め、新組織の内外で極秘協議が活発に行われるでしょう」(前出・別の政府関係者)

 11月2日の『女性セブン』では、「愛子天皇」についての天皇皇后両陛下の思い、「旧皇族男子」の皇族復帰に関する現状などについて詳報している。

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20231104_1916894.html