―お話を聞いていると、スナックはまさに地域のコミュニティハブになっていると感じます。スナックを拠点にした、地方の活性化も期待できるのでは?

実はこの本を出版してから、地方の商工会や料飲組合などから講演依頼が舞い込むようになりました。そのほとんどが「スナックなど、地域の飲食店が元気になる話をしてほしい」というものです。私もスナックは「夜の公共圏」として地域コミュニティを活性化させる存在だと確信しているので、「スナックで地方創生」みたいなテーマでお話をしています。

―スナックで地方創生!? 興味深いですね。どんな話をされているんですか?

地方創生役としてのスナックを考えると、今後ふたつの展開があると思っています。ひとつはスナックのデイケア拠点化です。営業していない昼間には、老人ホームなどにスナックを利用してもらう。スナックにはカラオケ設備があるので、高齢者も楽しめます。スナックは全国にあるし、介護市場の大きさを考えると、スナックのデイケア拠点化はビジネスとしても成立するはずです。
もうひとつは若者の起業拠点化です。地方創生には若い人の活躍が欠かせません。そこで若い人にスナックを経営してもらえばいいんです。地方には後継者不足で閉店したスナックがたくさんありますから。実際、スナックのコミュニティ機能に着目したNGO関係者やシェアハウス経営者が、地方の閉店したスナックを再オープンさせるというケースも出ています。人と人の関係をオーガナイズすることが好きという若い人には、スナック経営はオススメです。

―ただ、週プレ読者にとって、スナックは少し遠い存在かもしれません。「お金を持っているおじさんが通う店」とのイメージが拭えません。

若い人が思っているほど、スナック入店のハードルは高くありません。料金も手頃で、ハウスボトルを利用すれば、セット料金の3000円ポッキリで飲めるという店も少なくない。時間制限もないし、まずはスナックのドアを開け、「初めてなんだけど、いくらで飲めます?」とママに尋ねてみてください。ちゃんと料金を教えてくれますし、ぼったくるようなことはまずありません。
都市圏に住む若い人は大学や職場と自宅を行き来するだけで、地域コミュニティと触れ合うチャンスがない。でも、スナックは地域コミュニティにスッと入れる場所で、スナック以上のものはない。若い人こそ地元のスナックのドアを開けてみてください。そこには濃密だけど、なんでも話せてリラックスできる空間が広がっているはずです。

終わり