【メディア】マスコミの過激な“クマ被害”報道が「四国のツキノワグマ」を絶滅に追い込む危険性
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0001逢いみての… ★2023/11/08(水) 23:21:53.01ID:CAP_USER
 全国各地で相次ぐクマ被害に日本中が震撼している。

 日本に生息するクマは全部で2種類。北海道のみに生息するヒグマと、本州以南に生息するツキノワグマがいて、いずれも生息数は増加傾向にあるという。

 環境省は1日、クマによる人的被害状況の速報値を発表。今年は10月31日までに180人が被害に遭ったとされ、記録のある2008年以降で最悪の数字をマークしている。クマの冬眠は12月頃から始まるため、いまは「食い貯め」の時期。行動が活発化するため、被害の拡大が予想される。

 生息数が増加して、人々の暮らしを脅かす――。そのような地域がある一方で、四国は真逆の状況にあるという。

 四国はツキノワグマが生息する世界で最も小さな島だ。しかし「四国で捕獲されたツキノワグマの血縁関係と繁殖履歴」(2019年=鵜野-小野寺レイナ、山田孝樹、大井徹、玉手英利)によると、2019年時点の推定生息数はたったの16〜24頭。環境省が発表する1種あたりの最小存続可能個体数(個体群が長期間存続するために必要な個体数)は100頭のため、絶滅の危機に瀕しているといえる。

 日本自然保護協会の生物多様性保全部部長の出島誠一氏がこう話す。

「四国のクマはなぜか個体数が増えないのです。つい20年ほど前、紀伊や中国地方でツキノワグマの絶滅危機が問題となり、国の方針で捕獲を制限することにしました。すると、みるみるうちに個体数が回復したのですが……。四国では40年ほど前から正式な捕獲記録がないにもかかわらず、状況が好転する気配がありません。個体数が少ないことによる近交弱勢が起こっている証拠も、特定の病気も確認できていないので、どうしたものかと……」

 増えすぎても困るが、絶滅されても困る。ひとことで「生物多様性」のためといわれてもピンとこないが、クマがいることで森に意外なメリットがもたらされるという。

「クマは肉食のイメージが強いかもしれませんが、基本的に雑食です。木の実などを大量に食べるし、行動範囲が広いので、極めて優秀な種子散布者なのです。食べてからその移動先でフンをするだけで、種子を遠くまで運んでくれる。森にクマがいるかいないかでは、森そのもののありかたなどがまったく異なるというデータがあるくらいです」(出島氏)

 国立研究開発期間の森林総合研究所はこんな発表をしている。「花咲かクマさん・ツキノワグマは野生のサクラのタネを高い標高へ運んでいた」(2018年)。詳細は省くが、表題の通りツキノワグマが生態系の保全にひと役買っていることがわかる。

 四国では人間とクマの軋轢はほとんど起きていない。それでも、現地の人々からクマの保全活動への理解を得るのは難しいという。

「ただでさえクマの生息数を増やす活動に、即座に賛同してくださる地元の方は多くはありません。その上、今年はこれだけニュースでクマ被害が報じられています。我々の活動によって、これから怖い思いをするのではないかと不安を与えかねません。非常に肩身の狭い思いをしています」(出島氏)

 数あるクマ被害報道の中には、世間のインプレッションを稼ぐために必要以上にショッキングな見出しを付けて報じるケースも少なくない。しかし、それらの報道と、受け取り手の感性次第では、結果的に四国の人里離れた森の奥でひっそりと生きるツキノワグマを絶滅に追いやる危険性を留意すべきだろう。

以下ソース
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/331652
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