同性間で性行為に及ぶ生物は、私たちヒトだけではない。自然界において、同性愛はさまざまな種の間で広く見られる行動であり、ヒトに近い霊長類でも確認されている。しかし、「生殖」という本来の目的を伴わない性行為を、なぜ動物や昆虫までもが行うことがあるのか、本当の理由は未だに解明されていない。

 2016年、世界で初めて雌ゴリラによる同性愛が確認され、自然界における同性愛のメカニズム解明の一助となるのではないかと注目を集めた。果たして、雌ゴリラたちが行う同性愛とはどのような様相を呈し、その目的は何か? 詳細についてお伝えしよう。

 学術論文サイト「PLOS ONE」でレズビアンのゴリラについて世界初の報告を行ったのは、西オーストラリア大学の霊長類専門家シリル・グルーター准教授だ。ルワンダで野生ゴリラの食事パターンについて調査してきたグルーター博士だが、雌ゴリラたちによる驚くべき性行動も発見してしまったのだという。

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世界で初めて撮影されたゴリラのレズビアンセックス 画像は「PLOS ONE」より引用

 なんと雌ゴリラの多くが、意中の雄ゴリラに性行為を拒否されると、別の雌ゴリラとの性行為に及んでいたのだ。彼女らの“絡み”は、求愛の声を上げながら抱き合い、互いに性器を触ったりくっつけるという激しいものだった。しかも、このようなレズビアンセックスは、ほかのゴリラに見えないように樹木の生い茂った場所で行われるという。

 ちなみに、2008〜2010年にかけて22頭の雌ゴリラが観察されたが、そのうち同性愛行為を示したのは実に18頭。さらに、確認された同性愛行為43件のうち12件(28%)において、雌ゴリラたちは時を同じくして雄ゴリラとも性行為に及んでいたとのこと。

 今回の調査結果を受け、グルーター准教授は興奮を抑えきれない様子で英紙「The Daily Mail」オーストラリア版に次のように語っている。

「(雌ゴリラによる)このような行為は、彼女たちが互いに惹かれ合っているというよりも、純粋に性衝動に突き動かされているものと思われます。性的興奮を得るため、性別に関係なく行為に及んでいるのでしょう」
「ゴリラは極めてヒトに近い存在といえます。このような行動を見ることで、私たちは自身の進化についても学ぶことになるのです」

 つまり、動物もヒトと同様に「生殖」という本来の目的から離れて、単純に性的快楽を求めて性行為に及ぶことがある可能性が示されたというわけだ。異性にセックスを拒否され、代わりに同性の元へと走り、そして人目のない場所で性衝動を満たす――このようなケースは人間社会でも十分にありえそうだ。ちなみに、2005年には米イェール大学の学者によってサルも金のために売春することが判明している。“性”という面だけに着目しても、動物は私たちの想像以上に人間的、いや、人間のほうが動物的なのかもしれない。

以下ソース
https://tocana.jp/2023/11/post_257350_entry.html