日本の少子化がとまらない。その一方で、男女のオナニーグッズなどを企画・販売する「TENGA」が20代から60代の男性(1030人)にアンケートを行ったところ、7割以上の男性が「性に関する悩みを友人に話したことがない」と答えている。昨今はエロ談議でさえ“不適切”とされ、これがニッポンの少子化の遠因になっている可能性もある。

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「♪みんな悩んで大きくなった」と歌ったのは「にっぽん春歌紀行」などの著作がある作家の故・野坂昭如。

《おめこしてもよい、させてもよいが、中にとどめる子に困る》《おまえそんなにもとまで入れて、中で折れたらどうなさる》

 女工哀史で知られる職工の女たちが歌った猥歌のひとつとされる。もちろん、今の時代にこんな歌を歌えば、一発でコンプライアンス違反。過酷な労働環境もあるのか、娘たちの歌詞は直接的すぎるが、多くの春歌は農村部などで「人間くさい民謡として長く歌い継がれてきた」と野坂は解説している。

 昨年、日本で生まれた赤ちゃんは75万8631人。8年連続で過去最少となり、昭和22(1947)年から3年間の260万人台に比べて3分の1以下の水準にまで落ち込んでいる。さらに婚姻件数は48万9281組。これは昭和45(1970)年から5年間続いた100万組超の半分。結婚した女性が生涯に産む子供の数である完結出生児数は1.90人(2021年)と、こちらも減る傾向だ。現在、日本では認知をされていない婚外子(非嫡出子)の財産相続や養育費が制限されるため、少子化を食い止めようとするならば、まずは分母である婚姻数を増やさなければならない。

 一方、ロート製薬の調査によると、18〜29歳の未婚男女の55.2%が「将来、子供が欲しくない」と回答している。中でも男性の59%が「欲しくない」と多い。妊娠や妊活の基礎知識をどこで得るかという質問には、「友人・同僚・先輩など」より、「インターネット検索」が圧倒的に多かった。

 少し前置きが長くなってしまったが、TENGAのアンケートでは71%の男性が「性の悩みを感じたことがある」と答えている。ところが、その悩みを「笑い話などカジュアルにも友人に話したことがない」とする割合も7割ほどいた。「包茎」(71.9%)、「早漏」(72.4%)、「男性器のサイズ」(65.7%)、「セックスのテクニック」(71.3%)、「マスターベーションの頻度、やり方」(72.5%)といった具合で、友人にも打ち明けられないというのだ。特に早漏や包茎は若い層ほど悩んでいる率が高まる。

 TENGAは悩みを友人に打ち明けられない背景として、「男性の性(エロ)が悪者にされている」こともあると分析。このアンケートを基にトークセッションを行ったAV男優の森林原人氏(写真)がこう言う。

「ネット検索は便利ですが、自分に都合のいい情報でストップするため、間違った性知識のままの人がいます。男性器のサイズひとつとっても、セクシー女優さんで『大きい方がいい』という人はほとんどいません。むしろ、日本人男性の平均が13センチほどとするなら、『それより少し小さめがいい』と話す女優さんが多い。実際に女性向けのアダルトビデオで、『巨根モノ』のジャンルはありません」

 セックスのテクニックについても、女性はそれほど気にしていない。

「20代や30代はテクニックについて気になっている人が多いようですが、女性をイカせることより先に意識すべきは、『性行為をする際に抱く男女の差』です。男性は興奮から入りますが、女性は『怖い』や『不安』から入ります。相手が受け入れる状況にないのに、テクニックを気にするのはただのエゴでしょう。むしろ、チンチンを使わないセックス、最後まで手をつないでいるような関係性を築くべきです」

 AV男優として1万本以上の作品に出演(関係女性は9000人)してきた森林氏の発言だけに説得力がある。

続く

以下ソース
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/lifex/337127