わいわい鬼滅スレ [無断転載禁止]©bbspink.com
レス数が1000を超えています。これ以上書き込みはできません。
いののフィギュアなんで被り物したままなのかしら
素顔の方がいい気がするんだけど内野的にはいのししつきの方がいいの? また春アニメの新スレ立てたの?
わいわい追い出された? キャラスレってないの?
普通のキャラスレ慢キャラ板とキャラサロ以外にないのかな
死にすぎている >>14
こっちって事は他に鬼滅スレあるの?
801サロン板、801板、難民板を探したけど鬼滅スレ見つからなかったわ 遊郭編アニメでやってくれるといいな
善逸の女装と三味線とアタイ呼びと宇髄さんとの絡みを見たい 自覚するまでが長そうだけど自覚したらセッするの早そう 画像見かけて興味あるんだけどわいわいで内野が内輪話しょっちゅうしてる割にダイマが殆どないわ 先に逝った人がお迎えに来るってことは転生はないでしょ だってアホなきめつ内野がいつまでもうざいんだもの
こっちで思う存分やればいいわ 煉獄さんの覚悟すごかったわ
炭治郎の「煉獄さんは誰も死なせなかったから負けてない」という言葉もとっても煉炭じゃないの 煉獄さんが戦ってる時炭治郎がずっと煉獄さん煉獄さんって呼びかけていてとっても煉炭だったわ まだ見てないけど煉炭は顔カプって言われてないの?
萌えるならダイマして 出逢ってからたった一晩しか一緒に過ごせなかったけど後々まで炭治郎に影響を与える精神面での師匠になったのが煉獄さんよ
最後まで重要な場面では必ず煉獄さんの回想が入るし、炭治郎は煉獄さんの遺品の剣の鍔を使っているわ
二次では生存ifとキメツ学園の話が人気よ 煉獄さんは猗窩座のものよ!😡
めちゃ口説いてたもん アカレンねと思ったら後にアカザに攻めが現れてあらあらと思ってたらノマ爆したわ 猗窩座の過去はかわいそうだけど煉獄さんを殺したことは許さないわ😡 とうとうと鬼滅スレできたの…
鬼滅興味ないからバイバイ婆達 原作未読でアニメしか見ていなくて映画を見たから有名キャラの煉獄さんが死んじゃってビックリしたわ
しかも鬼に猛烈に言い寄られてるし…
アニキー!!ってはしゃいでいた炭治郎達が不憫で泣けたわ 是非原作の続き読んでみて
あの後炭治郎は煉獄さんの生家に行って飲んだくれ親父に頭突き説教して煉獄弟と仲良くなって
煉獄さんの形見として煉獄さんの剣の鍔を貰うのよ
最後は心を燃やせって己を奮い立たせてその剣で無惨と戦うわ これから読むかも知れない人にそこまで教えちゃうのはどーなのかしら? 婆は原作をこれから読むから原作バレと書いていただけるとありがたいわ
宜しくお願いします >>70
64だけど69じゃないわよ
配慮が足りなかったと反省しているわ 婆はおつまむから移動してみるわ
まだ原作読んでないけど とうとうきめつスレ出来たっていうか大分前からあるわよね?
使われてないけど
金カムとか乗っ取られたし 映画って会ったの2回目でその日に…アレなんでしょ? >>87
愛し合うのに一緒にいた時間の長さは関係ないわ
一晩で一生分の濃密な関係を築いたのよ ここホモスレだからおばみつに興味ない
公式なのはわかってるよ いつ見ても座席埋まってるわ
12月でもでかいスクリーンでやってくれるかしら ねえなんで伊之助の子孫っぽい人はあんな大人しい性格になっちゃったの アオイちゃんと伊之助だと逆に子どもが大人しくなったんじゃないかしら >>105
へぇー
なんか伊之助本人よりかわいくてツボに入ったわ ぎゆさびエターナルですから
れんたんエターナルですから 無惨様ってやっぱ精子も中に出すと相手が鬼になったりパワーアップするのかしら 性欲が自らの遺伝子を残そうとする本能であるならば
たんじろさんに執着したあれが無惨様は性欲のとりこだったのでは 生殖せずとも鬼を増やせるし鬼って性欲なさそう
食欲が性欲プラスされてる? >>123
あなる
でも親方様と無惨様同じ顔だから自分×自分 無惨様はビッチよ
自分が作った鬼に自分を犯させるの
でも最中にうっかり名前を呼んだら呪いが発動して鬼は死ぬわ腹上死よ ひゃだニワカがバレたわ
でも五つ子なら精子強そうだしちんぽも強そうよ >>130
たんじろうの父親なんてガリヒョロなのに子供7人よ お館様も病弱なわりに結構生んでるわよね
妻が体強いわ 炭十郎は生まれながらの痣者で熊を一撃で倒せる日の呼吸の使い手だから縁壱の次くらいにちんぽ強いはず たんじろは優しいから頼み込んだらヤらせてくれるわ
受けよ ひゃだ伸びてるわ
やっと婆しかいない地獄から抜けられたわよ 風柱兄弟わいわいで情報だけ聞いてなにそれ萌える!ってわくわく単行本読んだら…
いい話だけど全然萌えなくて😭 >>141
婆はずっといたわ
れんたんエターナルわよ コラの炭治郎ならオタクに優しいギャルになれる!のネタに善逸にドン引きする顔が貼られてて萌え笑った >>147
オタクに優しいギャルはいないんだよの話題が先にあって
炭治郎が鬼になった!の漫画で炭治郎が女になった!ってコラが作られて
炭治郎ならオタクに優しいギャルになれる!ってネタがなんか流れてきたの >>145
正直基地だと思ってたわ
原作さほどだったんだけど映画萌えるの? >>149
映画はアカザと煉獄さんの戦いが熱いわ
萌えより燃えわよ >>151
れんたんは言うまでもなく萌えたわ
戦いの最中炭治郎が煉獄さん煉獄さんって泣きそうな声で呼び掛けるのが堪らないわ
れんたんは同じ画面の中にいるだけで萌えるわ 婆もさねげん性格も関係も萌えるのに見た目が…ってなるわ… 煉獄のアニキー!ってハシャイでる姿は可愛いけど見ていて辛かったわ
もうすぐ永遠のお別れなんだものね 11月14日(土)〜:第1弾“ufotable描き下ろしA5イラストカード 壱”
11月28日(土)〜:第2弾 24日(火)公開
12月12日(土)〜:第3弾 8日(火)公開
12月26日(土)〜:第4弾 22日(火)公開 れんたんもいいけどれんごくの弟たんじろもいいわ
名前忘れたわ >>161
杏寿郎さんの弟の千寿郎くんよ
ちなみにお父さんは槇寿郎さん 再燃もそんなに広範囲ではないかもね
煉獄さんの命日は映画の木々や田が青々してて今より寒い11月というのはちょっと
月の形に関しては流石だわ 列車から見える景色がね
11月ならもっと寒々としててもおかしくない 婆達おそ松さんみた??相変わらず激寒だったけど婆の推しカプの提供やばかったわ!!! 世の中にはいろんな人がいる。
それこそ、金銭面一つとっても俺のように食うや食わずの生活をしている者から、
一度も金で苦労したことはありませんと豪語できる者まで。
十人十色。
多種多様。
それは当然のこと。
自分の置かれている環境が今は劣悪なことは自覚しているが、 それは所詮自分の蒔いた種であり誰をも責められるものではないということを痛感するのと同じように、
目の前に広がるあまりにも自分とかけ離れた生活をする相手に呆れはするが、
批判も非難もすることはできないと俺は知っていた。
「どうぞ、好きな所に座ってくれ」
高層マンションの最上階に連れて行かれた俺は、馬鹿みたいにあんぐりと口を開け、室内を見回していたのだろう。
その俺に顎をしゃくる、この部屋の持ち主猗窩座は、俺の様子に満足そうに居丈高な笑いを浮かべ、明らかに高価な感じのするジャケットを脱ぎハンガーにかけた。
目の前に広がるのは桁違いに豪奢な部屋。
いかにも金の掛かっていそうな室内に、必要最低限の家具もかなり値が張りそうだ。
広いリビングには私製のバーカウンターまで備えられている。
だが、俺を驚かせたのはそんなことではなかった。
食事をおごると約束してくれた猗窩座に、結構いい奴なんじゃないかと気を緩めていた俺が、連れてこられたのがどんなに豪華でも彼のマンションだと分かると、さすがに愛想笑いなど浮かべていられなかった。
「おい?俺の飯・・・どうなったのだ」
眩暈がしそうなほど腹が減っているのだ。
正直、今の俺の興味はそれしかない。
だから、なぜ猗窩座の住まいに来なければいけないのか、意味が分からなかった。
そのリビングが、俺の1LDKのアパートがすっぽり入る以上の広さを誇っていて、おまけに信じられないくらいの大画面のテレビが壁にはめ込まれているという、初めて見るほどにセレブな部屋でもだ。
部屋を見ているだけでは腹は膨れない。
猗窩座の自慢げな顔を見るのは、もっと腹の足しにはならない。 「もう少し待ってろ。俺の実家で飼っている犬でも、もっと待ては上手だぞ」
「む? 犬?」
犬は好きだ。
と言う事ではなくて、どうして俺が犬と比べられなければいけないのか。
俺との食事に行く約束は、犬の餌の時間と同レベルなのか。
歪んでいると思う。猗窩座の精神構造は間違いなく歪んでいる。
俺の腹がそこで盛大な音を立てた。
こんなことならさっさと帰って、水をたらふく飲んですぐに蒲団に入ってしまえば良かった。寝ている間は腹の減りも我慢できる。
身体は酷く疲れているから、今日は空腹でも眠れただろう。
「凄い音だな・・・そんなに減ってるのか? ちゃんと食わないと、身体を壊すぞ」
「うるさい」
食べられるものなら、いつだって食べたい。
目の前の金持ち然とした男には、俺の苦しみは一生分からないのだろう。
そうこうしているうちに、いきなり玄関のチャイムが鳴り、猗窩座が薄く笑いながら玄関に向かう。
もう本当に帰りたい。
だが次に現れた猗窩座は数人の男を連れだっていて、彼らは俺の目の前でてきぱきと動き、リビングのテーブルの上に白いテーブルクロスを引くところから始まって、見る見るうちに豪華な食事をテーブルいっぱいに広げ出した。
まだも湯気が上がっている料理の数々にあんぐりする。匂いが俺の腹を刺激する。
フォークとナイフをセッティングされ、ワイングラスに赤ワインが注がれれば、そこに姿を現したのは一流ホテル顔負けのフランス料理のフルコースだった。
食べられない一輪ざしの花まで、花瓶に飾ってある。
「え?え?え?」
目が点の俺の横で、猗窩座は渡された伝票にスマートにサインをしていた。
流暢に深々とお辞儀をして去っていく背広姿の男達を、まだも唖然と見つめていた俺の背中をポンと叩く猗窩座。
「どうした。冷めないうちに早く食べよう」
「・・・あ、ああ」
まだも狐に化かされたような顔をしていたのか、猗窩座は俺の顔を見てシニカルに笑った。
「なんて顔をしているんだ。・・・知らないのか、ホテルのケイタリングサービスを。望めば食事がすむまで給仕してくれるぞ。俺は他人にこの部屋に居座られるのは真っ平だが」
「・・・そうなのか」
俺にはまるっきり縁のない世界だ。
自分の家にフルコースなんて、どんな生活をしているのだと呆れる。
この分だとこの部屋の掃除もハウスキーパーを雇っていそうだ。
AV男優がそんなにも儲かるとは初耳だ。
それとも猗窩座のギャラは桁違いなのだろうか。 有名ホテルの食事は涙が出そうに美味しかった。
空腹で死にそうな今の俺なら、コンビニの弁当でも涙が出そうに有難いに違いなかったが、
濃厚なテールスープは舌に丁度いい熱さと味で俺を唸らせ、
サラダは驚くほどに新鮮でかけたばかりのドレッシングと絶妙に混ざりながらも歯ごたえを残し、
湯気が上がるステーキに至っては肉汁で舌が蕩けそうだった。
「あ、あ、あ、うまい!うまいっ!!」
「・・・おい・・・うるさいぞ」
「あ。ははっ、すまん」
「口いっぱいにして笑うな。零れる」
いい奴だ。
猗窩座は口は悪いが、間違いなく、いい奴だ。
顔の半分が腫れているのは、先程俺が殴ったせいなのに、
それを気にした風もなく、俺の目の前で優雅にワインを飲んでいる。その秀麗さと腫れた顔のミスマッチに、
申し訳なさを感じるが、当の猗窩座は平然としたものだ。
ワインの持ち方からグラスの傾け方までが様になっている猗窩座。
腫れてない方の横顔は目を見張るほどに男前だ。
伏せ目がちの睫毛は、驚くほどに長い。
こんなに美形なのに、AV男優なのが不憫だ、と俺はこっそり思った。
猗窩座ならどんな世界でもやっていけそうに思えるのに。
それともこの豪華な生活を続けるのは、
AVじゃないと無理なのだろうか。
俺ならばもっと質素な生活でいいから、順風で穏やかな生活を望むだろうに。
「ホント・・・よく食うな。食べるか喋るか・・・どっちかにしたらどうだ」
コミュニケーションを取るのが好きな性格ゆえに、猗窩座相手でも俺はべらべらと良く喋ってしまっていた。
内容は全然大したものではなく、この肉が柔らかくてウマイとか、俺の家の近所の定食屋の天ぷら丼の天ぷらの揚げ方がいかに素晴らしいかという、どうでも良い内容だったが、
不思議に猗窩座は真面目に聞いてくれた。
猗窩座も食には興味があるのかもしれない。 「猗窩座も食べるのが好きか?」
「・・・まあ好きだな。俺は基本3大欲には忠実で貪欲だ」
「3大欲・・・。食欲、睡眠欲・・・あとはなんだろうか?」
「性欲」
「・・・あー、そうか」
そうか今日の猗窩座君だからな〜と気まずさを誤魔化すために意味なく呟いて、俺はデザートのプディングにスプーンを入れた。滑らかな舌触り。本当にうまい!
ふいにテーブルに置かれるコーヒー。猗窩座が淹れてくれたのか、豆の濃厚な香りが鼻を擽る。
「・・・ありがとう」
「どういたしまして」
いい奴だ。親切だ。
俺の見る目は確実に変わった。
腹が減っていた俺は飲むことよりも食べることを優先してしまったが、猗窩座はゆっくりと酒を楽しみたいタイプのようで、赤ワインのハーフボトルをすでに1本空け、次のボトルに移っていた。
顔色も態度も少しも変わっていないことから察するに、かなりアルコールには強そうだ。
俺はさほど強くないので、あんなに飲んだら間違いなく次の日はベッドから起き上がれないだろう。
「じゃあ、ごちそうさま、猗窩座。明日も朝から仕事だから、もう帰らせていただく」
腹が膨れて満足な俺は、眠くならないうちに退散したほうがよいとばかりに立ち上がった。
適度な室温とゆったりとした音楽が流れる室内は心地良過ぎて、間違いなく俺の瞼を塞いでしまうだろう。
「は。もう、か?俺、まだ食事中なんだが」
「だって・・・君、酒が強そうではないか。君に付き合っていたら、いつになるか分からないだろう」
「一緒に食事するなら相手に合わせるのが当たり前だろ。自分だけ愉しめればそれでいいっていうのは、一番嫌われる男のパターンだぞ」
常の如く嫌味な口調で言われて少しむっとするが、確かに猗窩座の言う事は一理ある。
奢ってもらってそれは失礼だろう。
立ち上がった腰を再び下ろすと、満足げな猗窩座の顔。
その顔が子供のように映るから、なんだか可愛いなと思ってしまった。 「猗窩座はここで一人暮らしなのか?」
「・・・そうだ。お前も一人暮らしか?」
「ああ。俺の家はもっと狭いけどな」
それにじきに追い出されるかもしれないけどなと、心の中で付け足した。
来週は事務所を通じて今回の出演料が振り込まれるだろうが、詳しい金額をまだ聞いていない。
実はアパート家賃は先月も未納の状態なので、出来るならば出演料が入った時点で払ってしまいたい。
だが今月は食費に回す金もないほどに懐が逼迫していた。
奢ってくれそうな友人の顔を数人思い浮かべるが、最近、頻繁に奢ってもらっているのでさすがにこれ以上は気が引ける。
「・・・もっと割りのいいバイトって・・・あるのだろうか・・・」
昼間の会社は絶対にやめたくない。それは俺の最後の砦だ。
給与は安いが、そこを失えば普通の生活に戻れない気がする。
賄い付きのバーの仕事と夜間工事のバイト、他にAVの仕事。
その他に仕事を入れる暇があるとは思えない。
「・・・AVよりも稼げる仕事ってことか・・・? ホント・・・お前のそんなところ・・・興醒め」
「む、興醒めってなんだ。君には分からないだろう。こんな立派な家に住んでいるのだから」
「俺だってタダでこんなところに住める訳はないだろ。それなりの仕事をしてるんだ」
「・・・俺も人気男優になれば・・・もっと稼げるのだろうか?」
思い出されるのは、男達の醜い欲望。
途端にぞわりと鳥肌が立った。
ムリ。ムリに決まっている。
あんな醜いものを突っ込まれると考えただけで気が遠くなりそうだ。
「・・・お前、なんでそんなに金がいるんだ? ・・・親の借金とかか?」
「俺の家族が借金なんてする訳ないだろ」
「・・・じゃあお前の借金か?」
「むぅ。払わない訳にいかないからなぁ」
「・・・・・・身から出たサビかよ。どうしようもない男だな」
猗窩座のいうとおり、簡単に保証人になったのは自分の咎だからしかたない。
もう少し、大人になるべきだった。
友人の借金の額を把握して、友人が夜逃げするほどに逼迫している状況を、もっと理解してあげれば良かったのだ。
そうすればこの最低な生活だけは免れたかもしれない。 「なぁ、明後日の杏寿郎君が人気作になったら・・・出演料も上がるだろうか?君は毎回俺の他に何人としているのだ?相手が増えれば・・・金額も増えるのだよな」
「・・・・・・・・・」
「あああ、金が欲しい」
両親にだけは迷惑を掛けられない。家には成人前の可愛い弟もいるのだ。
どんなことがあっても、俺が責任を持って友人の借金を返さなければいけない。
不特定多数に抱かれるのが無理なら、じゃあ突っ込む方と考えてみるが、ハードルはもっと高そうだった。
撮影現場で他の男達の絡みを見たが、俺の下半身は反応するどころか気色悪さにこれ以上ないくらいに縮こまってしまっていたのだから。
でも金を稼ごうと思うと、もっと割り切らなきゃいけないのだろうか。
凌辱モノは金額がいいと所属会社の社長が言っていた。
気が遠くなってもいいから、醜悪な昂ぶりで犯されるべきなのか。
唇を突き出して考えに夢中だったのか、いきなりぎゅっと唇を抓まれて、俺は短く唸った。
「なにをするのだ、痛いだろ」
「丁度いい。そういえばお前と一緒に観たいDVDがあったんだ」
「え?」
「明後日の杏寿郎君を撮りたいのなら、もっと勉強が必要だぞ」
壁にはめ込まれた大画面のモニターを操作する猗窩座。
嫌な予感に俺はぶるりと背筋を震わせた。
猗窩座の双眸が不穏な気がする。
先程まであんなに機嫌が良かったはずなのに、今は若干苛立っている気さえした。
猗窩座は気分の昇降が半端ないから、対応に本気で困る。
「は?」
だが悠長に俺が構えていられたのはそこまでだった。
大画面に映し出される映像を見た瞬間、俺は本気で悶絶死するかと思ったほどだった。 画面いっぱいの肌色。
それは人の裸体だ。
絡み合う裸体に俺の目が見開かれる。
チープな音楽に重なって聞こえる男の喘ぎ声。
あきらかな男同士のSEXシーン。
おまけに、映し出される顔はあろうことか俺と猗窩座のもので、俺は絶句して固まってしまった。
『・・・ぁあ・・・あ・・・はぁ・・・』
『ほら、もっと脚を開け。・・・いいんだろ?もっと奥を突いて欲しいんだろ?』
『・・・はぁ・・・ぁ、あ、猗窩座・・・・・・いやだ・・・駄目』
『ああ、凄い感じてるな。分かるか、俺のをぎゅうぎゅう締めつけてぞ。・・・最初でこれかよ、淫乱だな』
『・・・ぅ・・・ふぅ・・・で、出そう・・・あ、ぁあ・・・そ、そこ、・・・ぅん・・・い、いい・・・気持ちいい・・・』
くらりと眩暈さえする。
この声が誰の声かなど考えたくもない。
まるで強請るような舌足らずで、甘えた声。
下面にアップに映し出された俺の尻の穴は、猗窩座の言うように猗窩座を銜えたままひくひくと痙攣していた。
まるでその灼熱の棒を更に身の内に取り込もうとしているように。
「目を逸らさないでちゃんと見ろ。モニターチェックもできなくて人気男優になれるはずがないだろ」
「・・・こんなの・・・ムリだ」
「ほら、ここ。ここはもうちょっと引っ張っれ。いいとこを擦ってるのは分かるが、ぐだぐだじゃないか。もう少しカメラ目線も欲しいな。
唾液を垂らすのはありだぞ。
感じすぎて締まらない口はいい感じだ。次は指でアナルの淵を開いて、もっと中まで映せ」
「う」
ありえない。
何て事を言うのか、この男は。 「ああ、本当に凄い先走りだな。精液も混じってるんじゃないか?もう少し堪えろ。AV女優でももっと慎ましいぞ」
それ以上聞いていたくなくて、反射的に拳を振り上げるが、それは猗窩座の鳩尾に沈むことなく、二人の間にすかさず入ってきたクッションに邪魔されていた。
クッションが拳の形に歪む。
上手いガード方だ。
「……杏寿郎…」
「あ。すま」
「本当にお前乱暴過ぎ。・・・殴ったら今日の食事代金を払ってもらうからな」
「う」
俺は仕方なく、握っていた拳をゆっくりと解いた。
『あ、あ、あ、あ、あ』
画面の中の俺の淫らな姿。淫らな声。
気が遠くなりそうだ。
双丘を掴み割り開く猗窩座の手のせいで、俺の排泄腔が丸見えだ。
先程まで猗窩座を銜え込んでいたせいで、そこは赤く腫れている。
本当ならば決して見るはずもない自分のその場所を大画面でアップで写されて、俺は正直息も絶え絶えだった。
指で開かれたその箇所に猗窩座の舌が侵入するのが映し出されている。
周囲を舐め解し、ぬるりと舌が差し込まれる。
ふいに俺はぞわりと背を戦慄かせた。
まるで、目の前の映像に自分の感覚がリンクしたような錯覚に襲われる。
そうだ。
今日も、舐められた。
あの恥ずかしい穴を。
恥ずかしくて、死にたくなるほど恥ずかしくて、それでもぬるりとした舌の感触は驚くほどに気持ち良くて。 知っている、映像の中の俺がどんなふうに感じているのか。
気持良くて、気持ちよくて、閉じ切らぬ唇から涎を垂らして喜んでいることを。
ぶるりと俺の身が震える。
まるで今、双丘を押し開かれているような感覚に、俺は忙しない息を漏らすことしかできなかった。
熱い。
下腹部が。
無意識に締めて擦り合わせるそこが、明らかに熱を持って形を変え始めているのに気づいて、俺は羞恥に頬に色を上らせた。
「ほら、杏寿郎、ちゃんと見ろ。次回の撮影のためにちゃんと見ろ」
「あ、猗窩座・・・」
いきなりソファの隣に身を寄せて座られて、俺は身を強張らせるしかできなかった。
猗窩座には昂ぶっていることを知られたくない。
とんだ節操なしだと思われるだろう。
いつも俺を淫乱呼ばわりする猗窩座は、こんな俺の状態に気がつけば間違いなく侮蔑の表情を浮かべて嘲ることだろう。
画面では、俺のアナルに猗窩座の長い指が二本揃えて侵入するところだった。
あんな風に俺の中に入れているのだ。
画面からは俺の喘ぎ声。
気持ちいいのだろう。
まるで熟知しているように俺の肉体を操る猗窩座。
だてに人気汁男優の称号を受けている訳ではない。
その手腕にかかれば、後ろ処女だった俺でさえも最初からとろとろに溶けてしまったのだ。
あの長い指は確実に俺のイイしこりを擦り上げているはずだ。
腹の奥深いところが、その指を思い出してきゅっと疼くのを、俺は止められはしなかった。 『出る。出る。出る』
『もう少し我慢しろ、杏寿郎』
『あぁぁ、ムリもうムリ。イく。イく。イかせてくれ、あかざぁ・・・漏れちゃう』
『は・・・お前・・・可愛すぎ』
「お前・・・勃ってるのか・・・?」
いきなり下腹部に触れられて、俺は大袈裟なぐらい飛び上がった。
いつの間にか猗窩座は背後から羽交い絞めをするように俺の背中に身をピタリと付けていた。
そして前に回した手で俺の下腹部を緩く弄る。
「あ、ぁ、バカもの、やめろ、猗窩座」
「凄い硬いな。・・・ホントに抑えの利かない身体だよな」
「・・・・・・意地悪言わないでくれ・・・うっ」
いつもの如く手際よく、猗窩座の手は俺の服を肌蹴させる。
そんな風に触られるだけでも気持ちいい。
抗う間もなく引きずり出される俺の昂ぶりは、すでに熱を持ち天を衝く勢いでそそり立っていた。
つい何時間前まで猗窩座と抱き合って、精巣が空っぽになるまで吐き出したと思ったのに、まだも反応する肉体が恨めしい。
猗窩座の言う通り、本当に俺は淫乱なのかもしれない。
いつの間にか外されたボタンから侵入する猗窩座の指が柔らかく乳首を抓み、指の腹で捏ね回す。
もう片方の手はリズムよく俺の昂ぶりを扱き、喘ぎを漏らす俺の唇を閉じさせない。
「あ、あ、あぁあ、はぁぁ、ぁん、ぁぁぁ」
『あ、あ、あ、あ、あ、あ』
漏れる声に重なる俺の映像の声。
どちらが現実の声なのかも分からなくなる。
『もっと、もっと・・・あ、あ、あ、』
「あかざぁ・・・あ、あ、あ」
「どうした。自分の声で感じてるのか」 ソファの上だという事実はいつの間にか俺の頭からは飛んでいた。
いつものように、下腹部から衣服をはぎ取られると、我慢できずに無意識に尻を振ってしまう。
男同士の行為の手順など知らないから、AVで教わった通りの反応しかできない。
「・・・・・・。だから・・・淫乱だと言うのだ」
「・・・あかざぁ・・・」
「ここ?いいのか?」
撮影で散々猗窩座を受け入れたそこはまだも熱を持っていて、指で刺激されると心地良さに更に尻を突き出してしまう。
画面の俺も信じられない体位で、猗窩座に貫かれていた。
それなのに画面の俺は嫌がるどころか、涎と涙で顔を汚しながら、確かに喜んでいる。
とろりとした目元。
欲望に濡れた眼差しが、自分のものではないように艶を掃いている。
画面の俺と現実の俺。
どちらも欲望に驚くほどに忠実だ。
「お前・・・誰かに飯を食わせてもらう代わりに・・・簡単に身体を開くなよ」
「・・・ぁあ、あ、あ、そ、・・・んなこと」
「この身体は俺専属だから気をつけろ。他の男の癖をつけてきたら許さんぞ。飯ぐらい・・・俺が毎日食わせてやるから・・・腹が減ったら俺の所に来い」
「ぁあ・・・ぅん・・・うぅ・・あかざぁ」
「明日の昼食・・・会社の人に食べさせてもらうんだったな。その後で淫乱なお前が尻を差し出したくならないように、今日はたっぷり絞り取ってやるよ」
「そ、なことするか・・・ぁ・・・ぁあ、あ、あ」
引き抜かれた指の代わりにあてがわれる熱がある。
俺は無意識に腰を背後に付きだして、猗窩座の大きな逸物を身の内に収めようと躍起になっていた。
「・・・ありえない」
俺は次の日、目覚めた猗窩座のベッドの中で、頭を抱えてしまった。
またも快楽の虜になった自分が恨めしい。
仕事でもないのに、延々と猗窩座と身体を繋げ合ってしまったのだ。
それも昨日は日中も仕事でも何度も抱き合い吐き出したというのに。
俺の性欲は一体どうなっているのだろうか。 俺はゲイではない。断じて。
それなのにプライベートで、同性の猗窩座にベッドの中で散々喘がされ続けたなんて、男としての矜持はめちゃくちゃだ。それも自分から誘う素振りさえ見せた気がして、俺はとてつもなく落ち込んだ。
猗窩座の言う通り、俺の肉体は快楽に酷く弱いのだ。
これまで異性としか恋愛をしてこなかったが、こんなにも行為に夢中になることはなかった気がする。
とすると単純に考えて、猗窩座の手管がそれほど素晴らしいということだろうか。
女性を抱けなくなったらどうしようと、俺は怖くなった。
このまま猗窩座に溺れそうな予感に背筋が寒くなる。
ベッドの中で半身を起こす俺の腰には、まだも猗窩座の手が回されていた。
この精力有り余る男から離れるのが得策だと思う。
このままだと本当に引き返せない気がする。
俺はゲイではない。
俺は絶対違う。
呪文のように呟いていると、ぐいと腰を引かれて、俺は後ろに引き倒された。
そのままベッドヘッドに頭を打ち付けて、痛みに大声を出すと、猗窩座は胡乱に俺を見た。
「・・・うるさい」
「きみっ、君が乱暴だからだろっ。痛い」
「朝めし・・・何食いたい?」
「え? 食わせてくれるのか?」
「・・・昨日、約束しただろ。メシは俺を頼れ」
「・・・・・・・・・」 そんな約束したかどうか覚えていないというと怒られそうなので、とりあえず黙っておく。
だが単純にメシを奢ってもらえるのは、ありがたい。
この男にどんどん懐柔されている気がするが、背に腹は代えられない。
「君、飯を頼ってくれって本気にしていいのか?」
「いいぞ。一人で食うのも二人で食うのも一緒だからな」
「仕事終わって・・・食事を摂りに来てもいいのか?」
「ああ。前もって連絡はしろよ。俺にも都合があるからな」
イイ奴だ。
天使だ。神だ。綺麗な顔の上に光る輪まで見える。
この際、懐柔されても良しとしよう。
優しい天使に今だけは恋さえしてしまいそうだ。
先日から所属している事務所が、他のゲイDVDにも出てみないかと盛んに誘ってきたが、それは無視してもしばらくは食べていけるかもしれない。
猗窩座以外の男との絡みは、気持ち悪くて、正直今は考えることができないのでとても助かる。
猗窩座も俺の身体に他人の手垢がつくのを嫌がるようなので、甘えてもいいのだろうか。
つい先ほどまで、離れた方が得策だと考えていたのに、現金な話だ。
「・・・って何してるのだ君」
「朝の挨拶」
「ど、ど、どこに?」
「ああ。朝から元気いっぱいだな。おはよう、杏寿郎」
「う。待て。・・・あ、あ、熱い、君の口の中」
「・・・ん・・・あとで朝食を食べさせてやるから・・・俺にも濃いのを頼む」
「う・・・う・・・変態っ」
「・・・・・・ちょっ、蹴るなよ、縛るぞ」
「・・・あ・・・あ・・・あ・・・」
散々口の中で扱かれて、俺は猗窩座の望み通り、朝一番の新鮮な液を口腔に吐き出してしまった。
その後、猗窩座の朝立ちした元気な逸物で喘がされ続けた俺は、結局食事を得るために理不尽な対価を払わされているのだと気付いたが、今更殴ることもできずに揺らされるしか術を持たなかった。
朝イチの行為が思う以上に気持ちが良かったなどと、俺は口が裂けても猗窩座に言ってやるつもりはない。
2-2完 俺はいつでもお天道様に恥じることなく、陽のあたる公道を歩いてきた。
どこかの胡散臭い政治家のように、清く正しく美しくがモットーだとはいわないが、性格上曲がったことは嫌いだったし、自分の信じた道を正しく突き進んできたつもりだった。
それが俺、煉獄杏寿郎だ。
だから当初は、自分の身の上に起きたことが本気で信じられなかった。
他人の借金を背負わされて、尚且つ、その返済のために身を切り売りしている現状が、どうしても認められなかった。
だがさすがに今では、半ば慣れたと言おうか、諦めの境地に至ったと言おうか、とりあえず現状を受け入れるようにはなっていた。
いや受け入れなければ生きていけないのだ。
それほどまでに、俺は金に困っていた。
金がない。
本当に、金がない。
会社の給与はおろか、定期的に入るバイトの収入も、気がつけば右から左の有様だ。
おかげでいつでも生活は窮していた。
金がないという事は、こんなに人間の尊厳までも失ってしまうのだろうか。
それでも俺は生きている。そのことに感謝しつつも、日々、明日の糧のことばかり考えている生活は、かなり惨めなものだった。
金がない生活にももう慣れたと思っていたが、3日後にバーテンのバイトの給料が入るまで、財布を開いてもあるのは小銭ばかりで、徹夜の道路工事のバイトが明け方に終わった俺は、腹を空かせて、無意識に立派なマンションの前に立っていた。 もちろんこのマンションの最上階には猗窩座の住まいがある。
金がない俺が、今一番頼りにしてしまうのはこの猗窩座だった。
出会いは碌でもない撮影で、性格的に問題ありと思った時もあったのだが、飢えている俺に食事を御馳走してくれるという地獄に仏的な相手に、俺は今では懐いていた。
食い物につられた感は否めないが、簡単に食事を奢ってくれる猗窩座が天使のように目に映るのは確かだ。やはり人間、食が一番大事だと本気で痛感させられた。
まだ薄暗いこんな時間に人の家を訪ねるのは、失礼にもほどがあるが、実は昨日の昼メシを会社の同僚宇髄に奢ってもらって以来、俺は水道水しか口にしていなかったのだ。
もちろん昨日の朝も食べていないので、昨日一日で一食しか食べていないことになる。
その状態での肉体労働は苛酷で、腹が減り過ぎて眩暈を起こすのではないかと思ったほどだった。
今から行っていいか、という内容のメールを、仕事が終わって着替えている時に送ったが、こんな早朝ではもちろん返事はない。夜型の猗窩座は、もちろん眠っている時間だろう。
エントランスを開く暗証番号は知っているが、部屋の鍵は開けてもらえないかもしれない。でもその時は部屋の前でドアにでも寄りかかって、仮眠をすればいいいいだろう。そのうちに起き出した猗窩座に、朝飯を食わせてもらえればそれでいい。
そう思いながらもう一度だけメールをして、部屋のチャイムを数度鳴らす。早朝だから少々遠慮する気持ちはあるが、このマンションの防音はかなりしっかりしてるので案外大丈夫なのかもしれない。 そう思って突っ立っていると、ふいにドアの中から解錠の音。
猗窩座が気付いてくれたのだと嬉しくなり、満面の笑みを浮かべた俺の前で、開かれたドアから顔を覗かせたのは当の猗窩座ではなく、額に大きな痣のある驚くほどに可愛らしい青年だった。
「え?」
想像していたのと違う相手に迎えられ、俺の思考は瞬間、凍結する。
幾分眠そうな顔をしていた目の前の青年は俺を見て、途端に花開くように表情を破顔させた。
「あ、杏寿郎さんだ」
「え? え?」
「わ。本物ですよね? 嬉しいなぁ、入って、入ってください」
え? 誰? 誰?
動きを止めた俺の腕を強引に掴み、室内にぐいぐいと引っ張る俺より小柄な男は、綺麗な瞳で笑顔も半端なく魅力的で、その貌で至近から覗き込まれて、俺は正直抗いさえも忘れていた。
これは誰だろう。
まるで我が物顔に俺を室内に引っ張り込むその男に、戸惑いは隠せない。
綺麗な、愛らしい貌。歳も俺よりはかなり若そうだ。
先程まで寝てましたと言いたげな、乱れた髪。素肌に直接来たガウンも寝乱れている。
あ、そうか。 ふいに俺の中で何かがすとんと落ちた。
こんなに早朝に、部屋にいる相手など決まっている。
忘れていたが、猗窩座はゲイだ。俺の部屋に友人が泊まると雑魚寝だが、猗窩座の部屋に泊まる相手にはちゃんとベッドが提供されるのだろう。勿論意味深なベッドの使い方を実践しながら。
「あ、・・・悪い」
じゃあ、俺は早朝の恋人達の時間を邪魔したことになる。
だがにこにこと笑う目の前の男はそんなことを気にした風もなく、本当に嬉しそうなので、俺もつられて表情が柔らんだ。
「嬉しいなぁ、杏寿郎さん。僕、杏寿郎さんの大ファンなんです。DVD全部見てます」
「え。・・・あ、どうも」
「座ってください、杏寿郎さん。コーヒー飲みますか?」
「え。あ、うむ。では・・・」
空きっ腹のコーヒーは胃に悪そうだなとちらりと思うが、いきなり食い物を下さいとも言い難い。
猗窩座はどうしているのだろうか。昨晩頑張り過ぎてまだ寝ているのだろうか。
ちりっと胸が痛む気がして、俺は首を傾げた。
なんだか面白くない。何がと聞かれても自分でも分からないが、わけの分からぬもやもやが胸の内にある。
猗窩座はあんなに情熱的に俺を抱くというのに、ちゃんとそう言う相手がいたという事が、気に触るのだろうか。
確かに俺と猗窩座はSEXしているが、あれは仕事の延長と言おうか、飯を食わせてもらっている代わりの奉仕と言おうか。とりあえず甘い関係でないことは確かだ。
所詮俺はつまみ食いの相手といったところか。
だから猗窩座に恋人がいたとしても別におかしくはない。
考えてみれば、当然だ。AVなんかを生業にしてるのだから、下半身に節操を求めるのが野暮だというものだ。
それでもやっぱり、面白くない。 「砂糖とミルクは必要ですか?」
「あ、たっぷりで。・・・すまない、朝早くから。その・・・邪魔をしてしまい。えーっと」
「邪魔?あ、俺、炭治郎です」
「うむ。炭治郎。・・猗窩座は・・・その・・・ま、まだ寝ているのか?」
ちらりと無意識に視線をベッドルームに向けてしまう。猗窩座は朝が弱いのを知っているので、こんな時間は夢の中だろうと理解できた。これまで幾度かあのベッドで、俺は朝を迎えたことがあるのだ。
多分猗窩座は、起きている時と同一人物とは思えない程の可愛い寝顔を晒して、シーツに沈み込んでいるのだろう。
「・・・・・・ふーん。なるほど」
「え?」
「いえ。本当に可愛い人ですね、杏寿郎さんって」
「は?」
にっこりと微笑まれて、その愛らしさに唸ってしまいそうになる。
顔だけは魅力的な猗窩座の側にいても、この炭治郎ならば引けを取らないだろう。
砂糖とミルクがたっぷり入ったコーヒーに口をつける。
うん。かなり甘い。
これならば胃に優しそうだ。おまけに糖分が腹の足しになりそうだ。
「ケーキあるけど食べますか?あ、朝からケーキはあり得ないですかね」
「食べる!」
思わず身を乗り出して叫ぶと、丸く目を見開いた後、炭治郎は盛大に噴き出した。ちょっと食い付きが良すぎたかと恥ずかしくはなるが、口に入るものなら何でも食べたい。
「昨日、素山さんがたくさんもらってきたから、好きなだけ食べていいですよ」
「素山・・・?」
「ああ、猗窩座の名字です。まだ知らなかったですか?」
「・・・・・・・・・」
やっぱり何だか面白くない。 名字まで知っているのだから、間違いなく恋人だろう。
俺にも散々、好き勝手をしている癖に、俺は名字など教えてもらったこともない。
いや、別に、名字が知りたい訳でもないが。
「杏寿郎さん。俺もAV俳優してるんです」
「え。炭治郎が? そんなに愛らしいのに?」
「ありがとうございます。杏寿郎さんは綺麗」
「・・・・・・う」
なに。何だろう、この手慣れた感。年下なのに。
ちょっと負けそうなのだが。いや、すでに負けている。なんとなく会話のやり取りが、猗窩座と向かい合っている時と類似している気がして、俺は落ち着かなかった。
だが炭治郎といい猗窩座といいこんなに綺麗な顔をしているのにAV俳優なんて、どれだけこの業界は潤っているのだろうか、と考えた。こんな人材もったいなさ過ぎる。
炭治郎の乱れた姿を本人を目の前にして想像するのは失礼だが、多分、俺なんかよりもずっと色っぽいだろうし、魅力的だろう。人気がありそうだ。
炭治郎が同業者と言う事は、猗窩座は俺との時のように、炭治郎とも共演してSEXするようになったのだろうか。
本当に節操なしだ。
共演者を片っ端から食っているのかもしれない。
いや本番ですでに食われているのだから、それはあまり問題視するところじゃないのだろうか。
それでも、なんだか気に食わない。
「俺、大ファンだから、そのうち杏寿郎さんと共演したいなぁ」
「・・・・・・ああ。炭治郎だったら、俺もできそうだ」
「ホントですか!? 嬉しい」
お世辞じゃなくてそれは本音。
こんなに愛らしい相手なら、頑張って抱けるかもしれない。
猗窩座に俺だって抱けるところを見せたい気がした。
それに、実は先日も事務所の社長に他のAVに出ることを強く勧められた。まだ申し出は保留にしてあるが、さすがにあまり頑なに断っているのも悪い気がした。
ゲイ用ではなく普通のAVの汁男優を希望したのだが、これだけシリーズもので顔が売れてしまうとさすがにゲイ路線でいくしかないと言われて、正直俺は落ち込んだ。
本当はセクシャリティはいたってノーマルなのだ。何の因果か男にバックを掘られるようになるなんて、絶対親には知られたくない。
まぁ男女どちらが相手でも、周囲にはこのバイトは知られたくないのだが。
早く借金を完済して、この業界から足を洗わないと本気でまずい気がした。二度と、戻れない気がする。 「そういえば、杏寿郎さんはこんなに朝早くから素山さんに何の用ですか?」
「う」
飯を食わせて欲しいとは、さすがにずうずうしくて猗窩座以外には言えない。
「猗窩座はまだ寝ているのか・・・?」
「起こしましょうか?」
「いや。そこまでしなくても・・・別に、俺は」
恋人なのに寛大な炭治郎に感心した。
俺ならば恋人に浮気相手が会いに来たなら、どんな状況だろうが相手を叩き起して問い詰めてしまうだろう。
それとも俺を浮気相手と知らないのかもしれない。それなら迂闊な事は言えないと、俺は唾を飲み込んだ。
「杏寿郎さん。コーヒーのお代わりは?」
天使みたいな風貌だ。
猗窩座も綺麗だと思ったが、この青年も本当に引けを取らない。
二人が絡まれば、さぞかし美しい映像が撮れるだろう。
「杏寿郎さん?」
「あ、す、すまない」
どうやら不躾に見つめ過ぎていたようだ。
くすりと笑ってから、炭治郎は新しいコーヒーを目の前に置いてくれた。そして先程の席に座るのではなく、何故か炭治郎は俺の横に身体を密着して座ってきた。
「・・・狭いな」
「ねぇ、杏寿郎さん。俺、先月発売された『俺の汁を残さず飲め』を見たんですが」
「・・・タイトルを言うのはやめてくれ」
「杏寿郎さんの性器って・・・あ、いや別にいいや」
「え」
その言い方、凄く気になるのだが。
「な、なに。俺の性器がどうした?」
「はい。別に・・・すみません、忘れて下さい。気にしちゃうと可哀想だから」
「ちょ、ちょ、ちょっと」
もう十分気になっているのだが。
と言うか、そこまで言って忘れてくれは、普通有り得ないだろう。
俺、間違いなく今晩眠れないのだが。
「む、むぅ、言いかけてやめないでくれ。俺の・・・性器がどうしたのだ。・・・なにか変なのだろうか・・・?」
「はい・・・まぁ」
「ちょ、ホントに止めてくれないか。その勿体ぶった感じ。教えてくれ、傷つかないから」
「うーん、でも俺の杞憂かもしれないし・・・。ねぇ、ちょっと下着を脱いで見せてくれませんか?」
「え」 俺が凍りつくのはもちろんだ。
この煌々と電気がついた居間で、初対面の相手においそれと性器を見せられるはずがない。
「あ、嫌ならいいんです、ごめんなさい、杏寿郎さん」
「いや、じゃない。脱ぐ。脱ぐから・・・教えてくれ」
慌てて立ち上がるとベルトを急いで外し、ジーンズを下着ごと一気に下げた。
男は度胸だ。脱ぐのには慣れている。
なにしろ、男の沽券にかかわることかもしれないのだ。
今まで性器がどうのと言われたことがないが、プロの目から見ると俺の性器が何かおかしいのかもしれない。猗窩座も教えてくれればいいのに、冷たい奴だ。
「脱ぐの手伝いますね」
いそいそと俺のジーンズを足から抜くのを手伝う炭治郎がほくそ笑んでいたことなど、勿論俺は気付いてもいなかった。 「杏寿郎さん。もう少し脚を開いてくれますか?」
「うううう・・・」
恥ずかしい。
恥ずかしくて死にそうだ。
なんで、こんなにも煌々と電気のついた室内で、それも早朝から、ソファの上で大股を開いて恥部を初対面の相手に見せなければいけないのか。
それも炭治郎はカーペットに膝をつき、脚の間に顔を近づけるといった、俺にとっては憤死ものの姿勢を取っているのだ。
上半身は着衣のまま、下半身だけを脱いでいる姿はさぞや間抜けな事だろう。靴下も、やっぱり脱げば良かった。
「ふーん」
「は、早く・・・言ってくれ。ま、まだ見るのか?」
「あ、ちょっと脚を閉じないでください」
「だ、だって・・・・・・恥ずかしい」
最後は消え入りそうな声で顔を背けて呟くと、炭治郎は満足そうに、どこか意地悪げに小さく笑った。もちろんそっぽを向いていた俺が、炭治郎の人の悪そうな笑みに気付く訳もない。
「あ」
ぴくんと太腿が震えた。
あろうことか、炭治郎が俺の緊張に縮こまった性器に触れたからだ。
「ちょ。おい。炭治郎」
「こんなに小さいんじゃわかりません。少し大きくしてあげます」
「え。・・・さ、触らないでくれ」
「駄目ですか?」
「だ、ダメだろう普通」
「じゃあ自分で大きくしてくれますか? 確か勃った時に気になったんですよね」
「・・・・・・・・・」 こんな状況で、見られながら簡単に大きくできるはずもない。
でも大切な俺の息子の気になる点は、やはり教えて欲しい。
ベテラン汁男優は助監督の指示で簡単に擦って勃ててたことを思い出し、俺はおずおずと自分の昂ぶりに指を添えた。
ゆるゆると動かすと、しばらくするとじんわりと熱がこもってくる。
だがふと見下ろした先に炭治郎の頭があるのに気づくと、途端に集まりだした熱は四散した。
緊張して上手くいかない。
「無理ですか?杏寿郎さん」
「ちょっと・・・待ってくれ」
そうかいやらしいことを考えよう。
だが最近自慰をすることもなかったので、その手のネタは不足している。
なにしろ最近は、3日と開けずに猗窩座に会っていたのだから。
そしてその都度、かなりの頻度で猗窩座とSEXをしていたのだから、正直自分で抜く必要がなかった。
いや、俺はゲイじゃない。
だから男との行為は理不尽なはずなのに、そこは弁の立つ猗窩座に言いくるめられ、気がつくといつも行為後のベッドの中で頭を抱えている始末なのだ。
猗窩座は食事の後、俺の用事がなければそのまま彼のマンションに居座ることを強制し、当然のように俺に悪戯をしかけてくる。
あれが多分曲者なのだ。
『一緒にDVDを見ないか。どうしても見たいのがあるんだ』
『・・・そんなこと言って・・・また俺の出てるヤツだろ。・・・変態』
『違うぞ。レンタルしてきたからな』
『へー。あ、SFか。『遊星からの物体ワニ』・・・おもしろそうだな、いいぞ、付き合おう』
そういいながらも見ているうちに、手に触れてきたり指を絡めたりと猗窩座は俺に構ってくる。
そして気づくといつもソファの上で軽い前戯が始まっているのだ。
『ああ・・・硬くなってきたぞ』
『う、君が触るからっ。DVDが見れないだろ』
『見てていいぞ。俺は勝手に触ってるから』
『あ、ああ、あ。だ、ダメだって、そんなにしたらぁ・・・ぁ・・・ぁあ』
『クク。杏寿郎、凄いことになってるぞ』
『あ、触るな・・・ぁあ・・・あ・・・う。な、なぁ、猗窩座』
『どうした?そろそろ我慢できなくなってきたか?』
『・・・イ・・・きたい』
『本当に辛抱が足りないヤツだな。仕方ないから一度イかせてやろう。その代わり・・・その後で俺のも頼むぞ』 脳裏に浮かんだのは、この部屋での猗窩座との爛れた情事の記憶。
途端に、どくんと下腹部が激しく脈打ち、俺は気恥ずかしさに顔を赤らめた。
猗窩座の手管を思い出して下肢を疼かせるなんて、世も末だ。
本気で、ヤバい。
このままじゃ女性と愉しむことを忘れてしまいそうだ。
『お前・・・濡れ過ぎ』
『あ・・・はぁ・・・女性・・・じゃないのだから』
『お前のカウパー、凄いぞ。気持ち良くてしょうがないのだろ』
『そんな・・・こと、ない』
『ホント、口は素直じゃないな』
『・・・ぁあぁ・・・はぁあ・・・激しぃ。ま、待て・・・ま、猗窩座。・・・ぁう・・・もう、ダメ・・・ぁあああっ』
猗窩座の手管を思い出す。
この部屋でのSEXはプライベートだから、仕事としての猗窩座との行為とは少し違う。
それでも相手を悦ばせることに愉しみを見出しているのは一緒で、散々俺を啼かせるのだ。
肉体は完全に記憶している。
キスから、愛撫のひとつひとつを。
「ああ、いい感じです。杏寿郎さん」
「・・・はぁ・・・はぁ・・・炭治郎?」
そうだった。今目の前にいるのは炭治郎だ。
だが右手を動かしながら夢想したのは猗窩座の姿で、まるで今、直接猗窩座に触れられている気にさえなってしまっていたのだ。
「見せてください」
指を強引に外され、昂ぶりを炭治郎の手に包み込まれて、俺は背筋を戦慄かせた。
他人に触れられるのは、やはり慣れない。
「いいなぁ、うん。形も色も申し分ない。すっごく俺の好み」
「・・・はぁ・・・ぁ・・・炭治郎?」
「ここにホクロがあるんですね。可愛い。食べちゃいたい」
「え。え・・・ぁ、ひっ・・・ちょ、ちょ、炭治郎」 言葉と共に、いきなりぱくりと銜えられ、俺は背筋を反らせた。
反射的に押し返すより先に、感じる箇所を舌と口の輪に刺激されて、あられもない声が漏れてしまう。
なに。やだ。こいつ、うまい。
「・・・ま、待って。・・・ぁふっ・・・炭治郎ぉ・・・」
「味もおいしいです」
「あああぁ・・・しゃべるなっ・・・ぁあ」
銜えられて喋られると、当たる舌がえも言われぬ刺激になって、俺はびくびくと腰を震わせた。
気を良くしたように、炭治郎の頭が下腹部でスライドする。
見事なロングスロープの前に、俺は感じすぎて息も絶え絶えだった。
ヤバい。気持ちいい。
出そう。我慢できない。
こんな年下に翻弄されるなんて、とちらりと屈辱的な考えが脳裏をよぎるが、過ぎる快楽の前にすぐさま何も考えられなくなる。
『ホント、快楽に弱いな』
猗窩座の冷ややかで艶のある声が耳奥に蘇る。
「ぁあ・・・ぁ・・・あ・・・猗窩座」
覚えのある絶頂の波の前に腹部を震わせながら、俺は誰の口かも分からぬほどに意識を混濁させ、愉悦の蜜を吐き出してしまっていた。
肩で激しく息をしながら、整わぬ呼吸を押さえるために唇を舌で湿らせる。
俺は、荒い息をつきながら、半ば茫然としていた。
何が起きたのか、あまりの急展開に脳味噌が対処できない。
俺は、イってしまったのか? 炭治郎の口に?
炭治郎は、それを飲んだのか? 途端に、ポンと音がしそうなほどに、顔が赤くなるのが分かった。耳が痛いほど熱い。
炭治郎はその俺の顔を見て、にっこりと綺麗に笑った。
「杏寿郎さんの濃くて美味しい」
「・・・・・・・・・」
憤死しそうだ。
どこのAVの台詞だ。
唖然としている俺の脚の間に再び沈む頭が、俺の柔らかくなった肉の先端に口接けて、もう一度口腔に招き入れようとする。俺は慌ててその頭を引き剥がした。
「い、痛いですよ、杏寿郎さん」
「・・・きみっ・・・信じられないっ」
叫ぶと、きょとんとした顔。その顔が半端なく可愛い。
「何でですか? 気持ち良かったでしょ?もっと愉しませてあげますよ」
「あ、猗窩座が隣で寝ているんだぞ」
「だからですよ。起きるとうるさいから、今がチャンスです」
「え。え。あ、やめてくれっ」
「大丈夫。俺もうまいんです。俺も最近シリーズものの話が来てるくらいなんですよ。共演してください、杏寿郎さん」
「あ、こら」
服を手繰り上げて侵入してきた指が、乳首を探り当てきゅっと抓まれる。じんとした痺れに、俺はかぶりを振った。炭治郎が音を立ててへそにキスをする。
すっかりペースは炭治郎のものだ。このままじゃヤバい。
押し切られて最後までしてしまいそうだ。
仕事じゃないのに男を抱く趣味は俺にはない。どれだけ炭治郎が可愛くても、それには応えられない。 「な、炭治郎。今度、共演するから。今日は止めとこう」
「え、嬉しい。俺のに出てくれるんですか?」
「このままだったら、俺、君の愛らしい顔を殴ってしまいそうだから、退いてくれ」
「殴られるのは嫌です」
「な?そうだろう?」
「・・・・・・いや。殴るべきだろ」
ふいに掛けられる耳に馴染んだ冷ややかな声に、俺はぎくりと身を強張らせた。
炭治郎の身体もふいに強張る。
反射的に声の方に顔を向けると、居間の入り口に憮然と立つ猗窩座の姿を見出し、ごくりと俺の喉が鳴った。
不穏な猗窩座のオーラ。
寝起きの機嫌があまり良くない猗窩座だが、今回のは今までで一番強烈な気がした。
目が据わっている。
俺の身体の上に半ば乗りかかっていた炭治郎は、ちっと短く舌打ちして、身を離した。
「おはよう。素山さん」
「おはようじゃない。どーいうことか説明しろ、炭治郎」
気配が半端なく不穏だ。部屋の温度が1℃下がった気さえする。
だが猗窩座のそんな表情を見ても、炭治郎は平然としたものだった。
軽く肩を竦めて、ふてぶてしいほどの笑みをその頬に浮かべる炭治郎。
その表情には、俺の方が戸惑ってしまった。
先程まで俺に見せていた天使の笑みとの差は大きい。
「起きるのが早いよ、素山さん。ちょっと朝食を取ろうと思っただけなのに」
「・・・ふざけんな。あ?・・・朝食? 炭治郎・・・杏寿郎のを飲んだな」
「ごちそうさま」
途端に、凄い眼で猗窩座に睨まれて、俺は居心地が悪くなった。
これは、恋人達の痴情の縺れというやつだろうか。
もしかして俺は間男なのか。 「す、すまん。猗窩座」
猗窩座の恋人に手を出したと思われたのだろうか。
でも君だって恋人がいるのに俺を抱くじゃないか。
俺には名字すら教えてくれないじゃないか、とぐるぐると色んな言葉が俺の頭を駆け巡る。
だがどれ一つ言葉にしない前に、俺は近づいてきた猗窩座に強引に腕を引かれ立たされて、そのまま引きずられるように寝室に連れて行かれた。
眩暈がしそうに腹が減っているので、朝ごはんを食わせて欲しいとは、とても言い出せる雰囲気ではない。
俺は仕方がないので押し黙って、素直に猗窩座に従うしかなかった。
「・・・お仕置きだな」
猗窩座がぽつりと呟いた声は、幸せにも俺の耳には届かなかった。 「で?」
「・・・すまない」
ベッドに座らされた俺の前で腕を組み立つ猗窩座の迫力は半端なくて、俺は借りてきた猫のように大人しく頭を項垂れた。
猗窩座の怒り顔は毎回嫌になるほど見ているが、今回も半端ない。
俺も気が短いことはあるが、絶対輪をかけて猗窩座の方が短気だと思う。
俺がちょっと殴ったりちょっと蹴ったりしただけで、火を噴くほどに怒るのだから。
「恥ずかしい格好だな」
「う」
確かに上半身は着衣だが下半身に布一枚つけていない今の状態は、かなり間抜けなものがある。
だが衣服を居間に取りに戻れる状況でないのも、俺だって理解できた。
どうにか猗窩座の誤解を解かなくてはいけない。
猗窩座の恋人に手を出す気など本当はなかったのだ。
ただ成り行きで。
でもなぜ、炭治郎の口に吐き出してしまったのだろう。
いつの間にそんな行為に及んだのか、はっきり覚えていない。
SEXに雪崩れ込む気配などなかったはずなのに。
だが実際炭治郎と行為に及んでいたのは事実なので、どう弁解しても虚しいだけなのかもしれない。
猗窩座だって共演者の俺よりも恋人の方がずっと大事だろう。
結果的には俺が悪くなってしまうのだろうか。
何故だか胸がちくりと痛む。
もう、御馳走してくれなくなったらどうしよう、と考えて俺は哀しくなった。 「・・・猗窩座」
「なに泣きそうな顔してるのだ。・・・そんな顔しても騙されんぞ」
「ホントにすまない」
「・・・ちょっとは自分が悪かったと自覚しているのか?」
「で、でも俺は猗窩座の恋人を寝取るとか・・・そんなつもり全然ないのだ。
いい訳なんてしたくはないが、俺の性器に気になるところがあると炭治郎が言うから、確認してもらっていただけなのだ」
「・・・・・・そんな子供でも分かる嘘に・・・。あ? は? ちょっと待て。誰が・・・恋人?」
「猗窩座も・・・俺の性器が人と違うなら・・・教えてくれればいいのに」
「ちょっと待て。誰が・・・恋人?」
「え。俺、恋人いないが?」
「・・・ホント、お前馬鹿だろ。人の話を聞きやがれ」
「え?」
ぎろりと睨まれて俺は首を竦めた。
あれ。何の話をしていたんだったか。
「杏寿郎の性器はいたって正常だ。大きさも硬度も角度も何の心配もない。色白だから色は若干薄いくらいだが・・・俺はその方が好きだ」
「あ、ああ。そ、そうか」
そんな風に面と向かって言われると照れる。好きって言葉に人は弱いのだろう。
「俺も猗窩座の性器は好きだ」
ついお返ししたくなる。
「・・・・・・そうか」
あれ。なんか変な事を言っただろうか。眉間に皺を寄せて俺を見つめてくる猗窩座。
なんだかその顔が照れているように見える。
なんとなく俺も気恥ずかしさを覚えた。
そういえば、何の話をしていたのだっけ。 「もしかして・・・お前は炭治郎が俺の恋人だと思っているのか?」
「え。違うのか・・・? じゃあセフレか? 俺と同じ?」
「は? ・・・勘弁してくれ。気持ち悪い。あんな性悪のタチ。俺が食われそうだ」
「ん?タチ?」
なんだっただろうか、タチとは。耳に馴染みのない言葉だ。
「お前、本気で炭治郎と共演するつもりか?」
「・・・まぁ、できればだけどな。事務所も俺に他のAVに出ろってうるさいのだ。炭治郎だったらあれだけ可愛いし、俺も頑張れてしまうのではないかと」
「・・・根本的に認識を間違えてるな。炭治郎は汁男優だぞ」
「え?」
「ちなみにあいつのシリーズもののタイトルは『俺の先生は肉便器』だ。もちろん凌辱SMモノな」
「え? え?」
「そしてアレは俺の弟だ」
「え? え? ええええっ?」
なんだ。それ。イケメン兄弟。
ではなく。
あんな顔して汁男優。
おまけに信じられないほどのチープでディープなタイトル。
いや。そこではなくて。凌辱SMモノって、どうなのだ。
あの顔で、ガンガンいってしまうわけなのか?もしかして下半身も猗窩座並みなのか? 「え。え。え。え。・・・嘘」
「嘘じゃない。炭治郎のはかなりえげつないから、やめた方がいいと思うが」
「肉便器とは・・・すごい」
「そんな扱い受けたいのなら、止めないけどな。まぁ、基本杏寿郎はMだから、案外ハマるかもしれんがな」
「・・・・・・俺のどこがMだ」
「俺に苛められて喜ぶところ。あと俺にハメられて嬉しくてケツを振ってしまうところ。肉便器って言葉だけで感じているんじゃないか?」
まずいと思った時にはもう遅かった。
カッとした俺が繰り出す拳のスピードは半端ない。
自慢じゃないが子供のころから、喧嘩では負けたことは一度もない。
鳩尾にオレの拳を深々と食らった猗窩座が、見事にひっくり返り失神するのを俺は他人事のように唖然と見つめた。
やってしまった。
またやってしまった。
どうして俺の沸点はこんなに低いのだろうか。
これじゃ猗窩座のことを言えない。
伸びた猗窩座に仰天した俺は、どうして良いか分からずとりあえず炭治郎を呼んできた。
部屋に入った炭治郎は猗窩座の惨状を見るなり、腹を抱えて大笑いした。
ひどい。本当に兄弟か。
「杏寿郎さんって、ホント、最高です」
「・・・う」
「起こす方法を教えてあげますよ。絶対に怒られない方法」
「・・・猗窩座、怒ると怖いのだ。本当に怒られないのか?」
「大丈夫。俺を信じてください」
ベッドの上に猗窩座を運び、言われた通りに下半身を脱がす。
いつもは巨大化しているそれが可愛く鎮座していて、俺の口元に緩く笑みが浮かんだ。
なんだか猗窩座が可愛い。
「じゃあ、銜えてあげてください」
「え?」
「兄さんはフェラが好きだから、気持ち良くしてあげるとすぐに目を覚ましますよ」
「そ、そうか」
男の垂れた肉を舐め回す日が来るとは思わなかったが、この状態の猗窩座の猗窩座は妙に可愛くて、不思議と気持ち悪いとは思わなかった。
支配欲。征服感。猗窩座を意のままにできると思えば、何故だか胸が高鳴る。
ちゅっと音を立てて先端に口接けても、嫌悪感が湧かない。
柔らかなそれを急いで舐め回し、口の中で転がす。こんな状態の猗窩座を舐めたのなんて俺ぐらいだろうと思うと、変な優越感を抱いた。 口に中で徐々に形を変える猗窩座。
すぐに顎が疲れるほどの大きさに成長して、喉奥を刺激され、俺は噎せそうになる。
それでも懸命に奉仕していると、ふいに尻に違和感を覚え、俺はぎくりと身を強張らせた。
双丘を押し開く手の感触。
ぎょっとして頭を外そうとすると、ふいに後ろから頭を押さえ固定された。
「杏寿郎さんはそのまま続けてください。俺がこっちを可愛がってあげます」
ふいに双丘の間に顔を近づけられ、ぬるりと濡れた感触をその狭間に受けて、俺は背中を撓ませた。
あ、りえない。
信じられない。
炭治郎が俺の尻の穴を舐めているなんて信じたくない。
「やめてくれ、炭治郎」
「なぜ?気持ちいいの嫌いですか?このまま入れちゃってもいいですか?」
「ば、馬鹿な。ふざけるなっ」
「えー。大丈夫です。俺、うまいですから」
「いい加減にしろ。ふざけるなっ」
「ホント・・・ふざけんな、炭治郎。いい度胸してるな」
頭の上から低い声。不機嫌さを隠しもしないその声が、今は嬉しい。
「よかった、猗窩座。気付いたのか?」
「・・・・・・杏寿郎・・・また殴ったな」
「う・・・ごめんな?」
「俺は・・・二度と殴るなと・・・前に言ったよな?」
だって人間、腹が減ると短気になるって言うだろ。
飢餓状態の俺に容赦のない嫌味は、本当にやめて欲しい。余裕がないから、見事に反応してしまう。
その時、突然盛大な腹の音が鳴り響いた。
う、と瞬間腹を押さえるが、もちろん止めることなどできない。
猗窩座は呆れたように片眉を上げた。
「何だ? また何も食ってないのか?」
「・・・金がなくて・・・」
「本当に困ったやつだな。朝めしを食いに来たのか?」
「・・・なにか食わせてくれ」
「・・・・・・。いいぞ。でも先にその口で俺のたんぱく質を飲んでくれんか?」
「う」
「当然だろ。俺を殴った罰だ」 変態だ。やっぱり。
人の弱みに付け込みやがってと思いはするが、俺はすごすごと猗窩座の股間に顔を埋めた。
まるで従順な犬か何かになった気分だ。
でも考えてみれば、これは良質のたんぱく質だ。
もしかして腹が膨れるのだろうか。
「炭治郎。・・・部屋から出ていけ」
「えー。今後の参考のために見学させてよ。俺も杏寿郎さんに舐めて欲しいなぁ。ねー、3人でしようよ」
「・・・・・・炭治郎。二度と泊めんぞ」
「ちっ」
吐き出される粘つく液を四苦八苦して飲み込んだ後でも、すぐさま食事にありつけずに、傍若無人な猗窩座の、可愛さの微塵もなくなった猗窩座に啼かされる羽目になった俺は、手っ取り早いたんぱく質の取り方を学習させられただけだった。
「・・・朝ごはん・・・食いたいよぉ」
「ああ。ちょっと待ってろ」
「・・・ぁあ・・・ぁ・・・ん・・・ぅ・・あかざぁ・・・」
「ほら、もっと・・・広げて。・・・奥まで見せろ」
「・・・ぅあ・・・は・・・はぁ・・・」
「ククク。杏寿郎のここ・・・俺が欲しくてぱくぱく開いてるぞ。ああ、うまそうに俺の指をしゃぶるな」
「・・・うぅ・・・腹減った・・・」
その後も猗窩座手製のフレンチトーストと焦がしベーコンのアーリオオーリオを御馳走になる前に、俺は自分で脚を抱えるという屈辱的な姿勢を取らされたまま仰臥し、滾る肉の塊に散々内部を擦られ続けたのだった。
3完 あなた、何なのだ?
人魚の次はこんな面白いの書くなんて
しかもこんな所で。最高です
もう保存しちゃう
殴られる猗窩座も悪い炭治郎もチョロくて淫乱な杏寿郎もサイコー! 個人で楽しむ範囲でお願いします
ここを知らない人にお知らせしないでください ツイなどでここを話題にしないでください
ネラー同士でのみ楽しみたいです
悪口などなんなりとここに書いてください
そうやって放置スレ埋めちゃいましょう 正直まってた‼あいかわらずおもしろいですね
炭治郎もワロタw続きも待ってます 待ってた!わいわいってどこ?てなって分かんなかったよw 長文かけない
長文読めない人は
本屋を見たことが無いの?www
世の中400字詰め原稿用紙ってものが文房具屋でも売られてましてね 杏寿郎の口調が
とっとこハム太郎かバカボンのパパかって感じだし
なんか頭悪すぎるけど、面白いからいいのだw まじのまじで支部に落としてほしいなー私これめちゃくちゃ性癖だわ
ブクマしたいのに
たんじろー出てくるのは思わなかったw ツイなどで拡散していただければ
人気が出たら支部にもあげていきたいです ん?ん?
227と235でどちらが作者さんなのだ?
235さんでいいのか >>236
235は私じゃありません
拡散はしないでください
するならもうやりません もったいないけど了解です
ひっそりやりたいって
あなたもしかしたらプロなのか?
探らないけど続き楽しみにしてます 別に誰でも使えばいいけど元々過疎りまくって半年以上書き込みなかったスレだろ何を今更 どーせ誰もいない過疎ってるなら有効活用してくれ
続き楽しみにしてます 長男も出るし猗窩煉はスレチ
やるなら総受けだろうけど長文過ぎて迷惑
てか過疎スレ有効利用して何か問題あるのか?
あるならお前が一人で埋めろよ>>246 人が楽しくやってるとイチャモンつけたがる奴はどこにでもいるから気にしなくていいとおも こんな板のこんなスレ見てる時点でお前もキモいよwwww いつもの有名の例の水腐がこんな過疎ったスレにも偵察にきちゃったの? 過疎ってたのに誰か盛り上がりだすと気に入らなくてケチつけるやつ だっせー
気に入らねーなら水受けでも風受けでも岩受けでも好きなネタ投下すればいいだけ 総受け荒らしにくくなったから今度はこっち荒らせばいいべ あの荒らし水腐ほんと特徴あり過ぎて来るとすぐに分かるね 義勇本人の話題は空気なのに義勇腐の荒らしが嫌われまくってるせいで話題が増えるのが本当にしょーもないな きめつのpink死にスレ山ほどあるからどんどん埋めればいい
pink落ちないんだよなあ 小説書いてる人杏寿郎の口調と思考がバカで「〜なのだ!」と「あ、あ、あ、あ」ばっかりで笑ってしまうw >>265
人魚の話はめっちゃエモかった
今回はエロコメで杏寿郎もそれに合わせてキャラ変しててすごいよね
煉獄さんがM字開脚しながらアナル掘られて「朝ごはん…食いたいよぉ…」って凄いビジュアルだよw ここで長文投下して他所にコピペして荒らすまでがお約束
義勇腐ほんとエネルギー余ってるな 面白いから気にせず続きよろ
盛り上がってるのが気に入らない水腐はほっとけ 水腐がコピペ荒らしに利用するために自作自演してるのに何言ってんだ れんあかok派だと思っていたんですが、大好きなあかれ作家さんがちょっとれんあか風書いてて受付ない自分に驚きました
ほんわかとしたれんあかはいいんですが、がっついてるきょじゅろと喘ぐ座殿はだめなようです
どうあかは大丈夫(なはず)なのに
勉強になりました 水腐は荒らすためには手段選ばないからね〜
次々と別設定生み出して一人劇場続けるよね >>275
あれはれんあかっぽいと言うより煉獄さんがキモおじっぽかったからね 自分も煉猗窩はむり。矢印の向き的に煉→猗ってもう2人とも誰?みたいになっちゃうからだと思う
性格変えないと絶対成立しない感じがあんまりしっくりこない
この2人じゃなくて良くね?てなる
童猗窩はそれなりに存在するのはわかる
でもこっちも自分は無しだな
萌えん 自演会話のために新設定のキャラ作ってわざわざ片方にトリップまで付ける義勇腐キチガイすぎるだろ 水腐はキチガイの構ってちゃんだからな
一人で盛り上がってるふりとかワロス すみません
だいたい終わって貼るだけですが、シリーズ一番長いので貼るのに数日かかります
連休前には済ませたかったのですが、連休中の作業になりそうなので一気に読みたかったら連休明けきてください 1人でやってんのバレバレなのに気付かない水腐の頭の悪さよな よほど国語の成績悪かったやつが僻むんだな
国語の成績悪いと問題文理解できなくて他も詰むからな
でも国語の出来る奴を妬んでもしょうがないんやで 半年以上書き込みなかった過疎スレに長文投下してなんの問題が?
楽しんでるところにわざわざ追ってきてまで水腐水腐言ってるお前の方がうぜーんだよ死ね 煉獄受けのフリして自作自演で投下した長文を他スレコピペ荒らしに利用するのが見え透いてるんだよな
同じ手を何回使う気だよ水腐 どんな時でも逃げない。毅然と立ち向かう。
それが男だと、俺は父親に子供の頃から教えられてきた。
だから、俺、煉獄杏寿郎の、男としての理想像は揺るぎない。
どれだけ周囲から頭が固いと言われても、俺の中での男性像は確立していて、俺はそれに近づけるように、これまでずっと努力してきたつもりだった。
だから正直、いつまでたってもこの状況になれることなどできない。
だって、漢の中の漢と、今の俺の置かれた状況は違い過ぎるから。
「あ、待て。待て。・・・あ、あ、猗窩座!」
「おい・・・ホントいい加減にして欲しいんだが。なんなんだ、お前」
撮影の度に最初に往生際が悪く暴れてしまうのは、仕方がない。
だって俺の理想の男性像は、こんな風に同じ男に脚を開かれているはずがないのだから。
だから認められない。
いつになっても。
こんな俺は俺じゃないと、心のどこかが叫んでいる。
いつになっても脚を掴むアナルの指の熱さに慣れることはないし、俺の身体の上に乗り上がってくる猗窩座の下肢の、露骨に勃ち上がった桁違いな迫力のものからは、いつだって目を逸らしたくなるのだ。
明日の猗窩座君の新作撮影のために久々にベッドの上で抱き合う俺達は、いつもの如く攻防を繰り広げていた。 自分で悪口を書けと言っておいて、自分の悪口に怒り出すとか滑稽なんですけど
脳みそが頭に詰まってないんですかね水腐は 私生活ではかなり接点が生まれた感のある俺と猗窩座だ。
食につられて懐柔されている気がしなくもないが、思ったよりも猗窩座は性根はいい奴なようで、口が悪く生意気なところがあるが、一緒にいるのは不思議と居心地良かった。
なにしろ驚くほど頻繁に俺に食事を提供してくれるのだ。
仕事で知り合っただけの相手にそんなにも施せるなんて、いい奴に決まっている。
俺も自分からメシの催促の連絡をしてしまうほどには、猗窩座にいつの間にか懐いてしまっていた。男として情けない話だと思うが、矜持では腹は膨れない。
だから何度かに1度は、口車に乗せられて、猗窩座にあらぬ悪戯をしかけられることも、その流れで美味しく頂かれてしまうことも、なんとはなしに許してしまう形になっていた。
だから恥ずかしい話だが、猗窩座と肌を合わせることに慣れてきている今だからこそ、逆にカメラの前で抱き合う事に以前にも増して抵抗があった。
下手に友人関係なんて築くんじゃなかったと後悔したくなる。普段から顔を合わせている相手と抱き合うことなんて、簡単な事じゃない。
友人関係。
本当にそう呼んでいいのかは分からないが。
猗窩座の中で自分がどんな立ち位置にいるのかは、知らないし聞けもしない。
だが俺は、勝手な俺の考えだが、こんな風な友人関係を築くのも悪くないと思い始めていた。
猗窩座は食事を食べさせてくれるだけではなく、あれやこれやと普段から世話を焼いてくれた。基本はマメな男なのだろう。
どちらかと言えば大雑把な俺とすれば、最初はタイプが違い過ぎて鬱陶しいと思っていたが、今に至ればその世話好きなところが居心地良かった。 215 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/18(日) 13:55:46.38 ID:???
言葉と共に、いきなりぱくりと銜えられ、俺は背筋を反らせた。
反射的に押し返すより先に、感じる箇所を舌と口の輪に刺激されて、あられもない声が漏れてしまう。
なに。やだ。こいつ、うまい。
「・・・ま、待って。・・・ぁふっ・・・炭治郎ぉ・・・」
「味もおいしいです」
「あああぁ・・・しゃべるなっ・・・ぁあ」
銜えられて喋られると、当たる舌がえも言われぬ刺激になって、俺はびくびくと腰を震わせた。
気を良くしたように、炭治郎の頭が下腹部でスライドする。
見事なロングスロープの前に、俺は感じすぎて息も絶え絶えだった。
ヤバい。気持ちいい。
出そう。我慢できない。
こんな年下に翻弄されるなんて、とちらりと屈辱的な考えが脳裏をよぎるが、過ぎる快楽の前にすぐさま何も考えられなくなる。
『ホント、快楽に弱いな』
猗窩座の冷ややかで艶のある声が耳奥に蘇る。
「ぁあ・・・ぁ・・・あ・・・猗窩座」
覚えのある絶頂の波の前に腹部を震わせながら、俺は誰の口かも分からぬほどに意識を混濁させ、愉悦の蜜を吐き出してしまっていた。
肩で激しく息をしながら、整わぬ呼吸を押さえるために唇を舌で湿らせる。
俺は、荒い息をつきながら、半ば茫然としていた。
何が起きたのか、あまりの急展開に脳味噌が対処できない。
俺は、イってしまったのか? 炭治郎の口に?
炭治郎は、それを飲んだのか? そういえばいつの間にか、猗窩座の口の悪さとS気質にも慣れてきた気がする。
だからといって抱き合う時に恥ずかしいことをさせられるのは、憤死もので勘弁してほしいし、俺が出演しているDVDを、モニターチェックと称して見せるのも止めて欲しい。
どうせ俺が目を白黒させているのを見て、愉しんでいるだけだろうから。
慣れてはきているが、ホントにそんなところが猗窩座はドSだと思う。
だいたい自分の淫らな顔なんて、本当は見るはずのものではない。猗窩座を銜えてひくつくアナルに至っては、本当は一生目にしなくてもいい場所なのだ。
だが、それが気持ちよさそうにきゅっきゅっと蠢くさまを目の当たりにすると、気持ち悪くなってくるのならばまだしも、逆に行為を思い出して見ている俺が興奮してしまうから最悪だ。
それを嬉しげに追求する猗窩座に、俺はいつでもそのまま美味しく頂かれてしまうのだ。
だがそんな猗窩座が以前ほど嫌でない俺は、やはり彼に毒されてしまったのか。
誰よりも男らしくありたいのが俺のポリシーなのに。
いまもこうして撮影が進めば、快楽に負けて俺は前後不覚になってしまうのだろうか。
そのうちに言われるままに尻を高く振り上げて、自分で尻の穴を開いて、猗窩座に甘くおねだりしてしまうのかと思うと、撮影だとはいえどうしても行為を推し進められなかった。
『杏寿郎君。もっと尻を開いて〜』
だが俺の葛藤も虚しく、メガホンから飛ぶのは助監督の気の抜けた声。
ああああ、もう、本当に、ムリ。
「猗窩座ぁ〜」
「殴るなよ、お前」
「う」
先に予防線を張られて、俺は情けなく眉尻を下げた。
俺の行動はすべ猗窩座に読まれている。
だって仕方がない。ゲイじゃないのだから、そう唯々諾々と行為を受け入れられるはずがない。
ちょっとした抵抗ぐらい許して欲しい。 205 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/18(日) 11:40:31.46 ID:???
「砂糖とミルクは必要ですか?」
「あ、たっぷりで。・・・すまない、朝早くから。その・・・邪魔をしてしまい。えーっと」
「邪魔?あ、俺、炭治郎です」
「うむ。炭治郎。・・猗窩座は・・・その・・・ま、まだ寝ているのか?」
ちらりと無意識に視線をベッドルームに向けてしまう。猗窩座は朝が弱いのを知っているので、こんな時間は夢の中だろうと理解できた。これまで幾度かあのベッドで、俺は朝を迎えたことがあるのだ。
多分猗窩座は、起きている時と同一人物とは思えない程の可愛い寝顔を晒して、シーツに沈み込んでいるのだろう。
「・・・・・・ふーん。なるほど」
「え?」
「いえ。本当に可愛い人ですね、杏寿郎さんって」
「は?」
にっこりと微笑まれて、その愛らしさに唸ってしまいそうになる。
顔だけは魅力的な猗窩座の側にいても、この炭治郎ならば引けを取らないだろう。
砂糖とミルクがたっぷり入ったコーヒーに口をつける。
うん。かなり甘い。
これならば胃に優しそうだ。おまけに糖分が腹の足しになりそうだ。
「ケーキあるけど食べますか?あ、朝からケーキはあり得ないですかね」
「食べる!」
思わず身を乗り出して叫ぶと、丸く目を見開いた後、炭治郎は盛大に噴き出した。ちょっと食い付きが良すぎたかと恥ずかしくはなるが、口に入るものなら何でも食べたい。
「昨日、素山さんがたくさんもらってきたから、好きなだけ食べていいですよ」
「素山・・・?」
「ああ、猗窩座の名字です。まだ知らなかったですか?」
「・・・・・・・・・」
やっぱり何だか面白くない。 強張り顔を引き攣らせる俺の耳朶を唇で挟み愛撫しながら、猗窩座がカメラに入らない小さな声で俺に囁いてきた。
「今晩・・・何を食べたい」
「え?」
「おいしい焼き肉でも食いに行くか?」
「え。いいのか?」
「いいぞ。だからさっさと終わらせてしまおう。な」
耳を甘噛みされながら囁かれるものだから、背筋がビクビクと震えてしまう。耳の穴さえも舐められて、俺は短い嬌声を上げて固く目を瞑った。
我慢だ。我慢。
肉だ、肉。
「・・・あ・・・ぁあ」
我慢。肉だ。
皮下脂肪が急激に落ちた俺の、必要な栄養源だ。
「・・・ぅ・・・あぁ・・・はぁ・・・猗窩座ぁ」
「ほら、もっと口を開けて。もっと奥まで飲み込め」
「・・・ぁはぅ・・・ん・・・ん」
「喉の奥まで・・・もう入れられるだろ?喉の奥で締めつけろ」
熱い。熱い。身体が。頭が。
脳味噌が茹だってしまいそうだ。
猗窩座のものを銜えているというだけなのに、どうしてこんなに肉体は反応しているのか。
喉の奥まで突っ込まれて苦しくてしょうがないというのに、どうしてこんなに身の内が熱く甘く蕩けてしまっているのか。
「どうした・・・もう欲しいのか。すごいイヤらしい顔してるぞ」
「あ・・・あ・・・あ・・・あかざぁ」
「じゃあ、分かってるよな、杏寿郎。今度は・・・俺にアナルを舐めさせろ」
肉。肉のためだ。
あの店ならいいな。
以前一度連れて行ってもらった、カルビの上手い店。
「あ・・・あ・・・あぁ・・・そんなにしたら・・・出るよぉ」
「もうちょっと我慢しろ・・・ほら、尻が逃げてるぞ。もっと両手で奥まで開け」
「・・・あぁあ・・・あかざぁ・・・」
「ククク。気持ちいいか、杏寿郎。ひくひく動いてるぞ。舌じゃ物足りないか?別のものがここに欲しいか?」
「あ・・・はぁ・・・。なぁ、なぁ・・・あかざ・・・もう」
「まだ駄目だ。ほら指はどうだ?クク、すっかり俺の指に馴染んだな」
「あ。・・・あ、あ、・・・い、いいっ・・・あ、う・・・ふぅ」
「ククク、そんなに締め付けるな」 変態だ。やっぱり。
人の弱みに付け込みやがってと思いはするが、俺はすごすごと猗窩座の股間に顔を埋めた。
まるで従順な犬か何かになった気分だ。
でも考えてみれば、これは良質のたんぱく質だ。
もしかして腹が膨れるのだろうか。
「炭治郎。・・・部屋から出ていけ」
「えー。今後の参考のために見学させてよ。俺も杏寿郎さんに舐めて欲しいなぁ。ねー、3人でしようよ」
「・・・・・・炭治郎。二度と泊めんぞ」
「ちっ」
吐き出される粘つく液を四苦八苦して飲み込んだ後でも、すぐさま食事にありつけずに、傍若無人な猗窩座の、可愛さの微塵もなくなった猗窩座に啼かされる羽目になった俺は、手っ取り早いたんぱく質の取り方を学習させられただけだった。
「・・・朝ごはん・・・食いたいよぉ」
「ああ。ちょっと待ってろ」
「・・・ぁあ・・・ぁ・・・ん・・・ぅ・・あかざぁ・・・」
「ほら、もっと・・・広げて。・・・奥まで見せろ」
「・・・ぅあ・・・は・・・はぁ・・・」
「ククク。杏寿郎のここ・・・俺が欲しくてぱくぱく開いてるぞ。ああ、うまそうに俺の指をしゃぶるな」
「・・・うぅ・・・腹減った・・・」
その後も猗窩座手製のフレンチトーストと焦がしベーコンのアーリオオーリオを御馳走になる前に、俺は自分で脚を抱えるという屈辱的な姿勢を取らされたまま仰臥し、滾る肉の塊に散々内部を擦られ続けたのだった。 熱い。熱い。
肉。肉。焼き肉。カルビ。霜降りカルビ。
肉が欲しい。早く。早く。
猗窩座の股間で隆起している固く熱い肉が。
その圧迫感で俺を翻弄して、愉悦の白濁を拭きあげるまで中を激しく擦って欲しいのだ。
「あ・・・ぁ・・あかざ・・・ぁ。早く・・・早く・・・欲しい」
「何が欲しい? ほら、言え」
「なぁ、欲しい・・・あかざ・・・あ・・・あぅ・・・漏れるよぉ」
「はっきり言わないとあげんぞ。ほら、ひくひくしてる。ここになにが欲しいんだ?ククク、このままじゃ指だけでイきそうだな」
「・・・あかざ・・・あかざの・・・」
「俺のなんだ?ちゃんといやらしくおねだりしろ」
「あかざの・・・カルビ」
「ん?」
「あかざの霜降りカルビで、俺の中を激しく擦ってっっ」
叫ぶと同時に俺は腹を波打たせて、欲望の白濁をシーツの上に吐露していた。
恥ずかしいことに、猗窩座の指技だけでイかされた俺は、快感に支配されて前後不覚になりその後もろくでもないおねだりの言葉を言い続けたことは微かに記憶していたが、肝心の内容は何一つ覚えていなかった。 私生活ではかなり接点が生まれた感のある俺と猗窩座だ。
食につられて懐柔されている気がしなくもないが、思ったよりも猗窩座は性根はいい奴なようで、口が悪く生意気なところがあるが、一緒にいるのは不思議と居心地良かった。
なにしろ驚くほど頻繁に俺に食事を提供してくれるのだ。
仕事で知り合っただけの相手にそんなにも施せるなんて、いい奴に決まっている。
俺も自分からメシの催促の連絡をしてしまうほどには、猗窩座にいつの間にか懐いてしまっていた。男として情けない話だと思うが、矜持では腹は膨れない。
だから何度かに1度は、口車に乗せられて、猗窩座にあらぬ悪戯をしかけられることも、その流れで美味しく頂かれてしまうことも、なんとはなしに許してしまう形になっていた。
だから恥ずかしい話だが、猗窩座と肌を合わせることに慣れてきている今だからこそ、逆にカメラの前で抱き合う事に以前にも増して抵抗があった。
下手に友人関係なんて築くんじゃなかったと後悔したくなる。普段から顔を合わせている相手と抱き合うことなんて、簡単な事じゃない。
友人関係。
本当にそう呼んでいいのかは分からないが。
猗窩座の中で自分がどんな立ち位置にいるのかは、知らないし聞けもしない。
だが俺は、勝手な俺の考えだが、こんな風な友人関係を築くのも悪くないと思い始めていた。
猗窩座は食事を食べさせてくれるだけではなく、あれやこれやと普段から世話を焼いてくれた。基本はマメな男なのだろう。
どちらかと言えば大雑把な俺とすれば、最初はタイプが違い過ぎて鬱陶しいと思っていたが、今に至ればその世話好きなところが居心地良かった。 ベッドに仰臥したままぼんやりと天井を見ていると、いきなり頬をぎゅっと抓られて、俺は短い悲鳴を上げた。
「・・・痛い」
「なにが霜降りカルビだ」
「・・・・・・霜降りカルビ・・・? 早く食いたい・・・」
「・・・ホント色気も何もない男だ」
「別に男だから色気なんかいらん。なぁ、焼き肉、行くだろ?いっぱい食ってもいいだろうか?」
「・・・・・・・・・ホント信じられんな」
呆れた表情の猗窩座からは若干の苛立ちが感じられるが、焼き肉は譲れない。
ベッドの上で身を起こし、汗に濡れた前髪を掻きあげて猗窩座をじっと見つめると、猗窩座はふいに表情を緩めて頬に触れてきた。頬を優しく撫でられる。
なんだろう、不思議な感覚。胸が微かに疼くような甘酸っぱい感覚に、俺は理解できなくて首を傾げた。
まだ性欲が残っているのか。でも性欲とどこか違う気がする。
自分の感情なのに自分自身がついていけない。
「どうした。今日はおとなしいじゃないか」
「・・・焼き肉・・・」
だからつい呪文のように欲するものを呟いてみる。そうじゃないと、まだも快楽に朦朧とした意識ゆえに、あらぬことを口走りそうになる。
言葉を受けて、猗窩座は眉根をきゅっと寄せた。
「ああ。そういうことか。分かってる。ホントに食い意地が張ってるよな」
「うるさい」
「奢ってもらうことにしか興味がないんだな。ホントに・・・バカバカしい」
不機嫌さを増す猗窩座の表情。でもそんなのは茶飯事なので別に構っていられない。
なんだか身体がいつも以上に疲れている気がした。
殆ど覚えていないが、もしかしていつも以上に乱れてしまったのかもしれないと考えると、気恥ずかしくなって俺はまだも頬から首筋を撫でる猗窩座の手を振り払った。
途端に猗窩座の顔が更に露骨に曇る。 「もう少し待ってろ。俺の実家で飼っている犬でも、もっと待ては上手だぞ」
「む? 犬?」
犬は好きだ。
と言う事ではなくて、どうして俺が犬と比べられなければいけないのか。
俺との食事に行く約束は、犬の餌の時間と同レベルなのか。
歪んでいると思う。猗窩座の精神構造は間違いなく歪んでいる。
俺の腹がそこで盛大な音を立てた。
こんなことならさっさと帰って、水をたらふく飲んですぐに蒲団に入ってしまえば良かった。寝ている間は腹の減りも我慢できる。
身体は酷く疲れているから、今日は空腹でも眠れただろう。
「凄い音だな・・・そんなに減ってるのか? ちゃんと食わないと、身体を壊すぞ」
「うるさい」
食べられるものなら、いつだって食べたい。
目の前の金持ち然とした男には、俺の苦しみは一生分からないのだろう。
そうこうしているうちに、いきなり玄関のチャイムが鳴り、猗窩座が薄く笑いながら玄関に向かう。
もう本当に帰りたい。
だが次に現れた猗窩座は数人の男を連れだっていて、彼らは俺の目の前でてきぱきと動き、リビングのテーブルの上に白いテーブルクロスを引くところから始まって、見る見るうちに豪華な食事をテーブルいっぱいに広げ出した。
まだも湯気が上がっている料理の数々にあんぐりする。匂いが俺の腹を刺激する。
フォークとナイフをセッティングされ、ワイングラスに赤ワインが注がれれば、そこに姿を現したのは一流ホテル顔負けのフランス料理のフルコースだった。
食べられない一輪ざしの花まで、花瓶に飾ってある。
「え?え?え?」
目が点の俺の横で、猗窩座は渡された伝票にスマートにサインをしていた。
流暢に深々とお辞儀をして去っていく背広姿の男達を、まだも唖然と見つめていた俺の背中をポンと叩く猗窩座。
「どうした。冷めないうちに早く食べよう」
「・・・あ、ああ」
まだも狐に化かされたような顔をしていたのか、猗窩座は俺の顔を見てシニカルに笑った。
「なんて顔をしているんだ。・・・知らないのか、ホテルのケイタリングサービスを。望めば食事がすむまで給仕してくれるぞ。俺は他人にこの部屋に居座られるのは真っ平だが」
「・・・そうなのか」
俺にはまるっきり縁のない世界だ。
自分の家にフルコースなんて、どんな生活をしているのだと呆れる。
この分だとこの部屋の掃除もハウスキーパーを雇っていそうだ。
AV男優がそんなにも儲かるとは初耳だ。
それとも猗窩座のギャラは桁違いなのだろうか。 私生活ではかなり接点が生まれた感のある俺と猗窩座だ。
食につられて懐柔されている気がしなくもないが、思ったよりも猗窩座は性根はいい奴なようで、口が悪く生意気なところがあるが、一緒にいるのは不思議と居心地良かった。
なにしろ驚くほど頻繁に俺に食事を提供してくれるのだ。
仕事で知り合っただけの相手にそんなにも施せるなんて、いい奴に決まっている。
俺も自分からメシの催促の連絡をしてしまうほどには、猗窩座にいつの間にか懐いてしまっていた。男として情けない話だと思うが、矜持では腹は膨れない。
だから何度かに1度は、口車に乗せられて、猗窩座にあらぬ悪戯をしかけられることも、その流れで美味しく頂かれてしまうことも、なんとはなしに許してしまう形になっていた。
だから恥ずかしい話だが、猗窩座と肌を合わせることに慣れてきている今だからこそ、逆にカメラの前で抱き合う事に以前にも増して抵抗があった。
下手に友人関係なんて築くんじゃなかったと後悔したくなる。普段から顔を合わせている相手と抱き合うことなんて、簡単な事じゃない。
友人関係。
本当にそう呼んでいいのかは分からないが。
猗窩座の中で自分がどんな立ち位置にいるのかは、知らないし聞けもしない。
だが俺は、勝手な俺の考えだが、こんな風な友人関係を築くのも悪くないと思い始めていた。
猗窩座は食事を食べさせてくれるだけではなく、あれやこれやと普段から世話を焼いてくれた。基本はマメな男なのだろう。
どちらかと言えば大雑把な俺とすれば、最初はタイプが違い過ぎて鬱陶しいと思っていたが、今に至ればその世話好きなところが居心地良かった。 「猗窩座くん、ちょっとモニターチェックに付き合ってもらってもいいか」
なんとなしに不穏な空気になりかけた時に、監督が声をかけてきた。
猗窩座はちらりとそれに視線を向ける。
「時間、かかるか?」
「忙しいのか?少しだけ付き合って欲しいな。できれば今回の「今日の猗窩座君」のカップリングの企画書も上がってるから、目を通して猗窩座としての意見が欲しいんだけど」
「・・・しょうがないな。杏寿郎、少し待てるか?」
「ああ」
仕事ならば勿論仕方がない。
腹は減っているが、待てないはずはない。
『今日の猗窩座君』は人気商品なので、出たがる男優は多いと聞いたことがある。
丸々1本猗窩座と俺が出演する訳ではなく、カップリングであと2、3の絡みが混在している。
もちろん猗窩座が他の穴男優を抱く場合もあるし、まるっきり猗窩座が絡まない話も挿入されることもある。今のところ俺が他の汁男優と絡む企画は持ちあがってはないが、事務所の社長にそのことを不思議がられてはいた。
ゲイフィルムの常識なんて知らないが、本当は男優が入り乱れ、相手をシャッフルするのが普通らしい。
「杏寿郎さん、次の撮影のためにベッドを綺麗にしたいので、そろそろ退いてもらえないですか?」
ぼんやりと、全裸の肩にバスローブを羽織っただけの姿で座る俺に、スタッフから声が掛かる。
慌てて俺は立ち上がったが、咄嗟に脚に力が入らなかったのか、かくんと膝が折れその場にへなへなと座り込んでしまった。周囲から漏れる失笑。
座り込んだ尻からは、じわりと溢れる言い得ぬ温い感触。カーペットの上に猗窩座の体液を漏らしたのだと気づいた俺は、カッと頬が赤らむのを感じた。
だが疲れた脚は立ち上がることを拒否している。 「な、炭治郎。今度、共演するから。今日は止めとこう」
「え、嬉しい。俺のに出てくれるんですか?」
「このままだったら、俺、君の愛らしい顔を殴ってしまいそうだから、退いてくれ」
「殴られるのは嫌です」
「な?そうだろう?」
「・・・・・・いや。殴るべきだろ」
ふいに掛けられる耳に馴染んだ冷ややかな声に、俺はぎくりと身を強張らせた。
炭治郎の身体もふいに強張る。
反射的に声の方に顔を向けると、居間の入り口に憮然と立つ猗窩座の姿を見出し、ごくりと俺の喉が鳴った。
不穏な猗窩座のオーラ。
寝起きの機嫌があまり良くない猗窩座だが、今回のは今までで一番強烈な気がした。
目が据わっている。
俺の身体の上に半ば乗りかかっていた炭治郎は、ちっと短く舌打ちして、身を離した。
「おはよう。素山さん」
「おはようじゃない。どーいうことか説明しろ、炭治郎」
気配が半端なく不穏だ。部屋の温度が1℃下がった気さえする。
だが猗窩座のそんな表情を見ても、炭治郎は平然としたものだった。
軽く肩を竦めて、ふてぶてしいほどの笑みをその頬に浮かべる炭治郎。
その表情には、俺の方が戸惑ってしまった。
先程まで俺に見せていた天使の笑みとの差は大きい。
「起きるのが早いよ、素山さん。ちょっと朝食を取ろうと思っただけなのに」
「・・・ふざけんな。あ?・・・朝食? 炭治郎・・・杏寿郎のを飲んだな」
「ごちそうさま」
途端に、凄い眼で猗窩座に睨まれて、俺は居心地が悪くなった。
これは、恋人達の痴情の縺れというやつだろうか。
もしかして俺は間男なのか。 強張り顔を引き攣らせる俺の耳朶を唇で挟み愛撫しながら、猗窩座がカメラに入らない小さな声で俺に囁いてきた。
「今晩・・・何を食べたい」
「え?」
「おいしい焼き肉でも食いに行くか?」
「え。いいのか?」
「いいぞ。だからさっさと終わらせてしまおう。な」
耳を甘噛みされながら囁かれるものだから、背筋がビクビクと震えてしまう。耳の穴さえも舐められて、俺は短い嬌声を上げて固く目を瞑った。
我慢だ。我慢。
肉だ、肉。
「・・・あ・・・ぁあ」
我慢。肉だ。
皮下脂肪が急激に落ちた俺の、必要な栄養源だ。
「・・・ぅ・・・あぁ・・・はぁ・・・猗窩座ぁ」
「ほら、もっと口を開けて。もっと奥まで飲み込め」
「・・・ぁはぅ・・・ん・・・ん」
「喉の奥まで・・・もう入れられるだろ?喉の奥で締めつけろ」
熱い。熱い。身体が。頭が。
脳味噌が茹だってしまいそうだ。
猗窩座のものを銜えているというだけなのに、どうしてこんなに肉体は反応しているのか。
喉の奥まで突っ込まれて苦しくてしょうがないというのに、どうしてこんなに身の内が熱く甘く蕩けてしまっているのか。
「どうした・・・もう欲しいのか。すごいイヤらしい顔してるぞ」
「あ・・・あ・・・あ・・・あかざぁ」
「じゃあ、分かってるよな、杏寿郎。今度は・・・俺にアナルを舐めさせろ」
肉。肉のためだ。
あの店ならいいな。
以前一度連れて行ってもらった、カルビの上手い店。
「あ・・・あ・・・あぁ・・・そんなにしたら・・・出るよぉ」
「もうちょっと我慢しろ・・・ほら、尻が逃げてるぞ。もっと両手で奥まで開け」
「・・・あぁあ・・・あかざぁ・・・」
「ククク。気持ちいいか、杏寿郎。ひくひく動いてるぞ。舌じゃ物足りないか?別のものがここに欲しいか?」
「あ・・・はぁ・・・。なぁ、なぁ・・・あかざ・・・もう」
「まだ駄目だ。ほら指はどうだ?クク、すっかり俺の指に馴染んだな」
「あ。・・・あ、あ、・・・い、いいっ・・・あ、う・・・ふぅ」
「ククク、そんなに締め付けるな」 「すげえ有様だな、杏寿郎。手を貸してやろうか」
ふいに目の前に出される手に、俺は反射的に顔を上げた。
そこに立っていたのは、にやにや笑う体格のいい初対面の男で、その表情の不遜さに俺は眉根をきゅっと寄せ、自力で床に手をつき無様な格好を晒しながらも、どうにか立ち上がった。
なんだ、こいつ。
妙になれなれしい。
おまけに眼差しがいやらしい。
「なんだ、エロエロニャンコかと思えば、結構気が強そうだな」
「は?」
なに。なんだ。
そのエロエロって。
まさかこの俺に対する呼称なのか。
ぎろりと睨むと、男の後ろに立った別の、こちらは細身の男が揶揄めいた口笛を吹いた。
なんだ、こいつら。
感じが悪い。
「そう睨むなって、杏寿郎。これから俺らと撮影だろ、仲良くやろうぜ」
「・・・・・・はぁ?」
男の言葉を受けて俺が漏らした声は、ここしばらく発したことがないほどに間抜けなものだった。 口に中で徐々に形を変える猗窩座。
すぐに顎が疲れるほどの大きさに成長して、喉奥を刺激され、俺は噎せそうになる。
それでも懸命に奉仕していると、ふいに尻に違和感を覚え、俺はぎくりと身を強張らせた。
双丘を押し開く手の感触。
ぎょっとして頭を外そうとすると、ふいに後ろから頭を押さえ固定された。
「杏寿郎さんはそのまま続けてください。俺がこっちを可愛がってあげます」
ふいに双丘の間に顔を近づけられ、ぬるりと濡れた感触をその狭間に受けて、俺は背中を撓ませた。
あ、りえない。
信じられない。
炭治郎が俺の尻の穴を舐めているなんて信じたくない。
「やめてくれ、炭治郎」
「なぜ?気持ちいいの嫌いですか?このまま入れちゃってもいいですか?」
「ば、馬鹿な。ふざけるなっ」
「えー。大丈夫です。俺、うまいですから」
「いい加減にしろ。ふざけるなっ」
「ホント・・・ふざけんな、炭治郎。いい度胸してるな」
頭の上から低い声。不機嫌さを隠しもしないその声が、今は嬉しい。
「よかった、猗窩座。気付いたのか?」
「・・・・・・杏寿郎・・・また殴ったな」
「う・・・ごめんな?」
「俺は・・・二度と殴るなと・・・前に言ったよな?」
だって人間、腹が減ると短気になるって言うだろ。
飢餓状態の俺に容赦のない嫌味は、本当にやめて欲しい。余裕がないから、見事に反応してしまう。
その時、突然盛大な腹の音が鳴り響いた。
う、と瞬間腹を押さえるが、もちろん止めることなどできない。
猗窩座は呆れたように片眉を上げた。
「何だ? また何も食ってないのか?」
「・・・金がなくて・・・」
「本当に困ったやつだな。朝めしを食いに来たのか?」
「・・・なにか食わせてくれ」
「・・・・・・。いいぞ。でも先にその口で俺のたんぱく質を飲んでくれんか?」
「う」
「当然だろ。俺を殴った罰だ」 私生活ではかなり接点が生まれた感のある俺と猗窩座だ。
食につられて懐柔されている気がしなくもないが、思ったよりも猗窩座は性根はいい奴なようで、口が悪く生意気なところがあるが、一緒にいるのは不思議と居心地良かった。
なにしろ驚くほど頻繁に俺に食事を提供してくれるのだ。
仕事で知り合っただけの相手にそんなにも施せるなんて、いい奴に決まっている。
俺も自分からメシの催促の連絡をしてしまうほどには、猗窩座にいつの間にか懐いてしまっていた。男として情けない話だと思うが、矜持では腹は膨れない。
だから何度かに1度は、口車に乗せられて、猗窩座にあらぬ悪戯をしかけられることも、その流れで美味しく頂かれてしまうことも、なんとはなしに許してしまう形になっていた。
だから恥ずかしい話だが、猗窩座と肌を合わせることに慣れてきている今だからこそ、逆にカメラの前で抱き合う事に以前にも増して抵抗があった。
下手に友人関係なんて築くんじゃなかったと後悔したくなる。普段から顔を合わせている相手と抱き合うことなんて、簡単な事じゃない。
友人関係。
本当にそう呼んでいいのかは分からないが。
猗窩座の中で自分がどんな立ち位置にいるのかは、知らないし聞けもしない。
だが俺は、勝手な俺の考えだが、こんな風な友人関係を築くのも悪くないと思い始めていた。
猗窩座は食事を食べさせてくれるだけではなく、あれやこれやと普段から世話を焼いてくれた。基本はマメな男なのだろう。
どちらかと言えば大雑把な俺とすれば、最初はタイプが違い過ぎて鬱陶しいと思っていたが、今に至ればその世話好きなところが居心地良かった。 知識ないのかわかりませんが、私の名前欄をクリックすれば私の投稿のみが表示されるので読み手は難なく読めます
無駄なことをしてるおかげで私は連投規制くらうことなく今日の貼り貼りできました
お手伝いありがとう >>323
面白い展開になってキター!!!杏寿郎が猗窩座以外に抱かれることに・・?
続き楽しみにしてます。トリップつけてくれたおかげで読みやすくて助かる 義勇腐ヒマなんだろうな
長文落として失敗長文も落としてそれに返答してさらに自画自賛までがセットよ >>323これとか>>326これとか
一人で文字打ってるから時間がくそ勿体無い >>323
ほんとだ超快適
ありがとう
できれば最初から名前付いてたら尚良かったけど(贅沢言ってすみません) 「すげえ有様だな、杏寿郎。手を貸してやろうか」
ふいに目の前に出される手に、俺は反射的に顔を上げた。
そこに立っていたのは、にやにや笑う体格のいい初対面の男で、その表情の不遜さに俺は眉根をきゅっと寄せ、自力で床に手をつき無様な格好を晒しながらも、どうにか立ち上がった。
なんだ、こいつ。
妙になれなれしい。
おまけに眼差しがいやらしい。
「なんだ、エロエロニャンコかと思えば、結構気が強そうだな」
「は?」
なに。なんだ。
そのエロエロって。
まさかこの俺に対する呼称なのか。
ぎろりと睨むと、男の後ろに立った別の、こちらは細身の男が揶揄めいた口笛を吹いた。
なんだ、こいつら。
感じが悪い。
「そう睨むなって、杏寿郎。これから俺らと撮影だろ、仲良くやろうぜ」
「・・・・・・はぁ?」
男の言葉を受けて俺が漏らした声は、ここしばらく発したことがないほどに間抜けなものだった。 ちょっとまて。
目の前の体格のいい男は、今、何と言った?
「俺は手鬼。こっちは沼鬼。・・・聞いてねぇの? 俺らとの3P」
「は。3P・・・?」
「杏寿郎とできるって言うから、かなり楽しみにしてきたのに、そりゃあねぇよ。エロエロボディの杏寿郎ちゃんは、今じゃこの業界で話題の人だからな」
なんだ、エロエロボディとは。
ではなく、どういうことだ?
俺が・・・3Pとか、有り得ない。ハードルが高過ぎる。
それより、今日は猗窩座との撮影としか、事務所で言われていないのに。
「ちょ、ちょっと待て・・・何かの間違いだろう。そんな話、俺は聞いていない。誰かと間違えてないか」
「今日、他に穴男優は来てねぇよ。なぁ、シャワーを早く浴びて、準備してくれよ。なんなら猗窩座の精液を掻きだすの、手伝ってやろうか?」
ふいに熱い指に手首を握られて、俺は全身の毛穴が開くのではないかと言うほどに総毛立ち、慌ててその手を振り払った。
無理だ。絶対無理だ。
他の、猗窩座以外の他の男に掘られるなんて、どうしても考えられない。
今更同性相手にカマトトぶる訳じゃないが、俺は未だに猗窩座の肌しか知らないのだ。
猗窩座。
猗窩座はどこだ。
猗窩座なら、何か知っているかもしれない。
猗窩座なら、この状況から俺を救いだしてくれるかもしれない。
慌てて辺りを見回すが、猗窩座の姿は見えなくて、俺は急に不安に襲われた。
猗窩座はどこだ。
確か俺たちは焼き肉へ行く約束をしていて。
そうだ。監督とモニターチェックと打ち合わせがあるって。
まだ帰ってきていないのか。それとももう帰ってしまったのか。俺を置いて。
監督からこの後俺に仕事が入っていると聞いて、まさか俺を置いて先に帰ってしまったんじゃないだろうな。
そう考えて、俺はひどくやるせない気持ちに襲われた。 「あれ、早いね〜手鬼君。遅刻常習犯の君が」
助監督がのんびりとした口調と笑顔で近づいてくる。
「そんなに杏寿郎くんとの仕事が楽しみだったの〜?」
「そりゃあ、そーだろ。注目度ナンバーワンのエロい杏寿郎とできるんだから、たまんないだろ。話が来た時から、全然自分で抜いてないから」
「え。早いのは困るよ」
「1発目はこの綺麗な顔にかけてもいいだろ。できればイマラチオで無理矢理に飲ましてやりたいんだけど。・・・好きだろ、杏寿郎。そういうプレイ」
「・・・・・・・・・」
「いつも嬉々として猗窩座のデカマラを頬張ってるしな。見てて顎が外れるんじゃねぇかと思って、ムラムラくる。S心が刺激されるよな」
「確かにあれはいいな。あの辛そうなのにエロイ顔がいい」
目の前の男達の話している内容が、俺にはまったく理解できない。
何の話をしているんだ。
いったい誰の話をしているんだ。
「フェラの間、ずっとケツ振ってんのもたまんねぇし」
「この男らしい顔でありゃヤバいよな。銜えながらの我慢汁も半端ねぇし」
「なぁ、今日は俺にもたっぷりしてくれよ、杏寿郎」
だが、にやけた手鬼の顔を唖然と見ているのも、それが限界だった。
手鬼の指が目的を持って俺の裸の肩を掴んだと思った瞬間、俺の腕は本人の意思に関係なく勝手に動いていた。右ストレートが容赦なくその顔面で炸裂する。
もちろんそれは衝動的かつ反射的なもので。
「・・・あ」
事の成り行きに気付いた俺が腕を引く間もなく、まさか殴られると思っていなかった手鬼は顎にもろ俺の拳の洗礼を受け、そして凄まじい勢いで背後にひっくり返った。
それこそ横にいる沼鬼も助監督も巻き込んで。
それどころか次の撮影のためのライトとカメラをも巻き込んで。
凄まじい轟音と周囲の悲鳴に俺が自分のしでかしたことを理解した時には、全てが取り返しのつかない事態に陥った後だった。
まずい。本気でまずい。
できることなら、撮影が終わったその瞬間に戻りたい。
そしたら、自分自身を殴ってでも俺の蛮行を止めることが出来るのに。 「・・・・・・申し訳ない」
項垂れ大きな身体を小さく縮み込ませる俺に、向けられる周囲の視線は針のようだ。
俺は犯罪者よろしく捕えられ、本日の撮影現場となった改造した倉庫の片隅に連れて行かれ、椅子に座ってぐったりとしている監督の前に立たされた。
騒ぎを聞きつけて戻ってきた監督は、惨状を見るなりそのまま一度失神してしまったので、今に至っても顔色が酷く悪い。
俺は、青ざめ身を縮み込ませるしか術を持たなかった。
あの時、騒ぎを聞きつけて監督と共に戻ってきた猗窩座も、あんぐりと口を開けて固まった。
猗窩座のあんな間抜けな顔を見たのも初めてかもしれない。
『・・・お前・・・なにやってんだ・・・』
『・・・・・・つい』
『は? つい、で・・・どうしてこんなことになるんだ』
『・・・すまん』
本当に他に言葉はない。悪いのが自分だということは自覚している。
戻りたい。過去に戻りたい。
1時間前の自分に戻れれば、どんなにいいだろうか。
いや、それならいっそ2年前に戻って、友人の連帯保証人の判を押す自分の腕を捩じり上げてやりたい。
『怪我は・・・ないか?』
『・・・え。あ、手鬼が伸びてる』
『違う。杏寿郎のことだ。お前に怪我はないか?』
『え・・・猗窩座・・・』
こんな時の優しい気遣いは、直接心に染み込んでくる。
だがジワリと心を震えさせる俺の腕を、スタッフは容赦なく捉え、椅子に座らされた監督の前に引っ立てたのだった。
「なんてことをしてくれたんだ」
監督の横には助監督も立っている。
殴った当人の姿が見えないので目で探すと、助監督が「鼻の骨が折れていそうだから、沼鬼に病院に連れて行ってもらった」と呆れた風に言われた。
・・・鼻の骨は折れやすいからしようがない。
拳が綺麗に顔面に入った自覚はあったんだ。本当に折れているかもしれない。
男優の鼻を折るなんて、俺は訴えられてもおかしくない。 「今、杏寿郎くんの事務所の社長を呼んだから」
「え」
「だって、きみがすぐにどうにかできる金額じゃないでしょ」
やっぱり弁償が待っているのか。
俺は青ざめた。
撮影用のライト3台と、撮影用カメラ1台。金額の見当もつかない。
また、借金がかさむかも知れないと思って、俺は泣きたくなった。
今でもやっとの生活をしているのに、これ以上月々の返済が増えて俺はやっていけるのだろうか。
もしも今回の費用を事務所の社長が出してくれなかったら、俺にはそんなまとまったお金なんて用意できるはずがない。ブラックリストにも名前が載っているだろうし、もちろん銀行から融資は受けられない。普通のローン会社も駄目となると、闇金しか残されていない。
今の俺の取り立て屋なら、貸してくれるかもしれない。
どこから情報を掴んだのか、俺が男相手のAVに出ていることを取り立て屋は把握したらしい。最近は以前ほど取り立てが厳しくなくなっていた。もちろん少しでも払いが遅れれば大変だが、無闇に腎臓を売れなどと脅されることはなくなった。
あの闇金の事務所で俺の尻の穴を見ながら抜いている奴がいるなどと死んでも考えたくないが、脅されないだけでも精神的に救われる。
もっと頑張って稼ぐと言えば、闇金は喜んで金を出すだろう。
頑張って稼ぐ。
正直、これ以上稼ぐ方法が分からない。
俺は酷い顔をしていたのだろうか。
そっと寄り添ってきた猗窩座が、慰めるように俺の手を静かに掴む。
いつから側にいたのだろうか。
ずっと俺を見ていたのだろうか。
ひやりと冷たい猗窩座の指の感触が心地良い。
ちらりと視線を上げて顔を見ると、猗窩座もすごく真剣な眼差しで俺を見つめていた。
急にじわりと眦に涙が滲みそうになって、俺は幾分乱暴に頭を振った。
到着した社長は、結局、金を立て替えて支払ってくれることになった。
だからと言って俺の借金がかさむことに違いはない。
そして猗窩座との焼き肉の約束も果たせぬまま、俺は社長に会社の側の割烹に連れられて行かれた。食事をしながら返済方法について話し合おうと言われれば、断れるはずがない。 撮影所を出る時、猗窩座は心配げに俺を見つめていた。
俺の気分は市場に連れて行かれる子牛のそれだったので、俺も情けない顔を猗窩座に晒していたのだろう。
見兼ねたのか、傍を通る時、『後で電話してくれ』と小さな声で猗窩座は宥めるように言っていた。
好きなものを食べていいよと、個室の座卓につくなり、こんな状況にもかかわらず社長に猫なで声で言われて、俺は背中と腹がくっつくんじゃないかと思うほどに腹が減っていたはずなのに、言い得ぬ不安に食が進まなかった。
この状況で社長は始終笑顔だ。それが妙に気味が悪い。
「どうしたの、杏寿郎くん。おとなしいね。ビールも全然進んでないじゃないか」
「・・・ビールはあんまり得意ではなくて」
「じゃぁ、他のアルコールをもらおうか?」
「いえ。・・・・・・今日は本当に申し訳ありません」
1歩下がって額が畳につくほどに深く頭を下げる。
いきなりの俺の態度に、それでも気を良くした風に社長は明るい笑い声を上げた。
「いいから頭を上げて、ね、杏寿郎くん。いやいや僕は嬉しんだよ。
こんな風に前からゆっくり杏寿郎くんと二人っきりで話をしたいと思っていたからね。
まぁ今回のことはお世辞にも褒められたことではないけれどもね」
「・・・本当に申し訳ありません」
「話を聞いていたから、だいたいのことは分かってると思うけど、
今回の損害額、ライト3台、カメラ1台分、それと手鬼の治療費、撮影に参加できないことへの賠償金、
今日の収録が伸びたために派生するスタッフの諸費用等、トータル350万円はとりあえず会社が立て替えたから」
「ありがとうございます」
「返済方法なんだけど」
「絶対、絶対、返します」
「うんうん。信用してるよ、杏寿郎くん。とりあえず、来週、乱交モノの撮影があるから、それに出てね」
「え」
「場所と時間は後でメールするから」
「ちょ、っと待って下さい」
話の急展開に、俺は目を白黒させた。
乱交モノは絶対いやだって、俺は言っているのに。
違う。そうじゃない。乱交じゃなくても、したくない。
猗窩座以外とはしたくないから、俺は他のAVに出られるわけなんかないのだ。 「・・・む、無理です・・・俺」
「困った子だね。キミがそんなこと言える立場かなぁ、杏寿郎くん」
「う」
「ほら、経験が浅いからそう思うだけで、一度でも他のAVに出てしまえば、絶対気持ちは変わると思うよ。猗窩座しか知らないのが余計ダメなんじゃないのかな」
「・・・でも・・・俺・・・」
「以前から杏寿郎くんにかなりのオファーが来ていたんだよ。その垣根さえなくなればかなりの売れっ子になるのは僕が保証するから」
無理だ。無理。
俺の相手は、綺麗な貌の、笑みが冷たく淫蕩な、あの男しか無理なんだ。
「借金、ちゃんと返してくれるよね」
「・・・はい」
「じゃあ、分かってるよね」
「・・・・・・」
「猗窩座シリーズよりもちょっとだけハードなSMもどうだい? いいお金になるよ。もちろんハードコアも試してみたくなったらいつでも言ってくれればいいから」
「・・・ハードコアとは?」
「浣腸とかフィストとか。うちにフィスト専門の女の子がいるけど、かなりイイって言ってたよ」
「・・・フィスト・・・?」
「動画見たことないか? アナルに腕まで入れるんだけど、相手はプロだからうまくやってくれるよ。1度やってみるか? かなりギャラはいいけど、まだまだ杏寿郎くんはもったいないかな。キワモノは飽きられ気味の時に使うと効果的だよ」
ありえない。逃げ出したい。
あんなところに手なんか入れて、裂けないはずがない。絶対壊れてしまう。
でも社長に借りた金を返すあてはない。 「とりあえず来週の乱交モノには出てもらうから。毎回、ギャラの半分を返済ってことでいいか?」
「・・・はい」
「今、2,3枚、企画書が来てたからまた連絡するね。杏寿郎くんなら主役級でいけるから、できるだけギャラのいいのを回すから」
「・・・・・・はい」
「集団中出しレイプもの、いけそうか? いけそうなら、別の子に決まってたけど杏寿郎くんに回すから」
「・・・・・・・・・はい」
もうどうにでもなれ。
レイプだろうが乱交だろうが、腕だろうが、なんでも受けてやる。
俺は半泣きのままテーブルの上に置いてあったビールをぐっと一気に呷って、負けるものかと拳を握りしめた。 御馳走されて腹は膨れているが、なんとなく俺の足は猗窩座のマンションに向かっていた。
明日も朝は会社だからこのまま帰るのがいいと頭では理解しているのだが、なんだか一人になりたくなかった。
寂しいのか、辛いのか、不安なのか。
携帯には『時間があれば寄ってくれ』猗窩座からの文字。
多分俺は不安なのだ。この先のことを考えて。ますます追い込まれて。
覚悟を決めたはずなのに、心が揺れそうになる。しようがない。だって本当は今にも逃げ出したいのだから。
ドアの来客用のベルを鳴らすか鳴らさぬうちに勢いよく開けられるドアに、俺はびっくりしてしまった。
どこかに猗窩座は行く予定だったのだろうか。
だが猗窩座は腕を掴むと、乱暴に俺を室内に連れ込んだ。
あまりにも強引に引っ張られて、上手くスニーカーを脱ぐことができずに足が縺れるが、猗窩座はお構いなしだ。
「・・・猗窩座、どうし・・・」
その乱暴さに文句を言いかけた俺だが、言葉を紡ぐ間もなく、廊下で抱き込まれて唇を塞がれ、更に驚いて目を白黒させた。
もちろん猗窩座の強引さは少しも損なわれはしない。
後ろ頭を掴まれ、角度を変えて唇を貪られて、ようやく俺は抵抗することを思い出した。
猗窩座の胸を押すと、手に綺麗な筋肉の張り。猗窩座の胸筋は称賛に値するほどに見事なものだ。
俺も日々の肉体労働で引き締まった筋肉を有しているが、猗窩座の胸筋はジム通いでつけたものだろう。だが付け焼刃の感はない。
そんなことを頭で考えている俺は、結局息が上がるほどに濃厚なキスを従順に受ける羽目に陥っていたのだが。 「なんだよ・・・君・・・いきなりサカるな」
唇を離した後も、猗窩座は抱き込む力を緩めることなく至近から俺の顔を見つめている。
見つめられ過ぎてなんだか気恥ずかしくなって、俺は唇を尖らして目を逸らした。
頬がじんわりと熱くなっている気がして、手の甲で片頬に触れる。
まさか赤くなってないだろうな。
男に抱きしめられて頬を赤らめる自分の図など、乙女過ぎて想像もしたくない。
「話はどうなった。賠償金は会社が立て替えるのか?」
「・・・猗窩」
「・・・担保は何だ? 他のフィルムに出ることを強制されたか?」
「え?・・・なぜ知っているんだ?」
「会社側の考えてることなんて分かる。支払いは毎回の出演料から天引きか?半分?」
凄い。
さすが猗窩座だ。
まるでエスパーか。俺の心が読めるのか。
それともあまりにも茶飯事的な内容なのか。
この業界、俺のように借金まみれの人が多いのかもしれない。
「どうする気だ?」
「・・・どうするもこうするも・・・しようがないから受けてきた」
ぴくりと神経質そうに猗窩座のこめかみが引き攣り、眉が見る見る間にきゅっと不機嫌そうに寄せられる。
「・・・俺以外に抱かれる気か?」
声に嫌悪感が含まれている。
そういえば猗窩座は俺に手垢がつくのを嫌っていた節がある。
自分は他の穴男優とも平気で撮影する癖に、何故か俺が他の男優と抱き合うのは嫌らしい。他の男に突っ込まれた俺に突っ込みたくないと言っていたが、考えたらそれは矛盾するのではないか。
他の穴男優はどうなのだ?別の奴ともやっている穴男優を抱くじゃないか、
猗窩座。
君、あれだけの仕事をこなしているのだから、かなりの人数を抱いてきたのだろ?
俺以外でも、誰でも抱くだろう?
俺はそれを許してるのに。
仕事だと思って割り切っているのに。
ん?
許すって・・・なんだ? なんだか不思議な感情がよぎった気がしたが、俺は首を傾げるだけでそれを遣り過ごした。
そうじゃない。俺の疑問はどうでもいい。
俺が抱かれることを嫌がる猗窩座のことを考えていたはずだ。
妙な猗窩座の執着心。だがそれは俺にとっても、これまでは有難いものだった。猗窩座の潔癖なところで俺は今まで救われてきた。
俺だって不特定多数に抱かれるのは嫌だ。俺は猗窩座じゃないと駄目なのではとさえ思っている。
それとも社長の言うように、それは俺が猗窩座しか知らないからだろうか。
他も知れば誰とでもできるようになるのだろうか。
猗窩座じゃなくても感じて、自分から求めてしまうのだろうか。
「・・・、たくさんの相手としたら・・・尻の皺が伸びるのだろうか」
「は?」
「前に言っていただろう。尻見ただけでアナルを使ってるかどうか分かると。・・・俺ももう伸びているのか?」
「・・・・・・。杏寿郎のはまだ可愛いモノだぞ。皺もちゃんとあるし。・・・でも仕事を増やせばこの先は分からんが」
「う」
「・・・本気か?」
「・・・しようがない。金がないのだから。猗窩座だって以前俺に身体を売ればいいと言っていたではないか」
身体を売るのよりはましなのだろうか。
もうこうなったら何がいいのかなんて分からない。 襟足を掴まれ引き寄せられて、再び口接けが俺を襲う。
今日の猗窩座は一体どうしたのだろうか。
こんなに情熱的に求められることは普段はない。
今日も仕事で抱き合ったばかりだというのに、まだしたりないのだろうか。
本当に性欲魔人だ。今の職業が天職だな。
普段は気付いた時には横に座られ、なんとなく緩く愛撫が始まり、俺もその気になってしまうのがパターンなのに。
ただそのうちに俺の方が我慢が出来なくなって猗窩座に縋りつき、多分強請っているのだろう。最中は快感に意識が軽く飛ぶので、気がつくと行為が終わっているのだ。
カメラが回っている訳ではないのに、俺はどうも欲張りらしい。
行為の後、猗窩座に呆れられたことは一度や二度じゃない。
そんなに俺はスキモノなのだろうか。女性相手で自分をスキモノと感じたことがないので、俺の身体は猗窩座が言うように男相手の方が感じるのだろうか。
猗窩座の愛撫はひどく優しい。
そして、仕事の時には見せぬ甘い表情。なんだか目にしている俺が、いつだって耐えられなくなるほどの。
今も愛撫は緩やかだが的確で、俺の息はいつでもすぐに上がってしまう。
「・・・もうその気になってきたのか」
「は・・・あぁ・・・違う・・・」
「俺に・・・言うことはないのか?」
「・・・ぅう・・・ぁ・・・言う・・・こと?」
「・・・・・・。ないならいい」
「・・・猗窩座?」
「言葉は・・・人に強制されるものではないからな」
「・・・ぁ・・・指・・・入れるな・・・」
「でも・・・お前の本心が知りたい」
今日の撮影のせいで緩んでいるそこは、簡単に猗窩座の指を受け入れる。
昼間擦られ過ぎて熱を持っているそこを弄られると気持ちがよくて、ぐずぐずに溶けてしまいそうになる。
下げられて足首に纏わり付くデニムが邪魔で、自分から踵で踏んで脱ぐと、猗窩座は喉の奥で笑った。
「晩メシ・・・終わったか?」
「・・・ぅふぅ・・・うん・・・。もう食った・・・」
「じゃあこのままベッドに行くか?」 問われて首根に無意識に抱きついてしまう。
このまま溶けあいたいと感じるこの気持ちは、どこからきているのだろうか。
本当は話がしたくて来たのに。こんな風に抱き合うために来たわけではないのに。それでもこうやって猗窩座に触れているとおかしくなる気がする。
俺はもしかしてSEX依存症にでもなってしまったのかもしれない。
猗窩座にもっと触れられたいと思う。猗窩座にもっと触れたいと思う。
誰が聞いても、成人男性との行為に耽る俺はおかしいだろう。
「なぁ・・・中にまだ君のが残っていそうだ」
「シャワー室でちゃんと出したんだろ?」
「だって君が・・・手伝ってくれないから」
「・・・可愛いこと言ってくれるな」
耳朶を嬲られて、背筋に覚えのある甘い戦慄が駆け上がる。
「じゃあ、たっぷりと指で掻き出してやるよ」
俺はおかしいのだ。
絶対。
こんなにも猗窩座の言葉に興奮するなんて。
カメラが回っている訳でもないのに、こんなに淫らな言葉で猗窩座を煽ってしまうなんて。
「・・・はぁ・・・ぁ・・・ぁ・・・な、なぁ・・・」
「ああ、凄いな・・・まだ指だけだぞ」
「そ、そこ・・・ぅ・・・いい・・・」
「知ってる。ここだろ。ほら、こうすると」
「あ、ああ・・・はぁ・・・」
「もっと感じるだろ?」
「あ、あかざぁ」
「クク、我慢汁・・・凄いぞ。舐めてやろうか? ホントに淫乱だな」
「な、舐めて、くれ」
言葉で煽られて俺はどうしようもなくなる。
とろとろに蕩けて、跡形もなくなってしまいそうだ。 結局真夜中まで猗窩座と抱き合った俺は、昼の疲れも伴って猗窩座のベッドで爆睡してしまい、始発が動く時間に、同じように寝ぼけた猗窩座に「仕事だよな?」と起こされて、慌ててマンションを飛び出す始末だった。
気付いてみれば、猗窩座に昨夜の社長との詳しい会話内容を言っていない。
強制されるレイプ物や乱交モノの話をした方が良かったのだろうか。
だがこれは俺個人の話なので、別に猗窩座に言う必要はない。猗窩座は嫌がるかもしれないが、他のAVに出ない訳にはいかない流れになったのは事実だ。
もしそれが理由で猗窩座に嫌がられて、『明日の猗窩座君』から外されたらどうしよう。
淫乱ネコの『明後日の杏寿郎くん』を企画してもらうしかなくなるのか。それは結構辛い。
一発逆転を狙って宝くじでも買ってみようか。
いやいや、宝くじ1枚に回す金があるなら、パンでも買った方が現実的だ。
夢を買うには、俺には金がなさすぎる。
財布を覗くと、千円札が2枚と小銭が少々。
これであと何日間、凌がなければいけないのか。
いつになったら、この借金地獄から抜け出せるのか。
「煉獄ぅ〜。メシ食いに行こうぜ。昨日パチンコで勝ったから奢ってやるよ」
外回りから帰ってきた、同じ部署の宇髄にフロアの入り口で叫ばれて、俺は元気よく座っていた椅子から立ち上がった。
奢り。
持つべきものは友達だ。
悩むのは後でいい。とりあえず来週が乱交モノの撮影だったといっていたから、まだ少し時間はある。
実際どう足掻いても無駄な気がして、俺はむしゃくしゃする感情を振り切るように一度頭を振ってから、戸口で待つ宇髄の所へ向かった。 続き気になる!!
アホエロからピュアラブへ
婆さんのピュアラブ、エモいから好きです ある時間帯だけ怒涛のレスが付いて急に止むから一人の義勇腐が自演してるとバレバレなのも鬼滅スレの様式美 >>364に>>365のような返事、上の方でも見たわ
自分で書いて自分にレスしてんの笑う
義勇腐いつも同じことばっかりしてんのなw
そして>>366までも独り言www 各キャラの面影も無いゴミを読む人はいないしね
どこから持ってきて名前を変えたか知らんが性根が腐ってる水腐 各キャラの面影も無いってちゃんと読んでるのかwwww >>368
どこかで自演コピペ荒らしやって煉獄受け腐のせいにしようと考えてるんだろうな
前にもやっていつもの義勇腐バレバレだから叩かれてたのに繰り返してるの馬鹿すぎる
スレ変えればバレないと思ったのかな だが実際問題1週間なんてあっという間で、バイト三昧で忙殺されていた俺にすれば、気が付けば社長からメールで知らされた撮影日当日になっていたというところだった。
あ、今日の夜だった、と今更ながらに思ったのは、朝、出社する直前に携帯でスケジュールをチェックした時で、途端に気分は激しく急降下した。
おまけに最近、昼間の仕事が忙しく残業続きで、そのままバーテンの仕事や夜間工事のバイトに行くパターンが多かったので、猗窩座にさえも会えずにいた。
猗窩座もあれから何も言ってくる様子はない。
そうだろうな。
いくら親切だって、所詮他人事だから。
俺が選んだ仕事に口出ししてくるほどに、猗窩座は無粋ではないはずだ。
だが心のどこかでは口を出して欲しいと思っている自分がいることが、なんだか情けなかった。
男だろ、煉獄杏寿郎。
自分で決めたことなのだから、腹を括って最後までやり抜け。
指定された撮影場所はホテルの1室で、顔を出した俺は途端に緊張してしまった。
初めて見るスタッフ。
そうか俺は本当に『今日の猗窩座君』しか知らないのだな、と今更ながらに痛感した。
違うレーベルの作品だから、もちろん監督もスタッフも違う訳で。
入り口で戸惑う俺にスタッフが興味たっぷりの視線を向けてくる。
この面子の中で俺は全裸になって抱き合うのだ。カメラの前に余すところなくすべてを晒して。比喩でもなんでもなく尻の穴まで晒して。
「杏寿郎さん、待ってましたよ。こっち来て」
一人のスタッフが近付いてきて俺の手を掴む。そのままスタッフの中を通り抜け、監督の前に連れて行かれる。
通り抜ける時にスタッフ一人一人に頭を下げるが、慣れ親しんだ現場じゃないからかスタッフの視線がやけに気になった。誰もが口元に薄い笑いを浮かべている。
なんだか感じが悪い。
それは監督も一緒で、あからさまに舐めるように身体に視線を這わされて、服の上から視姦されている気になった。
いつもの監督や助監の方が、仕事としてあっさりと付き合える気がする。 一通り挨拶を済ませ、先程のスタッフに隣の部屋まで手を引かれて行く。
幼稚園児じゃないのだから手を引かれる必要などないはずなのに、俺はその手を払わずにおとなしく従った。そうでもしないと逃げ出したくなりそうだ。
先程、監督に意味深に腰を撫でられただけでも、殴りつけて逃げ出したくなったのだから。
「処理してありますか? いちじく浣腸を使います?」
「・・・下さい」
仕事場から直接来たので、まだ処理をしていない。だがいちじく浣腸を渡される俺は、更に泣きたくなった。
いつになってもまだこの瞬間は慣れることがない。
「処理が終わったら、これに着替えて下さいね」
渡される衣服を恨めしそうに見ながら、俺は観念してトイレに向かった。
頑張れ。俺。
死ぬ気になればなんでもできると、この世界に足を踏み入れた俺ではないか。
猗窩座以外との行為も、死ぬ気になれば受け入れられるはずだ。
なぜこんなにも情けなくなったのだろうか。
多分、猗窩座のせいだ。
猗窩座が俺を甘やかすから。
第一印象が良くなかったあの男が、あんなにも俺を大切にするから、俺が錯覚を起こしてしまったのだ。
中も外も丁寧に洗い、渡された衣服に身を包む。
ラフなTシャツにジャージ素材の半パン。金の掛かってない服だ。下着を渡されなかったので、下半身がスースーして落ち着かない。
「あれ、杏寿郎さん?」
覚悟を決めて撮影現場に戻ると、監督の側に立っていた男に不意に声を掛けられて、俺は驚いて彼の顔を見つめた。
忘れられないほどに愛らしい相貌。
先日会った時よりも、更にイケメン具合に磨きがかかった気がする。
「ホント? 杏寿郎さんにそう言ってもらえると嬉しいです」
あ、また口に出して言ってしまったらしい。
イケメン具合に磨きのかかった、猗窩座の弟、炭治郎はにっこりと笑い、それからそっと俺の腕を引いた。
そして愛らしい顔を近づけてくる。
「あの、ここで何をしてるんですか。杏寿郎さん」
囁くように耳に唇をつけられ、ぞわりと背筋が総毛立つ。
慌てて身を捩るが、案外と力が入っているのか炭治郎の腕はすぐに外されなかった。
すぐそばにある愛らしい貌。
だが眼差しは意外なほどに真剣だった。 「・・・こんなところで・・・まさか撮影・・・?・・・猗窩座君シリーズじゃないですよね?」
「炭治郎こそ・・・え、まさか、今日の乱交モノに出るのか?」
「乱交モノは俺の趣味じゃないから、基本出ないです。俺は一人でじっくり嬲りたいタイプなので」
聞かなかったことにしよう。
炭治郎の、性的な事から無縁そうな愛らしい顔から、そんな台詞が発されることこそ、信じられない。
「え。杏寿郎さんこそ・・・まさか乱交モノ?」
「まぁ」
「え。え?・・・よくあの兄さんが許しましたね」
「許すも何も・・・俺の仕事だから猗窩座には関係ない」
「ふーん」
幾度も瞬きする炭治郎は、やはり愛らしい顔をしていて、この場にいるのが相応しくない。
室内にはいつの間にか、かなり人が増えていた。
「棒男優さん、入りまーす」
スタッフの声と共に、ぞろぞろと数人の男がやってくる。俺はさすがにぎょっとした。
え。こんなに多いのか。
まさかと思うが、全員としなきゃいけない訳じゃないよな。
こんなにしたら間違いなくアナルの皺が伸び切ってしまう。
というよりも、こんな人数に突っ込まれて、ちゃんとアナルを締められるのか。
猗窩座一人に好き勝手された後でも、アナルが元通りになるにはちょっと時間がいる。猗窩座はいつも楽しそうに笑って、それを指摘してくるのだから本当に腹が立つ。
『クク、杏寿郎。まだパクパクしてるぞ、ここ。まだ欲しいのか?』
『・・・そんな訳ないだろ』
『ああ。可愛い。すぐに俺の指が入るぞ』
『ちょ・・・やめてくれ、あ。・・・ぅ・・・そんなに深く』
『緩くて・・・かわいい』
『あ、あ、あ、そんなに激しくっ・・・』
思い出すだけで赤面してしまう。
猗窩座は本当に意地悪だ。意地悪で、そして優しくて。
無性に猗窩座が恋しくなって、俺は想い出を断ち切るように頭を強く振った。
現実の目の前には助監督に説明を受けている棒男優しかいないのだから。猗窩座を、その手順を思い出すと辛くなるのは俺自身だ。どうしても比べてしまうだろう。
伏せ目がちの長い睫毛の下から、俺をちらりと見るその眼差し。冷たくて、そして艶があるその目元。 棒男優は誰もが初めて見る顔で、含んだ眼差しで俺をちらちら見てくる。
ほら、こんな時でもその眼差しを比べてしまうのだから。
俺が断ち切らなければ、前に進めない。
「杏寿郎さん、お願いします」
こっちを向いた助監督に声をかけられ、俺はぎくりと背を撓ませた。
どうしよう。今更ながら帰りたい。
怖い。こんな人数、無理だ。
恥ずかしいが脚が震えてしまいそうだ。
衆人環視は慣れたといっても、初めてのメンツの中で初めての相手、それも複数を相手にしなければいけないのは、俺にとってはかなり辛かった。
逃げ出さないように自分の頬を気合いを入れて叩いて、あえて乱暴にベッドの上に乗ると、一人の男が同じようにベッドに乗ってきた。
「杏寿郎くん、サイステくん、二人は恋人設定なので甘くね」
助監督が俺らに向けて言う。
サイステと呼ばれた男が俺を見つめているのには気づいたが、俺は視線を向けなかった。
「助監督・・・俺・・・台本をもらっていないのだが」
「ああ、いいから。うちは基本は設定しかないから。とりあえず濃厚な絡みを見せてくれればいいよ。どうせやってるだけの話だし」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。・・・乱交と聞いたが、俺しか穴役がいないのではないか?」
「ああ、もう一人の彼は隣の部屋で撮影してるよ。あとで合流するから、最初は杏寿郎君の恋人とのシーン。そこに恋人の友人が入ってきて、全員で杏寿郎君を悦ばせてあげるシーンまでをまずは撮るから」
恋人の前で複数の男に犯されて喜ぶヤツがいるか?
絶対おかしい。男同士は刹那的だと聞いたが、このシュチエーションが正しいとは到底思えない。
もしも俺が猗窩座の恋人だったとして、猗窩座の友人に猗窩座の前で犯されるのは憤死ものだ。猗窩座だって決して赦さないと思う。 ベッドに座る俺の横に、身を寄せてくる男にふいに脚に触れられて、俺は大袈裟に飛び上がった。
無理。本当に無理。
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「杏寿郎。焦らすなよ」
俺よりも年下の相手なのに、明らかにオレよりも慣れた雰囲気を漂わせている。
「あ」
剥き出しの脚に触れていた指が、半パンの裾から侵入してくる。そして躊躇もなく縮こまった下半身に触れられて、俺は緊張に身を強張らせた。
「あ、あ、待てって」
「何だ、まだその気じゃないのか」
柔らかな肉を掴まれ捏ねまわされて息が上がる。
俺と言えばベッドの上に後ろ手に手を付いて、必死で背筋を這いあがる悪寒に耐えていた。
油断すると相手を殴りそうになるから、シーツを強く掴んで我慢する。
気分は修行僧だ。
だからそこが反応するはずもない。
触れられて擦られれば誰が相手でも気持ちがいいはずだが、メンタルが影響しているのか、昂ぶりが鎌首を擡げることは決してなかった。
ちっ、と目の前の男が短く舌打ちする。
「・・・なんだよ・・・いつもはあんなにエロいくせに・・・」
これは仕事だ。
だから本当はいつものように腰を振って誘わなければいけないことも、頭では分かっている。
焦れたサイステが強引に俺の半パンを脱がし、躊躇もなく俺の柔らかな肉に舌を這わせ始めた。やり口が強引なのは、彼のプライドを傷つけたからだろうか。
ぬめる舌の感触。ぬるりと舌で絡められると、さすがにかなり気持ちがいい。
う、と鼻に抜けた声が俺の口をつき、それが聞こえたのかサイステは更に執拗に舐めしゃぶった。
「あ。・・・ぅん・・・ふ・・・」
背筋がぞわぞわと戦慄いて止まらない。
気持ちいいのか悪いのか。
それでも昂ぶりが確実に硬度を増しているのに俺は気付いた。
だってしょうがない。男だから。
直接的な刺激に即物的に身体が反応するのは、男の性だ。
「あ・・・ぁあ・・・ま、まってくれ」
猗窩座と違う手管。だが一度火がついた肉体は、更に燃え上がることを望む。
出したくて、出したくて堪らなくなるのも、男の性だ。身の内で作られた精液は、発散の場所を求めて俺を狂わそうとする。 「あ、猗窩座・・・ぁ、ぁあ」
思わず猗窩座の名前を口走ってしまうと、ぐりっと指が窄まりを強引に割って身体の中に入ってくる。
猗窩座しか受け入れたことのないその場所に、俺はこの男を受け入れるのだ。
仕事だ。
仕事だと思って、割り切ればいい。
割り切って、精液を吐き出して、感情をなくして愉悦に身を委ね、尻を高く掲げればいい。
・・・なんだか泣きたい。
冷たいローションを塗った指が、少しずつ身の内を侵食する。
嫌だと叫びたい。本当は。
だが銜え込む窄まりは、思った以上にすんなりとその指の凌辱を許した。
「・・・あ・・・あ・・・あ・・・」
どんなふうにカメラに俺の痴態は収められているのだろう。
猗窩座も見るのだろうか。他の男に抱かれる俺を。
猗窩座はどう思うのだろうか。俺を、汚らわしいと思うのだろうか。
「・・・ぁ・・・ぅ・・・猗窩座ぅ・・・」
のけ反る俺の首がぴくぴく震える。
馴染んだ体臭が今なぜここにないのか。
俺を抱きしめる腕の強さが今なぜここにないのか。
俺は、他の誰かにではなく、猗窩座に抱かれたいのだ。
俺の中を指で、性器でかき混ぜるのは、猗窩座以外にいるはずがないのだ。
脚を惨めに開いたままのけ反る俺は、前立腺の裏側を内部から指で的確に擦られて、短く呻きながら白濁を猗窩座のものではない口腔に吐き出していた。 快楽の余韻に激しく胸を上下させる俺は、腕を引かれて身体を起こされて、ぼんやりと相手を見た。
衝撃に息が上手く整わない。
俺の精液を飲んだサイステが、口元を拭うのを見て泣きたくなった。
こうも簡単に俺は他の男の口腔に吐き出すことが出来るのか。
そして、本当に、俺は猗窩座以外とセックスをするのか。
今からこの男にケツを掘られるんだ。
「なぁ、俺のも舐めろよ」
頭を掴まれ、強引に膝立ちしたサイステの下腹部に導かれる。
そこにはそそり立つグロテスクなもの。浮き出た血管と、見るからにガチガチなそれに、吐き気さえも催しそうだ。
少し力を入れて抵抗してみるが、強引に後ろ頭を押され口に含むことを強制される。唇を割る人肌に背が戦慄く。硬く瞑る眦に、嫌悪の涙が滲む。
『杏寿郎くん、もっと色っぽい顔ができないかな。そんな嫌々じゃ、レイプだよ』
メガホンから助監督の声が飛ぶ。
分かっているけど、どうしようもできない。
俺の身体さえもガチガチに強張っているのだ。甘い雰囲気なんて出せるはずもない。
『サイステくん、もうちょっと抑えて。それじゃイマラチオだから・・・今回のコンセプトは甘くエロくだから』
「だって・・・杏寿郎のフェラ・・・下手くそすぎ」
なんだと。失礼だ。
しょうがないだろ。舌が強張って口腔内で舐め上げることが出来ないんだから。
噛まれないだけ有難いと思って欲しい。俺なりに頑張っているのだから。
『ちょっと、杏寿郎くん。猗窩座くんの時のようにエロエロで頼むよ。どうしたの?緊張してるの? 一旦、休む?』
喉の奥まで突っ込まれてたものが抜かれて、俺はぜいぜいと息を吐きながら肩を上下させた。
苦しくて目尻に涙まで浮かんでいるのが自分でも恥ずかしい。
下手くそなのは俺だけじゃない。サイステだって下手くそだ。
猗窩座は強引だが、ちゃんと俺の様子を見て喉奥まで突っ込んでくる。もちろん俺が生理的に涙を流して苦しんでいるのを見るのも大好きらしいが、最初から喉奥に突っ込むことはしない。
優しく髪を撫でながら、卑猥な睦言を囁きながら、舐めると言う行為に俺が興奮するように仕向ける。猗窩座は共演者にも人気がある汁男優だと誰かが言っていたが、今ならば頷ける。猗窩座は優しく俺を蕩けさせてくれる。 >>383
ありがとぅぅぅ
また数時間後にきます
結構長い規制くらいました 情けないことに再びジワリと涙が浮かび上がった。
他の人に知られたくなくて、手の甲で涙を拭い鼻をすする。だがその手をふいに掴まれて、濡れた甲をいきなりぺろりと舐め上げられて、俺はぎょっとした。
「え・・・炭治郎・・・?」
「可愛いなぁ、杏寿郎さん。ホント食べちゃいたいです」
「な、なんだ、。それ。君・・・まだいたのか?」
余裕がなくて炭治郎の存在を失念していた。
にこにこと、こんな状況にもかかわらずにこやかに笑う炭治郎の手慣れた感がなんだか恐ろしい。
「監督、じゃあ美味しく杏寿郎さんを頂いちゃってもいいですよね」
「は?」
「杏寿郎さんにはサイステじゃ役不足だろうから、俺が急遽代役ってことになったんです。監督には了解もらいました」
「は? え?」
「こんな安い金で出演してあげるなんて破格のサービスだけど、まぁしょうがない。杏寿郎さんと出来るんなら」
「は? え? え?」
「覚悟して下さいね、杏寿郎さん。俺、上手だから。たっぷりよがり狂わせてあげますから」
「はぁぁぁぁ?」
話の展開についていけず目を白黒させる俺の腕を掴んで、炭治郎が引き寄せる。
炭治郎のまだどこか少年らしさが残る華奢な肉体。絶対俺の方が逞しい。こんな顔にこんな肉体で、本当にタチなのだろうか。猗窩座ばりに腰を振ってしまうのか。
サイステは監督の横で腕組みをして俺たちを見ていた。はっきり表情は見えないが、機嫌は悪そうだ。
「杏寿郎さんのその顔、そそりますよね」
「・・・は?」
頭が働かなくて、半開きに口を開けたまま炭治郎を見上げていると、炭治郎は喉の奥で笑った。どんな顔だか教えて欲しい。
頬を、髪を、手慣れた風に愛撫する炭治郎。首筋を撫でられて、俺はゾクリと身を震わせた。
たしかに俺よりは、かなり愛撫レベルは上だ。
「どうしたんですか、泣きそうですよ、杏寿郎さん。・・・猗窩座じゃないとイヤ?」
「・・・そんな訳ではないが・・・」
「泣いてもいいですよ。俺、泣いてる相手を無理矢理犯すの大好きなんです」
「・・・君、顔とキャラが合ってないぞ」
「ふふ。兄弟だからか俺と猗窩座って似てるって言われますよ。だから杏寿郎さんも俺ので感じてよ」
「・・・あ、炭治郎。・・・ちょ、あ、あ、あぅ」
俺を押し倒して着衣のまま乗りかかってくる炭治郎の下肢は、熱く滾っている。それを剥き出しの下腹部に激しく擦りつけられて、俺は首をのけ反らした。
そんな風に擦りつけられたら、また勃ってしまう。
快感に弱い俺の肉体。繊維の荒さが刺激となって俺を滾らせる。 この水腐荒らしってかなり無意味な事やってるよね
煉獄攻の人口がたぶん受けの10倍近くはいるだろうにニッチな受け者の振りをするってなんのギャグ サイステってサイコロステーキ先輩かwww
サイステ先輩出てくるとはwww そのまま今度は綺麗な手で握られて、俺は更に身を震わせた。
やばい。傲慢な言葉を吐くだけあって、触り方が半端なく上手い。
滾りの裏のくびれを執拗になぞられて、俺の唇をつくのは濡れた喘ぎだ。
「凄いね・・・いつもこうなんですか?」
「・・・はぁ・・・なに、が・・・?」
「カウパー。凄いですよ。・・・もうぐちょぐちょ」
「・・・言うなって・・・」
「・・・もしかして・・・軽くイきました?」
「・・・ぁあ・・・は・・・ち、違う・・・」
「いいなぁ、猗窩座。いつもこんな身体で愉しんでるんだ。どれ」
「・・・はぁぁぁっ、あ・・・あぅ」
濡れた指がいきなり侵入する感覚に、俺は背を戦慄かせて反らした。
それ1本じゃないよな。いきなりそんなに突っ込むな。
「ああ、いい感じ。結構その気? 熟れて熱いですよ。中の締め付け・・・凄い」
「あ、ああ、あ・・・」
「ああ、その表情も好き」
俺はその気なんだろうか。猗窩座じゃないのに。
猗窩座の弟の炭治郎。
それだけでサイステよりマシに感じているのは事実だが、こうも翻弄される自分が信じられない。
『炭治郎くん、そろそろカメラ回してもいいかな』
「いいですよ」
え。ちょっと待て。
まだ撮影してなかったのか。
俺はこんなに手一杯なのに。こんなに熱くて熱くて堪らないのに。
猗窩座以外で、恥ずかしいほどに感じてしまっていると言うのに。
数多の視線が痛い。皆が俺を見つめている。
撮影なのだから、仕事なのだから、しょうがない。
でも数多の視線に犯されている気にさえなってくる。
さらにとろりと昂ぶりを我慢汁が伝う感触に、俺は呻いた。
俺は感じてるのか? この感覚を愉しんでいるのか?
いやだ。そんなのいやだ。
堕ちていく。更に堕ちてゆくじゃないか。
後戻りできないところまで、俺はいってしまうのか。
まるで底なし沼だ。
助けて欲しい。
こんな風に欲望に沈み込んで、逃げられないように快楽に雁字搦めにされて、俺はどこへ連れて行かれるのか。
「・・・猗窩座ぁ・・・」
助け出してくれ。
引きあげてくれ。
この沼から。
俺が最後の矜持を忘れぬ前に、引き上げて君の熱で包み込んでくれ。 コテハン付けたがためにいつもの調子で連投出来なくなってて笑う 荒らし避けで読みやすいからコテつけてくれてまじ良かった 水腐って前から煉獄受けのフリしてんの?
煉獄攻じゃなくて何でだろうね >>398
煉獄受けのpinkが目についたからって理由なだけじゃない? 煉獄受けのスレしかないみたいだから水腐が都合よく荒らすためじゃないのかね マジレスするとコピペしてるのは
小説書ける人と長文楽しめる人種に嫉妬してる万年国語赤点野郎だよ 明日から最終上映が始まるのにここの連載だけが楽しみってつまんない生き方してるが、
煉獄さん大活躍が悔しくて観になんて行けないよね義勇腐は 「別の男の名前を呼ばれると・・・ぞくぞくしますよね」
歪んでる。
炭治郎は絶対に歪んでる。
「ねぇ、杏寿郎さん。自分で広げて、奥まで見せてください」
「む、ムリ」
「いつもやってるじゃないですか。
ねぇ、俺にも腰を揺すって誘ってくださいよ」
「あ・・・そんな、いきなりっ」
「ああ、ホントいい具合に熟れてる。ほら、分かりますか?
3本入っちゃった。
猗窩座とやり放題だから、入り口がいい感じに柔らかいですよ。
・・・舐めてあげますね」
「炭治郎っ」
気がつけば俺はいつの間にかうつ伏せにされていた。炭治郎の手際は半端ない。
指で開かれたそこにぬめる舌の感触を受けて、俺は半泣きの態でシーツを強く握りしめた。
いやだ。いやだ。
炭治郎でも、やっぱり嫌だ。
猗窩座がいい。
猗窩座にして欲しい。
借金のためでも何でも、俺は情けないことに割り切れはしないのだ。
「・・・・・・ふざけんな、炭治郎。誰のものに手を出しているか・・・分かっているのか」
ふいに耳に飛び込んだ馴染んだ声に、俺は背筋を激しく戦慄かせた。
有り得ない声。ここにいるはずもない相手の声。
これは幻聴か。 労力のわりに得られる物なんもないな…
費用対効果ぇ 「えー。早すぎ、兄さん。どれだけ車を飛ばして来たんだ」
「炭治郎」
「・・・怖いなぁ。・・・ちぇ、ちょっとぐらい愉しませて欲しいよ。せっかく杏寿郎さんの危機を教えてあげたのに」
「感謝しているさ」
尻を掴んでいた熱い手が離れると、俺は腰が抜けたようにへなへなとシーツに沈み込んでしまった。緊張していた肉体が弛緩する。
ゆっくりと背後を振り返る俺の視界に映ったのは、ここにいるはずのない猗窩座が、唖然と突っ立ている監督に近づいていく姿だった。
「・・・猗窩座・・・?」
都合のいい幻覚を見ているのではないかと、俺は自分の頬を抓ってみた。
痛い。現実だ。
本当に?それでも信じられない。
どうして、ここに?
ベッドの上の炭治郎は大袈裟に溜息をつき、まだも俺の剥き出しの尻を撫でている。
だがそれも気にならないくらいに、俺は小さな子供のように猗窩座を目で追い続けた。後で思い出すと恥ずかしいほどだが、その時はかなり真剣だったのだ。
いつも通りの猗窩座の佇まい。
監督に何か書類を見せる。猗窩座は、ちらりとこちらに視線を向けた。その眼差しに心臓が跳ね上がる。
猗窩座だ。間違いなく猗窩座の眼差しだ。
冷めたような色で、そのくせどこか淫蕩で。
「え、今更困るよ。猗窩座君!」
監督の驚愕の声が俺の耳にまで届く。
何の話をしているのだろう。
猗窩座は何のために、ここに来たのだろうか。
まさかと思うが、俺を助けに来てくれたのか。
いや、助けるという言葉はこの場合不適切だ。俺は自分の意思でここに来たし、これはあくまでも仕事なのだから。
俺の選択した仕事。他に選択肢はないのだから。
猗窩座に助けて欲しいと願ったが、実際問題、俺にはこうして肉体を使って金を稼ぐしか方法がないのだ。
俺が逡巡している間に、猗窩座と監督の話は終わったらしく、近づいてきた猗窩座にいきなり腕を掴まれ起こされて、俺はぼんやりと見上げた。 名前つけてくれたお陰で一括あぼーんで快適だわ
ありがとうアホの義勇腐さん
>>398
荒らしが義勇受け腐だからでしょ
義勇が煉受けの攻めに利用される可能性があるから憎くて仕方ない
昔は覇権だった義炭に発狂して炭受けを叩きまくってたらしく何故か愚痴スレ荒らしてテンプレ作られてるよ 連投規制ってそんな厳しいの?
荒らしや支援が書き込んでも書き込めないのか
続き気になる 「帰るぞ、杏寿郎」
「え。でも、俺・・・仕事が・・・」
「今日の撮影はキャンセルだ」
「君・・・そんな勝手に」
逃げ出したいのはやまやまだが、そんなことをすれば社長に合わせる顔がなくなる。
俺は覚悟を決めてきたのだ。
「杏寿郎はもう鬼滅企画所属の俳優じゃないから、この場は後続にくる穴男優に任せろ。直に到着するはずだ」
「は?」
「杏寿郎の新しい事務所の専属契約書だ。ちゃんと読んでからサインしろよ」
「は? は?」
「鬼滅企画と杏寿郎の契約は切れた。まぁもともと契約書も交わしてなかったようなずさんな契約だったが。杏寿郎の次の事務所は素流企画だ。お前は高い買い物だったから、しっかり働けよ」
「どっせい!?」
聞いていない。そんなこと。
何も知らない。
だって昨日届いたメールでも、今後のびっしりなスケジュールが書かれていたはずなのに。
「・・・・・・素山猗窩座・・・?」
契約書の代表取締の名前を見て、俺は首を傾げた。
どこかで聞いた名前だ。
「・・・誰だ?」
「・・・は。ホント、その頭の中に脳味噌なんて入ってないんだろうな。いい加減、恋人の名前ぐらい覚えろよ」
「・・・へ?」
顔を近づけられ、途中から囁くように耳打ちされて、俺はぎょっとした。
猗窩座の唇が耳に触れたというのもあるが、それよりも内容の違和感は拭えない。
「・・・え?」
「また・・・そんな顔をする」
「・・・恋人?」
「は?・・・その部分を聞き返されるとは思ってなかったが・・・」
「誰と誰が?」
「・・・今更で本当に腹が立つな。俺たち以外に誰がいるんだ」
「俺と・・・猗窩座・・・?」
「・・・・・・・・・」
「い、いつから?」
「・・・・・・付き合おうって、俺、言ったよな?」
知らない。何だそれは。
いつ、猗窩座がそんなことを言ったんだ。 唖然と顔を見つめる俺に、猗窩座はちっと短く舌打ちして、俺の腕を掴んで強引に立たせる。そのまま引きずられるようにベッドから降ろされると、足ががくがくと強張っていて思わず猗窩座に縋りついてしまう。
猗窩座の口元に微かな笑みが浮かぶのを俺は見逃さなかった。
ふらつく足で隣の部屋に連れて行かれても、俺はまだも唖然としたままだった。
未だに話の流れについていけない。
「ネコちゃんが杏寿郎さんじゃないなら、俺も降りますね」
隣の部屋を出る時、炭治郎はあっけらかんとそう言い、唖然と固まったままの監督に向かって手を振った。
「監督。また呼んでくださいね」
常に笑顔の手慣れた感の炭治郎が末恐ろしい。 部屋に入って、何故かがくがくと震える脚でベッドに身を預ける俺の裸の背に、炭治郎は笑いながらガウンを掛け、それから抱くように手を回してきた。もちろんじろりと猗窩座に睨まれても、気にした様子もない。
「杏寿郎さん。今度から同じ事務所だから、よろしくお願いしますね」
「・・・そ、うなのか?」
「俺、素流企画の人気No.2俳優ですから。ちなみにNo,1は猗窩座兄さん。兄さんは代表取締役兼汁男優です」
「・・・そうなのか・・・?」
代表取締役。猗窩座が・・・。
人気汁男優だけじゃなかったのか。
じゃあ無理に汁男優になることはないのではないのか。
それとも自分が働かないと回らない弱小企画なのか。
そこまで人手のない事務所なのか。
「ホント・・・失礼だよな」
「違いますよ、杏寿郎さん。兄さんのは趣味と実益を兼ねてるんです。素流企画は元々モデル事務所だったんだけど、兄さんが勝手にAV部門を設立しちゃったんです。まぁ、おかげで俺も自分の嗜好を自覚させられて良かったですけどね」
また口に出していたらしい。
この癖は一生治らないかもしれない。 「俺は・・・どうすればいいのだ? 俺の・・・前の社長への借金はどうなったんだ?」
「素流企画が立て替えたぞ。それと今回かなりの違約金も取られから、杏寿郎は素流企画で借金を返すためにガンガン働けよ」
「・・・は? ちょっと待ってくれ、違約金って。・・・俺は別に事務所を替えるつもりなんかなかったのだし、俺にそれを請求するな」
「いいのか? 不特定多数に突っ込まれてひいひい泣くことになるが」
「・・・・・・う」
あんなにも他の男じゃ無理だと心で叫んだのは俺なのに、喉元を過ぎれば的な自分の思考には呆れる。
猗窩座が助けてくれなかったら、俺は炭治郎に突っ込まれていたのだ。
いや炭治郎ならまだ許せるか。炭治郎ならサイステよりもかなりましだから。
「ホント? 嬉しいな、杏寿郎さん。本当に共演しましょうよ」
「え。また口に出していた・・・?・・・いや、共演は・・・俺」
「炭治郎。・・・いい加減、この部屋から出ていけ。俺は杏寿郎と話がある」
「えー。そんなこと言って、ヤりまくるつもりだろ。いいなぁ、兄さん。俺も杏寿郎さんにエロイ顔させたいなぁ」
「・・・炭治郎」
「コワ・・・。はいはいはいはい。分かったってば」
後ろ首をするりと撫でて、炭治郎が名残惜しそうに部屋を出て行くのを、俺は未だもぼんやりと見送った。 モブや炭がギリギリのとこまで手を出してさわやかに退場するとこ
上手いわぁ 猗窩座は金で縛るんじゃなく
杏寿郎から歩み寄ってきてほしかったんよな 「で?」
ふいにその俺の視界を遮るように立つ猗窩座にドキリとする。
眼力が半端ない。
「何故、今回の撮影のことを内緒にしていたんだ?」
「・・・別に内緒になんて・・・」
「・・・お前・・・本気で炭治郎ならいいとか思ってるんじゃないだろうな」
俺を真っ直ぐに射抜く瞳。
ああ、猗窩座だと、なんだか胸の内が熱くなった。
なんだろうか。
俺はじわりと泣きたくなるほどに、猗窩座を求めていたのだろうか。
目の前の猗窩座の手を反射的にそっと握ると、何故かぎょっとしたように猗窩座が俺を見つめてきた。
「・・・何だ・・・お前」
「う。別にいいだろ」
本当だ。俺はいったいどうしたというのか。
多分不安だったんだ。
今まで猗窩座しか知らなかった身体を他の男に開かれそうになって。
女性ではないから、そんなこと犬に噛まれたぐらいに思おうと決めたのに。
本当に情けない。
金のために何でもすると決めたのに。
「・・・金・・・ないのだ、俺」
「知ってる、そんなこと」
「俺の借金・・・肩代わりしてくれるのか?」
「は? 甘えるな。今回の分だけだ。自分で作った借金まで俺が面倒をみる謂れはない」
「・・・そりゃそうだよな」
「・・・・・・。食事は今まで通り食べさせてやるから・・・俺のマンションに通え」
「ありがとな」
「・・・・・・・・・もっと食い下がらないのか?」
「ん?」
ベッドに座ったまま見上げると、後ろ首を不意に強い力で掴まれて、そのまま強引に口接けられた。
いつでも猗窩座の行動は唐突だ。
最初は戸惑うことが多かったが、今では猗窩座だからということで慣れて許してしまっている。変わり者の思考なんて、平凡な俺には理解しようもない。
この歳で自分の事務所を持っているなんて、親が金持ちなんだろうか。
なんだか急に猗窩座が遠くなった気がした。
少し、寂しい。 「杏寿郎?」
「俺達って・・・付き合っていたのか?」
「は。・・・マジ信じられない」
そんなこと言われても、付き合おうなんて言われた覚えもないし、それに返事を返した覚えもない。恐る恐るそれを言うと、形の良い猗窩座の眉がきゅっと不機嫌に寄せられた。
「・・・・・・頻繁に俺とセックスしてたよな? お前は恋人じゃない男とあんなにセックスするのか?」
「・・・・・・え。だって」
それは猗窩座が求めるから。
食事をさせてもらってるのだし、俺に返せるものなんてせいぜいこの肉体ぐらいだから。
「・・・つまり・・・杏寿郎にとっては俺との行為は援交だったってことだな」
「・・・そ、んなことないが・・・」
「つまりお前はメシを食わせてくれれば、誰にでも脚を開く淫売ってことだな」
「は。何だ、それ。そんな訳ないだろ」
「案外会社の友達ともヤってるんじゃないのか。メシ食わせてもらってるんだろ」
「友人はっ、君みたいな変態ではないっ」
「・・・・・・その変態に突っ込まれて、アンアン言ってるのはどこの誰だ?」
「・・・・・・・・・」
酷い。そんな風に言わなくてもいいじゃないか。
確かに俺は猗窩座の手管の前にいつでもとろとろに蕩けてしまうかもしれないが、誰にでもそうじゃないことぐらい猗窩座だって知ってるだろうに。
それとも猗窩座は、俺が本当にそんな尻軽だと思っているのだろうか。
苛立ちとも悲しみともいえない感情が急激に押し寄せてきて、俺は俯いて唇を噛みしめた。
本当に猗窩座がそんな風に俺のことを想っているとしたら、二度と猗窩座に抱かれたくなんかない。
「・・・杏寿郎」
「・・・・・・・・・」
「こっち向け。俺を見ろ」
「うるさい・・・話しかけるな」
「・・・そんな泣きそうな顔するな・・・。・・・ちょっと言い過ぎたな」 素直な猗窩座の台詞に、ちらりと視線を向けると、猗窩座は眉を下げて怒られた子供のような顔で俺を見ていた。その表情がらしくなく、ちょっと可愛いと思ってしまった。
指を伸ばして猗窩座は俺の頬に触れてくる。目尻を拭われて、ベソをかいたつもりはないのだが涙が滲んでいたのかと思って気恥ずかしくなった。
「まぁ・・・お前が欲望に凄く弱いことは知ってたんだが・・・。最中のコト、本気で覚えてないんだろ。お前、俺の申し出に二つ返事で付き合うって言ったぞ」
「・・・・・・本当か・・・?」
「それどころか呂律の回らない可愛い口で、毎日シてくれって。もっといっぱい擦ってって甘く啼いていたが」
もう憤死ものの台詞なんだが。
本当に、俺が、それを言ったのか?
今に父親のような立派な男になると決めている、俺が。
死ねる。
今なら、間違いなく、恥ずかしさで、死ねる。
「ホント・・・杏寿郎のそんな顔・・・そそられる」
「む? 眼科に行け、バカ」
「そんな可愛い顔で・・・見なるな。その気になるだろ」
「だから・・・っ。っ、この変態っ」
あ、その触り方、嫌だ。
すっかりその気だろ、君。
俺はまだ、聞きたいことがいっぱいあるんだぞ。
それなのにそんな触り方されたら、そんな風に押し倒されたら、会話ができないではないか。 早く…早く…このあと仲直りセックスまで早く…ハァハァ 「や、だって言ってるだろ。怒るぞ、猗窩座」
「俺たちが恋人同士だってことは納得したんだろ? じゃあ、あとは身体同士で会話しよう」
馬鹿野郎。そんな触り方するなって。
駄目、だって。
あ、あ、もう、ホント、勘弁してくれ。
「あ。・・・は・・・ぁあ・・・ぅ」
「・・・凄い感じてるな・・・。どうしたんだ? 俺が恋しかったのか?」
「そ、んなっ・・・はず、あるかっ。・・・はぁ・・・ぅん・・・そこ、ヤダ」
「ククク、可愛いな」
「バカ・・・どこ見て、んだよ・・・ぅ・・・」
「もっと、脚、開け」
違う。
聞きたいのだ。
快楽に負ける前に。
俺と、猗窩座の関係を。もっとしっかりと。
俺たちは付き合ってるのだよな?
俺たちは恋人同士なのだよな?
じゃあ、俺は、猗窩座が仕事で抱く可愛い顔をした男達と立場が違うと思ってもいいんだよな。
俺だけ、特別なんだよな。
「・・・なんだ、特別って・・・」
「杏寿郎?」
「あ、あ、ちょ、激しい」
「考え事なんかするな。失礼だろ」
「え、もう、挿れるのか?」
「・・・感じて柔らかいぞ、ここ。すぐに入りそう。・・・まさか他の男を銜え込んではいないだろうな。勝手に使わせたら・・・許さんからな」
なんだ、この執着。
なんだか、くすぐったく感じるのは、俺達が恋人同士だと聞いたからか? 「あ、猗窩座だけだ。知っているだろ?」
「・・・・・・・・・」
口では文句を言いながらも、猗窩座が入れやすいように腰を浮かしてしまうのも、染みついた習性だ。この角度が一番、猗窩座を悦ばせると、俺だってもう知っているのだから。
無意識に指で受け入れる箇所を広げてしまうのも、習性だ。
快楽に蕩けた俺は、俺であって俺じゃないのだから。
「あ、あかざぁ」
「せっかちだな・・・」
「早く・・・早くぅ」
「ククク・・・」
あれ。会話はどうなったのだ。
俺は、何をしたかったのだっけ。
ああ、もう、いい。別に、いい。今じゃなくても、いい。
早く、早く、もっとシて欲しい。
もっと、もっと、奥深くで猗窩座を感じさせて欲しい。
俺は恥も外聞もなく、猗窩座を受け入れた瞬間、淫らな嬌声を上げて自分から腰を動かしてしまっていた。
「本当に・・・最悪」
「は? さんざん愉しんでおいて、それか?」
激しいセックスの後、いつだって俺を待っているのは慙愧の念だ。
自分の淫乱な肉体が、正直憎らしい。
俺の感じ方は言われる通りに半端ない気がする。
それが猗窩座の手管のせいだとしても、俺自身が納得が出来ない。 「なぁ・・・俺・・・猗窩座以外の男としなくてもいいのか?」
「・・・・・・・・・。公私混同は嫌だからはっきり言うが、本当は借金を返してもらうために、数をこなして欲しいな」
「・・・そう、だよな」
「正直、額が額だから少々マニアックなモノにも出て欲しいくらいだ」
「・・・・・・ああ」
「でも、そんなお前を俺が見ている自信がないから、その分、俺とのAVを増やそう」
「え?」
「マニアックなフェチものも、もちろん俺が相手だぞ。この際、素流企画もAVの制作にも手を出して、新しいレーベルを立ち上げてもいいかもしれん」
「へ?」
「とりあえず制作会社の準備には、あと数カ月は掛かるから、それまでは『明日の猗窩座くん』シリーズでがっつり一緒に仕事をしよう。他の男優との絡みがないオナニーものは、全然出演してもらって大丈夫だからな、来週末は時間を開けておけ」
「・・・・・・・・・」
「もちろん、俺も見学に行くからな」
「・・・本気か・・・?」
「当たり前だろ。うちの新人が粗相をしないか見張りに行くぞ。お前は乱暴者で前科がありまくるんだからな」
なぁ、なぁ、猗窩座。
それってやっぱり公私混同じゃないのか、と俺は喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。そしてゆっくりと瞬きをしてから、じっと猗窩座を見つめる。 もしかして。
もしかしてだが。
猗窩座は俺のことが好きなのか?
他の男に触れさせたくないほどに?
なんだか不可解な感情に胸の内がじわりと侵食される気がして、俺は首を傾げた。
まずい。なんだか分からないが、顔がニヤけてしまいそうだ。
男に好かれて嬉しいはずがないのに。
借金まみれの俺に今はそんな権利はないが、完済したら可愛い彼女の一人も作りたいと思っていたのに。
猗窩座がふいに指を伸ばして、俺の頬を抓った。
痛い。かなり痛い。
「・・・気持ち悪い顔してるぞ・・・杏寿郎」
「う。・・・放っておいてくれ、バカ。君の顔だって十分気持ち悪るいぞ」
「・・・失礼だな」
結局は俺に残されたのは、更に増えた多額の借金なのだとしても、俺の心は妙に晴れていた。
借金なら、働けばいい。
働けば、いつかは返せるはずだ。
昼間に働いて、夜も働いて、休日もなく働いて。頑張れば、間違いなく全額を返す自信はある。
そして他の男達に抱かれなくてもいいというならば、金になるAV男優も続けてもいい。
猗窩座だけに触れられて、我慢できない淫らな身体を猗窩座だけに晒して。
そうすれば借金完済も見えてくるはずだ。
猗窩座への感情は、絆されただけだと思いたい。
こんなにも猗窩座が、気恥ずかしくなるほど猗窩座が
俺を労わってくれるから。 柔らかく頬と耳に触れてくる猗窩座の指の感触が気持ち良くて猫のように目を細めると、猗窩座が満足そうに喉の奥で笑った気がした。
完結
ご支援ありがとうございました 杏寿郎が自分の気持ちを自覚して
あわあわするワンクッションとかありーののあとで猗窩座を求めるところまで見たかった…
まだ終わるななのだ ありがとうございました
けれどすでにもう続きが見たいです お疲れ様です
すごく面白かった!
上の人の言う通りもう一押し欲しいけどここで綺麗に終わるのも良いと思う
腹ペコ可愛い杏とそんな杏に手を焼き世話を焼きのスパダリアカザのカップルは読んでて面白かったし、楽しかった、ありがとう エロじゃないキャラスレも、煉獄さん単品エロのスケベも荒らされたし、煉獄さんが公式から押されているのが気に食わないってのが水腐の動機だね 荒らすためにわざわざ長文連投して自分で自分にお礼レスを大量に付けてる義勇腐おばさん想像すると涙が出てくるな >>456
コテハン付けたせいで住民はあぼーんして自分以外に見えなくなってるのにねww >>411
愚痴スレのテンプレだけ見てきたけど特徴が完全に一致してて草生えた
この荒らしの性質を見てると義勇攻めが地雷だから数が多い煉攻めよりも
義煉が存在する煉受けへの嫌がらせに拘るんだろうな
><出禁荒らしの義受け腐(櫻井オタ)について>
>「炭腐は義を棒にしている」と激怒し2スレほど暴れて出禁になる
>・櫻井キャラの攻めが地雷。義炭と炭受け腐、水蟲と蟲を憎んでいる
>・愚痴スレ65で「炭腐出禁にして水腐出禁解除しようや」と言い出し賛成レスが48レスという自演工作を行って勝手に炭腐出禁スレを乱立した過去がある
>・劇場版のヒットからはわざとらしい煉獄ageによる対立荒らしも開始。 原作スレからもですが もろに
【重要】読解力がないように見えるのは反応を求めてわざとやってます
話が通じない相手は論破しようとせず徹底スルー
お触りは無言でこのレスへ誘導(忠告不要)
↓これまでのパターン抜粋
【特定キャラ・展開】を【読解力皆無】で【繰り返し全否定or盲目肯定】
・指摘する相手を荒らし扱い
・煉獄・しのぶ・ぎゆしのカプが特に嫌いでこれらのファンを装って荒らすことが多い
・非公式カップル認定誘い受け(ぎゆしの等)
・自演レス
・にわかのふりして質問 原作スレと愚痴スレって住民の層が違うと思うんだけど(一部は被ってても)どっちの住民にも似たような特徴を認識されてるとか
どんだけ特徴あるんだろこいつ >>458
>・愚痴スレ65で「炭腐出禁にして水腐出禁解除しようや」と言い出し賛成レスが48レスという自演工作を行って勝手に炭腐出禁スレを乱立した過去がある
水腐さん自演で賛成48レスとかアホすぎるだろww
工作バレるに決まってると考えられなかったんか草 あかれんの話しか書いてないのに
義勇腐って発想どっから湧くんだ 煉受けスレに粘着して猗窩煉を装った長文コピペ荒らしやってた件で正体バレてないと思える頭の悪さだから何度も繰り返すんだろうな >>461
ここでもやっぱり不自然な自画自賛レス大量に付けてたのは笑った >>464
コピペは
ここで長文書ける読める人間同士が楽しくやってるのを見て
コンプレックスを刺激された
国語の出来ない奴の仕業だろうよ >>467
いつも長文とセットで現れるから水腐の自演なのは明らか 偏差値55以上の学校にいけてたら
この程度長文とも思わない人間ばかりなのに残念な人生だね 水腐は5で長文と馬鹿にされる風潮すら知らないバカか 猗窩座側の目線も見たいな
気が向いたらまたよろしく 渋じゃなくてここに落とすのって対で自分の作品ネタにしてわいわいやられたくない人なのかな
愚痴スレで人の話を会話ネタにするな感想は直接言えって愚痴結構見かけるんだよね
感想は直接作家さんに伝えてあげよう >>476
支部に落とした方が閲覧増えるし自分も読み直せるから有難いけどそうかもね
たまに評価されると逆にやる気が削がれてくるって人もいるし 義勇腐の荒らしが猗窩煉を装ったコピペ荒らし目的で仕込み投下してるだけだね 長文ってレベルじゃねぇ荒らし量にそこを白痴で通そうとする奴らが何人も居る設定にはムリがある
って気づかないのね水腐は >>476-477
この間およそ3分
こういう突然不自然に返信が早い自演が各所にあるんだよね
爪が甘いんだよね水腐は 俺が彼に呼び出されたのは、実に二ヶ月ぶりのことだった。
男の俺のすべてを支配している、男。
俺は彼の言葉や行動に、決して逆らえない。
それは俺と彼の間に、年齢の逆転した主従関係が成立しているからに他ならない。
けれどそれは、決して無理強いされた訳ではなく。
ただ、彼にくまなく征服されていると気付いた時には、もう引き返せなかった。
知人の紹介で知り合った素山猗窩座は、二つ年下の起業家だった。
今風のイケメン…という表現では言葉が足りないくらいの美形で、美貌も地位も名誉も、おまけに金まで持っているという絵に描いたようなセレブだ。
しかし、少数精鋭で船出したベンチャー企業の経営に忙殺され、長らく恋人が居ないという噂も本当のようで、俺たちが親交を深めてもその空席が埋まることは無かった。
その凄まじい肩書きや見た目に反し、思ったよりも派手な生活を好まず、いつも飾らない猗窩座に俺は惹かれていった。
ただのしがないサラリーマンの俺なんかが相手にされる訳は無いと思いつつも、膨らんでいく気持ちをコントロールすることは出来なかった。
そして、その感情を明確に決定づける日が訪れる。
幼馴染みも同然だった友人が、急逝したという知らせを受けた夜。
気力も無く呆然と通夜の帰り道を歩いていた俺は、偶然車で通りかかった猗窩座に拾われた。
溢れ出る涙をどうにも出来ず泣くばかりの俺に寄り添い、猗窩座は黙って俺の眦に触れ、長く綺麗な指でそっと涙を拭ってくれた。
その時の温かくて優しい指先は、眩暈がするほど心地好くて、どんな慰めの言葉よりも心を満たした。
まだ曖昧な形でしかなかった俺の想いも、それではっきりと恋愛感情なのだと気が付いた。
こんなにも胸が高鳴るのは、この男に恋をしているからなのだ、と。
そう自覚して以降、更に勢いを増して膨らみ始めた想いは、ある時とうとう爆発する。 『君が好きなんだ。友人としてではなくて、その……恋愛対象として』
そう告白した俺に、少し意外そうに目を見開いていたが、猗窩座はその場ですぐに返事をくれた。
『じゃあ、付き合おうか』
あんまりあっさりと受け入れられたから、俺はてっきり両想いなのだと思った。
なのに、実際に付き合ってからの猗窩座は、忙しいと言っては何週間も連絡を寄越さない日が続き、かと思えば思い出したみたいに唐突に俺を呼び出した。
そしてその度、当たり前のように俺を抱く。
勿論、これまでだってそういう交際の仕方に疑問を持たなかった訳じゃない。
その日も、一月ばかり音信不通に近いおあずけ≠食らっている最中だった。
仕事が立て込んでいると言っていたはずの猗窩座が、街中で知らない女性と腕を組んで歩いているのを偶然見かけてしまったのだ。
さすがに見過ごせず、忙しいと言い張るスケジュールを無理矢理空けさせて、それを問い質したことだってある。
「もしかして、君は言い寄られれば誰とでも付き合うのか?」
すると猗窩座は、それを鼻で一笑して即答した。
「まさか。俺にだって好みがあるんだから、タイプじゃなきゃ付き合えん。だから、お前のことは特別に思ってるんだぞ」
その返答に言い知れぬ違和感を持ったものの、『特別』という甘い響きに絆されてしまう。
それ以降も何度か似たようなことがあったが、決定的な場面を見ていない以上、ビジネスパートナーだと言い切られれば頷くしかない。
何より、やっぱり俺は猗窩座が好きだったから、何も言えなかった。 この日俺は、例によって唐突な猗窩座の呼び出しでシティホテルへとやってきた。
残業で遅くなりそうだと連絡を入れたら、『金銭的に不自由はさせてないだろ。一分でも早く来い』と命令口調のメールが届いた。
だから最低限のノルマだけを片付けて、まだ残っている後輩社員に頭を下げてまで、大急ぎでここまで飛んできたのだ。
それだって明日の日曜は休日出勤確定だというのに、突然震えた携帯を見ると『ちょっと仕事の連絡が入った、一時間くらい部屋で待っていろ』という自己中心的なメールが入っていた。
俺が会いたい時には間違い電話一つしてこない癖に、自分が会いたい時は本当に強引で、ついでに身勝手だ。
…そんな風に憤りながらも、こうして必死に会いに来ているのだから、自分も大概馬鹿正直だと呆れる。
けれど、そういう衝動を制御出来ないほど会いたい、というのが俺の本心だった。
指示されたセミスイートに入ると、ジョンガリアーノのビジネスバッグが一つ、椅子の上に置かれていた。
猗窩座の愛用品であるそれを見て、二月ぶりに会える実感をひっそりと噛み締める。
スーツのジャケットを脱ぐと、胸元が微かに汗ばんでいることに気付いた。
あちこち走って慌てて駆けつけたのだから、汗くらい掻いていても不思議ではない。
そうは思ったものの、これから猗窩座に会うことを考えると、俺の足は自然とバスルームへ向かっていた。
汗を洗い流して元の服に着替えたが、70uはあろうかという慣れない広さにソワソワとし始める。
俺の住むワンルームマンションを優に上回る広さの部屋は、普通の会社員にとっては滅多に縁の無い贅沢な一室だ。
所在無げに室内の調度品をいじっていると、突然ドアがガチャリと開いて猗窩座が現れた。
久しぶりにその顔を見ただけで、俺は瞬きも忘れてしまう。
相変わらず何て綺麗な顔立ちをしているのかと、初めて会った時のような感覚でそれに見入ってしまった。
しかし同時に、飄々としたその表情で一気に不満がぶり返す。
「久しぶりだな」
何が久しぶり、だ。二月も人を放っておいて、その言い種は無いだろう。
大体予定から一時間以上も待たせたことについて、ごめんの一言も無いのか?
心中ではそう毒づくが、段々こちらへ近付いてくる猗窩座のオーラみたいなものに圧倒されて、身体が言うことを利かない。
「…ああ。元気に、してたか?」
「ああ。そんなところにいないで、こっちへ来て一緒に飲もう」
部屋の隅で動けなくなっていた俺を見兼ねてテーブルへと誘うと、猗窩座は冷蔵庫を開けて中を物色し始めた。
「何飲む? 備え付けだと、ビールとチューハイくらいしかないが」
「ビールは…好きじゃない」
「知っている。苦いのは得意じゃないんだろ?」
少し揶揄するようにそう言って顔を上げた猗窩座が、まだ大して立ち位置を動いていない俺を見る。
「ルームサービスで注文するか。何か適当に甘いカクテルとか頼めるだろうし」
黙って頷く俺を見てふっと口元を緩めた猗窩座に、思わずドキッとした。
猗窩座には、年下とは思えない妙に大人びた色気がある。
そしてそこに同居する、表現し難い…危うさ。
それに惹きつけられる人間が、この世にはどれくらいいるのだろう。
そんなことを考えてぼんやりとしていた俺に、痺れを切らした猗窩座がベッドを指差して言った。
「いつまでそこにいるんだ? 椅子が嫌なら、その辺にでも座ってろ」
部屋を横切り電話の受話器を取ると、メニュー片手にルームサービスをオーダーし始める。
俺はそれを見ながら、手前にあったベッドの端へ腰を下ろした。
オーダーを終えた猗窩座が、こちらを振り向いて徐にベッドへと歩み寄ってくる。
俺の心臓が、勝手に早鐘を打ち始める。
どうしてこんなにうるさいのかと戸惑うほど、息苦しいくらい胸が暴れていた。
しかし、猗窩座が俺の数歩前まで近付いた時、急に鼻孔をつく匂いを感じた。
フローラルでスパイシーな、フレグランスの香り。
女性の、匂い。
こんなに強く残り香を纏うのは、香りの主と濃厚な接触をしない限り有り得ない。
しかも、一度ハグしたくらいじゃここまでこびり付いたりはしない。
長い時間、狭い場所で身を寄せていたか、或いはもっと深く……
マーキングを思わせる人工的な香りに、頭がクラクラする。
今日は俺に会いたくて、俺が欲しくて呼んだんじゃないのか…?
なのに君はもう、他の誰かを…
さっきまでの高揚が急激に冷めて、今度は衝撃の鼓動が全身に響き出す。
冷や汗のような涼しさが、服の下で肌を掠めていくのを感じた。
こんな予感だけは、的中しないで欲しいのに…
俺が打ちのめされているとも知らず、猗窩座は隣にゆっくりと腰を下ろし、俺の耳を探り出すみたいに横髪に触れた。
そしてそのまま、耳に唇を寄せる。
「杏寿郎…シャワー浴びたんだな。いい匂いがする」
自分から立ち昇る香水には気付かないのか、それとも気にも留めていないのか、猗窩座は俺の匂いを嗅ぐように鼻を耳へと擦り寄せた。
「……っ」
あんなにショックを受けたはずなのに、身体は待ち侘びた接触に律義なほど反応してしまう。
ぴくんと肩を揺らした俺を見て、猗窩座はそのまま顎を攫って口付けてきた。
「……ん…!」
割れた唇の隙間から、ぬるりと舌が侵入してくる。
生温かい体温と、久しぶりに味わう猗窩座の唾液。
いろんな感情が渦巻いていたはずの脳を、重くて甘ったるい糖蜜のような多幸感に埋め尽くされる。
段々と、何もかもがどうでも良くなる感覚…
徐々に猗窩座の体重を感じ、押し倒されると感じた俺は、ハッとしてその胸を押し退けた。
「…っ、ふ……っ…は…。待て、って……。ルームサービス、来るんだろ…?」
「来たっていいじゃないか。勝手に入ってきたりはしない」
答えながら、猗窩座はすでに俺のワイシャツをたくし上げて中をまさぐっている。
「っ…そういう、問題じゃない……だろ」
「身体まで洗って待ってた癖に…」
「…ち、が……っ……ぁ」
シャワーを浴びたきっかけは違っていたけれど、結局はこのことを予測していたのだから、猗窩座の指摘が正しいのかも知れない。
胸へと圧し掛かるように顔を寄せてきた猗窩座の舌に、乳首を絡め取られる。
軽く歯を当てられただけで、腰が痺れてしまう。
その刺激と重みを支え切れなくなった身体が、背中からベッドへと倒れ込んだ。 「ぁ、あ……ぅ…っ」
執拗に吸い付かれ、吸い上げられた口内で舌先に嬲られる。
まだ下肢には触れられていないのに、すぐにでもイッてしまいそうなくらい性器が昂ぶっていた。
それも、無理も無い。
触れられるのは、二ヶ月ぶりだったんだから。
「は…あ…、……はぁ…っ」
もどかしく続く刺激に呼吸が乱れる。
胸ばかり弄られると、どうにも切ない。
みっともないとはわかっていても、熱を溜め込んだ下腹部が焦れて、無意識に両脚を擦り合わせてしまう。
それに気付いたのか、ピチャピチャという水音が止み、猗窩座が顔を上げた。
「もう欲しくてたまらないのか…?」
あくどい笑みを浮かべながらそう言われているのに、否定出来ないことが恥ずかしくて、俺は言葉を返せなかった。
「欲しかったら、奉仕しろ…」
猗窩座は身体を起こすと、膝立ちで自らのベルトを緩めジッパーを下げる。
そして取り出した自身を掴み、俺の唇にその先端を当てた。
もしかしたらこれは、さっきまで他の誰かの中にあったのかも知れない…
そう考えると、悔しさと屈辱と嫉妬で頭がおかしくなりそうだった。
混沌とする思考を押し込めて、俺はそれを口へと収める。
もしそうだとしたなら、その痕跡をすべて拭い取ってやる。
そう思いながら、猗窩座の隅々にまで舌を這わせ、丹念に舐った。 やりちんな猗窩座だった場合は宇ずいか炭治郎あたりに今度は出てきて頑張って欲しい
とりあえず続き楽しみにしてる 「…ん……、そう……上手いぞ…」
腰をゆっくりと前後させながら色っぽい声で言い、俺の頭を撫でるみたいに髪を梳く猗窩座の指。
俺を虜にした、あの指だ。
髪に触れられているだけで、異常なくらい感じてしまう。
頭から全身に、総毛立つような甘い痺れが駆け抜けた。
「ん、ん…っ」
褒められた分だけ励んでしまう単純な俺は、猗窩座の僅かな変化に意識を集中する。
どこを舐めれば、俺に触れてる指に一番力が込められるのか。
それを探りながら、夢中でしゃぶった。
口の中で形を変える怒張は、そのまま猗窩座の興奮の度合いを表している。
それが口一杯に体積を増すと、添えられていた指が俺の髪を掴んで揺すぶり始めた。
「ん…! んっ、…んっ…っ」
乱暴に出し入れされる性器から、舌がピリピリとした特殊な味覚を感知し始める。
「…っ、…出すぞ……」
そう言い猗窩座が一際険しく眉根を寄せた瞬間、熱く濃厚な体液が口内で弾けた。
俺はそれを一滴残らず受け止め、こくんと喉を鳴らせて飲み込んだ。
多量の吐精を終えた性器を抜き取り、顔を上げる。
すると、綺麗に飲み干したことに気を良くしたのか、猗窩座は満足げに口を歪めながら、くすりと笑って俺の唇に触れた。
「苦いのは得意じゃないはずなのに、これは例外みたいだな…」
「…バカ」
君が好きだから、出来ることなんだ。
そう言おうとしたけれど、僅かに微笑んだ猗窩座の顔に意識が持っていかれる。
綺麗な黄金色の大きな瞳と目が合って、また胸が跳ね上がった。
「…じゃあ、次は杏寿郎の番だな」
言いながら、猗窩座が再び俺を押し倒したその時、突如部屋のベルが鳴った。
「ルームサービスが来たみたいだな。受け取ってくるから、お前はここでテレビでも見てろ」
ちゅっと音を立てて頬にキスし、猗窩座はテレビのスイッチを入れた。
男二人で宿泊しているホテルの室内で、テレビもついていないのは不審に思われかねないという配慮なのかも知れない。
だが、行き届いた細やかな気配りは、経験値の多さも物語っている。
俺は不意に寂しさを覚えながらも、気を紛らわそうとチャンネルを回した。
いくつかの数字をランダムに押し続けていると、突然画面一杯に絡み合う男女の映像が映し出された。
世に言う有料チャンネルというやつだろう。
セミスイートになると、こんなのまでタダで見れるらしい。
こんなものじゃ慰めにもならなくなって、どれくらい経つのだろう。
猗窩座と知り合って、抱き合うことを覚えて、自分の身体は彼にしか反応しなくなった。
女性というよりも、猗窩座以外に興味が無くなったのだ。
思い返せば、そういう変化はいつから起きていたのだろうか…
漠然と考えながら、俺は久しぶり過ぎるAVを無心で眺めていた。
ルームサービスを受け取り終えた猗窩座は、テレビを見るや、サイドテーブルにカクテルを置いてすぐにベッドへと乗り上がってきた。
「こういうの、よく見るのか?」
「いや、最近は全然。…というか、俺は元々あまり見ない方だと思う」
「そうなのか? じゃあ、たまには一緒に鑑賞しようか」
「え…? でも……」
「少しくらい、いいだろ。たまに見ると、新しい刺激になることもあるんじゃないか?」
猗窩座に勧められたら、断れない。
俺たちは、そのままベッドの上でAVを見始めた。
言葉の上では嫌がる素振りを見せている女性と、それを卑劣なやり方で辱めていく男。
ストーリーが有るようで無く、結局は行為が目的のありがちな進行だ。
しかしいざ本番となれば、見せ物だとわかっていても、思わず見入ってしまうほど奔放で大胆なセックスを繰り広げる。
女優の品の無い嬌声を聞いているうちに、まるで自分のことのように羞恥が込み上げてくる。
俺も猗窩座の下で、いつもこんな風になっているのだろうか…。
そんな想像がよぎると、途端に居たたまれなくなり、視線を逃がすようにちらりと隣を見遣った。
猗窩座は、普段と変わらない表情でじっと画面を見つめている。
こんなものを見ている時でさえ、見惚れるほど整った横顔だ…。
そういう俺の視線に気付くと、猗窩座は口端を引き上げて唐突に俺の腕を引いた。
「見てるだけじゃ、満足できんよな…」
そう言って三度俺を押し倒しながら、テレビの電源を切る。
身体が密着すると、猗窩座の下肢に硬く形作られたものがあることに気付いた。
あまりに平然と見つめていたから、AVには何も感じていないのだと思っていたのに、そこはしっかりと男としての正常な反応を示していた。
しかし何故かそれが無性に気に障って、早々と俺を脱がしにかかる猗窩座の肩を掴む。
「…ちょ…っ、待って…くれ…!」
「何だ? 今更待ったは無しだぞ」
「そう…じゃなくて…、何か…嫌だ……」
弱々しく拒否してみるが、上半身を抑え込むように圧し掛かられていては、それ以上抵抗のしようもない。
手早くベルトを引き抜かれ、あっという間にボトムを太腿までずり下ろされる。
そうして露わになった下半身を見て、猗窩座は口元に薄い笑みを浮かべた。
「拒んでる割には、ちゃんと俺のプレゼントした下着を穿いてきてるじゃないか…。会う時はこれを着て来いと言ったのを守ってるんだろ? 言いつけを守るいい子だな…杏寿郎は」
形ばかりの抵抗とあまりに裏腹な現実を暴かれ、体面を保つことなど出来なくなった俺は、顔が一気に赤面するのを感じる。
これじゃあ、男を煽るために嫌がってみせるAV女優と大差無い。
恐らく、猗窩座にとっては、下着を贈ることに主従関係の確認以上の意味など無いのだろう。
『着て来て欲しい』と頼むことで、相手が自分にどれほど従属しているのかを計る行為でしかない。
そうとわかった上で、それを身を持って体現してしまっている俺は…本当にどうかしている。
だが今は、従順に流されてしまえるような状況では無かった。
猗窩座が自分を欲しがる限り、それに応えることは何の苦痛でも無い。むしろ、望んでそうしたいとさえ思う。
しかし、他人で昂ぶらせた身体を慰めるためだけの道具には、なりたくない。
猗窩座が卑猥な指使いで、下着ごと俺の性器を摩り始める。
「…、……っ」
身体はびくびくと反応を示してしまうが、なるべく声を上げないように口を閉じた。
それを見た猗窩座は一層意地悪な笑みを湛えて、一度は仕舞い込んだ自身を再び取り出すと、下着の上から俺の膨らみ始めたそれにあてがう。
「欲しくないのか…? コレ」
これ見よがしにヒタヒタと当てつけられ、性器に走る刺激にぶるりと全身が震えた。
欲望に傾きかける身体に耐えながら、いまだ捨てきれない独占欲という名の抗議に声を振り絞る。
「嫌だ、っ……! …それ、が感じたのは…、他の人だろ…。そんなので、抱くのか……」
その言葉には、猗窩座も一瞬目を剥いた。
けれど本当に一瞬で、その表情はすべてを懐柔するような冷笑に変わる。
俺は咄嗟にベッドから逃れようと、思わず身体を翻した。
しかし、すかさず猗窩座に足を掴まれ、腹這いになったまま身動きを封じられる。
振り返ると、恐ろしく冷めた色の柔らかい瞳がこちらを見下ろしていた。 「どこへ行くんだ? 杏寿郎。この部屋に逃げ場なんてないが?」
「猗窩座……! 離してくれ……」
「嫌だね」
即座にそう答えて、猗窩座は俺の足首を力任せに引っ張った。
身体ごと手繰り寄せられて、腰がその手にしっかりと固定される。
そして剥き出しの性器を、下着をつけたままの俺の尻へと乗せ、どこからか取り出したボトル入りのローションをその上からすべてぶち撒けた。
「…っ…!」
肌が火照っているせいか、やけに冷たく感じる液体が、ねっとりと纏わりつくように下着を濡らす。
「他の女で勃たせたのが気に入らなかったか…?」
言いながら、垂らされたぬめりを掬い取るように、硬い性器が尻の割れ目を下着越しに行き来する。
ジュク、という濡れた布が擦れる音が繰り返し響いて、俺の身体にも熱が蓄えられていく。
だって、そんな風に俺の上で動いているのは、他ならぬ猗窩座なのだ。
そう思うだけで、肌が粟立つ感覚に身震いしてしまう。
「一丁前に嫉妬したんだな…。でも、」
そう呟くと、猗窩座は俺の下着の裾を捲り上げ、その隙間から一息に自身をうずめた。
「ひ、…ぁーーっ!!」
「コレを咥えれば大人しくなる…。お前も、彼女たちと変わらんぞ」
猗窩座が入ってきただけで、ゾクゾクと全身を快感が走り抜ける。
俺は感覚全部でそれを受け取るように、きつく目を閉じた。
「あ、っ…ぁ…! ふ……ぁっ…」 気持ち良すぎて、瞼の裏ですらもチカチカと明滅している。
ただただうずくまるようにシーツを掴んで叫ぶしか出来ない。
止め処無く口から零れ続ける声も、はしたないほど悦びを孕んでいる。
最早隠しようもなく、いや、隠そうともせず、存分に猗窩座を味わっている自分がいた。
「ん、…っ……相変わらず、具合がいいな…」
抽挿しながらうっとりとそう言って、俺の腰を撫で回す。
それに俺は、またゾクリと身体を震わせた。
「んん……っあ、……あぁ…っ」
何度も後ろから突き上げられ、淫靡な水音が広い室内を響き渡る。
潤滑剤だけではない潤いを纏った猗窩座が、内側を濡らしながら蹂躙する。
そうされるともう、何も考えられなかった。
激しく前後に揺さぶられ、下着の中で膨張した性器がびくびくと痙攣している。
俺はもうそこに触れなくても達せるくらい、中だけで十二分に感じる不躾な身体になっていた。
「はぁ……っ」
「ぅ…っ、…あ……あ、っ…!」
言葉も無く、荒い息遣いと俺の喘ぎだけが時間を埋めていく。
ただ快楽に身を委ねて、互いの熱を欲しいままに奪い合っていた…その時。
───ピリリリリ
酩酊した意識をつんざくような高い電子音が鳴り響いた。
猗窩座が揺らしていた腰を止め、後ろを振り返る。
少しタイムラグがあったが、俺もやっとそれが携帯の着信音だとわかった。
猗窩座は奥深くに収めていた自身をずるりと引き抜くと、ヘッドボードの端に置いてあった携帯へと手を伸ばす。
それを手にしたかと思うと、すぐにこちらへ戻ってきた。 「こっち向け」
そう言って俺の肩を引くから、息も整わないまま促されるように反転して仰向けになる。
振り向いた途端、猗窩座は片手で俺の下着を引き下ろし、何の躊躇も無く正面から挿入してきた。
「っあ、ぁ…っ!」
ぬるつき、解されたそこは、無抵抗に張り詰めた猛りを受け入れる。
根元までそれを捻じ込むと、猗窩座は事もあろうにそのまま携帯を耳に当てた。
「どうした…?」
「!」
俺は驚きのあまり、目を見開いてその姿を凝視した。
こんな状況で電話に出るなんて、有り得ない…
指先すら動かせず、無意識に身体を強張らせていると、猗窩座は電話の相手と会話をしながらゆるゆると抽挿を始めた。
「仕事だと言っただろ。今か? 接待中だ。今日は帰らん」
「…ふ……っ…ぅ、っ」
緩急をつけて重く揺すられ、漏れ出しそうになる声を自分の手首を噛んで堪える。
それを楽しんでいるのか、猗窩座は俺を見下ろしながら一際深く貫いてきた。
「〜〜〜──ッ!」
敏感になった内側を乱暴に刺激され、声を噛み殺したくぐもった呻きが漏れる。
「ああ、それじゃ。おやすみ」
猗窩座は下半身を揺らしたまま受け答えて、余裕たっぷりに挨拶までしている。
しかもそれは、俺が聞いたことも無い、ナチュラルなイントネーションだった。
まるで、家族とでも話しているような口調。
相手は、一体誰なんだ…
電話を切ると、猗窩座はにやりと口元を歪め、携帯をベッドの後方へ放り投げる。
そして本番とばかりに、荒々しく腰をグラインドさせ始めた。
「あ! …ぁ…ぅっ…!」
好き勝手に抜き挿しを繰り返され、意識が吹き飛びそうになる。
俺はそれを瀬戸際で保ち、もつれる舌で必死に尋ねる。
「…っ……で…んわ…、…誰…だ…っ……?」
その問いに、猗窩座は中を貪る動作を緩めないまま、憚りもせずに答えた。
「婚約者だ。マリッジブルーってやつらしく、最近は連絡が多くてかなわん」
「ーーー!?」
胸の内でチリチリと焦れるように燻っていた嫉妬心は、瞬時に凍りついた。
言葉の意味を理解出来ずに固まっている俺を見て、猗窩座は平然と続ける。
「…あれ、言ってなかったか? 来月、入籍予定だ」
脳が誤作動でも起こしたみたいに、思考が停止する。
頭が真っ白になるというのは、こういうことなのだろうと実感した。
結婚………、するのか…………?
瞬きの機能を失ったように見開かれた瞳に、猗窩座の情欲に濡れた顔が映り込む。
ほんの僅かに吊り上がる唇。
それを見て、俺は妙なほど納得していた。
猗窩座は表情を失った俺に覆い被さると、優しい声で耳元に囁く。
「大丈夫だ。俺が結婚しても、お前は愛人にしてやるから」
そのままべろりと耳を舐め上げると、全身を使って激しく自身を打ちつけ始めた。
「……っ、う…っあ…! あ、…あぁ…っ──」
心を埋め尽くす嘆きすらも、否応無くこの男に支配される。
感情すら通り越す獰猛な快楽という獣に、手足を一つ一つ、食い千切られていくかのように。
「…猗窩座…ッ、…好きだ……! あ…っ…、猗窩座…───!」
突き上げられる度にそう叫んで、綺麗に引き締まった身体にしがみつく。
俺たちがどんな関係であろうと、この気持ちだけは変わらない。
それほど俺は、猗窩座に溺れていた。
きっと出逢った瞬間から、こうなることは決まっていたんだろう。
無意識で猗窩座に惹かれた俺が、自ら選んだのだ。
絶対的支配者である彼に、隷従することを。
その決して報われることの無い、愛の形を──────
翌朝俺が目を覚ますと、猗窩座は丁度シャワーを終えたところだった。
見慣れないバスローブ姿にうっかり目を奪われていると、猗窩座はその足でこちらに近付き、ほんの数時間前まで繋がっていた俺に飽くことなく迫ってくる。
「仕事に、行かないと……」
一度はそう言って抗ったが、身体中に熱い唇を注がれ、
「行かせん」
そんな風に言われたら拒み切れるはずも無く、まだ痕跡の残る内側に、猗窩座の治まらない欲を受け入れた。
それにまたみっともない声を上げて、悦びに打ち震える身を持て余す。
半日にも満たない時間の間で、何度そうしたのか最早わからなかった。 支援
作風がまたガラッと変わってきて凄い
きょじゅろがかわいそうだけどどんな話になるのか楽しみ ベッドへ腰掛け、寝そべる俺の髪をあの指で梳きながら「行ってくる」と告げて出て行った猗窩座に、鼓動が鎮まらない。
起き上がることも出来なくて、その日俺は、人生で初めて仕事をすっぽかした。
三ヶ月後───
俺は人づてに、猗窩座が盛大な式を挙げたことを知った。
そんなこと知りたくもなかったのに、企業としての評価も上がり始めた新進気鋭の若社長は、嫌でも噂になる。
俺は空返事みたいな反応でその話題を流して、黙々と仕事をこなす日々を送っていた。
もう連絡は来ないのかも知れない。
そんな考えがよぎると、底の見えない絶望に呑み込まれてしまいそうになる。
だから、退屈な時間を作らず仕事に没頭することが、俺の唯一の逃げ道だった。
これで終わりの方が、互いのためかも知れない。
君は、すべてを手に入れたのだから。
俺は、求められたらきっと応えてしまう。
それは……いけないことだ。
けれど、もし。
もしも君が、それを望むなら……───
暗くなったオフィスに、自分の打つタイピングの音だけが無機質に響く。 そんな静寂を、突如けたたましく鳴り出した電子音が乱暴に破った。
一際大きく設定された、携帯の指定着信音。
三ヶ月ぶりの、人のものになった猗窩座からの着信だった。
俺は微かに震える指でそっと画面に触れ、手にした携帯をゆっくりと耳に当てる。
『杏寿郎? 久しぶりだな。これから、会えるか…?』
───それでも、俺を求めてくれるなら
「…………何処に、行けばいい?」
もう、君の声しか、聴こえない。
おわり
支援ありがとうございます
案外どの時間にも誰かいるので驚いてます お疲れ様です
短編だったのね
Mっ気のある杏さんとても良かったです 面白かったです!ありがとう
杏寿郎がかわいそうでちょっと切なくなったのでラブラブな感じのもお待ちしてます 自分の犯行を点でしか捉えられないからほんと草
線なんだが ごめんなさい
引き続ききょじゅろかわいそうなのやってから、ラブラブになれるやつやります 水腐荒らし原作スレでもってるワッチョイ特定されたから(ad入りとササクッテロ)だから暴れられなくなったんだってさ 続くようで良かった!
ラブラブになるまで見たいです 過疎スレに長文投下される時間帯だけ唐突に大量の賞賛レスが湧くの草
荒らし水腐マジでこんな猿芝居が通用すると思ってるのかな こんなところまで監視しに来てるのきもいわ
続き待ってまーす 名前あぼーんで全て消えるのにバカだよな
荒らし本人以外には見えない長文連投と自画自賛レス連投が仕事の義勇腐オバサン
>>479
ほんとこれ 監視だってw自分が落とした言うて宣伝に来てるのに水腐w >>458が貼ってたこれ思い出したw
荒らし方を少し変えても頭の出来は同じだな
>・愚痴スレ65で「炭腐出禁にして水腐出禁解除しようや」と言い出し賛成レスが48レスという自演工作を行って勝手に炭腐出禁スレを乱立した過去がある >>506
というか内容がワンパだからバレるようになった 次の新作もこの連休中に拝めるのかな
なんか水腐水腐いってる
チーム国語偏差値35メンバーもぴったり合わせて出てきてるよね
君ら自演かwww 荒らし義勇腐の言動がまんまこれだな
>>459
>・指摘する相手を荒らし扱い 水腐の特徴的な傾向に追い込まれると住民sage発言もあるよね 小説読みたいだけで
水腐とは別人ですしおすし
君ら長文読めないとは哀れだなぁ
よく馬鹿にされたよねきっと
よしよし ひがむんじゃないよ まだこのキャラで通せると思ってる義勇腐の頭の悪さは筋金入りだな
アホだからどこに行ってもすぐに正体バレて複数のスレでテンプレや注意書き作られてるくせにw スルーしてるんだから構わないの
大人しく続きの投下待とう ふあああああ
墓地のあかれ好きすぎる
猗窩座が今かわいそすぎてちょとつらいTTTTT このコテハン義勇腐いつもふざけた名前つけてて猗窩煉や煉獄受けへのアンチ感情が隠し切れてないの笑う
頭悪いから成り済ましも下手くそなんだよな >>538
それいつも思ってたわ
荒らし本人は無自覚にボロ出しまくりなのが面白くて黙ってたけどw >>497
苦しみ抱えながら猗窩座との関係を切れない愛人杏寿郎いい…
傲慢に杏寿郎を抱く猗窩座いい…
>>533
墓地のあかれんってなに?!
どこかの二次?! 自演で質問するフリしながら嫌がらせで二次ヲチ晒しする気か
この義勇腐マジで悪質すぎる 荒らし義勇腐が煉獄受けに粘着してる理由は>>411とか>>458で説明されてる通りなんだろうけど
その中でも猗窩煉を潰そうと必死になってるのって煉受けカプの中では独立スレの勢いが今一番あるからムカついて仕方ないんだろうね
去年の映画ヒットからもう9ヶ月くらい煉獄の粘着アンチやってスレ荒らし続けてるほど嫉妬に取り憑かれたキチガイだから
もはや煉獄ファン達が楽しそうに盛り上がってること自体が許せないんだと思う 君ら暑いからって部屋に閉じこもってないで市民プールでも行って外の空気吸ってきなw
長文読めなくてもそれなら出来るでしょ
哀れだなぁ >>543
そうなったら前にバレてたこいつのツイ垢を晒してやればいいんじゃねw 人違いで晒し案件で訴えられて前科者になる君ら可愛そうwww >>543
嫌がらせで猗窩煉の二次を晒して更にそれを猗窩煉オタに擦りつける二重の嫌がらせをしたいんだろうね
とっくに正体バレバレの状態で実際にやったら水腐のイメージが悪くなるだけなのに馬鹿すぎる これまで二次ヲチの話が出ても知らん顔してたくせに荒らし義勇腐のツイ垢の話が出た途端に慌てて>>547で晒すと前科になるぞ!と必死で脅してるあたり
やっぱり義勇腐の荒らし本人なのがモロバレでめちゃくちゃ面白いなw >>549
どうせ発狂するだろうなと思って言ってみたら見事に尻尾を出してくれて草って感じだよ
いやぁバカって本当に予想通りの反応を返してくるね ホントのことは誰が言っても同じなのに
長文が読めないというのは思考力の低さが土台にあるのかな
○行前の内容と今読んでる内容つなげて理解しないとつまらないんだから、そうなのか、なるほど。
いいよいいよー、信ずるままにするといい。君らの人生だからね ハハハ 目の前に書かれていることが理解できず
脳内の願望のみを頼りとする
そりゃ成績悪いわ
お気の毒 偏差値とか成績に何かコンプレックスでもあんの?水腐は
社会に出たらそんなもん何の価値もないんですが どこに行ってもすぐに義勇腐の荒らしだとバレて馬鹿にされてるから自分の頭の悪さにコンプレックス持ってんじゃね なんかこのスレ漫画とかに出てくる主人公に一発で倒されるような子悪党的な口調の人多くない 続きちまちま投下します
ちまちましますので支援不要です カフェのテラス席でノートパソコンを広げながら仕事をするサラリーマンの姿は、割とよく見る光景だ。
熱々のコーヒー、場合によってはスイーツなんかを脇に置いて、営業マンの優雅な昼下がり≠ニいった洒落た雰囲気を醸し出している。
けれど、そういうのは俺には向かないとずっと思っていた。
何故なら、仕事に夢中になると手元のコーヒーを疎かにして、淹れたてが売りの飲み物はすぐに冷えてしまうだろうと想像できたからだ。
しかも冷え込み始めた季節柄、直接外気に触れるこの席では、熱を奪う早さも格段に増している。
案の定、次の会議の資料作成に没頭してしまった俺の傍らで、一口だけ口を付けたコーヒーカップはすでに湯気を失っており、タイピングの度に波紋を浮かべるだけの代物になっていた。
そんなことにも気付かず、ただ一心にパソコンへと向かいながら、キーボードを叩く。
時々ずり落ちてくる黒縁の眼鏡を指先で押し上げながら画面に見入っていた俺は、すっかり状況を失念していた。
「眼鏡かけると、いかにも優等生って感じで老けるな」
突然正面から聞こえた声に驚いて顔を上げると、向かいの椅子にはいつの間にか猗窩座が座っていた。
暖かそうなバーバリーのチェスターコートを羽織った姿は、派手ではないのに相変わらず人目を惹く。
いつからそこに居たのか、のんびりと頬杖をつき、こちらを見物するように眺めていた。 ここで待ち合わせを始めて一時間弱、俺はすっかり時間潰しの方にのめり込んでしまっていたらしい。
老ける≠ニ言われたのが気になって、仕事の時だけ着用している冴えない眼鏡を外そうと手を掛ける。
するとそれに気付いた猗窩座が、ふっと鼻を鳴らしながら微笑んだ。
「冗談だ。あんまり似合ってて可愛いから、意地悪を言いたくなったんだ」
今度は唐突にそんな風に言われたから、外しかけた眼鏡から思わず手が滑り落ちた。
猗窩座が直球で甘い言葉を囁くなんて、一体どうしたんだろう。
そういう言葉で時々強烈に甘やかされると……困る。
これまで何度考えたかわからない『次こそ別れを切り出そう』という気持ちが、ぐずぐずに崩れてしまう。
それくらい、嬉しい。
…まずい……、顔が熱い…。
俺は慌ててパソコンを閉じた。
「来てたなら、声を掛けてくれればいいのに」
「久しぶりに見る杏寿郎の顔に見惚れてな」
「……──っ」
───俺達が会う時は、いつだって久しぶりだ。
今月は会えるのだろうか…毎月そう考える。
俺に幾ら時間があったとしても、会えるかどうかは猗窩座次第。
俺達は、そういう関係だった。
「…冷えてきたな。移動しようか」
「……ああ」 行き先も告げずに立ち上がる猗窩座に、ただ従うように返事をして、ビジネスバッグにパソコンを仕舞い込む。
それから、差し出された猗窩座の手を取った。
問題は、この手を取ってしまう俺自身にあるのかも知れない。
何処へ行くのか、大体予想はついているのに。
二人きりになると、途端に猗窩座は豹変した。
さっきまでの紳士的な態度は消え去って、支配者たる風格を存分に発揮する。
サディスティックとも言える性癖を露わにして、俺に奉仕を求めた。
「…っ、…ん……っ…」
「…イイぞ、杏寿郎……。もっと、舌動かせ…」
ベッドに腰掛けた猗窩座の下肢に縋り付くようにして、太く膨張した性器を貪る。
喉の奥まで突き刺さるような猛りに犯されて、苦しさのあまり眦に生理的な涙が滲む。
だけど、それを労うように髪をまさぐってくる猗窩座の指の感触に、俺はゾクゾクと身体の芯が痺れるのを感じていた。
猗窩座の身体からは、いつもいい匂いがしていた。
それは恐らく彼のフェロモンというやつで、そう感じてしまうのは惚れた弱みに他ならない。
その匂いがとにかく好きだったから、「もっと」とせがまれれば素直に励む気になれた。
俺は言われるまま舌を波打たせて、浮き出た血管や筋をなぞるように愛撫する。
猗窩座の顔を見る余裕は無かったが、その代わり口の中でビクビクとうねる性器の反応が直接良し悪しを教えてくれた。
「ん……、…」
くぐもった声が漏れたから、多分イキそうなのだと直感した。
俺は追い立てるように口を前後させて、全体を擦るように刺激する。
その度、自分の唾液なのか漏れ出した蜜なのかわからない液体が溢れて、口端から弾け飛んだ。 「…はぁ……っ」
猗窩座は一つ息を吐くと、突然俺の後髪を掴んでそこから引き剥がす。
そして驚いている俺の顔の上に、勢い良く射精した。
「っ…───!」
咄嗟に閉じた瞼の上にも温かい精液が降り注いで、ねっとりと纏わりつく。
こんなことをされたのは、初めてだ。
吐精が終わると、俺は唇にも跳ねてきたそれをぺろりと舐め取りながら、ゆっくりと目を開く。
猗窩座の恍惚とした表情が見えた途端、言い知れぬ充足感がじんわりと胸を満たしていく。
「……お前には、眼鏡よりこっちの方がずっとよく似合う」
褒められている訳ではないと知りつつも、最愛の人の欲望にまみれた姿が「似合う」と言われれば、心中は勝手に喜んでしまう。
その時の俺はきっと、猗窩座よりずっとだらしない表情をしていたんだと思う。
───いつからおれは、こんな不埒な人間になってしまったんだろう……
久々に会っては、セックスする。
そんな歪な関係でも、俺は満足していた。
勿論普通にデートしたり、旅行に行ったり、そういう恋人らしいことをしたいという気持ちもあったけれど、現実問題それは無理だ。
そもそも、俺は猗窩座の正式な恋人ですらない。
だから、いつ会えなくなってもおかしくはない。
会えないよりは、不倫関係でも、繋がっていられる方が幸せだ。
……そう、思っていた…のに。 「このガレット、うまいな」
「そうだな。この生ハムの塩気が効いている」
この日俺達は、珍しくディナーデートをしていた。
現状を幸せなのだと謙虚に受け止めれば、たまにはこういうご褒美もあるのが人生だ。
こんな洒落た店で猗窩座と食事出来ることが嬉しくて、俺は若干テンションが上がっていた。
だって、これだとまるで、普通の恋人同士みたいだから。
今、店員や他の客にはきっと、それらしく見えているんじゃないだろうか…。
同性だってことも、猗窩座が既婚者だってことも忘れてそんな風に考えてしまうほど、俺は浮かれていた。
「たまには、俺も飲もうかな」
「じゃあ、フルボトルで何か一本頼むか」
「猗窩座が選んでくれ」
浮かれている理由はそれだけではない。
前回の呼び出しから僅か二週間程度で再会出来たことも、その要因の大きな一つとなっている。
こんなに短い間隔で呼び出されるなんていうのも、最近ではかなり稀なケースだった。
その程度のことで、必要とされていると感じられた。
向かいの席で、ビロードのメニュー表を開いてワインを吟味している猗窩座の俯いた顔に、髪に、指に、順々と視線を吸い寄せられる。
見入っていたことに気付いて目を逸らすが、また知らないうちにあちこちを凝視していた。
そうして思い知らされる。
自分がどれほど、彼に溺れているのかを。
料理とともにワインボトルが運ばれてきて、俺達は豪華なディナーを満喫した。
記念日でも何でもないが、そんな日だからこそ俺は嬉しかった。
他愛も無い会話と美味い食事を素直に楽しめる時間、そして目の前の男が、とてつもなく愛おしかった。 テーブルが綺麗に片づけられ、ドルチェを待つのみとなった頃だった。
「悪い、会社から電話だ、少し外す」
珍しく丁寧に断りを入れてから、猗窩座は携帯を手に席を立った。
妙なくらい礼儀正しくて、俺は少し面食らう。
いつもは腹が立つくらい自分勝手な癖に、今日は本当に調子が狂う。
口直し代わりに濃艶なボルドーの赤ワインを一口含んで、腕時計を見た。
もうすぐ22時になる。
無意識に、今夜はこのままホテルに流れるコースかな…などと考えている自分に気付いて、俺はアルコールでただでさえ赤い顔を一人で勝手に火照らせていた。
暫くして席に戻ってきた猗窩座の顔色は、僅かだがあまり芳しくない。
それが気になって、俺は思わず声を掛けた。
「大丈夫か…? 何か、トラブルとか?」
「いや、俺が社に資料を忘れたという電話だった。今夜どうしても必要なものじゃないと言ったんだが、秘書が届けると言って聞かなくてな。これからここへ持ってくるそうだ」
「そうか。出来た秘書だな。部下に恵まれて、経営も軌道に乗ってるみたいだし、左団扇じゃないか」
「そんなんじゃない。彼女は、お前に会いたいんだ」
「…え?」
俺は思いがけない言葉に驚いて、反射的に聞き返してしまった。
猗窩座の秘書とは、これまで何度か顔を合わせたことはあった。
ビルは離れているが、同じオフィス街で働く俺達は、時々外で互いの姿を見かけることがある。
付き合い始める前から、猗窩座が女性秘書と車に同乗しているところを度々見かけていた。
そういう場面に出くわすと、わざわざ頭を下げてくる行儀の良い女性だとは思っていたが、目が合っても会釈をするくらいの言わば顔見知りに過ぎない。
そんな人がどうして俺に会いたいなんて話になるのか、見当もつかなかった。 きょとんとしている俺に、眉を下げた猗窩座が冷やかし半分の苦笑を漏らす。
「気付いてなかったか? 彼女、お前がタイプなんだそうだ。杏寿郎のことは『特別な友人』と伝えてあるから、あわよくばこれを機にきっかけを持とうとでも思っているのかもな」
想像だにしなかった情報を与えられ、俺は一層驚いた。
そんな印象を持たれていたなんて、思いもしなかった。
「…でも、それは君の憶測だろ?」
「それもあるが、本人から直接聞いてるからな。素敵な人ですね≠チて言ってたぞ」
まさかそんな話をしているとは考えもしていなくて、俺は反応に困った。
男として、嬉しくないことは無い。
けれど、猗窩座があっさりとそれを言ってのけることが少し寂しくもあり、正直複雑な心境だった。
それから15分ほど経ち、ドルチェが運ばれてくるのとほぼ同じタイミングで、女性秘書がA4サイズのファイルケースを手に現れた。
黒髪セミロングの清楚な印象の彼女は、こちらに一度お辞儀をしてから猗窩座に歩み寄る。
「こちらが、定例会の資料です」
「ありがとう」
「お食事中、お邪魔してすみません」
そう言って、彼女は再度俺を見た。
ピッタリとしたスーツに身を包んだ秘書は、女性らしいボディラインをくっきりと強調し、知的さの中に閉じ込めた確かな色っぽさを醸し出している。
それは目で見てわかるのだが、それよりもシンプルなカシミヤのセーターを着ているだけの猗窩座に見惚れているのが俺の現実だ。
これじゃあゲイみたいじゃないか…。
時々自分でもそう思って頭を抱えるが、別に男全般に興味がある訳ではないのだからと否定を繰り返す。
その時点で、自分の中のセクシュアリティーにもかなり乱れが生じているということなのだが、そんなことには全く気が付いていなかった。 「いつも社長がお世話になっています」
「いや、こちらこそ…」
世話になっている、という言い方はやや生々しくて、俺はそこまでで言葉を切った。
「社長は多忙で連絡がつきにくいこともあるかと思いますので、もし緊急の時などは、こちらにご連絡ください」
そう言って差し出された名刺を、仕事の癖で思わず受け取ってしまう。
「ありがとうございます。では、こちらも」
そうなるとサラリーマンの性質上、交換しなければいけない衝動に駆られて、俺は自分の名刺も彼女に手渡した。
「すぐ近くのオフィスにいらっしゃったんですね」
「はい、まあ」
「御社のお噂はかねがね伺っています」
「そんな。ごくごく普通の中小企業ですよ」
ただの社交辞令程度の拙いやり取りだったが、丸テーブルの反対側から猗窩座の意味有りげな視線が注がれているのがわかる。
俺がちらりとそちらへ目を動かすと、彼女もそれに気付いたのか、手早く名刺を仕舞った。
「私はこれで失礼しますので、どうぞごゆっくり。お邪魔致しました」
軽く会釈されたから、俺も同じように頭を下げる。
彼女が完全に立ち去ると、黙ってワインを傾けている猗窩座の向かいで、ドルチェをつつき始めた。
上にのっかっている木苺ごとベリームースをフォークで掬い取って、口に含む。
溶けて無くなるような食感とともに爽やかな酸味が広がって、俺は思わず目を見開いた。
「これも、なかなか美味い」 続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
楽しみです 次々と手が進み、あっという間に俺の皿は片付こうとしているのに、猗窩座はまだ無言のままこちらを見ている。
「…食べないのか?」
居たたまれなくなってそう尋ねると、猗窩座はようやく持っていたワイングラスをテーブルへ置いた。
「彼女、どうだ?」
「え…?」
「だから、俺の秘書」
「どう…って。綺麗な人だな、とは思ったが」
「すごく清楚なイメージ持っただろ? だけど彼女、あれでいて結構遊んでるんだ」
俺は猗窩座の言葉の意図がわからなくて、フォークを止めたまま眉根を寄せる。
「…どうしてそんなこと言うんだ?」
優秀な自分の秘書を、敢えて貶める理由がわからない。
俺の訝しげな表情を見つめたまま、猗窩座はテーブルの上に腕を組んで、少しだけこちらに乗り出すような姿勢で口を開いた。
「お前も遊ばれないように、忠告をしておこうと思っただけだ」
意外な進言に、俺はまた面食らう。
それは、嫉妬…だったりするのだろうか。
一人ひっそりとそう思うだけでも、悪い気はしなかった。
「そんな心配は要らない。俺は、君にしか興味が無いから」
何も安心させてやるようなことを言う必要は無かっただろうに、気が大きくなった俺は自信満々にそう伝えて、最後のムースを口へと運んだ。
すると、猗窩座もやっと表情を緩めてドルチェに手を付け始める。
その後は仕事や趣味の話をしながら残りのワインを綺麗に飲み干して、豪華なディナーは締めくくられた。 ホテルへと向かう途上、拾ったタクシーの後部座席で必要以上に身を寄せた身体が、早くも反応を示し始めていた。
それは、いつもよりスキンシップが過剰な猗窩座のせいだ。
「最近三つ星を取ったっていう創作和食のレストランに行きたいんだが、予約が三ヶ月待ちらしい」
「へぇ、よっぽど美味いんだろうな」
「ああ。でもそんなに先だと、俺の仕事の予定がわからないから、なかなか行けそうにないな…。お前はどこか、行きたい店とかあるのか?」
「んー、そうだなぁ。俺は、たまには中華とか……」
何の変哲も無い会話の途中、猗窩座が突然俺の左手を握ってきた。
驚いて振り向くが、猗窩座は車窓の景色を眺めていて、表情すら見えない。
「……猗窩座…?」
小声で名前を呼んでみるが、こちらを向く気配は無い。
一度ドキリと跳ねてしまった心臓は、それを皮切りにタガが外れたように早鐘を打ち始めた。
一人その対処に苦慮していると、猗窩座の手が、俺の左手を握ったまま内股を撫でるみたいに滑ってくる。
今、ただでさえ熱い身体に火がつくのは一瞬だ。
俺は思わず運転手の背中をちらっと見遣って、改めて状況を再認識する。
ここは、二人きりの空間ではないのだ。
そんな中で敏感な場所に触れられるなんて、想定外も甚だしい。
俺は動揺を抑えながら、小さく抗議した。
「…猗窩座…っ、場所を考えろ…」 「そういう余計な言葉を発しなければバレんぞ」
窓側へ向けていた顔をこちらへ傾けて、猗窩座は囁くような声でぼそりと言った。
「……っ、…けど……」
バレるバレない以前に、ホテルまで持つかわからない。
そこまで欲求を持て余しているなどとは口が裂けても言えず、段々と際どい場所へ近付いてくる手に、俺はただ狼狽えるばかりだった。
けれどそんな戯れは、一本の電話で呆気無く終わりを迎える。
猗窩座が空いている左手で、徐にポケットから携帯を取り出した。
瞬間、脳裏を過ったのは嫌な予感どころじゃない。
唯一、その携帯を自由に鳴らす権利を持っているひと。
俺の頭には、真っ先にその人のことが浮かんだ。
一度もその顔を拝んだことは無かったのだが、逆にそれが災いして、俺の中で彼女は非の打ち所の無い才色兼備の美女として想像が膨らんでしまっていた。
「…わかった、そっち向かうから」
するりと解けた猗窩座の右手から、体温も時間も、電話の向こうに奪われた気がした。
携帯を仕舞った猗窩座がこちらを振り向きながら、柔らかな口調で言う。
「すまん。近くに居るらしく、迎えに行かなきゃならなくなった」 こんな時だけとびきり優しい声を出す君は、本当にひどい奴だよ…
そう言われて俺は、どうしたらいい?
こんなところで駄々を捏ねたって、どうにもならないことぐらいわかってる。
だから、最初から頷く以外に選択肢なんて無いじゃないか。
「…そっか、仕方無いな…」
聞き分けよく承諾しても、嘘のつけない顔だけは見られないように俯いた。
愛人が正妻に敵う道理は無い。
俺は自分自身にさえ、立場を弁えている振りをした。
「……じゃあ、ここでいいよ」
「え? 俺が途中で降りるから、杏寿郎はこのままマンションまで乗っていけ」
「いや、いい。迎えに行くなら車が要るだろ。君も飲んでいるんだし、俺が降りる」
意地になっていた訳じゃない。
ただ、歩いて帰りたかった。
こんな身体で家に着いてしまったら、自慰でもしなきゃ眠れそうにもない。
だけど、勿論そういう気分にもなれない。
そんな惨めで長い夜は御免だと思い、半ば強引にタクシーを降りた。
「それじゃ、また」
珍しく物言いたげな色を残している猗窩座の瞳を無視して、俺はそそくさと夜道を歩き出した。
いつもならタクシーが見えなくなるまで見送っているのに、今日は振り返りもせずに。
こんな気持ちになるくらいなら、一思いに別れた方がマシなんじゃないか。
今夜みたいな日は毎回この葛藤に陥って、「次こそは」と思いながらも、猗窩座に会うと身体ごと思考も溶かされて、結局は振り出しに戻る。
いつまでも同じ螺旋に嵌ったまま、抜け出すことも出来ない。
───こんな関係で満足だなんて、嘘だ。
眠らない夜の街はまだ明るく、人気も決して少なくない。
行き交う人波にはやたらとカップルが目立ち、自分だけが彼らと逆行して歩いているかのように感じられた。
足早に舗道を歩くと、木枯らしのような夜風が強さを増して吹き抜ける。
俺は口元まで埋めたマフラーを押さえながら、無心で歩き続けた。
風に抗うようにやや前傾姿勢で歩いていた俺の視界に、突然大きな革靴が飛び込んでくる。
艶やかに光った黒いエナメルの紳士靴は、正面で行く手を阻むように止まった。
ふと視線を上げると、ホスト風のいでたちをした男が立っていた。
「ねえ、お兄さん、一人?」
目が合うや慣れ慣れしく声を掛けてきたから、いくら無知な俺でもわかる。
「少し時間あったら、一杯付き合ってよ。奢るから」
これは、ナンパってやつじゃないだろうか。
身長177はある俺を女性と見間違うはずがないから、性別を気にしない人種か、もしくは男専門なのかも知れない。
明らかに年下だが、こういうことには年齢もあまり関係無いのだろう。
出会い頭がすべての始まりで、礼儀作法も脈絡も無いマイペースなモーションは続く。
「もしかして、迷ってる?」
男は黙ったままの俺の様子を窺うように、マフラーで半分隠れた顔を覗き込みながら尋ねてきた。
ご機嫌を取るようなその仕草に、ほんの少しだけ優越感を覚えた。
「考えてくれてもいいからさ、寒いし、とりあえずどこか入らない?」
そうだ、ひどく寒い。
寒くて堪らなかったから、温まれる場所ならどこでも良い。
そう思うほどに、身体の外も内も冷えきっていた。 自演で支援するの面倒くさくなって予防線張ってるの滑稽ですよ、義勇腐さん ファッションホテルの室内には、簡素なダブルベッドと安っぽいシャンデリアがあるだけだった。
妖しげなピンク色の照明が、気持ち悪い。
奥にはガラス張りのシャワールームが見えていたが、男はそちらには興味も示さず、部屋に入るなり俺のマフラーを解いてまじまじと顔を覗いてきた。
「やっぱり、すげータイプ」
興奮を露わにそう言われても、嬉しくは無かった。
この時点で、外で感じた僅かばかりの優越感はとうに霧散していて、自分の浅はかさに気が滅入り始めていた。
歳の頃も身長も猗窩座に似ているからという理由だけで、見ず知らずの男とホテルに来るなんて、俺は本当にどうかしている。
これじゃあ、ますますもってゲイみたいだ。
そう後悔したのは、男にキスを迫られてからだった。
俺は思わず顔を背けて、腕を突っ張る。 「…っ、キスは…嫌だ…」
「ここまでついて来ておいて、今更それは通用しないっしょ」
強めに肩を掴まれ、再度唇を寄せられてはっきりとわかった。
気持ち悪いのは、照明だけじゃない。
やはり、男と身体を触れ合わすなんて生理的に無理なのだ。
猗窩座が特別だったのだということを、改めて思い知る。
こんな下品な男を猗窩座の代わりにしようとした自分が馬鹿だった。
「すまん、やっぱり無理だ。帰る」
「おい、そういうわけにいくかよ。もう支払いは済んでるんだぞ!」
「なら、その分は払う。とにかく、無理なものは無理なんだ」
財布から一番大きな額面の紙幣を一枚取り出してベッドへ放ると、男を押し退けて部屋を飛び出す。
エレベーターを待たずに、廊下の突き当たりから非常階段を駆け下りた。
人気の無いエントランスを通り抜けると、目の前にネオンの明かりが見える。
そのまま急ぎ足で出入り口の自動ドアをくぐった瞬間、背後から伸びてきた手に腕を掴まれた。
振り返ると、険しい顔つきでこちらを睨む男と目が合う。
俺が階段を下りている途中で、エレベーターに乗ったのだろう。
先回りまではされなかったが、すんでのところで捕まってしまった。 「金払えば済むと思ったら大間違いだぞ」
「離してくれ! 出来ないものは出来ないと言ってるだろ?!」
「なら何で黙ってついて来たんだよ!」
ホテル前で言い争っていても、道行く人は皆我関せずという顔で素通りしていく。
フロントに立っていた従業員も、いつの間にか奥へと引っ込んでいた。
それはそうだ。誰にもゲイカップルの痴話喧嘩に見えているのだろうから、関わりたくない気持ちもわかる。
俺も段々と人目が気になり始めて、多少乱暴に腕を掴む手を振り解こうとするが、男はしっかりと握って離さない。
「…っ、離してくれ…!」
「恥かかせるなよ。言い訳は中で聞いてやるから」
その手に力づくでホテルの中へと引きずり込まれそうになった、その時。
「やっと見つけた! 遅れてごめんなさい」
声とともに現れたのは、レストランで名刺交換をしたあの女性秘書だった。
彼女は可愛らしく両手を合わせて謝る仕草をすると、こちらへと歩み寄る。
「どこで時間潰してるのかと思ったら、こんなところに居たのね。下見でもしてた?」
まるで本当に待ち合わせていたかのようにスラスラと話し、俺の腕を掴んでる男をちらりと見上げる。
「…こちらは、お知り合い?」
そして、さも場違いとばかりに冷ややかにそう尋ねた。
「…………」
「いや、違う…」
言葉を失ってる男に代わって俺が端的にそう答えると、彼女は「じゃあ、行きましょう」と俺の手を引き歩き出す。
男の眼前を横切る時、彼の大きな舌打ちが聞こえた。
そのまま後ろを振り返らずに歩き続け、俺と彼女は数軒先のホテルへと身を潜めた。 おはようございます☀😃
朝から続きありがとう😉👍🎶 適当に入った一室は、先程のような不自然な照明も無く、多少薄暗い程度の落ち着いた部屋だった。
ベッドに座った途端、どっと疲れが押し寄せてくる。
酒はすっかり抜けていたのに、身体の奥が泥のように重い。
もう猗窩座は自宅に着いているだろうか。
こんな時ですらそんな想像を巡らせてしまう自分に、心底疲れていた。
今日はいろんなことがあり過ぎた。
本当ならこのまま眠ってしまいたいが、女性と同室ではそうもいかない。
俯いていると瞼が閉じてしまいそうで、俺は意識的に顔を上げた。
部屋の隅でコートを脱ぎ、バッグを下ろす女性の姿が見える。
キシッと小さくベッドが揺れて、少し距離を保った先に彼女も腰を下ろしたのがわかった。
「三文芝居でごめんなさい。咄嗟のことだったから、あれしか思いつかなくて…」
「いや、助かりました。ありがとうございます」 「そんな。実は私、煉獄さんとは同い年なんです。だから、どうかラフにしてください」
「そうなんですか? …知らなかったな」
互いに小さく笑うと、少し空気が和んだような気がした。
しかし、言葉が途切れた途端、質量を持った沈黙が部屋を包み込む。
室内全体にその重みが行き渡るのを感じたのか、彼女は静かに口を開いた。
「…社長、先に帰られたんですか?」
「途中で連絡があって、奥さんを迎えに行きましたよ」
「………ひどい、ですね」
「え……?」
小さな唇から零れた意外な言葉に、俺はドキリとして隣を振り向く。
特別な友人≠謔閨A家族を優先するのは当然のことだ。
なのに何故、彼女がそんな風に言ったのかわからなかった。
尋ね返したおれを見ること無く、彼女は続ける。
「……社長は、横暴です。煉獄さんみたいな人を、どうしてぞんざいに扱えるのかわかりません…」
その口ぶりで、俺達の関係に察しがついているのだと理解した。
一人の問題でない以上、関係を肯定出来ないのは当然にしても、どうして否定も出来なかったのだろう…
「横暴、って……」
疲れていたからか、俯いてそう呟くので精一杯だった。 横暴…だとは思わない。
猗窩座は、ただ正直なだけなのだ。
だからこそ、とてつもなく空しい時もある。
猗窩座の心に何の迷いも生じさせられない自分は、彼にとってどんな存在なのだろうかと考えては…苦しくなる。
でもそれは、俺が猗窩座を好きだから起こる懊悩であって、一方的な想いとも言える。
一方的…
自分で考えた癖に、俺はその言葉で強烈に寂しくなった。
いつまで、こんな一方的な好意を抱いていくのだろうか。
そもそも既に人のものである猗窩座を、想い続ける意味はあるのか。
もう何度、この思考のループを繰り返してきたかわからない。
それでも断ち切れない気持ちの根源が、最早憎らしくすらあった。
無意識に眉根を寄せていたおれの視界に、長い髪がぱらりと映り込んだ。
ふと顔を上げると、いつの間にか距離を詰めていた彼女がこちらを窺っている。
そして、膝の上で所在無げにしていた俺の手にそっと触れた。
「……そんな辛そうな顔、見ているだけで辛い」
───ああ、俺は辛いのか。
「特別なことは望んでません。…だからせめて、今は社長のことは忘れてください……」
いっそそう出来たら、自分は楽になれるのかも知れない…
特別何も望まない
微細な棘を持った彼女の言葉が、俺に胸の奥に絡まる。
俺も、そうだった。ずっと。
特別なことなんて、何も望んでやしない。
ただ、どうにも出来ないほど、好きなだけ。
だけど、今は………
…………猗窩座の全部が欲しくて、欲しくて、たまらないんだ───。 何も望まれない関係に慣れ過ぎて、俺を本当に求めている人間はいないのか…なんて卑屈な気持ちも湧きそうになるが、今はその言葉すら都合良く責任の薄い誘惑に感じられた。
キシキシと軋みながら、その棘は少しずつ心の脆い部分に食い込んで、じわじわと虚無感をもたらす。
俺は、崩れるように彼女ごとベッドへ倒れ込んだ。
性懲りも無く、忘れろと言われた人を思い描いて、目を閉じる。
そうすれば、大概の人間とはセックス出来るような気がした。
奇しくもそれは、いつか俺が猗窩座に嫌だと拒絶した行為そのものだった。
自分に好意を寄せている人間と居るのは、楽だ。
気に入られる努力などしなくても、無条件で温かい視線が向けられる。
さすがに女性相手に無責任な夜を重ねるわけにはいかなかったから、最初の夜以来身体の関係は持たなかったが、そのぬるま湯が心地好くて、その後も何度か彼女と会った。
猗窩座も、俺と会っている時はこんな気持ちなのだろうか。
そう考えると、震え出しそうなほどひどく空しかった。 ちやほやされたいなら渋やツイがあるだろうに
なんでこんな掃き溜めに来るかね ひっそりやりたいって前言ってた
ツイは互助会つきあいがあるからなぁ 逆に過疎スレ埋めてもらって何がマズいの?
落ちないんだから助かるじゃん 「うちの秘書と、仲良くしてくれてるそうだな」
「…え?」
唐突な言葉に、俺は口を付けた水を吹き出しそうになった。
レストランの奥の個室はプライバシーの確保された空間で、相手の空気が変わるのが具つぶさにわかる。
けれど、目も合わせずに呟かれた一言は怖いくらい感情を帯びていなかった。
喜んでいるのか、そうじゃないのか、はっきりとわからないニュアンスだ。
「…この間偶然ばったり会ってから、何回かお茶したくらいだ。君の近況とか、そういう話を聞いた」
「そうか。向こうもすごく嬉しそうだったが…わかってるか? 彼女は、お前に好意を持っている。それを汲んだ上で会ってるのか?」
「それは……」
「お前にそういう器用なことが出来るとは思えんし、あまりお勧め出来んがな。忠告したじゃないか。彼女は、そういうことに慣れていると」
自分は器用だから特別だとでも言いたいのだろうか。
自身を棚に上げたようなその言い種に、珍しく腹が立ったのだと思う。
俺にだって、男の甲斐性くらいある。
それすら否定されたような気がして、つい強い口調になっていた。
「わかっている。そんなつもりじゃない」 ここのところ会っても食事ばかりで、フラストレーションが溜まっていたのかも知れない。
最初は嬉しかったディナーも、こう続くとじれったい。
それはつまり…平たく言えば欲求不満というやつで、愛人から飯友に格下げになったのではないかという不安もあった。
自分はデート中でも平気で家族の元へ帰る癖に、俺が空き時間に誰と会っているかをいちいち咎められる筋合いは無い。
そんな僻みっぽい気持ちも、意図無く彼女と会う引け目を薄らがせた。
互いに黙り込んだ硬い空気の中、カチャリと食器を置く音が響く。
少しの無言の後、独り言のように猗窩座が小さく呟いた。
「───俺は、自分の持ち物を汚されるのが一番嫌いなんだ」
この日一度も俺の名前を呼ばなかった猗窩座は、最初から機嫌が良くなかったのだと、冷静に考えればわかることだった。
それでも、この時の俺にはまだその理由も意味も、よくわからなかった。
それから暫く、猗窩座から連絡の無い日が続いた。
気紛れな呼び出しを待つだけの日々には、もう慣れている。
慣れてはいても、こういう時の言い知れぬ寂寞感はいかんともしがたいものがある。
これに限っては、誰と会っても何をしても紛らわせないから始末に負えない。 婆嬢の文はあっさりしてるかと思いきや話の盛り上がるにつれて情感を盛り上げるようになってくるし
展開やキャラの扱いもいいし、読後感もいいし、好きです 腐のノーマナー行為を知ってる奴がやってる犯行だから分かりやすいよね
わざとらしくて ワンルームマンションというのは、どこに居ても室内のすべてが見渡せて、一人きりだという実感をより際立たせる。
滅多に鳴らないインターホンも、自分以外が開けることの無いドアも、何もかもが空虚に思える。
得意じゃない掃除も楽そうだという安直な考えでこの部屋に決めたけれど、その代償がこんなに大きな孤独感だなんて想像もしなかった。
寂しさを誤魔化すためにつけっ放しにしているテレビの前で、俺はぼんやりとソファに腰を沈めていた。
バラエティ番組の喧騒が空々しく聞こえていた俺の耳に、突然鈍い振動音が響く。
ガラステーブルの上で震え出した携帯のディスプレイを覗き込んで、その珍しい着信に驚いた。
「…もしもし、母上?」
『杏寿郎? 久しぶりですね。変わりはありませんか?』
「元気です。そちらは?」
『こちらも変わりありません。でも、元気と言う割に、声が疲れてるみたいですね。本当に大丈夫なのですか?』
「大丈夫です。少し残業続きで疲れているだけですから」
母親の察しの良さに感慨めいたものを覚えつつも、話せるはずもない胸の内を隠すように、無理矢理声を張った。
「それより、何かありましたか? 急に電話してくるなんて」
『学生の頃仲良のかった宇髄さん、覚えてますか? 昔隣に住んでいたでしょう。彼、結婚したんですって。うちに手紙が届いたから、知らせなきゃと思いまして。来年にはパパになるそうですよ』
「へぇ…、そうなのですか。祝いの品でも贈らないとな」 この流れは、まずい。
他人のことを話しているようで、俺のことを聞きたいのだとすぐにわかった。
『…母も、そろそろいい報告を聞きたいですね』
「…………」
『いい人はいないのですか? もう27になりますね、そろそろそういうことも考えてはどうでしょう』
「……いない、ことも…ないのですが…」
『まあ、そうなのですか? 嬉しいわ。今度是非紹介してくださいね』
「…ん、機会を見て話してみる」
無論紹介出来るはずも無かったが、会話を治めるため、母親を安心させるために、その場凌ぎの嘘をついた。
時には真実の方が、人を傷付けることもある。
そんな言い訳を重ねながら、俺は沢山の嘘に塗れていく。
いつからこんな風になってしまったのだろう。
本当の俺は、どこにいるのだろう。
一人になると、そんな自問ばかり繰り返していた。
俺だって、一生独りで生きるわけにはいかない。
両親を安心させるのも、喜ばせるのも、息子の一つの役目だ。
もしその伴侶が猗窩座であったなら、俺はきっとどんな責めを負ってもその道を貫いただろう。
親を悲しませることになったとしても、いつかは正直に話したはずだ。
これが自分の幸せなのだと。
けれどそれが叶わなくなった今、こんな生活を続けてもその先に待つものは……何も無い。
『不倫は良くない』なんていう理由付けはもう建前以下の綺麗事で、ただ辛くなっていた。
猗窩座を想う気持ちの大きさに、自分が潰れてしまうような気がして…怖い。
今度こそ別れを告げなければ。
そうして、幾度目にもなる決意がまた胸へと宿る。
どう手を尽くそうとも、猗窩座と出逢う前の自分には、決して戻れないと知りながら。
衝撃的なニュースを目にしたのは、それから数日後のことだった。 ひっそりやりたいわりに他スレに自演宣伝しに来るよね義勇腐
いつも正体バレして自爆するけど コピペしてんのは長文を楽しめないチーム国語偏差値35の君らの仲間だ
あ、自演か
自演自演言ってるのは自分が自演しなれてるから。哀れなりけり 12日午後23時32分頃、歩道橋から幹線道路へ人のようなものが落下したと通報があり駆け付けた警察官が倒れている女性を発見、搬送先の病院で死亡が確認されました。
港署は事故とみて調べています。
身元が判明したとしてテレビ画面に映し出された見知った顔に、驚きのあまり俺は凍りついた。
自分の目を疑い何度もインターネットで検索してみたが、時間が経つほど名前や勤め先などの詳しい情報が追記され、これが疑いようの無い現実なのだと思い知らされる。
しかし、解せなかった。
平日のそんな時間、そんな場所で…。
泥酔していた訳でも無い若い女性が、偶然手すりを越えて落ちる確率なんてどのくらいなのだろうか。
脳内をグルグルと憶測が飛び交うが、結局は『何故』に戻ってくる。
そしてこのタイミングで、俺の脳裏にあの声がフラッシュバックした。
『───俺は、自分の持ち物を汚されるのが一番嫌いなんだ』
冷たい抑揚がリアルに甦った瞬間、ゾクリとした悪寒が背筋を駆け上る。
あの時は意味を理解出来なかった言葉に、急に奥行きを感じた。
今思えばどんな風にも取れるその一言が、気に掛かって仕方無かった。
故障したようにドクドクと心臓が暴れ、急激に吐き気が湧き起こる。
血の気の引いた顔を見て心配した同僚が早退を勧めてくれたが、動揺を見せまいとして一度は断ったものの、その後も仕事は全く手につかず、帰らざるを得なかった。 定まらない足取りで歩きながら携帯を取り出し、俺からかけることは殆ど無くなっていた名前をタップする。
長いコールがどれだけ無視されようとも、今日ばかりは諦められない。
猗窩座が電話に出るまで、かけ続けるつもりだった。
確かめなければ。
その強い意思だけが、俺を動かしていた。
あの呟きと、起こった現実。
俺の回路は咄嗟にそれらを結びつけて、最悪のシナリオを組み立てていた。
そこには人の意思など介入していないはずだと、何度も振り払っては纏わりついてくるビジョン。
それがただの杞憂であることを、願うしか出来なかった。 自演って言わてお前が自演って返すの能力の低さを物語ってるわね
これだから義勇腐はバカにされるのよ お前らが普段周りから馬鹿にされてるんでしょ?
小学生でもラノベや児童文学読めてるのに哀れよのう そのフラストレーションを他人にぶつけず勉学に励むのじゃよ こいつ何歳か知らないけど、婆(嬢)とか持ち上げてる奴本人以外いないだろ
そういうとこから自演がわれるのよなぁ
水腐はほんと頭弱いでちゅねー ほんと小説を窘めない奴らは
小説を楽しむ人々がまわりにいないのなあ
親もそうなの?
不憫な環境にお育ちですねえ バカにされまくってる水腐が顔真っ赤にして何か言っててワロスw 十数回目のコールでやっと電話が繋がった時、俺は猗窩座のオフィスのすぐそばのホテルへ来ていた。
呼び出されるばかりだった俺にとって、猗窩座を呼び出すのはこれが初めてかも知れない。
それが、こんな用件になるなんて……やりきれない。
普段の彼なら決して応じない急な要求だったが、特別拒む様子も無く応諾した。
いつもと違うその神妙な態度も、一層俺の不安を煽った。
相変わらず予定時間を大幅に過ぎて、猗窩座は現れた。
いつもと変わらないスーツ姿でこちらへと歩み寄り、猫脚の安楽椅子へと腰を下ろす。
「遅くなったな。仕事が立て込んでいて、なかなか切り上げられなくてな」
言いながらネクタイを緩める猗窩座の指を見つめて、俺は呟くように切り出した。
「……彼女、亡くなったんだろ。ニュースを見た」
「歩道橋から転落したそうだな。本当に残念だ」
表情を変えることなくさらりと言った声は、いつも以上に落ち着いて感じられるほど、さめざめとしていた。
「…随分と冷静なんだな……。毎日顔を合わせていたんだろ…?」
どうしてそんなに平然としていられるんだ。
心中で問い質しながら、その瞳を覗き込む。
逸れていた視線がこちらへと向けられ、猗窩座と目が合うが、合わさった薄い唇は固く閉じられたままだった。 けれど、俺を見つめてくる双眸は、静かだが深く昏い色で塗り潰されている。
ゾッとするほど冷たい眼は、まるで俺を責めているかのように感じられた。
それでも猗窩座は言葉を発さず、ただ黙ってこちらを見ている。
その空気が息苦しくて、俺は呼吸と一緒に掠れそうな声を搾り出した。
「………何か…、した…のか……?」
頼む。
否定してくれ。
尋ねつつも、祈るように願いながら、猗窩座を凝視した。
「……そう思うなら、なぜ彼女と寝た? 俺がそういうことをしかねない危ない人間だと思っていたのに、お前は彼女と寝た」
…知られて、いたのか。
いつから、知っていたのだろう。
今更考えても仕方の無いことだが、最後に食事した時すでにそれを知っていたのなら、あの言葉に含まれた呪詛のような重みも理解出来る。
「………たった一度きりだ…」
「その後も、あの女とコソコソ会ってたんだろ? まあ、まさか彼女がお前に本気だとは思ってもいなかったが。…どうであれ、人の物に平気で手を出す方がずっと悪人だろ。そうは思わないか?」
君の言う持ち物≠ニは、俺のことだったのか。
この時、ようやくそれに気付いた。 でもそれを言うなら、俺も同じだ。家庭のある君と会い続けているのだから。
そういう自分と、家族を裏切り続ける猗窩座。
本当の悪人はどっちなのか……そんな際どい審判は、俺には下せない。
「使えると思っていたんだがな……」
達観したように呟く猗窩座の顔は無表情だが、怖いぐらい鬼気迫っている。
苛立って頭を掻く仕草も乱暴で、綺麗にセットされていた薄桃色の髪が乱れた。
天罰だとでも言いたげなその口調に、困惑した俺の口から言葉が滑り落ちる。
「だからって…、あんな……」
「誰も肯定はしてない。まるで人をケダモノみたいに言うんだな。……俺が殺したとしたらどうする? お前のために人まで殺した俺から、逃げるのか…?」
物言えず固まる俺を、絡め取るような熱っぽい瞳が見つめる。
もう、恐怖は感じていなかった。
むしろ、殺伐とした空気の中に漂う猗窩座の冷たい色香が、痛いくらい身体を締め付けてくる。
これは……そう、欲情しているんだ…。
そして「ああ」と、また久しく身体を合わせていないことを思い出した。
駄目だ……もう、コントロールが利かない。
「……でも」
虚ろになっていく俺の目を見ながら、猗窩座はくすりと笑みを漏らして小さく呟き、テーブルの上にあった俺の手を握った。
「ケダモノの俺も、好きなんだろ?」 手を握られたまま、ベッドに背中を預ける。
見上げると、俺を組み敷くように乗り上げた猗窩座がこちらを見つめていた。
ネクタイの結び目に指を引っ掛けて、シャツから完全にそれを引き抜く。
その仕草を、ぼんやりと眺めた。
「彼女を品行方正な女性だとでも思ったんだろうが、あの女はお前のココにしか興味が無いビッチなんだぞ」
彼女と違うと言うなら、君は俺の何に興味があるんだ…?
そもそも、興味はあるのか?
不意に抱いたそんな疑念を打ち消すように、猗窩座は俺の下肢に触れた。
それだけでビクリと露骨な反応を示してしまい、顔も身体もじんわりと熱くなる。
「そんな女のことは、もう忘れろ…」
すべてを察しているかのようにそう言うと、猗窩座はゆっくりと覆い被さり、持っていたネクタイでおれの両目を覆った。
「………、…」
忘れるどころか、最初から俺の頭の中は君で一杯なんだよ、猗窩座。
そっと結ばれるシルクの感触の中で、俺は声には出さずそう呟いた。
好意を向けられるのが心地好かった…なんて言い訳しながら、本当は猗窩座に縁のある人間と関わっていることで安心していた。
猗窩座と会えない心の隙間を、猗窩座と会ってきた彼女と会うことで、間接的に埋めていた。
自分だって彼女を利用していたのだ。
当て馬に等しい行為で身体を重ねたのは、独りになりたくなかったから。ただ、それだけだ。
布の下で目を閉じ、拭い去れなかったその罪悪感を、猗窩座に言われるままそっと手放した。 視界を覆われた俺の唇に、猗窩座の唇が触れる。
食むように啄みながら、勿体つけるように微かに触れては引っ込む舌先に、俺は堪らず口を開けて中へと誘い込む。
けれど、俺が物欲しげに舌を差し出すと、猗窩座はわざと焦らすみたいに口付けを解いた。
その度に「ふ」と聞こえる猗窩座の笑ったような吐息が、空気を震わせて肌を伝わる。
そんな細かい所作も、何も見えないのに手に取るように感じられた。
何度も触れては離れる唇に身悶えて、みっともなく身体をしならせていると、不意に耳がカチャカチャという金属音を捉える。
視力を奪われると、思った以上に聴力も研ぎ澄まされるらしい。
それから衣擦れの音とともに、ジッパーが引き下ろされる音が聞こえ、俺はゴクリと唾を呑んだ。
ギシッとスプリングを軋ませながら這い上がってくる気配を感じると、間も無く唇に温かい先端が触れる。
自然と口が開き、俺は今度こそそれを捕まえて中へと引き入れた。
舌を絡めてすぐ、俺の好きな匂いが立ち込める。
まだ半分にも届いていないのに、逃がすまいと亀頭を吸い上げた。
「っ……お前は本当にこれが好きだな…」
好きなのは、性器でも行為でもなくて君だって、いつになればわかってくれるんだ…?
塞がれた口では言葉に出来なかったが、せめてそれが伝わるよう懸命に愛撫を続けた。 あぼーんだらけだな
この義勇腐って正体バレバレの状態で暴れて自分の推しや他の義勇ファンに迷惑かけるとか考えないんだろうか チーム35は毎度傷ついたCDかコピペみたいな文で語彙数本気で少なそうだけど
支援カキコになるならいいのか
数える程の語彙で生きる君らもたまには文字で人の役にたつんだなぁ ちなみに、語彙はごいと読む。ググれ
ググっても漢字が読めないなら小学生向け辞書でも買っとけ このスレで荒らし義勇腐が尻尾丸出しだったこの辺の流れ面白かったよ
こいつ馬鹿すぎてマジでどこのスレに行っても馬脚を表すよね
546 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/28(水) 00:37:01.08 ID:???
>>543
そうなったら前にバレてたこいつのツイ垢を晒してやればいいんじゃねw
547 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/28(水) 00:40:27.40 ID:???
人違いで晒し案件で訴えられて前科者になる君ら可愛そうwww
549 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/28(水) 00:46:58.79 ID:???
これまで二次ヲチの話が出ても知らん顔してたくせに荒らし義勇腐のツイ垢の話が出た途端に慌てて>>547で晒すと前科になるぞ!と必死で脅してるあたり
やっぱり義勇腐の荒らし本人なのがモロバレでめちゃくちゃ面白いなw 「ん……」
時折漏れてくる猗窩座の色っぽい声が、段々と欲望を高めていく。
俺は、しゃぶっているだけで勃起していた。
脳はもう、口内で膨らむこの猛りで犯されることを想像している。
はしたなくてもいい。
おあずけを食った分だけ、満たされたい。
思考はそんな欲望で埋め尽くされていた。
「…っ、……はぁ……」
「ん、ん…っ…っ」
猗窩座が息を荒げて、腰を前後させ始める。
舌に痺れるような精の味が広がり、絶頂が近いことを察した。
「どこに出して欲しい……? 選ばせてやる…」
乱れた呼吸で俺の口に出し入れを繰り返しながら、猗窩座は尋ねてくる。
「…っ、…ん…ぅ…っ」
どこだっていい。
最後まで出来るなら、今更それをどこにぶち撒けられても構わない。
そう思っていたのに、口が解放されると無意識で叫んでいた。
「…かけ…て……、くれ…っ……全部……!」
俺は多分、猗窩座が『似合う』と言ったのを真に受けていたんだろう。
こんなことをせがむ理由は、それくらいしか思い当たらない。
「……っ、……!」
その言葉から数瞬遅れて、猗窩座の小さな呻きとともに熱が弾ける。
ネクタイに覆われた瞼、頬、首に飛散した後、残滓がパタパタとワイシャツの胸元に滴り落ちた。
はぁっと息を吐くと、猗窩座は俺の目元に巻かれていたネクタイをずらしてこちらを見下ろす。 「……興奮したか?」
そして囁くようにそう言った。
その表情は思わず言葉を失うほど柔らかくて、強烈に胸を締め付けられる。
悪戯っぽく笑うと、まだどこかに残る幼さが引き出されたみたいなベイビーフェイスが顔を覗かせる。
出会ったばかりの頃、この笑顔を見るといちいち動悸がしていた。
それが今も変わらず続いているのは、俺がどうしようもなく猗窩座を愛している証拠だ。
俺は何故か突然滲み始めた涙を堪えながら、こちらを覗き込んでいる猗窩座の首を抱き寄せる。
「したよ……。だから、もう、抱いてくれ…」
そう言うのが精一杯で、俯きながら猗窩座の肩先に顔を埋めた。
不都合な現実も未来も、すべてを一時でも忘れさせて欲しかった。 >>458
そのテンプレにこれもあったな
>・自演荒らしがバレて指摘されると慌てて指摘した人あるいは絡んだ人を自演で荒らしに仕立て上げようとする。
>・浪人持ちのため連投可能で自演での会話を延々と行う >>615
語彙を増やすにはまず、コピペに頼らないことだ。
小説読むのが早いけど読めないから厄介だなあ君ら
新聞からチャレンジかな。頑張れ。 鬼滅他スレは即バレして一切荒らせなくなった経緯を見てるので、大暴れする場所を変えるなと予想していたら案の定 >>621
数学もできなそうだなあ
「他スレで連投する人間は全部水腐だと思う事にしてた」ってだけの話っしょ、それ
この悪人座の杏寿郎には
中森明菜の紅夜-beniyo-が似合うな >>622
猗窩煉や煉受け二次が晒されそうな流れには何も言わないのに
水腐のツイ垢が晒されるかもしれない流れになると焦りまくって脅して来る時点で煉受けに成り済ました水腐じゃん 「じゃあ…全部脱げ」
そんなことには気付きもせず、シャツのボタンを外し始めた猗窩座が、煽るように俺の耳にチュと音を立ててキスしてくる。
ボトムの中で完全に勃ち上がった性器がドクンと脈打ち、その刺激さえも快感だと訴えている。
俺はしがみついていた両手を離して、言われるまま自分のネクタイを乱暴に引き抜きシャツを脱いだ。
露わになった俺の胸に顔を近付けると、猗窩座は乳首を擽るように鼻を擦り寄せる。
それから、味を確かめるみたいに一度べろりと舐め上げたかと思うと、突起を前歯で緩く挟んだ。
「…っ、……!」
意思とは無関係に、身体が大きくビクッと跳ねる。
痛みに近い刺激が、蕩けるような甘さを帯びていた。
全身を小刻みに震わせ、次々と口から溢れそうになる声を必死に堪えていると、猗窩座が突然膨れ上がったズボンの中心を鷲掴んだ。
「目隠しも甘噛みも感じるなんて、本格的にマゾだな」
「───っ…」
反論したい気持ちはあったが、内側から生地を押し上げるほど張り詰めた性器を知られていては、説得力の欠片も無い。
言葉ごと唇を噛んで斜め上を見遣ると、俺を見下ろす猗窩座の金色の瞳がまた凍てつくような冷気を放っていた。
「そうやって行きずりの男にも悦んで見せたのか?」
「……!」
まさかそれについて言及されるとは思わず、俺の頭は瞬時に真っ白になった。
一番知られたくなかった汚点。
それを知られていた衝撃で、俺はますます言葉を失う。 >>615
ちなみに本スレでも煉獄オバサンだの煉獄BBAだのと煉獄ファンを叩いてるいつもの荒らしがツイ垢バレた時に
名誉毀損だ法的措置だと脅して発狂してたからこのスレにいるのも完全にあの煉獄アンチの荒らし本人
無知すぎてツイ垢はIPで特定されると勘違いしてたらしくてスレ民から失笑されてたw
739 名前:愛蔵版名無しさん (スップ Sdba-8yOH) [sage] :2021/05/24(月) 23:30:02.49 ID:our0Lqkqd
いつもの奴ツイ割れてたのか
あたおかきめぇな
743 名前:愛蔵版名無しさん (ワッチョイ 9aad-JEOP) [sage] :2021/05/24(月) 23:47:39.19 ID:SySvGCNW0
IPで特定するんだろ
ツイ垢なんてすぐわかるが違ってたら名誉毀損だな
掲示板で個人情報晒すのは危険
747 名前:愛蔵版名無しさん (ワッチョイ 9aad-JEOP) [sage] :2021/05/25(火) 00:04:50.79 ID:yzMOlV5/0
法的処置されたらヤバいぞ晒したらw
750 名前:愛蔵版名無しさん (ワッチョイ 9aad-JEOP) [sage] :2021/05/25(火) 00:10:13.66 ID:yzMOlV5/0
違ってたら名誉毀損だな
今の時代個人情報晒したら逆に通報もんだよ
やたら晒す行為は命とり
775 名前:愛蔵版名無しさん (ワッチョイ 9aad-JEOP) [sage] :2021/05/25(火) 01:57:15.51 ID:yzMOlV5/0
お前ら煉獄オバサンは持ち上げとけば満足だからどんどん持ち上げとけよwww
751 名前:愛蔵版名無しさん (ササクッテロレ Spbb-jdZz) [sage] :2021/05/25(火) 00:25:29.99 ID:OE3QEwmep
お前も赤の他人のツイ晒しまくってたけどな
【吾峠呼世晴】鬼滅の刃503斬
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/rcomic/1621433188/ >>623
その水腐垢さらせばいいやんと言うたやん
読解力ないなぁw
ただし自己責任でというのは常識の話ですよ 「優秀な秘書から報告を受けた。ホテルから男と出てきたそうだな。男を咥えるのがそんなに好きなら、俺じゃなくてもいいんじゃないか?」
怖いほど冷静な声色で追及されると、考えるより先に口が開いていた。
「何もしてない、本当に…! こんなこと…、誰とでも出来るはずないだろ…?」
「それはこっちに聞く。下も脱げ」
猗窩座の手がするりと内股の付け根を滑って、指が臀部の間をなぞる。
条件反射のように、ぞくりと背中が痺れた。
俺はベルトとジッパーを性急に開放しウエストを寛げると、下着ごとボトムを引き下ろす。
目線を上げると、猗窩座はコンドームの包みを銜えていた。
端を噛んだまま片手で包装を破り、濡れた中身を取り出す。
戸惑って眉を寄せる俺を見ながら、猗窩座は包みをベッドへ吐き捨てた。
「ちょっと目を離したくらいで、他人にツバ付けられてくるとは…そんな度胸があるとは思いもしなかった。俺は忙しいんだから、煩わせるな。こんな身体検査…、面倒だ」
心底迷惑そうに言ってゴムを中指に被せる仕草は、医者が手袋を嵌めるような潔癖さを彷彿とさせた。
そのまま後ろへと伸びてきた太い指が、ヌルリと潜り込んでくる。
「…う…、…ぁ…っ、あ…!」
十分な潤滑剤のせいか、入ってすぐにスムーズな抜き差しが繰り返された。
コンドームを隔てているにも拘わらず、指の関節の凹凸まではっきりとわかる。
それほどまでに猗窩座を待ち侘びていた粘膜が、いつもより過敏になっていた。 >>626
明らかに焦りまくってる水腐さん顔真っ赤だなw
547 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/28(水) 00:40:27.40 ID:???
人違いで晒し案件で訴えられて前科者になる君ら可愛そうwww 「こんなに緩んでいるのは何でだ…? ここ、誰かに広げてもらったか? ん?」
取り調べるように尋ねながら、猗窩座は手首を上下させ、やや手荒く中を掻き回す。
蠢く指に内部がきゅうっと吸いついて、自然と腰が浮いた。
「中、悦び過ぎだろ。生き物みたいだぞ」
「! …あ……ぁ、っ」
内側を掻くように関節を曲げられるだけで、腹の奥に熱が灯る。
上を向いて震える性器は、どろりと濡れて溶け出していた。
「指だけでこんなに熱烈に歓迎してもらえるなら、俺が入ったらどうなっちまうんだろうな…」
「……は……、やく……っ」
こういう時だけ大胆に浅ましく強請ってしまえる自分が、俺は嫌いじゃない。
傍目には情け無い姿に映るかも知れないが、そこには真実だけがある。
プライドも嘘も捨てられる場所は、ここにしか無い。
素直に欲しいものを欲しいと言える瞬間が、心地好かった。
指が出ていく代わりに、猗窩座の熱の塊があてがわれる。
覆い被さりながら押し進んでくるそれを受け入れながら、俺は猗窩座の背中へ腕を回した。
「あ、あ、あ…ぁ……!」
ゆっくりと中を押し拡げられる感覚に強く目を閉じても、喉の奥から漏れてくる嬌声は制御不能だった。
眩暈にも似た陶酔感の中で、与えられる快感を貪る。
ずっとこうされていたい。そう思うほどだった。
「なあ…、彼女とのセックス、気持ち良かったか」
「…っ……?」
忘れろと言った割に、やたらとその話題を持ち出してくる。
何が聞きたいのかわからなくて、情けない悲鳴に喘ぐ口を閉じ、とにかく頭を横へと振った。
「そうだろうな…。こんな身体になって、もうこっちじゃなきゃ満足できないだろ」 >>628
だからコピペに頼るなと言うとろうに。
まず、書く所からだな。
脳の読み書き分野を活発化させる所から >>625
IPで特定()は草生える
義勇腐はこの悲惨な頭の悪さでどうやって法的処置()をする気なんだろ >>631
君らの話に常識で答えると誰でもその回答になるだけの話やん
君らどこに住んでるの?地底国かなんかですか? adが入ってしまうワッチョイとササクッテロと串指jpにしてくるワッチョイで特定されて今までの発言全部特定され発言出来なくなった
しかし言ってる内容が即バレだからワッチョイ出ない所でもこの始末 君ら本当に自分達があかれん組と水腐の区別もついてないの自覚したほうがいいよ〜
普段から人に迷惑かけてるでしょ
新しく買ったものの説明書読めなくて動作がおかしいとクレームいれたり てかよくこれだけ同じ話繰り返すなあ君ら
過疎ってたスレで別の人達が楽しくやってる所にやってきて ipで特定された…
なるほどそりゃぁ自分が何故ばれるのか理解出来ないわね
説明するのはやめよう対策されるのは面倒だから 嘲るように言う猗窩座は、何故か妙に満足気だった。
俺が女性を抱けなくなって、何がそんなに嬉しいんだ。
俺はまた、生き辛くなっただけなのに……
いろんな感情が混ざって歪んだ俺の表情なんて見もせずに、猗窩座はベッドのスプリングが音を上げるほど深い抽挿を始めた。
「ここは、誰のものだ…?」
「……っ、猗窩……ざ…っ」
「なら、二度と俺の留守に他人を上げるな。間男も泥棒猫も、今時AVだって古くて使わないネタだぞ。…お前は、中を疼かせて待っていればいいんだ。そうしたら、いくらでも可愛がってやる…からっ」
「あ! ん、…ぁっ」
猗窩座の腰が前後する度、肌が肌を打つ音が部屋中に響いた。
短い薄桃色の髪を乱しながら、何度も出し挿れを繰り返す。
あの甘い面立ちが、男としての本性を剥き出しにしている。
その顔が垣間見えた瞬間、ゾクリと身体の芯が打ち震えた。
気持ちいい。それしか考えられない。
最早揺すぶられているのではない。
もっと中を擦られたくて、俺が腰を振っているんだ…。
嘘をつかない自分は嫌いじゃないが、こんな自分は……嫌だ。
悦んで男を受け入れる身体。
快楽へと簡単に理性を売り渡す心。
段々と自分が自分で無くなっていくような気がして、怖かった。
「…は、……っ…、…イキそう……っ」
短く息を吐きながら訴えた猗窩座は、その申告通り切羽詰まった様子でリズムを速める。
狭い場所をヌルヌルと行き来する硬い肉茎が、緩い水音を立てた。
出し挿れの度に、びくびくと全身が震えるほどの快感が走る。
「あ、あ…ぁ…っ」
「…、……はぁっ…」 俺の両脇に手をついて、近付く射精感に目を閉じ腰を打ちつける猗窩座。
親友を失った日、この手は俺の涙を拭い取った。
それから何度も俺を抱いたその手で…、秘書の背中を押したかも知れないのだ。
そんな男の腕に抱かれて悦ぶなんて、最低で、悪趣味で、おぞましい。
…………だけど……、もっと……もっと欲しい───
俺は縋り付くようにその首を抱きかかえたまま、強請った。
「な、……なか…で……、猗窩座…ッ…!」
身体を支えていた両腕の肘を折ると、猗窩座は僅かに舌を覗かせた唇で俺の口を塞ぐ。
「んっ、…ん……んぅっ、…!」
本当の意味でそのキスに溺れながら、願い通り、腹の中一杯に白濁を受け止めた。
母上、申し訳ありません。
やっぱりまだ当分、結婚は出来そうに無いです…───
俺は、この世で最も親不幸な場所で果てながら、そう思った。 水腐の馬鹿はなんとか別人に仕立て上げたくて仕方ないおバカさんなんだねw 窓側から、階下の車道を走る車のクラクションやエンジン音が聞こえていた。
それほど静かな室内で、どれくらいそうしていたのだろう。
互いにただ黙って横たわり、何の物音もしない。
瞬きの音ですら聞こえてきそうな静寂だった。
そんな風に静まり返った空間に、唇を開くごく小さな水音が響く。
「スーツ、駄目にしちゃったな」
こちら側を向いている猗窩座と、その隣で仰向けになった俺は、同じシーツに収まっていた。
ぽつりと呟かれた声で、何分も眺めたままだった天井の模様から視線を動かし部屋を見回す。
何故ここでこうなることになったのだっけ…と考えかけて、それすら億劫になり目を伏せた。
「……いいよ…、そんなの」
情事の後でなかったら、そんな風に言えはしなかっただろう。
けれど、まだ気怠い余韻に浸っていた脳は、ベッドの周りに散乱した汚れたスーツのパーツにも無関心だった。
着衣への配慮を忘れるほど夢中で貪った証とも言える白濁のこびりついたネクタイが、視界の端に映り込んだ。
「お詫びに、一着プレゼントする」
「…いいって」
「俺がそうしたいんだ。……それと、いちいち部屋を取る面倒もどうにかするか」
それを聞いて、俺はやっと左を振り向く。
これで猗窩座が独身だったなら、これ以上嬉しい提案は無かったのに。
そう憂えている反面で、『留守中に他人を上げるな』と言ったのはこの布石だったのかと、冷静に合点している自分もいた。
俺にもある、なんて豪語したことが居たたまれなくなるくらい、それは正真正銘の甲斐性というやつだった。
その事実を拒むほど、抗うほど、足掻くほどに、皮肉なまでに俺は愛人らしくなっていった。 セキュリティも厳重な最新式のマンションに越すと、前よりずっと孤独感が和らいだ。
友人が増えたわけでも、休みが増えたわけでもない。
むしろ以前より近所との接触は格段に減ったが、生活リズムに特別な変化は無い。
ただ一人、気紛れな訪問者が来るようになったことを除けば。
───ピンポーン
インターホンが鳴ると、モニターを確認し解錠ボタンを押す。
一階のエントランスから部屋に着くまでの時間を覚えた俺は、待ち遠しいその数分を計るように数えながら玄関へと出向く。
そして、辿りついた来訪者を招き入れようとドアを開けた。
「…、ッ───!」
ドアが開くと同時に伸びてきた腕にシューズボックスへと押し付けられ、唇に噛みつかれる。
乱暴に侵入してくる舌が口内を犯し、強制的に呼吸と思考を奪う。
ガタガタと揺れる家具に背中を預け、薄桃色の髪をまさぐるように手を回して、交わされる唾液を欲しいままに飲み込んだ。
『今日は仕事が終わったら、真っ直ぐそっちへ向かう』
その言葉を信じて、手を付けずに放置されたダイニングテーブルの上の食事。
それを横目にして、俺はまた、この嘘つきの腕に抱かれる。
スーツから香る、見知らぬオードパルファム。
敏感にそれを嗅ぎ取ってしまうこの理性を、一秒でも早く溶かす……ただそれだけのために。
このシリーズもおしまい 愛人杏寿郎、切ない
切ないけどどんどん深みに沈んで関係に閉じ込められていく杏寿郎が、似合う
猗窩座もワルいの似合うな
ありがとうございます 楽しみました お疲れ様です
愛人エンドか〜
悪座とその魅力に抗えなくてズルズル堕ちていく杏のインモラルな関係がすごく良かった 君らいつもツイッターや支部で他人が作品が褒められてるの見て悔しがって自演じゃないかってたぎってるの?大変だなあ
偏差値35は35なりに慎みを持って生きていくがいいよ
君らには所詮無縁の、理解できない交流だ 荒らしを擁護するのは自演している荒らしだけというのが分かってないよね水腐 でも悪座は別に正妻の事もそんなに愛してるわけじゃないよね
同じく自分の物感覚、生活の利便性を考えたパートナー、、、
って杏寿郎に肩入れする余りこんな事を考えてしまうわ
この世界線は宇は結婚しちゃったし後輩の炭治郎が登場するのを待つしかないのか 社会に出たこともない可哀想な水腐は学業に関しての話しか出来なくてさらに可哀想 学校で成績悪いと基本仕事は工場でたんぽぽ乗せる仕事だろうから
可愛そうでよう言えんわ 想像できるのがその範囲しかないってのが義勇腐の視野の狭さと経験不足を物語ってて笑える いいんだよ無理しなくて
基本ベルトコンベア見つめる無味乾燥な毎日お疲れ様です。
無味乾燥はまた小学生用辞書で調べてくれ。一つ一つ、語彙を増やそうな 水腐毎日ベルコン眺めて過ごしてるんだ
そりゃお疲れ様ですw 君らは君ら同士で仲良くしてな
言語能力低いもの同士、劣等感も刺激されなくて楽しいだろうしね
僻んでばかりの人生は友達選びも不便だなぁ >>654
マジでこれ
人生終わってるよねこの義勇腐 水腐は相手が学生ではないということが理解できないからいつまでも学業とお友達作りwに拘るんだろうな 別人のふりしても義勇腐sageレスがあるとすっ飛んできて住民sage始まるから本人なのバレバレなんですよね 猗窩煉の晒し誘導にはノリノリだったくせに義勇腐ツイ垢が晒されかけると僅か数分で飛んできて必死でやめさせようと脅迫してたのは笑ったわ
誰が粘着してるか明らかじゃんw >>615>>625
別人ならここまで発狂しないよね
答え合わせになってて草 なんか新鮮な感じのあかれで面白かったわ
でも次はいつもの追っかける座をみたい
もし気分が乗ればだけど待ってます
ありがとう >>625
既婚女性板の鬼滅スレでもいつもの荒らしとして有名なのほんと笑うわ
ここでも義勇腐ツイ垢バレた時にIPガー法的処置ガーと無知丸出しで暴れて住民から笑われてたよ
754 名前:可愛い奥様 [sage] :2021/05/25(火) 00:06:15.60 ID:/KXEXu/M0
>>749
IP特定しました
法的処置されるかも、とりあえず通報
755 名前:可愛い奥様 [sage] :2021/05/25(火) 00:07:25.29 ID:/KXEXu/M0
個人垢晒しは今はヤバいよ
762 名前:可愛い奥様 [sage] :2021/05/25(火) 01:36:33.46 ID:/KXEXu/M0
煉獄オバサンの性格の悪さが浮き彫りになっていいね
そのツイ垢主違うけど草
関係ない人晒して悪趣味他キャラオタとは資質が違う
みっともないよばあちゃん
768 名前:可愛い奥様 [sage] :2021/05/25(火) 01:56:10.80 ID:/KXEXu/M0
煉獄オバサンは持ち上げとけば満足なんだろうw
759 名前:可愛い奥様 [sage] :2021/05/25(火) 00:53:16.33 ID:Cbdc2yeL0
匿名垢の晒し程度で法的処置とかIP特定とか無知すぎて笑う
どうせ荒らし本人でしょ
スルースルー
鬼滅の刃が好きな奥様18柱目
https://matsuri.5ch.net/test/read.cgi/ms/1620438190/ 「人違い晒し」「関係ない人晒し」と別人アピールに必死なのが完全に一致してて草
>>615
>547 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/28(水) 00:40:27.40 ID:???
>人違いで晒し案件で訴えられて前科者になる君ら可愛そうwww
>>667
>762 名前:可愛い奥様 [sage] :2021/05/25(火) 01:36:33.46 ID:/KXEXu/M0
>煉獄オバサンの性格の悪さが浮き彫りになっていいね
>そのツイ垢主違うけど草
>関係ない人晒して悪趣味他キャラオタとは資質が違う
>みっともないよばあちゃん 荒らし本人じゃないと別人かどうか分からないからそれを知ってる時点で荒らし確定なんだよな どえろい官能小説みたいの書きたいけど才能なくて書けないorz >>672
婆さん、新作何でもいいです
人魚もAV男優も悪人座もどれも良かった
人魚はとくに最高だった
そんなどエロなくても、あなたの二人の描写とせめぎあいがどれもいい。
おまちしてます 水腐まだ臭い一人芝居を諦めてなかったんだ
ジャンショ公式の指人形ツイに水腐が大量凸して消させたせいで他推し界隈にも悪い評判が広がってるけど大丈夫?
正体バレバレの状態で暴れてないでお仲間を諫めて来いよ >>675
今用意してるのが伯杏なんですよね…
作業途中なので投下もまだ先になります… キャラ厨
特定キャラへの思い入れが強すぎて、他のキャラの人気に嫉妬してそのキャラとファンを口汚く執拗に罵ったり、迷惑行為をする人たちが目立つため、他の人たちのそのキャラに対する印象まで悪くなり、通常のファンも同類に見られて嫌な思いをすることになったりします。
こういう事が書かれていてまさに >>677
狛杏〜〜〜?!
それは滅多に見ないですね…時間軸いつかとか想像がつかないです
でも、お待ちしますね。(^_^)。 >>505
このラブラブになれるやつ、ずっとまってる… しかもやる気でなくてそれも止まってます
いつか素敵なあかれ投下できたらと思います… >>684
あ、それが伯杏になったんですねw
のんびりお待ちしてますー あぼーんと自画自賛レスしか見えないから水腐がまた自演してるのか >>686
あなた、原作とあまりに違う方向に行くのは気が向かないタチじゃないですか?
ハピエンもみたいけど、ハピエンはもう沢山ある
私はあなた流を見たい。自由に書いてくださいね >>676
ほんとこれ
指人形ツイ凸事件で寛容だった人まで水柱さんの話は避けたいと言い出すほど迷惑キチ水腐への嫌悪が高まってるのに
界隈のイメージ更に悪くしてるこの水腐アホすぎる >>688
自分の発言すら忘れるただのあほです…それをそんな好意的にとってくださりありがとうございます…
需要は低いながらも頑張ろうと思います >>690
あの水腐って自分で自分の首絞めてるようなもんだよな 公式ツイ消しさせた凸アカ見たら他キャラの悪口三昧が多くて引いたわ
水腐さんこんな所で嫌がらせしてる場合じゃないよ 5のスレには好きな義勇を応援するよりも嫌いなキャラファンへの嫌がらせ(成り済まし工作も含む)にこれだけエネルギー使う人が粘着してるしね
ここまで頭おかしくてマナー悪いファン見たことないから驚いた 一日1話ずつ更新のため支援不要
15話あるので、完結まで15日かかります
伯治×杏寿郎
猗窩座も後半登場しますが伯治とはアカの他人設定です
@
タラーララーラーラーラーラー・・・
聞き慣れた目覚まし時計の音に、そう深くはない眠りから意識がゆっくりと覚醒していく。
瞼を持ちあげると、眩しい光が目に飛び込んできた。
(・・・あー・・・、また電気を付けっぱなしにしてしまった・・・)
煌々としたライトに溜息を吐きベッドから起きあがれば、腰と下半身に残ったままの鈍痛に思わず眉を顰める。
「俺も年かな・・・」
もう一度溜息を吐き腰をさすりながらベッドから降りると、布団の上に投げ出されていたよれたTシャツを着て、そのままリビングの扉を開けた。
「杏寿郎兄さん」
すると、散らかった狭いリビングの片隅に置かれたソファの上に横になってテレビゲームをしていた人影が振り返った。
「無一郎、来てたのか」
「うん。今日、設備点検で店が休みなんだ〜」
幼さの残る顔立ちに無邪気な笑みを浮かべるのは、暇があれば杏寿郎の家でテレビゲームに興じる無一郎。一見するとただのゲーマーのようだが、こう見えて玄人からの評価も高い専属のクラブ歌手である。
「ねぇ、杏寿郎兄さん。オーナーから2番街にあるホテルのペアディナー券貰ったんだけど、杏寿郎兄さん一緒にいこうよ」
コントローラーを放り出し、ソファから身を乗り出しながら無一郎が言うのに、杏寿郎は「ごめん」と苦笑しながら無一郎の頭の上に手を乗せた。
「今夜も通りに出なくては」
「・・・・・・・・・・」
杏寿郎の返答に無一郎の表情が見る間に不機嫌なそれへと変わる。 「また今度誘ってくれ」
そんな無一郎を宥めるように額に軽くキスを落として、杏寿郎はそのままキッチンへ向かう。
「・・・身体、痛いの?」
キッチンでコーヒーを淹れる杏寿郎の背中に無一郎の心配げな声が投げかけられる。その台詞で杏寿郎は自分が無意識に腰をさすっていたことに気づき、知らず苦笑した。
「・・・昨日、久々に荒っぽい客に当たってしまってな」
全部知っている無一郎に誤魔化しても仕方ないと正直に告げれば、無一郎は「杏寿郎兄さん」と硬い声音で名を呼んできた。
「杏寿郎兄さんはいつまでこんな生活続けるの」
「・・・なんだ、急に」
どこか責め詰っているようにも聞こえる台詞に杏寿郎が困惑を示せば、いつの間にかすぐ傍まで来ていた無一郎が背後から杏寿郎にぎゅっと抱きついてくる。密着する身体から伝わってくる温かな体温に、覚えのあるその感覚に無性に胸が締め付けられた。
「もっと大きい都市に行けば、そんなことしなくたって杏寿郎兄さんなら他の仕事がいくらでもあるよ」
「・・・・・・・」
杏寿郎の肩口に顔を押しつけた無一郎が切なげな声音で紡ぐ。
「杏寿郎兄さんがここでどれだけ待ったって、あの人は戻ってこない。杏寿郎兄さんだってわかってるんじゃないの?」
「無一郎・・・」
苦々しげにそして哀しげに吐き出す無一郎の言葉が、小さな棘のように胸に刺さる。
「俺は彼を待ってるわけではない。もうすぐ借金も返し終えるから、そうしたら引っ越そうと思ってるし」
「借金返し終える前になんかあったらどうすんのさ。・・・・・・今朝、5番街で麻薬漬けの娼婦の人が死んでたって聞いたよ。この町はそういうところなんだ。早く足を洗うべきだよ」
「無一郎は心配しすぎだって」
「なら心配させないようにしてよ」
宥めるように言葉を継ぐも、無一郎からは予想通り素気無い台詞が即座に返ってくる。
「・・・・・そろそろ用意しないと・・・」
咄嗟に返すべき言葉が見つからずその場を濁すように自分の身体に回された無一郎の腕をぽんぽんと叩くと、「・・・いつか、僕が杏寿郎兄さん連れてこの町から出てってやるから」と不貞腐れたような呟きを漏らしながら、無一郎は渋々といった様子で杏寿郎から離れた。 肩より少し長い髪を襟足を少し残して後ろで括り、ゴールドのリングとネックレスを身に付け、ざっくりと胸元が大きく開いたニットの上に直接厚手の黒のコートを羽織る。無一郎曰く、「雑誌のモデルみたい」なこの出で立ちは、杏寿郎の夜の仕事用だ。
「今日も綺麗だよ、杏寿郎兄さん」
部屋から出る前に掛けられたどこか諦めたような無一郎の台詞に杏寿郎は「ありがとう」と笑みを返し、煌びやかなネオンが溢れる夜の町へ出て行った。
高級住宅地とビジネス街にほど近いこの地区には、自分の身体を売る輩が集まる裏ではよく知られた通りがある。
杏寿郎はそこで、1年ほど前からいわゆる「男娼」として金を稼いでいた。
怪我のせいで剣道の職を失い生活資金が足りず困窮生活を送っていた時、たまたま声を掛けられて始めたこの仕事は、運がいいのか悪いのか、杏寿郎が自分で思う以上に客がついた。
「今日も出るのか?煉獄」
「宇髄」
いつもの場所に着くと、この辺りの売春婦や男娼を取り仕切るポン引きの宇髄に声をかけられた。実際に宇髄に仕事を仲介してもらっているわけではないが、杏寿郎がこの仕事を始めた頃に知り合って以来なにかと面倒を見てくれる宇髄は杏寿郎にとって兄のような存在だった。
「あと家賃分稼がないと」
「今月結構こなしてただろ」
「あれは病院代の返済にまわしたからな」
杏寿郎が苦笑を返せば、宇髄は「なるほど」と得心いったように頷き、杏寿郎の左足に目をやった。
剣道の道を絶たれる原因となった左足のアキレス腱の断裂。その時の手術代や入院代は保険に入っていなかった杏寿郎には気が遠くなるくらいの額だったが、なんとか月賦にしてもらい、毎月こつこつと返済をして、ようやく終りが見えてきた状態なのだ。
無一郎に言った言葉はその場しのぎの台詞ではなく、杏寿郎はこの支払いが終われば町を出るつもりでいた。
「お、見てみろ煉獄。いい車」
暫く宇髄と談笑していると、ふいに視線を杏寿郎から外した宇髄が愉しげな口調で言いながら顎をしゃくった。
宇髄の視線を追うと、通りの角に幾分危なっかしい動作で丁度車が停車するところだった。
「うまくいきゃ、あれで家賃分くらいは稼げるんじゃねえの?」
「そうだろうか」
「自信もてって!お前が本気になりゃ落ちねえヤツはいねえよ!」
「って宇髄、俺に譲ってくれるのか?」
「お前がいたら、ウチのしまの連中の商売あがったりなんだよ」 大げさに肩を竦めて見せると宇髄は杏寿郎の背中を車が停車している方に押し出し、「頑張れよ〜」と綺麗な顔に綺麗な笑みを浮かべながらひらひらと手を振った。
適当に髪を手櫛で整えながら、停車している車へ歩み寄る。
車に辿り着き、運転席側の窓をこんこんと軽く叩けば、ウィンドウがゆっくりと降りてきた。
「相手はもう決まったか?」
半分ほど下がったウィンドウに手をかけて中を覗き込みながら声をかけると、ガチャガチャとサイドブレーキを苛立ったように動かしていた男が杏寿郎の方を向いた。
「イースタン通りに出るにはどういけばいいかわかりますか?」
ややうんざりとした様子で杏寿郎に問うてきたのは、端正な顔立ちをした、全体的に知的な雰囲気を漂わせる若い男だった。
「なに、迷子か?」
「まぁ、そんなところです」
杏寿郎が首を傾げれば、男は少し困った風に眉を下げながら苦笑した。
こういう一夜だけの相手を物色するような場所にはひどく不似合いの、誠実で生真面目そうな空気を醸し出す男に、
(そう上手くはいかないか)と内心で溜息を吐きながら、杏寿郎は男に「オッケー」と笑みを向けた。
「イースタン通りに出たいなら、そこの十字路を右に曲がって、4番街の3ブロック目で・・・・・・」
だが、腰を屈めウィンドウに手を掛けた体勢で前方を指差しながらそこまで説明してから杏寿郎は言葉を切った。男の顔がはっきりと困惑を示していたからだ。
「4番街・・・」
なんとも渋い表情でそう呟く男の様子に、杏寿郎ははっと気付いた。
「悪い。イースタン通りもわからないのに、4番街がわかるわけないよな」
「すみません・・・」
苦笑を浮かべる杏寿郎に、男は申し訳なさそうに眉尻を下げた。
その生真面目な態度が妙に微笑ましくて、杏寿郎は男の方へと身を乗り出して「うむ」と声をかけた。
「イースタン通りまで案内してやろう。乗っていいだろうか?」
「へ?」
「心配するな、道案内するだけだ。
セックスしないのに金なんて取らない」
きょとんとした表情を晒す男を安心させるようににこりと笑みを浮かべれば、男の双眸がやにわに大きく見開かれた。 「あなたは、その・・・・・・」
「男娼だ」
気まずげに言いよどむ男が確認したかっただろうことを杏寿郎が先読みして答えると、男は杏寿郎の格好を一瞥した後、困惑と怪訝を乗せた眼差しで杏寿郎を見つめてきた。
「・・・モデルの方かと思いました」
「あはは。よく言われる」
「身のこなしも綺麗だし・・・」
「そんな褒めてくれなくても、ただで案内してやるぞ」朗らかに笑いながら杏寿郎が答えれば、男はふっと表情を和らげて口元に小さく笑みを乗せた。
「・・・・・・なら、お願いしてもいいですか?」
警戒を解いてくれたのか杏寿郎の気まぐれな親切を受け入れた男は、「どうぞ」と助手席のドアを開けて杏寿郎を招き入れた。
「これ君の車か?」
「いえ、借り物です」
「どうりで乗り慣れてないと思った」
杏寿郎が含み笑えば、男は少し照れくさそうに目を細めて杏寿郎を横目で見遣ってきた。
高級住宅地を抜け、目的のイースタン通りを過ぎ、男の宿泊先へと車を走らせながら、杏寿郎は機嫌よく鼻歌を歌う。
『運転してみますか?』
道案内をしながら滅多にお目にかかれない高級車に興奮を隠すことなくはしゃぐ杏寿郎に男はそう提案し、思いがけない申し出に杏寿郎は迷うことなく二つ返事で頷いた。
何もない田舎に住んでいた時はよく車を運転していたが、この町に来てからは移動はほとんど徒歩か地下鉄で車の運転は久しぶりだった。それでもすぐに運転の感覚を思い出しその気持ちよさに気分が上がり、尚且つ性能のいい車を走らせることはただ単純に愉しかった。
「なぁ、ラジオ聴いてもいいか?」
「どうぞ」
男の返事を聞くと、杏寿郎はハンドルを握ったままでラジオをつけた。途端、流れてくる流行の音楽に誘われるように、少し歌詞が曖昧な曲を適当に口ずさむ。
「・・・・・・歌詞、間違ってませんか?」 すると助手席の男がくすくすと可笑しげに笑みを噛み殺す。
「いいんだ。音楽は楽しむ為にあるのだから!」
堂々と開き直り再び適当に歌い始める杏寿郎に、男はますます可笑しげに笑みを深くした。
短時間ですっかり打ち解けた杏寿郎と男が他愛もない会話を交わしていると、ふいに杏寿郎の携帯電話が鳴った。
「もしもし」
『煉獄?どうだった?』
電話に出た途端聞こえてきたのは宇髄の声だった。
「迷子だというから、ホテルまで送り届けてる途中だ」
『は?なんだそれ』
「もう少しで着くから、無事送り届けたら戻るよ」
『相変わらずのお人好しだな。送り賃ぐらいぶん取ってこいよ!』
「はいはい」
宇髄の台詞に適当に相槌を打ちながら通話を終えると、
男がじっと杏寿郎を窺うように見つめているのに気付いた。
「・・・・・・なんだ?」
「いえ、なんでもないです」
「そうか?」
どこか物言いたげな表情の男の様子が少し気に掛かったが、
特別問い質すこともなく、杏寿郎は車の運転に集中した。
「ありがとうございました」
目的地のホテルに到着し車を降りると、男は落ち着いた微笑を口元に浮かべながら杏寿郎に礼を述べた。
立ってみて気付いたが、男は杏寿郎よりも少しだけ背が低かったが、
この見てくれでこんな高級ホテルに宿泊するほどの経済力を持っているとなると、 さぞかしモテるだろうと杏寿郎はそんなどうでもいいことをぼんやりと思った。
「ここからどうやって帰るんですか?」
男の姿を確認し迎えにきたホテルマンに車のキーを預けると、男は杏寿郎に尋ねてきた。
「時間が合えばバスで帰るし、別にタクシーでもいいし・・・」
周囲を見回しながらの杏寿郎の台詞に、少し俯いて何かを考え込むような素振りを見せた後、
男はどこか意を決したように顔をあげ杏寿郎を真っ直ぐに見つめてきた。
「相場はいくらぐらいですか?」
「は?」
唐突な問い掛けに、杏寿郎は思わず間抜けな声を漏らしていた。 「相場って・・・・・・」
「一晩でいくらですか?」
首を捻る杏寿郎を真っ直ぐに見据えながら、男は今度ははっきりとわかりやすくそう口にした。
「先約がなければ、あなたを俺の部屋に招待したいんですが」
「・・・・・・・・・・」
急展開に面食らう杏寿郎に、男はふっと優しげな笑みを浮かべて更に言葉を重ねてくる。杏寿郎を見つめてくる眼差しにはからかいの色はなく、彼が本気で言っていることはわかるが、おそらく彼は男と経験はない。杏寿郎が男娼であると知った時の彼の驚きようを見れば明らかだ。
「・・・君、男抱けるのか?」
「抱けるかどうかわかりませんが、ただ、あなたと話がしたくて・・・・・・」
怪訝を乗せながら杏寿郎が慎重に尋ねれば、男は少し首を傾げて、ほんの少し困った風に眉尻を下げた。
「変わってるな、君」
「・・・・・そうかもしれないです」
自分で自分の行動に戸惑ってるように視線を泳がせる男の姿に、つい杏寿郎はぷっと小さく噴き出してしまう。
「君、名前は?」
「伯治です。素山伯治」
伯治と名乗った男は、スマートな仕草で杏寿郎に手を差し出してきた。
「俺は煉獄杏寿郎。宜しくな、伯治」
握り返した伯治の手は、杏寿郎のそれよりもあたたかくて、そして優しかった。
@end 新規レスの数でどうせ義勇腐だろうなと思ったらやっぱり義勇腐だった これを15日間続ける宣言してる水腐
>>698
100レス以上使って一人で荒らすそうだ 新作キター(´∀`)!!
嬉しいけど15日お預けされ続けるの…ぐぬぬ
早く明日になれ…ぐぬぬ 全く無駄な事してるなぁグッズの売上が一番公式に反映される
水腐一人の声がデカかくても何も変わらない 暇だからあげちゃう
A
「うむ、相変わらずゴージャスなホテルだな」
ロビーに入るなり、杏寿郎はそう感心しきった声をあげた。
「来たことがあるんですか?」
「客と何度か」
煌びやかなシャンデリアを目を細めて眺めながらの杏寿郎の台詞に、伯治は眉間に皺が寄るのが自分でもわかった。
杏寿郎が男娼であるから今こうして自分と共にホテルに来ているのに、杏寿郎が男娼であるという事実に無性に遣る瀬無くなる。
「・・・なぁ伯治、なんか俺たち見られてないか?」
伯治が勝手に塞ぎこんでいると、耳元に顔を寄せた杏寿郎が内緒話をするように話しかけてきた。
「俺、どっか変か?男娼だってばれたかな?」
そう不安げに問うてくる杏寿郎に、伯治は「大丈夫ですよ」と小さく笑みを返す。
「あなたが綺麗だからみんな見惚れてるんです。それに美青年が2人並んでたら、いやでも注目されますよ」
伯治のしれっとした台詞に、杏寿郎は一瞬ぽかんと口を開けるも、すぐに愉しげに笑いながら伯治の肩に腕を回してきた。
「なんだ、そういうの自分で言うか?普通」
「本当のことですから」
「君、面白いな」
笑みを噛み殺しながら肩を震わせる杏寿郎の腰に手を回し、伯治は「ほら、いきましょう」と促した。
「お帰りなさいませ、素山様」
「部屋に、シャンパンと苺をお願いします」
フロントで鍵を受け取りながら伯治が言えば、フロントスタッフは「畏まりまりました」とにこやかな笑みで了承すると、すぐに傍らの電話を取り、「素山様のお部屋にシャンパンと苺を」と伝えた。 「15分ほどでお持ちいたします」
「ありがとうございます」
スタッフに礼を言ってフロントから離れると、少し離れた場所で待っていた杏寿郎が近寄ってきた。ただ背筋を伸ばして歩く姿すら、野生動物のようなしなやかさを感じさせ思わず目を奪われる。
すらりと高い身長に長い手足、端正な顔。きっと今このロビーにいる誰もが、杏寿郎のことをモデルかそれに属する仕事をしている人間だと思っているだろう。伯治がそうであったように。
「お待たせしました」
「あ、その鍵って最上階のペントハウスのだろう。あの部屋、すごく見晴らしがいいよな!」
伯治の手元を覗き込みながら子供のように無邪気に笑う杏寿郎はとても男娼なんて仕事をしているとは思えないのに、杏寿郎の話す内容からはそういうことしか見えてこない。
(以前は誰と来たんですか?)
なんて、そんな訊いたってどうしようもないことを思わず尋ねそうになって、伯治は言葉を呑みこむように一瞬だけ唇を噛み締めた。
「・・・・・知り合いが勝手に予約を入れたんです。俺は普通の部屋でよかったんですが」
「綺麗な景色というのは見るだけで心が豊かになるものだ」
嘆息交じりの伯治の台詞に、杏寿郎は朗らかに笑みを浮かべながら伯治の手からキーを取った。
「すごい書類の量だな」
部屋に入ってから真っ直ぐにデスクに向かう伯治の後について来た杏寿郎は、デスクの上に山と置かれた紙の束を見てややうんざりとした口調で言った。
「これ、全部読んでるのか?」 びっしりと文字やらグラフやらが並ぶ書面を一枚手に取り、ざっと目を通した杏寿郎が顔を顰める。
「それが仕事なんで」
苦笑しながら伯治が答えれば、杏寿郎はコートを脱ぎソファーにかけ、腕を組んでデスクに寄りかかった。
「君の部屋に招待されたけど、俺は何をすればいい?」
「・・・・・・何をしてくれるんですか?」
伯治の返答に杏寿郎はにこりと笑うと、「口へのキス以外なら、なんでも」と自らの口元に指先を当てた。
「・・・キスは駄目なんですね」
「うむ。身体を売るのが俺たちの仕事だ」
言いながら杏寿郎の指先が伯治の首元に伸び、ネクタイをくいっと引っ掛けて結びを緩める。
熱を孕んだ視線が杏寿郎に段々と近付いてきた、その時。
ジリリリリ・・・、ジリリリリリ・・・・
「・・・なんだ?」
「ルームサービスが届いたようです。さっきフロントに頼んだので」
訝しげに眉根を寄せながら扉を見遣る杏寿郎に説明すれば、杏寿郎はぱっと顔を輝かせて「俺が出よう!」と軽い足取りで入り口へと向かった。
「すごい美味そうなイチゴだな!」
運ばれてきた銀の器に乗った盛り沢山の苺を目にした途端杏寿郎が嬉しげに顔を綻ばせる。するとそんな杏寿郎を微笑ましげな笑みを浮かべて見つめていたホテルマンが、穏やかな眼差しをそのまま伯治に向けてきた。
「素山様、他のフルーツもお持ちしましょうか?」
杏寿郎の様子を見て気を利かせてくれたのだろうホテルマンの台詞に、杏寿郎も苺から顔をあげて伯治を見遣ってくる。 「どうします?杏寿郎さん」
「俺、イチゴだけでいいよ。イチゴも大好きだ」
尋ねる伯治にそう答えると、杏寿郎は苺を一つ摘んで、口の中に入れた。
「うまいっ!」
もぐもぐと言葉通り美味しそうに苺を味わう杏寿郎の姿に思わず伯治の頬も緩む。
「苺だけでいいそうなんで」
「畏まりました。また何かあれば申し付けください」
ホテルマンに告げると、彼は来た時と同様優雅にお辞儀をして部屋から出て行った。
「これでイチゴジュース作ったら美味いだろうか」
「後でフロントに頼んでみましょうか」
ふかふかの絨毯の上に寝そべり、器の中の苺を指でつつきながら杏寿郎が言うのに、伯治はくすくすと笑いながら提案する。
「あ、でもこんないいイチゴ、ジュースにしたら勿体無いな」
すると杏寿郎は転がっていた床から起き上がり、伯治の座るデスク席まで歩いてきた。
「?苺はもういいんですか?」
「いや、暢気にイチゴ食べてる場合ではなかったな・・・。金も貰ってるし、仕事しないと・・・」
「・・・・・・・真面目なんですね」
生真面目にそんなことを言ってくる杏寿郎に、知らず皮肉めいた言葉が口を衝いて出る。
確かに自分は金を払って杏寿郎との時間を買った。わかっているのに、この胸が痞える様な閉塞感は一体なんなのか。
「俺はこれでメシ食ってるし、プロだからな」
そんな伯治の複雑な心境など知る由もない杏寿郎は当然とばかりの口調で言い放つと、ソファーにかけたコートを拾い、ポケットの中をごそごそと漁り始めた。
「ほら、好きなのを選ぶといい」
そして杏寿郎がポケットから取り出したのは、ゴールド・ピンク・パープル・グリーンといった派手な色の袋に包まれた避妊具で。
「・・・・・・・・」
それらを目にした途端、言いようのない不快感が込み上げ、酷く嫌な感じがした。それを使って他の人間と身体を重ねる杏寿郎を、容易に想像できたからかもしれない。
黙ったまま杏寿郎の手を凝視し続ける伯治に不思議そうに首を傾げると、杏寿郎はゴールドの袋を選んでその他をコートのポケットに戻した。 こないだの指人形騒ぎのせいで水腐そのものが全方位からヘイト買ってるのに更に嫌われる行為を加速させてるの凄いな 「つけてやろうか?」
「ま、待ってください!」
そして袋を破りなんでもないように言いながら杏寿郎が躊躇いなく伯治のベルトに手をかけてきたので、その手を慌てて遮った。
するとやはり杏寿郎は不思議そうに目を瞬かせた。
「あの、少し話しませんか?」
「へ?」
「すぐにしなくても、朝まで時間は沢山あるんですし・・・・」
たじろぎながらの伯治の台詞に杏寿郎は一瞬きょとんとした顔つきになるも、「いいぞ」とすぐに破願した。
「そうだな。何から話そうか?」
そう言って袋をポケットに押し込むと、椅子に腰掛ける伯治の足下に胡坐をかいて座り込んだ。
伯治を見上げてくる杏寿郎の胸元の大きく開いたニットのセーターから、柔らかそうな筋肉が乗ったすべらかな胸元が見え、伯治の心臓が小さく跳ねる。
「伯治の職業から当ててやろう」
にこりと猫のように目を細めて綺麗な笑みを浮かべた杏寿郎は伯治の両膝の上に自分の腕を乗せると、凭れかかるように体重をかけてきた。
その甘えるような行動が意図したものなのか無意識のものなのか伯治には図りかねたけれど、無性に抱き締めたい衝動に駆られ、伯治はそんな自分自身に知らず苦笑を漏らしていた。
「・・・なら当ててみてください」
杏寿郎の手の上に自分の手を重ねながら言えば、杏寿郎は手慣れたように伯治の手に指を絡ませながら「弁護士!」と自信ありげに答えた。
「何故ですか?」
「優しそうに見えるけど目つきが鋭いし、賢そうだし」
「残念ながら違います。弁護士との仕事は多いですけどね」
「むぅ。自信あったんだがな。他に思いつかないのだが・・・」
杏寿郎がお手上げという風に両肩を竦めてみせるのに、伯治は小さく口元に笑みを刻みながら「企業買収の仕事です」と告げた。
「へぇ・・・。こんなホテルに泊まるくらいだから、伯治は重役かなにかなのか?」
「・・・・・社長です」
伯治の簡潔な返答に、杏寿郎の眦が真ん丸く見開かれた。
「その年で社長とはすごいな!」 「父の会社を継いだだけで、俺の力じゃありません。・・・今時、世襲制なんて流行りませんよ・・・」
素直に感心する杏寿郎にやや自嘲気味に言うと、杏寿郎が不思議そうに首を傾げる。
「でも他の社員が認めているのだろう?駄目だと思われてたら、君はさっさと社長の座から引き摺り下ろされている。もっと自信もっていけ」
慰めではなく、本当にそう思っているだろう杏寿郎の真っ直ぐな言葉がじわりと伯治の胸に染み渡る。
「・・・・・ありがとうございます」
「お礼言うところじゃないだろう」
伯治の礼に呆れ混じりの爽やかな笑みを返すと、杏寿郎は「なら、次の質問だ!」と愉しげに続けた。
「この町へはいつまでいるんだ?」
杏寿郎の質問に伯治は「そうですね・・・」と嘆息しながら、デスクの上に置かれていた手帳を手に取りパラパラとページを捲った。
「もう暫くは・・・。今手がけてる仕事が片付くまではここから動けないので・・・」
「そんなに忙しいのでは、伯治の恋人は大変だな」
同情するような杏寿郎の台詞に、伯治は小さく口元に微笑を刻みながら「いませんよ」と即座に返す。
「そうなのか?」
「作ってる暇も出会いもなくて・・・」
「でも君かっこいいから会社でもモテるだろう?」
いつの間にか伯治の太腿の上に頭を乗せていた杏寿郎が上目遣いで伯治を見つめながら尋ねてくるのに、伯治は「そうでもないですよ」と苦笑を返す。
すると杏寿郎は「それは嘘だな」と悪戯っぽく笑った。
「・・・・あなたはいるんですか?恋人」
そんな杏寿郎をじっと数秒見つめた後、太腿の上でさらりと揺れる長めの髪に触れ指先を絡ませながら、気が付けば伯治はそんなことを尋ねていた。
「へ?」
「・・・すみません」
杏寿郎の気の抜けた声に、伯治は馬鹿なことを聞いてしまったとすぐに自分の質問を後悔し、顔を俯けた。
恋人がいれば身体を売ることを仕事にするはずないのに。 本スレでぎゆしの推しに擬態した荒らしに失敗してたから発狂してここに暴れに来たんでしょ
>>697
全文同意
しのぶと煉獄への嫉妬で既に鬼になってそう 気を悪くしただろうかと杏寿郎を窺い見れば、杏寿郎は苦笑混じりに「いないよ」と言った。
「俺のこと気になるか?」
そしてどこか揶揄めいた口調で杏寿郎が問いかけてくるのに、伯治は「すみません」とよくわからないまま謝罪を口にしていた。
「謝られても困るが・・・」
すると杏寿郎は伯治の顎先に指をあて、ひょいと顔を上げさせた。
「関心を持ってもらえることは嬉しい。・・・忘れられるよりずっといい」
そう言って、どこか寂しげな笑みをひっそりと浮かべる杏寿郎に気の利いたことも言えず、伯治はただ微笑みを返すことしかできなかった。
シャンパンを飲み、苺を食べ尽くした後、伯治と杏寿郎はベッドルームへと移動した。
杏寿郎がベッドに寝転がり部屋を真っ暗にして映画を見ている中、伯治は残った仕事を片付ける為に、部屋の片隅に置かれた一人掛け用のソファに座り、小さな明かりをつけて電話を片手に書類に目を通していた。
「ええ、青い彼岸花社の株価を調べてください。・・・ロンドンでなく、東京の市場を・・・。そうです。・・・・また連絡します」
社の人間との電話を切り杏寿郎を見遣ると、彫刻のように整った綺麗な横顔が目に入る。
映画に夢中の杏寿郎からは時折小さな笑い声が聞こえてきて、それを聞きながら伯治も知らず口元を緩めていた。
そうやって時間が暫く経った頃。
「ふぅ・・・」
小さな溜息が耳に入り、伯治が声の主に顔を向けると、丁度杏寿郎がベッドから身体を起こすところだった。
「杏寿郎さん?」
ベッドの隅に投げ出されていたリモコンでテレビの音量を下げ、杏寿郎はソファに座る伯治の目の前に立つと、ふいに手を伸ばし伯治の手から書類を奪ってそれをサイドテーブルの上に置いた。
「書類と睨めっこしたままで朝を迎える気か?」
後ろ髪を縛っていたゴムを外しながら伯治を見下ろす杏寿郎の顔には、先ほどまでの健やかなで無邪気な笑みとは違う、誘うような挑発するような妖艶な笑みが浮かんでいた。
その凄艶さに息を呑む伯治の眼前で、杏寿郎はがばりとニットのセーターを脱ぎ捨て、髪をほぐすように頭を左右に振る。
「・・・・・・・」
はっきりと浮き出た鎖骨、柔らかそうな胸板、引き締まった腹筋、細い腰、それらを覆う滑らかで艶やかな肌が、伯治の劣情を否応なく駆り立てる。
「俺が全部やってやるから」 セーターを床に放り投げると杏寿郎は徐に伯治の足下に跪いた。
そして綺麗な指先を伸ばしベルトに手をかけると、あっという間にベルトを抜き、スラックスの中からシャツを引っ張り出してボタンを一つ一つ外していった。
「結構、鍛えているのだな」
感心したように言いながら、杏寿郎は露になっていく伯治の上半身の形を確かめるように優しい手付きで撫ぜる。その指先が肌を行き来する度に言いようのない熱が腹の底からふつふつと湧き上がってきて、
伯治はそれを遣り過ごそうと知らず眉間に力を篭めていた。
顔に掛かる長めの髪を気だるそうにかき上げながら、
杏寿郎は伯治のスラックスのファスナーをゆっくりと下ろしていく。
情欲を煽るようなその仕草一つ一つがいやらしくて、でも見惚れるほど綺麗で、伯治は杏寿郎の行動を声もなくただ見つめ続けた。
「・・・緊張しなくても大丈夫だ」
するとふいに顔を上げた杏寿郎が、苦笑を浮かべながら伯治に優しく声をかけてくる。
「ちゃんと気持ちよくしてやる」
「・・・・・・」
そんな杏寿郎になんて言葉を返せばいいかわからず、困惑した表情を浮かべる伯治にもう一度にこりと笑いかけた杏寿郎は再び顔を伯治の下半身に戻した。
ちゅっと軽い音を立てて、伯治の下着の上から口づけを落とすと、杏寿郎は愛おしむように既に熱を持ち始めた伯治の中心をゆるりと撫で、スラックスと共に下着を引き下ろした。 初めて男からされる行為にも関わらず、いっそ不思議なほど嫌悪感はなく、ただ次から次へと爆ぜるような熱が込み上げてくる。
伯治のものに丁寧に愛撫を施す杏寿郎の姿にどうしようもなく興奮して、気がつけば伯治の手は杏寿郎の頭に置かれ、その顔を更に自身に押しつけていた。
すると目を閉じていた杏寿郎がふっと視線をあげ、濡れた目で真っ直ぐ伯治を見つめながら微笑んだ。
あまりにも綺麗で妖艶な笑みに息が止まり、世界が揺れるように目眩がした。
Aend 今回は少し性に慣れてる杏寿郎なんですね
男娼杏寿郎
続き期待してます B
「もちろん、鬼舞辻氏は抵抗しますよ。自分の会社を乗っ取られて、社名まで変えられてしまうなんて、耐えがたいことでしょうから」
携帯を耳に当てたままPCを開き、メールをチェックすると、メールボックスの中にはたった一晩確認しなかっただけでうんざりとするほど未開封のメールが溜まっていた。
『伯治殿と直接会いたいって言ってるけど・・・。どうする?』
「いいですよ。なら、今夜ディナーのセッティングをしてください」
ずらりとテーブルに並べられた朝食の中から香ばしいにおいをさせるクロワッサンを手に取り、それに齧り付きながら言えば、『伯治殿』と嗜めるような調子で名を呼ばれる。
『2人きりの会食なんて止した方がいい。・・・向こうは短気だし伯治殿も短気、なにか下手なことしたら今度こそ名誉毀損で訴えられるよ』
「童磨みたいにオブラートに包めなくて」
『こら。俺は真面目に心配してんだよ』
明らかにむっとした声音になった童磨に、伯治は「わかってますよ」と苦笑を零す。
親戚であり幼馴染であり、尚且つ伯治の片腕である童磨は、穏やかな物腰と軽快な会話で交渉ごとが得意なのだが、今は別の案件を抱えているため今回こちらには同行していない。 「とりあえず連絡をお願いします。彼とは直に話さなきゃいけないと思ってたので」
『・・・・・・オッケー』
深々とした溜息と共に吐き出された了承の言葉に、伯治は思わず笑みを零していた。
「・・・おはよう」
メールに一通り目を通し必要な返信だけ済ませてPCを閉じたところで、バスローブを羽織った杏寿郎が欠伸をしながらリビングに入ってきた。
「おはようございます」
「やけにいい匂いがすると思ったら、それか!」
テーブルの上に置かれた朝食のプレートを目にした杏寿郎が嬉しげに声を弾ませ、寝癖のついた髪の毛を適当に手櫛で梳きながら伯治の真向かいの席に腰を下ろす。
明るい灯の下で見る杏寿郎は健やかそのもので、昨夜の淫靡な面影など欠片も見えなかった。
「・・・よく眠れましたか?」
「うむ!」
早速とばかりにクロワッサンを手に取りもぐもぐと美味しそうに食べる杏寿郎に話しかければ、杏寿郎は満面の笑みで頷いた。
「・・・朝食、他に何か食べたいものがありますか?」
「俺のことは気にしなくていい。シャワー浴びたらすぐ帰るから」
朝食の載ったメニューを差し出すと、杏寿郎は笑顔のままで手をひらひらと振った。
「・・・一晩と言いましたけど、何時までとは言ってないはずですが」
「いや、でも普通一晩といったら夜明けまでだろう」
「ここにいるのは嫌ですか?」
「やけに突っかかるな」
「突っかかってなんか・・・」
困った風な笑みを乗せる杏寿郎に言い返そうと伯治が口を開いた時、ふいにテーブルの携帯電話がブルブルと振動した。 「・・・・・・・」
「俺は風呂に入ってくる」
じっと携帯を見つめる伯治にそう言うと、杏寿郎は残っていたパンを口に押し込めると席を立ち、バスルームへと向かった。
『伯治殿。今日のディナー、オッケーだって』
電話の主は童磨だった。
「ありがとうございます」
『向こうは黒死牟って奴を連れてくるって言ってたけど。伯治殿、知ってるか?』
「彼なら知ってます。鬼舞辻氏が後継者として育てている男ですよ。真面目で、なかなかの好青年です」
伯治が説明すれば、童磨は『ふぅん』と間伸びた声をあげた。
『なら伯治殿は女を連れていけよ。そうしたら、少しは社交的な雰囲気になるから』
「社交的、ですか・・・」
独り言のように呟きながら、伯治は携帯を耳に当てたままバスルームへと足を向けた。
『向こうさんだって、綺麗な女がいれば悪い気しないでしょ』
「そうですねぇ」
気のない返事を返しながらバスルームの扉を開けた途端、湯気と共に軽快なダンス曲が聞こえてきた。
浴槽から溢れそうなほどの泡風呂に身を沈める杏寿郎は、浴室に大音量で音楽をかけながら機嫌よさげに歌を歌っている。
伯治が浴室の扉を開けたことにも気づかず、目を閉じて頭を揺らしながら気持ちよさそうに音楽に乗る彼の姿に、思わず伯治は頬を緩ませた。
『伯治殿〜、聞いてるかぁ?』
「聞いてますよ」
『ほんとか?とりあえず美人で気が利いて教養のある女をとりあえず同行させろ。こっちで手配しようか?』
「大丈夫ですよ、童磨」
童磨の提案に伯治は緩く首を振る。
「パートナーならもう見つけました」
『へ?』
と、間抜けな声をあげた童磨にくすりと笑みを零し。
「それじゃ、童磨。またあとで」
通話終了のボタンを押した。 「ノックぐらいしたらどうだ」
漸く伯治に気づいた杏寿郎が、レコーダーの電源を切りながら呆れたように言う。
「すみません」
「ま、今更だが」
眉を下げながら謝る伯治に揶揄めいた笑みを向けながら、ざばっと泡に埋もれた湯の中から足を出し浴槽の縁に置いた。
そして、その動作を何気なく目で追っていた伯治の視界にふいに飛び込んできたのは、杏寿郎の左足の踵の上から足首の上まで走る大きな傷跡だった。
「それは?」
昨夜、薄暗いベッドルームでは気がつかなかったその明らかな縫い傷は、周辺の皮膚がひきつれていて妙に痛々しかった。
伯治の視線の先にあるものに気づいた杏寿郎が、「あぁ」と左足首をぐるりと回してみせた。
「アキレス腱切ったんだ」
「・・・何か運動でも?」
普段生活していく中では滅多に切れることはないだろうと不思議に思い伯治が尋ねれば、杏寿郎はふふっと愉しげに含み笑った。
「俺、今はこんな仕事だけど昔剣道家だったんだよ」
「え?」
予想外の返答に、伯治は目を見開きまじまじと杏寿郎を凝視した。
そんな伯治の様子がツボだったのか杏寿郎は可笑しげに笑みを噛み殺す。
「物心ついた時からずっと剣道が好きで、剣道で飯食っていきたくてな・・・。下積み長かったけど、ちゃんと認められて、自分で言うのもなんだが結構順調だった」
頭を浴槽の縁に預け天井を見つめながら穏やかな面差しで語る杏寿郎。
懐かしげな声音には、戻れない日々を愛おしむような懐古の念が溢れていた。
「・・・・・・・」
話を聞きながら、一度も目にしたことがないにも関わらず美しく竹刀を振るう杏寿郎の姿が伯治には簡単に想像ができた。
そこにいるだけで人を惹き付ける容姿と雰囲気を持った杏寿郎が殺陣を舞い躍動する姿はさぞかし美しいだろうと思う。
「あの頃は、ちゃんとこの足も思い通りに動いていたんだがなぁ・・・」
大きな傷跡の残る左足を掲げてじっと見つめた後、杏寿郎は諦念を滲ませた苦笑を浮かべた。
「・・・稽古の最中に?」
遠慮がちに口を挟んだ伯治に、ふっと小さく笑みを漏らす。
「「ぶち」って、そりゃあ嫌な音がしてな。・・・あれは今でも忘れられない」
その時のことを思い出しているのか、杏寿郎は仰向いたままゆっくりと目を閉じる。
「・・・なんで、剣道家に戻らなかったんですか?」
「ん?」
「成功していたんでしょ?」
聞きようによっては責めているようにも聞こえるだろう伯治の問いかけに、杏寿郎は困った風に眉尻を下げながら伯治を見つめてきた。 プリティ・ウーマンね!
懐かしくて配信で見直し中なう 「・・・リハビリを急ぎすぎて、腿裏の肉離れとかやってしまってな、俺がもたもたしてるうちに俺の居場所はなくなっていたよ。」
「・・・・・・・」
「それに保険に入ってなかったから病院代もすごい額になってたし、生活もしなきゃならなかったし、とにかく金が必要だった。
家賃が払えなくてアパートも追い出されそうになって途方に暮れてた時に、身なりのいいおじさんにたまたま声かけられて・・・。
それが一番最初だったかな」
「・・・・・・」
自分で訊いておきながら、杏寿郎の語る内容に耳を塞ぎたくて仕方なかった。
出会ってからまだ一日も経っていないのに、これほどまで杏寿郎に独占欲を感じている自分がわからなかった。
「・・・男を相手にすることに、抵抗はなかったんですか?」
胸に巣食うどろどろとした黒い感情を無理矢理に押し込めながら、伯治はそんな不躾な質問を口にしていた。
いくら金のためとはいえ、そう簡単に男と寝ることが出来るものなのだろうか。
すると、それまでどちらかと言えば淡々とした様子だった杏寿郎の表情が一瞬だけ強ばった。
それを目にした途端、伯治は杏寿郎の触れてほしくない部分に踏み込んでしまったことに気づき、
すぐに謝罪しようと口を開きかけるも、伯治の口から言葉が出る前に杏寿郎は、「その時が初めてじゃなかったんだ」と、その双眸と口元にひどく寂しげな色を乗せた。
「え・・・?」
「・・・恋人がいたんだ。―――男の」
「っ!」
独白のように落とされた台詞に伯治は絶句した。
「お、とこの・・・」
「うん」
「・・・・・」
僅かに掠れた声で呆然と呟く伯治に杏寿郎はただ穏やかな表情を向けてくる。
杏寿郎の人懐っこい愛嬌のある性格と文句のつけようのない容姿なら過去に恋人がいて当然だ。
それが女性ならば伯治はこれほどまで動揺しなかっただろう。
「・・・どんな人だったんですか」
気がつけば、伯治は抑揚のない低い声でそう尋ねていた。
「・・・この話はこれでおしまいだ」
すると伯治の追求に杏寿郎は困ったように笑うと、がばっと身体を起こし、今まで自分の足を乗っけていた浴槽の縁に両腕を乗せて伯治を見上げてきた。 「一緒に入るか?」
口元に綺麗な弧を描きながら、伯治に向けられる艶めいた眼差し。
額や首もとに張り付く髪や濡れた肌や潤んだ双眸やほんのりと赤みを帯びた頬が、伯治に否応なく情事の最中の杏寿郎を連想させた。
「昨日は俺の方が先にダウンしてしまったからな、特別サービスでもう一回いいぞ」
一瞬で雰囲気を淫靡なものへと変える杏寿郎につられるように、下半身に熱が集まっていくような気がした。
昨夜、性行為を覚えたての少年のように我武者羅に杏寿郎を求め、体力に任せてただ只管に杏寿郎を貪った時の筆舌にし難い快感が身体の隅々にまで蘇っていく。
滑らかな肌の感触も、重なった肌の火傷しそうな熱さも、快楽を訴える切れ切れの掠れた喘ぎ声も、すべてが伯治を惹き付け惑わし、杏寿郎という存在に溺れさせた。
「伯治?」
「・・・・・」
誘い込むような声音に誘導されるように黙ったまま腕を伸ばし、杏寿郎の首筋から鎖骨へと指をゆっくりと滑らせていく。
そこには自分がつけた赤い鬱血が点在し、昨夜の伯治の行為を知らしめているかのようだった。
伯治は、その痕を塗り変えるようにその上から強く吸いついた。
「ん・・・」
すると杏寿郎は鼻にかかった甘い声を小さく漏らしながら、濡れた手で伯治の頭を抱き込んできた。
柔らかな杏寿郎の胸が頬に押しつけられ、何ともいえぬ感触にぞわりと背筋に快感が走る。
「杏寿郎さん・・・」
背中に手を回し、真っ直ぐな背骨に沿って掌を滑らせれば、杏寿郎の身体がびくりと揺れる。 「あ、ゴム・・・」
「・・・中には出しませんから」
熱に浮かされたような蕩けるような目で間近から覗き込まれ、更に中心の熱が高まっていく。
既に芯ををもった欲望に忠実な自分の中心を杏寿郎のそれに押しつけると、「ぁ・・・」と杏寿郎から感じいったような熱い吐息が零れ、伯治に抱きつく腕に力が入った。
伯治はズボンが濡れるのも構わず浴槽に足を踏み入れると、泡風呂の中から杏寿郎の身体を持ち上げ、浴槽の縁に座らせて泡にまみれたその身体を背後のタイルの壁に押しつけた。
「伯治・・・」
片足だけを伯治の腰に巻き付けてくる杏寿郎の中心も既に立ち上がっていて。
そんな杏寿郎の浴槽の中に下ろされている方の脚の太腿をゆっくりと撫で上げ、もう片方の手で杏寿郎の後ろに手を伸ばし擽るように指先を動かせば、伯治の肩口に顔を埋めた杏寿郎が快感に身体を震わせながら小さく喘いだ。
しなやかに伯治の首に巻き付く腕。
断続的に唇からこぼれ出る艶めいた喘ぎ声。
伯治の上で揺さぶられる濡れた身体。
その声に、その身体に、どろりと、身体の端々から溶けだしていくようだった。
「ビジネスの話をしたいんですが」
バスローブを簡単に羽織っただけの格好でベッドに上にぐったりと横たわる杏寿郎に話かければ、ひどく気だるげに杏寿郎が身体を起こした。
「ビジネスとは?」
未だぼんやりとした眼差しと掠れた声に、伯治は少し前の自制の効かない自分の行動を少し反省した。
「来週の日曜まで、俺の傍にいてください」
伯治がそう告げると、何を言われたのかわからないといった風な表情の杏寿郎が、何度か瞬きを繰り返した後に訝しげに眉根を寄せた。 「本気か?」
「冗談でこんなこと言いません。従業員として、一週間あなたを雇いたいんです。もちろん専属料も払います」
すると杏寿郎は明らかに困惑した面もちになって、言葉を探すように視線を宙に彷徨わせた。
「・・・申し出は嬉しいのだけど、俺、君のいる世界についていけないよ。・・・それに君みたいにハンサムでリッチなら俺じゃなくても、他に・・・」
「あなたがいいんです」
歯切れの悪い口調で辞退しようとする杏寿郎の台詞を全て言わせず、はっきりと強い口調でそう断言する。
ぽかんと口を開けた杏寿郎と、そんな杏寿郎を射抜くように真っ直ぐ見据える伯治との間に、束の間の静寂が訪れる。
「・・・どうなっても知らないからな」
そして諦めたように溜息混じりで沈黙を破った杏寿郎に、伯治は満面の笑みを浮かべた。
Bend
>>732
ありがとうございます
ぷりちぃ杏寿郎投稿前に見直したかったのにアマプラは有料だったので諦めました 私20代なんだけど水腐は信じられないだろうしそれだけで発狂しそう 一日一話と言わず二話三話あげてくださっても全然いいのですが 今回プリティ・ウーマンに何か萌を感じてのパロディなんでしょうけど
あなたのセンス好きだし読んでるとイメージが広がるからオリジナルも沢山読みたいです 誰かのオリジナル小説をそのままパクってきて名前変え水腐
煉獄がイジメがこれだから日本は
鏡とどこかで言われてた 用事しながら貼るので遅いですが支援不要です
C
『え〜〜〜〜〜っっっ!!!』
耳を劈くような叫びに、思わず携帯を耳から離す。
「ちょ、無一郎、声落としてくれっ!」
『だって、だってそんな大金・・・っ!!』
杏寿郎の諫めなど全く耳に入っていない様子で、冷めやらぬ興奮からか相変わらずボリュームの下がることのない無一郎の声。
『おかしいよっ!本当にちゃんとした人なの!?杏寿郎兄さん、どっかに売り飛ばされちゃうんじゃないのっ!?だって杏寿郎兄さん、高く売れそうだもん!!』
「無一郎、テレビの見過ぎだ。・・・まぁ、俺も金額聞いてびっくりしたけど、向こうはなんでもないような顔してたし、価値観の違いだろう」
伯治に提示された一週間分の契約料と専属料を合わせた合計金額は、思わず杏寿郎が声を失うほどの金額だった。そんな杏寿郎の様子を苦笑混じりに見つめながら伯治は、「あなたの一週間分を貰うわけですから、それぐらい払わせてください」とさらりと言ってのけたのだ。
『わかった。その社長、変態なんでしょ!どんなこと要求されたの!?』
「まともだったよ。人柄もセックスも」
表情まで想像できそうな険しい口調で詰問してくる無一郎に思わず苦笑する。
男との経験がないという割になかなかに巧みで、思いの外激しいセックスだったが、伯治は自らの快楽を追っている時でも、常に杏寿郎の身を気遣ってくれていた。 荒らしが一番恐れるのは特定
自分が安全な所から言いたい事を言いたい卑怯者だから
鬼滅関連の色んなスレでこいつは水腐と特定されてしまったので他ファンを装って違う!と必死な自業自得と逆恨み だから荒らしは特定するなと言われてるが、特定される自分が悪い&既に何ヶ月前から様々な人達に特定されてるから仕方無い ことが終わった後も、だるくてシャワーは起きてからにすると言った杏寿郎の身体を、「そのままじゃ気持ち悪いでしょうから」と綺麗に拭いてくれたのだ。
「それに、俺を部屋に呼んだくせに仕事ばっかりしてるから、俺の方から誘ったぐらいなんだ」
『変態じゃないなら、宇宙人みたいな顔した脂ぎったおじさんだったんでしょ!お金がなきゃ誰にも相手にされないような!』
「いいや?すごく綺麗で、モデルみたいなヤツだよ」
『ますますおかしいじゃんっ!』
杏寿郎の説明にますます不信感を募らせたように、無一郎は声を尖らせる。
『そうだ!お金はちゃんと払ってもらった?』
「それは最後の日に・・・」
『それきっと払わないつもりだよっ!一週間、杏寿郎兄さんを好き放題して、そのまま逃げる気だよ!!お金持ちがなんでお金持ちがか知ってる!?ケチだからだよ!!』
「無一郎・・・」
妙に確信を込めて断言する無一郎を宥めるように声をかける。無一郎がただ純粋に杏寿郎の身を案じ心配してくれているのは重々承知だが、さすがにここまで言われると伯治が気の毒になってくる。
「彼はそんなヤツじゃないよ。その一週間の契約金だって、最初は半分を前金で払うって言ってくれたんだが、どうなるかわからないから俺が断ったんだ。昨日一晩分の金だって、多すぎるほど貰ったしな」
杏寿郎が苦笑混じりに言えば、無一郎からは『たった一晩一緒だっただけで、杏寿郎兄さん、その社長のこと信じ過ぎだよ』と素気無い言葉が返ってきた。
「そうか?」
『そうだよ!・・・・・・けど、杏寿郎兄さんが決めたんなら僕が何言っても無駄だね・・・』
そして電話口の向こうで、ふうっと明らかに杏寿郎に聞かせるような大きな溜め息を吐くと、無一郎はむすっとした声のまま続けた。
『何かあったらすぐに連絡してよ。・・・いざとなったら、得意の武術でその社長をのして逃げてきなよ』
「わかったよ」
渋々といった風に杏寿郎に言い聞かせる無一郎の台詞に素直に頷けば、無一郎からは『心配だなぁ』なんて独り言が聞こえてきた。自分の何が無一郎をそこまで心配させるのかわからなかったが、杏寿郎は気を取り直して「そういうわけだから」と話を締めにかかった。 >>743
特定されて周知されたまでやってるわけで
相当よね 「一週間帰れないから、悪いがゴミ出しとか頼む」
『わかったよ』
「あ、あと―――・・・」
それから更に取り留めのない会話を交わして、杏寿郎は通話を終えた。
すると。
「長い電話でしたね」
書類に埋もれたデスクでパソコンのキーボードを叩いていた伯治が、笑みを含んだ声で話しかけてきた。
「俺、綺麗でモデルみたいですか?」
「うむ」
どこか嬉しげな口調で問うてくる伯治に思わず杏寿郎の声にも笑みが乗る。
「人柄もセックスもまともだそうで」
「ちょっと絶倫気味だけどな」
杏寿郎が揶揄を込めてそう言えば、伯治はやはり口元に笑みを浮かべたまま「誉め言葉として受け取っておきます」と得意げな顔で返してきた。
「俺もあまり若くないから、ほどほどにしてくれ」
言いながら寝そべっていたリビングルームのソファからむくりと上半身を起こすと、先ほどまで鉛のように重かった身体はやはり相変わらず重いままだった。
さすがに風呂場での行為はオーバーワークだったらしい。
「なぁ、なにか栄養ドリンク的なものはないか?」
「栄養ドリンクですか?」
デスクで仕事をする伯治に近づきながら尋ねると、パソコンから顔をあげた伯治が杏寿郎の姿を見るなりその端正な顔を曇らせた。
「?」
その様子を不思議に思い杏寿郎が首を傾げると、猗窩座は溜め息一つ零して椅子から立ち上がる。
「・・・ちゃんと前を閉めてください。襲われたいんですか」
そしてどことなく憮然とした面持ちで、呆れたような声音で言いながら、伯治は適当に羽織ったせいで胸から臍のあたりまで丸見えになっている杏寿郎のバスローブの前をきっちりと合わせ、腰紐を結び直した。
「なに。君、まだやれるのか?」
伯治の行動を黙って見ていた杏寿郎がやや驚いたような声を上げると、伯治は「まだ若いんで」と素気無い口調で言い放った。
「・・・今日はもう勘弁してくれ」
苦笑を口の端に乗せ、伯治の顔を覗き込みながら言えば、杏寿郎を見つめていた伯治の眉が少しだけ下がり、眼差しが柔らかくなった。 ここではしばらく静かだと思ったら盗れる小説を探してたわけね義勇腐
それっぼいのを探すのが面倒になってきたからオリキャラで続けることが見えてきた>>737からの自演予防線 「・・・では、仕事にかかりましょうか」
杏寿郎のまだ濡れたままの髪の毛をゆるりと梳きながら、伯治は小さな笑みを口許に刻んだ。
「・・・スーツ?」
「ええ」
「わざわざ作るのか?」
「既製品だと、あなたの体型に合いそうにないので」
戸惑いがちに尋ねる杏寿郎に、なんでもないように伯治が答える。
仕事と言われ伯治に連れていかれた先は、ホテルの近くにある高級紳士服店で。
「そんなもったいないことしなくていいぞ。君とそんなに体型変わらないと思うし、君のでいいよ」
「雇い主のいうことはちゃんと素直に聞いてください」
「・・・・・・」
そう穏やかながらも反論を許さないかのような力のある声音で言われれば、所詮雇われの身である杏寿郎に断れる筈もなく。
「では俺はこれから支社の方に顔を出してくるので、夕方の7時頃にロビーで待ち合わせましょう。いいですか?」
「わかったよ・・・」
諦めて肩を竦めて見せれば、伯治はくすりと小さく笑みを浮かべた後、店内のマネージャーに「よろしくお願いします」と声を掛け、もう一度杏寿郎に視線を遣ってから店を出ていった。
伯治を見送った後、杏寿郎に向き直ったマネージャーが満面の笑みを浮かべてポケットから採寸メジャーを取り出した。
「さぁ、始めましょうか」 炎婆婆更年期かな?旦那にかまってもらえなくていらついてるのかな? ※※※
「つ、疲れた・・・」
やたらと張り切った楽しげなマネージャーに、そこまで測るのかというところまで事細かに採寸され、杏寿郎にはよくわからない生地をあれやこれやと見せられ。
しかも採寸の時により正確さを期す為にと上半身裸になったのだが、杏寿郎の身体には真新しい情事の痕跡がそこかしこに散らばっていて、
マネージャーは察したように何も言わないでいてくれたものの、
杏寿郎はその時間が居たたまれなくて仕方なかった。
結局小1時間ほどで漸く解放された杏寿郎は、元々ぐったりしていた身体に更に無駄な疲労を背負い込む羽目になった。
「すぐに仕立てに入りますので、夕方6時頃にホテルのお部屋にお届けいたします」
「どうも・・・」
相変わらず上品な笑みを崩さないマネージャーに見送られ、
杏寿郎は愛想笑いを浮かべながら店を後にし、早々にホテルへと引き上げた。
だが。
(鍵がない・・・)
ホテルのエレベーターホールでふとコートの中に手を突っ込んだ杏寿郎は、そこに有る筈の部屋のキーがないことに気づき顔を青褪めさせた。
(あれ!?なんでないのだ!?)
色々とポケットを探ってみるが目的のものは見つからず、
エレベーターの前で呆然と立ち竦む杏寿郎に、ふいに人影が近づいてくる。
「どうかされましたか?」
優しげな声に反射的に声の方へ顔を向ければ、
そこには昨日部屋にルームサービスのイチゴを届けてくれたホテルマンがいた。
「あの、俺、部屋の鍵無くしてしまったみたいで・・・」
柔和な笑みを湛えて杏寿郎を見つめてくるホテルマンに、
杏寿郎が気まずげな表情で小さく呟けば、ホテルマンはくすりと小さく笑みを零すと、
「ここで少々お待ちください」と杏寿郎に言い置いて颯爽とフロントに向かった。
そしてすぐに戻ってきたホテルマンの手の上には、見覚えのあるキーが乗せられていた。 >>750
どこの鬼滅スレでもとっくの昔に荒らしの義勇腐さんの頭悪い工作バレてて一部では本人のツイ垢すらバレてるのに
今さら本気で煉獄オタに成り済まして自演して騙せると思ってるの? あんまり住民が被って無さそうな違う鬼滅スレで似たような荒らし注意テンプレ作られてるのが凄いよな水腐
どんだけ同じやり方で荒らしを続けてきたんだよ
>>742
これだけ特徴的な奴が一年くらい鬼滅スレ荒らして回ってるのに特定されたくないとか都合良すぎて笑う >>750
炎腐に擬態しても誰も引っかからないから焦って自演で炎婆認定始めたの草
「炎婆」って言い方がもう例の有名な炎アンチの水腐じゃん
マッチポンプで炎腐disりたくて迷惑長文投稿してることを自白してますよ水腐さん 「それ、部屋のキー・・・」
目を丸くする杏寿郎に、ホテルマンは穏やかな微笑を浮かべたまま口を開いた。
「素山様よりお預かりしております。あと伝言も」
「へ?」
「『鍵を部屋に置き忘れるくらいはいいですが、約束の時間は忘れないように』とのことです」
「はは・・・」
伯治からの伝言に決まり悪げに頭を掻く杏寿郎にキーを渡すと、ホテルマンはすっと流れるような動作で杏寿郎に名刺を差し出してきた。
「当ホテルのコンシェルジュ、産屋敷と申します」
優しい面立ちをした男はそう自己紹介をして杏寿郎ににこりと笑いかけてきた。
「素山様の滞在中、お世話を任されている者です。何か有れば、私の方に申しつけくださいませ」
「あ、俺は煉獄です。一週間ぐらいここにいる予定なので、よろしくお願いします」
軽く会釈をする産屋敷につられるように慌てて杏寿郎が頭を下げれば、産屋敷は苦笑しながら「こちらこそ」と優しい口調で言った。
Cend この義勇腐スレ荒らしと工作のために他人の書いた小説パクって改変してるのがクズすぎる >>757
ほんそれ
検索エンジンに引っ掛かりたくない全く関係無い人から盗って 画面の向こう側に一人ひとりの人間がいると思ってない奴の典型 >>754
確かに炎婆って荒らし義勇腐の口癖だったね
>>757
本当にここまで頭おかしいクズも珍しいわ この水腐が炎オタdisって本スレ荒らしてる時と同じ言い回しで公式垢に炎オタdisるクソリプ送り付けたせいでツイ垢が発覚したのはバカすぎて草生えた >>755
狛杏ならではのやりとりや描写を、映画のストーリーの合間にうまいこと融合させてますね
狛の絶倫に杏寿郎が気圧され気味な所良きです
続き待機 >>747
だな
今度はオリキャラということにして続ける気だわこの水腐 ワッチョイもIDも無いスレだと病気は悪化するだろうね
悪の"集合体"にしか見えないだろうし 鬼滅の主要キャラがほぼ大嫌いなのに義勇さんだけ大好きってどういう状態 水ヲタどもの公式凸を見て触っちゃいけない界隈なんだなぁとつくづく思った 界隈全体を触ってるわけじゃなく
一人の基地が特攻してくるんだなぁ これまで水推しの中でも異常なのは一人のスレ荒らしくらいだと考えてたけど
指人形の時に集団で凸してる水推し達を見て粘着荒らし水腐が生まれる土壌はあったんだなと思ってしまった
まともな水推しもいるけどヤバい人が発生しやすい何かがあの辺にあるんだと思う わざわざ検索避けしてるであろう人の小説パクって嫌がらせに利用するとか水腐ほんとにゴミクズだよな 公式凸した人らはどうでもいいな
他キャラ推しに擬態して悪さしてるこいつ一人が突出してる この水腐って「自分はオバサンだからゲームわからない」と本人がツイ垢で言ってたBBAらしいけど
子や孫がいるような年にもなって小説パクリと嫌いなキャラ推し成り済まし貶め工作なんてやって恥ずかしくないのか? 励まして下さった方々ありがとうございます
D
日が完全に落ち、煌びやかなネオンが街中を彩り始める。
(少し遅れたな・・・)
左腕の腕時計をちらと見ながら伯治はふっと小さく溜息を零し、手元の書類から視線をあげてウィンドウの外に流れる景色に目を移した。
『君なぁ!スーツの採寸するって最初から決めてたのなら、キスマークそこら中に付けないでくれっ!俺がどれだけ恥ずかしい思いをしたかわかってるのかっ!』
ぼんやりと外を眺めていると、不意に杏寿郎の声が耳元に甦った。
仕事の合間、様子を伺いに杏寿郎に連絡を入れると、伯治が何か言葉を発する前にそんな風に怒鳴られたのだ。
その勢いに思わず笑ってしまった伯治に、『笑い事じゃないだろっ!』とますます声を尖らせる杏寿郎の表情まで伯治には容易に想像ができて、杏寿郎に怒られても伯治は笑みを収めることが出来なかった。
まずいなぁ、と伯治はタクシーの硬いシートに背中を預けながら目を閉じる。
―――自分はどうしようもなく杏寿郎に惹かれている。
言葉を交わせば交わすほど、その身体に触れれば触れるほど、もっともっとと身体も心も杏寿郎を貪欲に求めてしまう。
杏寿郎が伯治と身体を重ねるのも一週間伯治の傍にいることを了承したのも、杏寿郎にとってビジネス以外のなにものでもないというのに。
それでも伯治は過去杏寿郎に触れただろう男達に勝手に嫉妬し、当然だが男に慣れた杏寿郎の身体に煩悶としてしまう。 ―――馬鹿みたいだ・・・
自嘲染みた笑みが伯治の口許にひっそりと零れ、誰の目にも留まることなく消えていった。
「着きましたよ、お客さん」
運転手の声に促されるようにゆっくりと瞼を持ち上げると、ウィンドウの外には見慣れたホテルの豪奢な入り口があった。
「連れを呼んでくるので、ここで待ってて貰えますか」
「デートですか?お客さんの相手なら相当な美人でしょうなぁ」
伯治の台詞に初老の運転手は朗らかに笑いながらメーターを一度止めた。そんな運転手に笑みを返し、伯治はタクシーを降りて颯爽とした足取りでロビーへと足を進めた。
ホテルマンと客が行き交うロビーを見渡しながら伯治が杏寿郎の姿を探していると、「素山様」とふいに背後から声を掛けられた。
伯治が振り返ると、部屋の鍵と杏寿郎への伝言を預けた、コンシェルジュである産屋敷がにこやかに微笑んでいた。
「煉獄様はあちらのバーでお待ちです」
産屋敷が掌で指し示す方向には、ロビーの片隅にある洒落たオープンバーがあった。そこに視線を向ければ、淡いオレンジ色の照明に照らされた店内のカウンター席に座る、姿勢のいい見慣れた背中を見つけた。
「ありがとうございます」
礼を言う伯治に産屋敷は「とても魅力的な方ですね」と笑みを乗せたまま柔らかな口調で返すと、そのままフロントの奥の方へと下がっていった。
「杏寿郎さん」 カウンター越しにバーテンダーと親しげに会話を交わしている杏寿郎の背後に立ち、その背中に声をかければ、弾かれたように杏寿郎が振り返る。
「伯治!」
そして伯治の姿を認めると、杏寿郎は端麗な顔に花開くような満面の笑みを浮かべながらスツールから立ち上がった。
ブラックとダークグレーを基調としたストライプの細身のスーツは、ただでさえ抜群の杏寿郎のスタイルを更に際立たせ、昼に別れた時は適当に結ばれていた長めの髪も綺麗にセットされていた。
モデル雑誌から抜け出たような完璧な姿形に、否応なく視線も意識も根こそぎ奪われる。
「・・・・・どっかおかしいか?結構きまってると思うのだが・・・・・」
無言で見つめ続ける伯治の視線に居心地悪そうな表情を浮かべながらスーツに視線を落とす杏寿郎に、伯治は「違いますよ」と嘆息交じりに苦笑を零した。
「素敵過ぎて、言葉にならなかったんです」
伯治の台詞に一瞬きょとんと目を丸くした杏寿郎は、次の瞬間には照れ臭そうに目を細めながら「ありがとう」と笑った。そんな些細な表情でさえ、伯治の心臓を締め付けて仕方なかった。
※※
「こんにちわ、鬼舞辻社長」
「突然ですまなかったね、素山君」
童磨のセッティングしてくれた高級レストランへ到着すると、そこには既に目的の人物はやってきていた。
髪も立派に蓄えられた髭も真っ白な恰幅のいい老紳士は、伯治の姿を認めると椅子から立ち上がり、伯治に手を差し出してきた。
「いいえ、そろそろこちらから出向こうと思っていたところだったので」
差し出された手を握りながら伯治が笑みを向ければ、「それならいいが」と造船会社の社長である鬼舞辻無惨は皺だらけの目を更に皺くちゃにして笑うと、隣にいた男に視線を移した。
「こっちは私の孫の黒死牟だ。以前に顔を合わせたことがあったかな」
「えぇ。お久しぶりです」
「どうも・・・伯治さん・・・」
精悍な顔立ちに穏やかな笑みを浮かべながら黒死牟は伯治に握手を求め、伯治はそれに応じる。
「えっと、こちらは・・・」
そして握手を解いた後、黒死牟は今度は杏寿郎にその視線を移しながら伯治に問うてきた。
「彼は秘書の煉獄杏寿郎です」 こいつが落とした物に煉獄さんの名前を
冨岡さんに変えても同じ物が出来あがるからなぁそれくらい破綻してる 何食わぬ顔でそう紹介すれば杏寿郎がぎょっとしたように目を見開き伯治を凝視してくるも、伯治がにっこりと有無を言わせない笑みを返せば、一瞬だけ眉間に皺を寄せた後、すぐに取り繕ったような笑みを乗せながら黒死牟に片手を差し出した。
「は、はじめまして、煉獄です」
「こんにちわ・・杏寿郎さん・・」
すると黒死牟は笑みを深めながら杏寿郎の手をがっしりと握り返し、そのまま杏寿郎の隣の伯治に視線を寄越してきた。
「いいな・・・伯治さん・・こんな綺麗な方と一緒に働いてるなんて・・」
素直な羨望の滲んだ台詞としっかりと杏寿郎の手を握ったままの黒死牟の手に伯治の胸中に黒い靄がかかる。
「・・・さぁ、座りましょう」
何気なさを装いつつ杏寿郎の腕を引くと名残惜しげに黒死牟の手が杏寿郎から離れ、それにほっとする自分に内心苦笑を零しながら伯治は自らの席の椅子を引いた。
「祖父は会社を守ることこそ・・創業者の務めだと信じているんです・・・」
「うちの社の今後について世間で今色々噂が飛び交っているけど・・・俺には伯治さんの真意がいまひとつわからない・・・」
カチャカチャと食器が触れ合う音が断続的に聞こえる中、黒死牟は眼前に並べられた料理には目もくれず、熱心に伯治に語りかけてくる。鬼舞辻はそんな孫を制するでもなくただ傍観に徹していた。
杏寿郎はといえば、運ばれてくる物珍しい料理を平らげつつ、静かに相槌を打つばかりで口数の少ない伯治を心配げな眼差しで窺っていた。
「伯治さんがわが社の経営権を手に入れることになったら・・・その先はどうするんですか・・・?」
黒死牟の詰問するかのような厳しい口調での問い掛けに、伯治は小さく溜息を吐くと、ナイフとフォークを皿に置いて真正面から黒死牟を見返した。 義勇腐先生ってほぼ毎日スレ荒らし生活を続けてる時点で子供部屋お婆さんなんだろうな 「分割して売るでしょうね」
躊躇ない伯治の台詞に、黒死牟もそして今まで聞き役に徹していた鬼舞辻も表情を瞬時に強張らせた。場を包む空気が瞬く間に険悪なものへと変わっていく。
「伯治・・・」
そんな空気を感じてか杏寿郎が不安げな表情を向けてくる。
「君は、私が40年間かけて築き上げてきたものを、バラバラにして売りたいと、そう言うのかね?それはあんまりだ」
すると今まで沈黙を保っていた鬼舞辻が、伯治に鋭い視線を注ぎながら静かに口を開く。
「・・・俺に会社を売れば、あなたはお金持ちになれますよ、今よりずっと」
「金なら十分に有る。私は仕事を続けたいんだ」
伯治の台詞に気分を害したように、鬼舞辻はどこか凄むような声音で言葉を重ねてくる。
「・・・君のお父上が存命なら、なんと言うだろうな。・・・彼は噂とは違って、義理も人情もわかっている好人物だった」
「まるで俺と正反対ですね」
皮肉めいた鬼舞辻の台詞にも伯治は冷静さを失うことなく揶揄っぽく返す。だが表面上は飄々とした様を取り繕っていても、心中は穏やかとは程遠かった。
――綺麗ごとだけでは会社は生き残れないんですよ。
――自分の生き甲斐を守ることと、多数の従業員の行く末とどっちがあんたにとって重要なんですか。
そんな攻撃的な言葉が胸のうちをぐるぐると暴れ回る。
「・・・・・とにかく、わが社には手を出さんで欲しい」
「俺はあなたの会社の株を既に1千万株持ってます」
「いずれ買い戻す」
「無理でしょう」
きっぱりと断言してやれば、鬼舞辻の頬が怒りからか僅かに紅潮したように見えた。
「無理じゃない・・駆逐艦を受注するんだ・・」
そして加勢に入ってきた黒死牟に、「お気の毒ですが・・・」と伯治は感情を抑えた口調で告げる。
「駆逐艦の件は、予算委員会で承認されなかったそうです」 座ってばかりいないで運動した方がええな不健康になってもしらんで 鬼滅嫌いなのにどうやって義勇さんだけで勝つんだよぉw 「・・・・・・政治家まで買収したんですか・・・」
すると黒死牟の精悍な顔が驚愕に縁取られた後、それはすぐに限りなく絶望に近い色に染まった。
「なんて・・汚いんだ・・・」と、俯きテーブルの上で拳を握り締める黒死牟と伯治を交互に見つめている杏寿郎は、どこか困惑したような表情を浮かべていた。
冷徹な伯治の仕事ぶりを杏寿郎がどう思っているのか、そんな今までは気にしたことのないことまでが心に引っ掛かって仕方なかった。
結局、双方に歩み寄ることのないまま、鬼舞辻と黒死牟は、ディナーの途中で席に立ち、そのまま帰っていった。
食事を最後まで取った後にホテルに戻ると、杏寿郎を部屋に置いて伯治はひとり閉店後のレストランへ足を向けた。
マネージャーに言って片付け途中の店の中へ入れてもらい、店内の片隅に置かれてあるグランドピアノの前に座った。
鍵盤の蓋を開け、ポーンポーン、と鍵盤を鳴らす。
ささくれ立つ心を振り切るように、伯治はただ只管に眼下の鍵盤を叩くことに集中した。
「ピアノ、弾けるんだな」
ピアノを弾き始めてから小1時間ほど経った頃、片づけを終えた従業員と入れ替わるように店内に杏寿郎が現れた。
部屋に添えつけのシルク地のガウンを纏った杏寿郎の髪から、シャワーを浴びたのかぽたりぽたりと水滴が垂れていた。
「落ち込んでいるのか?」
言いながら杏寿郎は、ピアノの譜面台のすぐ横に腰を下ろす。
そしてガウンの裾から伸びたすらりとした長い脚を椅子に座る伯治の太腿の上に乗せた。
「・・・そうですよ」
そんな杏寿郎の脚をなんとなしに撫ぜながら、伯治は視線を鍵盤に落としたまま静かな声で答えた。
「君はあのお爺さんの会社を買いたくて、あのお爺さんは会社を売りたくないってことでいいか?」
「ええ」 「で、君はあのお爺さんを好きだから、そうやって悩んでいるのか」
「・・・・・・・・」
前振りなどなく、真っ向から核心を突いてくる台詞に、思わず杏寿郎の脚を撫ぜる伯治の手が止まった。
「違うか?」
穏やかな声で尋ねられ、伯治は苦笑を小さく刻み込みながら「どうですかね」とはぐらかす様に言葉を濁した。
「・・・・・放っておけば、あの会社は倒産するんです」
「うん」
「そうなれば俺はもう手が出せなくなる。立て直せる会社でないと売れないんです。・・・売れなければ、彼らは何もかも失くしてしまうのに・・・」
「・・・・・・そうか」
優しい呟きと共に、伯治の頭の上にぽんぽんとあたたかな掌が乗せられる。
「慰めてやろうか」
そう口許に緩やかな弧を描きながら、杏寿郎の長い指が伯治の頬に伸びてくる。
するりと優しい手付きで頬から顎先までを撫でられると反射的に杏寿郎へと手が伸びそうになったが、伯治の手は杏寿郎に触れる前に空中で止まり、そのままゆっくりと自分の太腿の上に下ろされた。
「・・・すみません。そんな気分じゃないんです」
「ならそういう気分にさせてやろう」
悪戯っぽい笑みを乗せた杏寿郎は両手で伯治の頬を挟むと、鼻先にちゅっと小さく音を立てて口づけを落としてきた。
そして徐に両脚を持ち上げると、そのまま胴体を挟み込むように伯治の背中で長い脚を組み合わせる。
その際に杏寿郎が纏っていたガウンが肌蹴て、その滑らかで締まった太腿が伯治の眼下に露になった。
その艶かしさと密着する肌の熱さに伯治の心臓が小さく跳ね、まるでそれが当然のように下半身が疼いた。
そんな気分ではないと言っておきながら、こんな風にすぐに反応してしまう自分自身に伯治は苦笑を禁じ得なかった。
「その気になったか?」
杏寿郎の腰に手を回すと、伯治を上から覗き込みながら杏寿郎が愉しげに笑みを零す。
「責任、取ってくれるんでしょ?」
そんな杏寿郎を見詰め返しながらガウンを肩から滑り落とせば、くっきりとした綺麗な鎖骨と柔らかそうな胸板が現れる。
そこには多少は薄れたものの、伯治が付けた情事の証である鬱血痕が残っていて、その存在をはっきりと主張していた。
「いいぞ」 杏寿郎は伯治の首に腕を絡ませると、そのままピアノの上から降り、伯治の太腿を跨ぐように膝立ちの体勢を取った。
そしてほぼ半裸の身体を伯治に密着させながら、杏寿郎は伯治のシャツをスラックスから引き摺り出して、その隙間から手を差し込み伯治の腹筋に掌を這わせてきた。
伯治も杏寿郎のしなやかな筋肉の乗った背中に手を回し、うなじから肩甲骨、そして腰へとゆるりと掌を滑らす。
しっとりと吸い付くような感触に誘われるように、思わず伯治は杏寿郎の肌に顔を寄せていた。
「んっ・・・」
首筋にじっとりと舌を這わせ、その後をなぞるように軽く噛み付けば、仰け反った杏寿郎の喉の奥から甘ったるい声が漏れる。
更に首筋から鎖骨へとゆっくりと唇を寄せ、新たな赤い痕を増やしていけば、その都度杏寿郎はくぐもった声をあげ、伯治の腰にまわされた脚もびくりと震えた。
「は、く・・・・、じ・・・っ」
そして伯治が胸の頂を口に含み舌で転がし、もう片方を爪先で引っかくように刺激を与えれば、杏寿郎は身体を捩りながら悶え、伯治の髪の毛に手を差し入れてくる。
舌で弄り続けていると段々と杏寿郎の息が荒くなり、胸の先端も愛撫に応えるように凝ってくる。
「んぁ・・・っ、・・・っ!」
そしてぷくりと硬く立ちあがった先端に強めに歯を立ててやれば杏寿郎はびくりと身体全体を跳ねさせ、その拍子に杏寿郎の身体がピアノの鍵盤に当たり、ポーンと甲高い音が店内に大きく響き渡った。 鬼滅の顔になった炎だからアンチからはいつか総攻撃を受けるだろうとは予想してた
でもまさか水腐荒らしから粘着されるとは思わなかったね 「ちょ、ピアノ・・・っ」
「このままでいいです」
突然の大きな音に驚いた杏寿郎が鍵盤の蓋を閉めようとするも、その手を制して、伯治は尚も杏寿郎の胸を責め続ける。
「あ・・・っ、ん・・・、は、・・・んぅ・・・っ」
吸い付く音と杏寿郎の甘やかな喘ぎ声が充満する中、杏寿郎の身体がビクつく毎にピアノの鍵盤が不規則に乾いた音を立てる。
それが余計にこの行為を知らしめているような気がして、ますます伯治の興奮を煽った。
「杏寿郎さん・・・、杏寿郎さん・・・っ」
「ん、・・はぁ・・・は、はく、じ・・・っ」
汗ばむ綺麗な身体をくねらせ、惜しげもなく艶めいた声をあげながら、杏寿郎は肩で息を吐きながら手を伯治の下半身に伸ばす。
そして片手で器用にベルトを外しスラックスのファスナーを下ろし前を寛げさせると、下着の中から伯治の完全に張り詰めている中心を取り出した。
「口で一回しようか?」
快楽で潤んだ眼差しが鼻先が触れあいそうな距離で伯治を覗き込み、それだけで伯治の中心にはどんどん熱が籠もっていく。
「いえ、すぐにでも入りたいんですが・・・」
余裕のない自分に苦笑しながら伯治が言えば、杏寿郎は了承の言葉の代わりに僅かに高潮させた頬を緩めて妖しい微笑を浮かべると、
自分の勃ち上がったものを伯治の腹に擦り付けるように腰を動かしながら、伯治の屹立したものの上に跨るように身体をずらしてきた。
「塞ぎこんでる暇なんてないくらいによくしてやろう」
挑発めいた発言と惑わせ誘い込む濡れた眼差し。
無理はさせられないという理性も、ずっと胸の中に鎮座している杏寿郎への恋情故の葛藤も、
抑えきれない膨れ上がる欲望がそれら全てを濁流のように呑み込んでいった。
Dend
明日は更新できないと思います お疲れ様でした
二人の密なセックスが元ネタより多く萌えます
明日は残念だけど、続き正座待機してます! >>794
鬼滅の顔になった
そこだろうね人気が出て大切に扱われる炎かたやワタクシの義勇ちゃんはキャラからも鬼滅ファンからも意地悪されてぐぬぬぐぬぬ… ぐぬぬって言ってたなこの人w
鬼滅ファンは炎のファンが多い
ここだろうな最大の逆恨み理由は 炎さんが評価されたのは予想外で嬉しい悲鳴よありがとう推しで良かった
流行りが廃れても心の支えだしそれでいい 前言った気がするけど待っていればぎゆさんの凄い無限城映画が見れるかもしれないのに待てない、終わった煉獄さんを叩くのは完全に己の未熟だよ
それに稼ぎ柱煉獄さん達、他ファンのグッズやコラボ売上げのおかげで制作資金が入って次に繋がってるのにマジで逆恨みなんだよな >>801
映画は分からないけどアニメは5年先でも最後まで絶対にやる
ジョジョ6部決定で思った 別れた元彼が猗窩座なの?
それで狛煉でハッピーエンド?
今回は無理だ…終わったらまた来る 漫画キャラの冨岡さんスレで住人に注意されて
荒らし本人しか知りえない秘密の暴露をした水腐荒らしhttps://medaka.5ch.net/test/read.cgi/cchara/1621241376/
997 名無しかわいいよ名無し (ワッチョイW 61ad-qxqc) sage 2021/08/30(月) 23:28:13.17 ID:PLnGY3Oi0
>>995
そういうあなたがスレの雰囲気悪くしてるって気づかない?
わざと揉めようとしてるのか?萌えスレに帰った方がいいよ
あなただけのスレじゃないから 仕事しながらなのですっごい遅い貼りになります
E
「起きてください、杏寿郎さん」
翌朝、スプリングのよくきいたふかふかの布団に包まり泥のように眠っていた杏寿郎は、
ゆさゆさと身体を優しく揺すられて、ひどく緩慢に瞼を持ち上げた。
何回か瞬きを繰り返した後、漸くクリアになった杏寿郎の視界に映るのは、きっちりと仕立てのいいスーツを纏った相変わらず男前な伯治の姿。
「ん・・・。何時・・・?」
「もう10時回ってます。そろそろ起きてもいいんじゃないですか?」
「・・・・・爆睡していた・・・」
のっそりと上半身を起こし、ぼさぼさの頭を掻きながら欠伸すれば、伯治が「髪の毛絡まってますよ」と可笑しげに含み笑った。
「もう1回シャワー浴びます?」
「いや、洗面所で直す・・・」
杏寿郎の髪の先に指を絡ませ遊んでいた伯治の台詞に、ぼんやりとした口調で答えながら杏寿郎はもう一度欠伸する。
「・・・仕事か?」
「その前に、あなたを連れて行きたいところがあるんです」
「飯は?」
「勿論、食事を摂ってからです」
杏寿郎の問いに伯治はにこりと笑いながら、まるでエスコートするように杏寿郎に手を差し出した。
伯治のお気に入りらしいイタリア料理店で早めの昼食を摂り、その後にはまたしても昨日訪れたような高級感ばりばりの服飾店に連れて行かれた。
その店でも伯治はお得意らしく、伯治が店に入るなり、店長とおぼしき品のいい男性が「いらっしゃいませ、素山様」と丁寧に頭を下げてきた。 「彼を見てもらえますか?」
「はい」
杏寿郎を見遣りながらの伯治の要望に、店長は控えめな笑みを乗せながら心得たように頷いた。
「彼に負けないくらい素敵な服をお願いします」
「伯治っ!」
にこやかな笑顔付きで歯の浮くような台詞をさらりと吐く伯治のスーツの袖を、杏寿郎は非難するように思わず引っ張る。
「なんなんだ、君はっ!俺を恥ずかしがらせるのが君の趣味かっ!?」
「恥ずかしいんですか?」
「恥ずかしくないと思うのかっ!?」
小声で言い合う杏寿郎と伯治の姿を見つめていた店長は、笑みを隠すように口許に手を当てながら「素山様」と声をかけてきた。
「とりあえず奥の部屋へどうぞ。服をお持ちいたしますので」
店長の言葉に頷いた伯治は、「行きますよ」と杏寿郎の腕を取り、勝手知ったるといった様子で店の奥へと進んでいく。
「伯治、もう服はいいっ・・・っ」
「昨日も言いましたよね?雇い主のいうことは素直に聞いてください」
「っ!だ、だいたい、こんなめかし込ませてどこ連れてく気だ!?」
「色々と予定が詰まってるんです」
言い合っているうちに連れていかれた部屋は、豪華ホテルのような明らかにVIP専用の煌びやかな部屋で、アンティークのテーブルの上には何故かワインと軽食が用意されていた。
唖然とする杏寿郎を他所に、伯治は昼を食べたばかりだというのに早速とばかりに軽食をつまみ、店長は店員に服を持ってくるように指示を出していた。
「こちらのグレーの方がよろしいのでは?」
「では差し色はこのピンクで」
「いかがでしょう?」
「は、伯治・・・ッ」
店員に着せ替え人形のように次から次へと服を合わせられ意見を求められ、そのたびに杏寿郎は伯治に助けを求めた。
そしてそのたびに伯治は杏寿郎を見つめながら、「よく似合ってますよ」と蕩けるような笑みを乗せるのだ。
何を着ても同じ答えしか返してこない伯治に、杏寿郎は溜息を禁じ得なかった。
そんな風に時間が過ぎていく中、ふいに伯治の携帯電話が鳴り、「すみません」と杏寿郎に断りを入れて伯治が電話に出る。 「・・・・・買い戻し?自社株をですか?」
携帯を耳にした伯治の声が僅かに険を帯びる。
「ええ・・・。はい。――そうですね。・・・・・いえ、今から行きます。・・・えぇ、お願いします・・・」
淡々とした声で遣り取りをする伯治の顔はすっかり仕事モードに切り替わっていた。
短い言葉の応酬を終えると、伯治は杏寿郎にとってはもう見慣れてしまった、あの困った風に眉尻を下げた微笑を乗せて杏寿郎を見つめてきた。
「すみません、会社に向かいます」
「あぁ・・・」
申し訳なさそうな声音で告げられる台詞に、杏寿郎も知らずトーンが下がる。
すると伯治は茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべた。
「デートの続きはまた次の機会に」
「デ、デートではないっ!」
杏寿郎の慌てた返しに伯治は小さく口許に笑みを刻むと、「よろしくお願いします」と店長に言い置いて、昨日と同じように杏寿郎を残し会社へと向かった。
伯治が去った後も店長をはじめとする店員たちは杏寿郎に親切丁寧に接してくれた。
そんな中、新たな服を持ってきた店員がつけていたワイン色の柄ネクタイにふと目が留まる。
「?何か?」
気付いた店員が穏やかな笑みと共に尋ねてくるのに、杏寿郎はつい「いや、伯治に似合いそうだなぁって思って・・・」と口にしていた。途端店長はにこやかな笑みを湛えたままその店員に手を差し出し、
そして店員は心得ているかのように、自分の首元を飾っていたネクタイフをしゅるりと外すと、それを手早く綺麗に畳んで杏寿郎へと差し出した。
「どうぞ、素山様に」
「えっ!いや、俺、そんなつもりで言ったんじゃ・・・っ」
慌てて手を振りながら店員の好意を固辞する杏寿郎だったが、店員は「構いません」と笑顔を崩さぬままネクタイを持つ手を引っ込める気配はな。
どう杏寿郎が抗っても断れる雰囲気ではなく、
仕方なく杏寿郎は罪悪感を覚えながら店員が差し出すネクタイへ手を伸ばした。
「あ、りがとうございます・・・」
おずおずと杏寿郎が決して安くはないだろうそのネクタイを受け取ると、「素山様に、きっとよくお似合いになりますよ」と店員は満面の笑みを向けてきた。
実際に手にしたネクタイはおそらくシルク地で滑るような触り心地で、
ネクタイを彩るエキゾチックな模様は、伯治の端整な顔にやはり似合うような気がした。
「ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げてもう一度杏寿郎が礼を言えば、店長も店員も一瞬驚いた表情をした後、嬉しそうに破顔した。 それから店員が薦めてきた山のような服の中からひとつひとつを吟味し、最終的にその中から5着ほど選び、杏寿郎の買い物タイムは終了した。
ホテルまで車で送るという店の申し出を丁重に断り、杏寿郎は気のいい店員達に深々と頭をさげてから店を後にした。
両肩に服の入った袋を背負いバス停に向かいながら、杏寿郎が大通りを闊歩していた時だった。
「杏寿郎兄さんっっ!!!」
突然響き渡った聞き慣れた声に、杏寿郎は声のした方へと反射的に視線を遣った。
そこには、見慣れたラフな格好ではなくきちっとジャケットを羽織った無一郎の姿があった。
「無一郎!」
杏寿郎も思わず声をあげると、道路を挟んだ向かいの歩道にいた無一郎は、きょろきょろと顔を左右に動かして車の通行を確認すると、
道路のど真ん中を堂々と横断してくる。
ププーッとクラクションを鳴らされる度、その車に向かって「すみませんっ!」と大声で謝りながら、
無一郎は決して狭くもなく交通量も少なくない道路を渡り切って、その様子を唖然と見つめていた杏寿郎の前まで来ると、
「杏寿郎兄さんっ!」とまるでぶつかってくるように抱き付いてきた。
「ちょ、無一郎ッ」
無一郎の体重を支えきれずよろける杏寿郎に構わず、無一郎は更に杏寿郎にぎゅうぎゅうと抱きつき体重をかけてくる。
「こんなとこで何やってんのさっ!」
「無一郎こそどうしたんだ!」
今杏寿郎がいる町は、杏寿郎と無一郎の家がある地区とはかなり離れていて、
普段立ち寄ることもない高級ブランド店が居並ぶセレブ層の縄張りだ。
「僕は、3丁目の劇場でリハだったんだよ。ゲストで呼ばれてるから」
「へぇ。すごいな!」
「ていうか僕より杏寿郎兄さんだよっ!若社長に囲われてたんじゃなかったの?
それにただでさえ元がいいのに、更にそんなかっこいい服着ちゃってさ。
もうっ、無駄にフェロモン撒き散らさないでよ!しかもその袋、ブランドものじゃん!杏寿郎兄さんが買ったの!?」
興奮した面持ちで矢継ぎ早に質問を重ねてくる無一郎に、
杏寿郎は「とりあえず落ち着け」とその肩に手を置く。
「俺は服を買うように彼に言われて、彼のカードで服を買って、今からバスでホテルに帰る途中だ」
簡潔に質問に答えると、無一郎は「・・・完全に愛人じゃん、それ」と苦虫を噛み潰したような顔になった。 >>807
同じ義勇推しにも荒らしバレてて嫌われてるから居場所ないんだな
この長文荒らし義勇腐 >>778
令和のアラフォーなら子供時代にゲームくらいやったことある世代だからガチ高齢者だと思う
水腐おばさんどころか水腐お婆さんだよ
リアルお婆さん腐が他人の小説パクって嫌いなキャラ厨に成り済ましてスレ荒らしてるとかおぞまし過ぎる 無一郎が弟って設定が面白い
何かしら効いてくるのかな?
期待
どうでもいいけど周りはゲーマーだらけ
数行の文章も読めない
ネットの向こうに数人しかいないという思い込み
水腐水腐言ってる人たち終わりすぎだろ 「愛人・・・・・」
「僕、今日はもう用事ないから、ホテルまで荷物半分持ってってあげるよ。・・・色々話も聞きたいし」
「あ、あぁ」
否応を言わせない無一郎の力強い笑みに押し切られ、杏寿郎は無一郎と共にホテル行きのバスに乗り込んだ。
バスの中だけでは話し足りなくて、ホテルに着いてからも、杏寿郎と無一郎はラウンジで話し込んだ。無一郎の仕事の話や相変わらず物騒な町の様子、そして杏寿郎の今後の話。無一郎との話は尽きなかった。
「杏寿郎さん」
そうやって時間を忘れて話していると、ソファに座る杏寿郎の頭上から些か冷ややかな声が降ってきた。
「伯治」
顔をあげた先には、やや憮然とした面持ちで杏寿郎を見下ろす伯治がいた。
「・・・・・・誰」
「あなたこそ誰ですか」
するとまず無一郎が伯治に怪訝な眼差しを据え、それに対するように伯治もトーンの低い声音で無一郎に尋ね返した。
「無一郎、俺の客だからっ」
なにやら険悪な雰囲気を醸し出す2人の様子に、慌てて杏寿郎が無一郎の耳元に顔を寄せ小声で囁くと、無一郎は目を真ん丸に見開いて伯治をまじまじと凝視した。
「ほんとに若いじゃん・・・。しかも男前・・・」
そしてやや呆然と紡がれた台詞に、杏寿郎は「だから言っただろう!」と無一郎の肩を小突いた。
「・・・・・・杏寿郎兄さんって、意外と面食いだよね」
「は?」
「いや、顔がいいのが向こうから寄ってくるのか。・・・すると杏寿郎兄さんはいわゆるイケメンホイホイってヤツだね」
「何言ってるんだ?」
ぶつぶつ言いながらなにやら考え込むように眉間に皺を寄せる無一郎に首を傾げていると、「杏寿郎さん」と伯治から再度声が掛かる。 >>818
お仲間にもバレてるのに何で今さらこんな稚拙な自演工作で騙せると思ったの? 「先にあがってますね」
「あ、うん・・・」
杏寿郎が頷くのを確認すると、伯治は無一郎を一瞥してそのまま颯爽とロビーを横切り、エレベーターホールへと向かう。
「・・・・・・はい、杏寿郎兄さん」
そんな伯治の後ろ姿をじっと観察するように見ていた無一郎が、持っていた袋を杏寿郎に渡す。
「ありがとう。悪かったな、荷物持ってもらって。助かったよ。」
「ううん。僕もあそこで杏寿郎兄さんに会えてよかったよ。・・・杏寿郎兄さんを手篭めにしようとしてる若社長の顔も拝めたし」
「・・・・・・・・・」
毒を隠すつもりのない無一郎の言い様に、杏寿郎はどうしたものかと溜息を吐く。
そんな杏寿郎の心内など知る由もない無一郎は、真面目な顔で杏寿郎を見つめながら「若社長に絆されないようにね」と一言忠告めいた台詞を言い置いて、杏寿郎に別れを告げるとホテルを後にした。
「あれは、あなたの友人ですか?」
ホテルの部屋に入るなり、仕事用のデスクに座ったままの伯治から質問が飛んでくる。
「そうだが・・・。君、なんか機嫌悪くないか?」
「いいえ」
杏寿郎に顔を向けることなく応答する伯治は明らかに機嫌が悪そうだったが、杏寿郎にその原因がわかる筈もなく、杏寿郎は小さく溜息を吐いてソファに荷物を置いた。
そして買ったばかりの荷物の中から、ワイン色のネクタイを取り出すと、パソコンの画面と睨めっこしている伯治に近付いていく。
「これ」
そして真横から伯治の首元に手を回し、ネクタイをくるりと巻きつけた。
「これは?」
自分の首元にかかるネクタイを手にしながら、伯治が不思議そうに首を傾げながら問い掛けてくる。
「君に。似合うと思ったから」
店員さんがつけてたやつなんだけど・・・、と多少気後れしながら杏寿郎が言えば、伯治は驚いたように目を見開いて杏寿郎を見た。
そして次の瞬間には、本当に、心底嬉しそうに男前な顔を綻ばせて満面の笑みを浮かべた。
「ありがとうございます」
「・・・・・・どういたしまして」
その笑顔が、何故かとてもこそばゆく感じた。 >>822
漫画キャラ板辺りが一時期荒らされたのは知ってるし、
そこでそのあと個人特定かなんかされたのかもしれないけど、
この板であかれん小説書いてるこの人を荒らしだと言ってるのは
自分が長文読めないってだけの哀れな人達じゃん?w
水腐だとか決めつけてんのはさらになんの根拠もないし
ホント文章読めないって思考力も想像力もないんだね
気の毒だけど、小説書く人読む人で文化を楽しんでるからパトロールごっこはどこか別のスレでやってね わざわざ教えないでおきましょう
本人以外全員分かる はいはい自称パトロールくん達
それより文章読む練習してきな 小説書くのを楽しんでる人と
読むのを楽しんでる人しかいないというのに >>547からの流れで荒らし水腐バレバレだと>>549でツッコミ入って笑われてたのにもうスレ民が忘れたと思ってたんだw >>817
この世に存在してること自体が間違いみたいな奴で草
義勇BBAあなた何のために生まれて来たの? 白い湯気とストロベリーの甘い匂いが充満する浴室に、杏寿郎の鼻歌とちゃぷちゃぷと水の立つ音が反響する。
杏寿郎が湯を張った浴槽に寄りかかり、その杏寿郎の伸ばされた足の間に入り込むように座った伯治が杏寿郎の身体を背凭れにして気持ちよさそうに目を瞑っていた。
そんな伯治の身体を泡の立ったスポンジで優しく擦りながら、杏寿郎は機嫌よく歌を歌う。
「・・・また歌詞間違えてますよ」
すると杏寿郎の肩口に頭を預けて寛いでいた伯治が目を開け、首を捻り杏寿郎を見上げながらくすくすと小さな笑みを零した。
「いい気分で歌っているんだから水差すなよ」
「それはすみませんでした」
謝りながらも伯治の声には反省してる素振りなど全くなく、杏寿郎はスポンジを持っていた手とは逆の手で伯治の顔に乳白色の湯をかけてやった。
「なにするんですか」
「俺の歌を笑った罰だ」
「笑ってませんよ」
杏寿郎がわざと眉間に皺を寄せると、伯治は濡れた前髪をかき上げながら笑みを含ませた声で否定し、「歌詞が適当なのは置いておいて・・・」と続けた。
「僕はあなたの歌声、好きですよ。甘くて、真っ直ぐで、正直な感じがします」
それはまるで恋人に愛を囁くみたいな甘く優しい声音だった。
「そ、そうか?」
たかが鼻歌に対するものとは思えない伯治の予想外の褒め言葉に、杏寿郎は妙に気恥ずかしくなってしまう。
「いっつも無一郎にはテンポがまちまちだって注意されるけど・・・」
「無一郎?ラウンジで会った彼ですか?」
そしてスポンジを動かす手に幾分力を篭めながら杏寿郎が照れ隠しに無一郎の名を出すと、思いがけず伯治が食いついてきた。
「彼とは親しいんですか?」
「あ、あぁ。この町にきてすぐに知り合ったから、結構長い付き合いだし、今じゃほんとの弟みたいなもんだな」
夢だけは大きく僅かな金と鞄ひとつでやってきた知り合いが誰一人いない町で、賑やかで明るい無一郎の存在は杏寿郎にとって掛け替えのないものだった。 >>830
自分が記憶力悪い老婆だから他の人もそうだと思うんでしょ >>824
高齢者の義勇腐お婆さんは>>549を読みましょうね 知り合ったばかりの頃、変声期のせいで随分と悩んでいた無一郎も、今やあちこちのステージから声が掛かる立派なシンガーだ。
「無一郎はプロのシンガーで、ほんとに歌がうまいんだ」
ステージを降りればただのゲーマーと化してしまういつでもマイペースな無一郎の歌声を耳元に再現しながら、杏寿郎は感嘆交じりの声で小さく噛み締めるように呟いた。
「初めて聴いた時、なんていうか涙が出そうだったんだ。心に染みるって言うか・・・、心が揺さぶられるって言うか・・・。それぐらい無一郎の歌声には力があるんだ」
「・・・・・そんな風には見えませんでしたけど」
「ふっ!」
伯治の正直な物言いに杏寿郎は思わず噴出し、「君って結構毒舌だよな」とからから笑いながら続けた。
「でも、君にも彼の歌を聞かせてやりたいなぁ」
きっと世界が変わるから、と杏寿郎が伯治の顔を覗き込めば、杏寿郎と目が合った伯治は大きな目をやにわに細めて、柔らかな笑みを作った。
「世界なら変わりましたよ。2日前に」
「?」
「あなたと会った時から、俺の世界が変わりました」
きょとんと首を傾げる杏寿郎の様子に更に笑みを深めた伯治は、そうなんでもないように言ってのけた。
数瞬その台詞の意味を考えた杏寿郎だったが、言葉通りの意味だとわかると呆れた眼差しで伯治を見つめ返した。
「君さ、それって素じゃないよな?からかっているんだろ?」
「どうでしょうね」
杏寿郎の質問をわざとらしくはぐらかした伯治は「ふぅ」と小さく息を吐きながら身体を前にずらし、杏寿郎の胸の上に頭を預けると。
「手が止まってますよ」
と、スポンジを持った杏寿郎の手を指先でつついてきた。
「・・・・・・はいはい」
おざなりに返事を返しながら杏寿郎が伯治の肌にスポンジをゆっくりと滑らせ始めると、伯治は愉しげに喉奥で笑みを噛み殺した。
その様子に釣られるように、杏寿郎の口許にも自然と笑みが零れる。
――――契約終了まで、あと5日。
Eend 乙でした
映画よりも落ち着いたこの雰囲気好き
リチャードギアが演じた役は確かに猗窩座より狛治がしっくりきちゃうわね
無一郎は弟じゃなかったんだw >>797
義勇腐がスレ荒らしてた時に義勇さんがイジメられてる!と発狂してたけど
あれ完全に自分の推しが一番注目されない逆恨みだよな
一番チヤホヤして貰えない→イジメ!って異常者の思考でキモいわ 明日は投稿しないかもしれません
F
高い天井を飾る豪奢なシャンデリア。広々とした空間を彩る色鮮やかな生花。
テーブルに並べられた高級料理。
有識者や政治家、経済界の重鎮が多々出席するチャリティイベントが開かれている高級ホテルの豪華絢爛な広間には、身を飾った人々が広間をところ狭しと動き回りながら、其処彼処で話に花を咲かせている。
「こんばんわ、素山社長」
――お久しぶりです
「君の会社は相変わらず勢いがあるね」
――父の代からの従業員が優秀なんです
「伯治さん、この後、今夜のご予定は?」
――夜が明けるまで書類と睨めっこですよ
「・・・・・・ふぅ」
「相変わらずお忙しいことで」
主催者や知り合いに一通り挨拶を済ませた後、目立たないように広間の隅の壁際に凭れ掛かってシャンパンを飲んでいると、ワイングラスを手にした童磨が、揶揄を篭めた口調で言いながらどこからともなく現れる。
「これも仕事ですから」
「ご立派」
にっこりと人好きのする笑みを浮かべると、童磨は洒落た仕草で伯治にグラスを掲げ、それを勢いよく一気に飲み干した。
「・・・・・潰れたって介抱しませんからね」
その様子に呆れたように溜息を吐けば、童磨は「平気、平気」と愉しげに笑うと眼差しだけに鋭い光を灯し、「そういや、鬼舞辻氏の株買戻しの件だけど」と、まるで天気の話しでもするような暢気な声音で唐突に切り出してきた。 水界隈ごと嫌われることが分からんのかね
自分の責任を少しも思わない下衆 「資金源わかったよ。やっぱり伯治殿の言った通りだった。鬼舞辻氏は自分の全財産を抵当に入れて金を借りてる」
「そうですか・・・・」
童磨の台詞に、伯治はふぅっと細く息を吐き出した。
「しかも融資した銀行どこだと思う?無限銀行だぞ」
「・・・・・なるほど」
「あの銀行なら伯治殿の方が大口の顧客だ。伯治殿が頭取に電話1本でもして、融資を止めてもらえばそれでこの件は解決ってわけだ」
「そうですね・・・・」
「伯治殿?」
気のない返事を返す伯治に、不思議そうに童磨が首を傾げる。
当然だ。
鬼舞辻無惨の会社を買収することは、もう1年も前から伯治自身が決めたことなのだ。
相手の弱点が明らかになった今、速やかに買収を進め会社に利益をもたらすことが、社長である自分の務めだというのに。
「・・・・いえ。まぁ、急ぐこともないでしょう。彼にはもう策はないでしょうから」
「まぁ、伯治殿がそう言うんならいいけど・・・。なんか、ここ2、3日変だな。なにかあった?」
「いいえ、別に」
伯治の素気無い返答に、童磨は「ふぅん」と小さく呟きながら何かを読み取ろうとするように暫し伯治の表情を見つめていたが、やがてそれも飽きたのか、「それよりさ――」と人が溢れる広間の中央へと視線を移した。
つられ伯治も視線を動かすと、人波の中、周囲から頭ひとつ分ほど飛び出た男の綺麗な横顔が見えた。
「・・・・・・・・・・・」
「また随分と綺麗な人連れてきたね。・・・ご婦人方が君ら見てきゃっきゃ言ってたよ?」
人の悪い笑みを浮かべながら伯治を意味深に見遣ってくる童磨。
人混みの中でも決して埋没しないすらりとした長身に、比例するような長い手足、端整な小さな顔に綻ぶ無邪気な笑み。
長めの髪を綺麗に纏めている為、見え隠れするうなじからやけに色香が漂っていた。
「いったいどこで見つけたんだい」
「・・・・・・・車を運転してる途中に迷ってしまって、彼に道を聞いたんです」
猫のように目を細めた柔らかな笑みを浮かべ、どこぞの婦人と談笑する杏寿郎を視界の端に映したまま伯治が言葉を選びながら必要最低限の情報だけを伝えると、童磨は「伯治殿、ほんとについてるな〜」と羨望交じりに溜息を吐いた。
「で?杏寿郎君だっけ。彼、なんの仕事してんの?」
「・・・っ!」
そしてすっと笑みを消した童磨に冷静な口調で問われた内容に、伯治は一瞬息を呑んだ。 誰だって相手をしたくない居付いた先はやっぱりIDワッチョイ出ない所 童磨は抱えている仕事が大詰めだったこともあり元々今日のイベントに来る予定ではなかった。
まさか童磨と顔を合わせることになるとは思ってもいなかった伯治は、童磨に杏寿郎のことを尋ねられた時の答えなど考えていなかったのだ。
会場に着いて早々童磨に声を掛けられた時は、隣にいた杏寿郎のことを簡単に『友人』だと紹介したものの、童磨はそれだけの情報では足りなかったらしい。
「・・・え・・・と、セールスです」
嘘を吐くわけにもいかず、かと言って事実を話すのも憚られ、咄嗟に伯治の口を衝いて出たのは笑えないジョークのような台詞だった。
言葉を舌に乗せた途端すぐに伯治は後悔した。
杏寿郎を卑下しているような気がしたのだ。
「なんの?」
だがそんな伯治の心情に気付くはずもない童磨は矢継ぎ早に質問を重ねてくる。
「・・・・・なんでもいいでしょ?」
思わずつっけんどんな言い方になってしまうも、童磨は肩を竦めるだけで特に気を悪くした風はない。
「伯治殿、俺は君の心配してんだよ。君の様子が最近おかしいの、あの人の影響なんじゃないのか?・・・ネクタイもそんな柄モノしてるの見たことないしさ。
―――君、自分じゃ気付いてないかもしれないけど、変わったよ」
そこまで言って、童磨はふっと視線を外す。
「ほら、今鬼舞辻氏の秘蔵っ子と話してる」
「・・・・・・・・・」
童磨に促されるように杏寿郎を見れば、杏寿郎の隣にはいつの間にか黒死牟がいて、肩先が触れ合う距離で2人は談笑していた。
親しげに肩を叩いたり、愉しげに頷いたり、杏寿郎はまるで古くからの友人に対するような態度で黒死牟に接し、黒死牟は黒死牟でそんな杏寿郎をどこか熱っぽい視線で見つめている。
「・・・・・ディナーの時に紹介したんです」
ふつふつと腹の底から湧き上がる不快感と胸の内を真っ黒に染める醜い感情を遣り過ごすように拳を握りながら、伯治は感情を抑えた声で淡々と告げた。
「それにしちゃ親しそうだけど」
「気のせいでしょう」
素気無い伯治の返しに、童磨はふぅっとあからさまな溜息を吐いた。 「いいか、伯治殿。あの人は突然君の前に現れた。しかも今回の買収話が最終局面を迎えようかって時期に。おかしいと思わないか?」
真剣な表情で伯治を見据えながらの童磨の台詞に、伯治はこれこそが本題だと悟った。
「あの人が君に近付いてきたのは、鬼舞辻氏に情報を流す為なんじゃないか?」
「・・・・産業スパイってことですか?杏寿郎さんが?」
そんなことある筈がないと伯治が鼻で笑えば、童磨は「可能性がないわけじゃないだろ」と眉間に皺を寄せた。
「ありえないです」
「なんで言い切れる?まだ知り合って間もないんだろ?君はあの人の全部を知っているのかい?」
「・・・・・・・・・」
正論を突きつけてくる童磨に思わず伯治は押し黙る。
童磨のいうことはよくわかる。
仮に自分が童磨の立場だったら、伯治も同じ疑念を持つだろうし苦言を呈するだろう。
だが、杏寿郎は決して産業スパイなどではないのだ。
信頼する片腕であり大事な従兄弟でもある童磨に杏寿郎を疑って欲しくなかった。
――杏寿郎さんが大事だからこそ。
「・・・・・・・街角で買ったんです」
「は?」
視線を伏せながら紡いだ言葉は、周囲の喧騒に紛れてしまいそうなほど小さなものだった。
「杏寿郎さんは男娼なんです」
伯治が独白のように言い捨てると、数瞬、その場に奇妙な沈黙が落ちる。
「・・・伯治殿、君・・・」
そっちの趣味あったっけ?と怪訝な表情で見つめてくる童磨に伯治は首を振る。
「ないですよ」
「ならなんでわざわざ金出して男買うんだ?伯治殿、女としか付き合ったことないだろ」
「・・・・・・・・・」
心底不思議そうに首を捻る童磨に問い詰められ、伯治はどう答えたらいいのかわからず閉口した。
綺麗だと、初めて見た時単純にそう思った。男娼だと知って少し動揺した。気さくな人柄に親しみを持った。
無邪気な笑顔に心が揺れた。
辿り着いたホテルの前で、このまま別れたくないと、強く思った。
溺れるという言葉がぴったりのように、伯治は杏寿郎に惹かれ焦がれ、そして愛し始めてしまった。 「・・・・・・まぁでも、あの人ならちょっと納得かなぁ」
何の返答もしない伯治からまた視線を逸らし、へらっとした笑みを浮かべながら杏寿郎を見つめる童磨。
杏寿郎への疑いは完全に晴れたようだが、杏寿郎の素性を本人の了承を得ることなしに明かしてしまったことで伯治の胸にはしこりが残った。
「・・・今は従業員として彼を雇ってるんです」
「プラトニックな関係ってわけ?」
童磨の問いに伯治は小さく首を横に振って「いいえ」と否定を返す。
それに対し、童磨が何か言おうと口を開きかけた時。
「素山君」
いかにも好々爺といった風貌のがっしりとした老人が伯治に手を上げながら近付いてきた。
「可楽議員」
営業用の笑みを浮かべながら伯治が手を差し出し握手を交わせば、老人は目を細めて「例の情報は役に立ったかな?」と尋ねてきた。
「おかげさまで。その節はありがとございました」
「それはよかった」
「それで、駆逐艦の件はどうなってますか?」
「相変わらず止まったままだよ」
会話を交わす2人の傍からそっと離れた童磨は、『また、あとでな』と唇の動きだけで伯治にメッセージを伝えると、そのまま人混みの中に消えていった。
「杏寿郎君、楽しんでる?」
主催者に呼ばれた黒死牟と別れ、杏寿郎が会場の隅に移動し、いかにもお偉いさんといった風な老人と会話を交わす伯治の姿をぼんやりと眺めていると、会場に着いて一番最初に紹介された伯治の従兄弟であり片腕であるという童磨が話しかけてきた。 「さっきまで黒死牟が杏寿郎君にべったりだったから、なかなか声掛けれなくて」
ふわふわっとした柔らかな笑顔と雰囲気を持つ童磨に、自然と杏寿郎の肩から力が抜ける。
「多分、こういう場に慣れてない俺に気を遣ってくれてるんだと思う」
「それだけかなぁ?絶対黒死牟は杏寿郎君に気があると思うけど」
妙に確信ありげに言い放つ童磨に、杏寿郎は思わず苦笑を漏らした。
確かに黒死牟はほぼ面識がないといっていい杏寿郎に対してえらく親しげに接してきたが、それは海外生活が長いという彼にとっては普通のスキンシップなのだろうと杏寿郎は思っていた。
「黒死牟のやつ、杏寿郎君に向けて目からラブラブ光線出してたし」
「俺、男だぞ?」
童磨の言い様に呆れ半分笑い半分で答えると、童磨は片眉をぴくりと跳ね上げた。
「だって杏寿郎君、すっごい綺麗だもん。ノーマルで堅物な伯治殿がぐらついちゃうぐらいなんだから。伯治殿との契約が終わったら、次は俺が契約して欲しいくらいだよ」
「・・・!」
そしてさらりと童磨が放った台詞に、その言葉が意味することに、杏寿郎は瞬時に顔を強張らせた。
「でも、杏寿郎君さえよければほんとに考えて欲しいな。俺、基本ノーマルだけど杏寿郎君なら全然いけるからさ。金額も杏寿郎君が希望するだけ出すし。どうかな?」
「・・・・・・・・・」
何の悪気もないだろう童磨の言葉に、まるで冷や水を頭から被せられたように頭の中も心も冷え切っていくような気がした。
胸の奥が鉛でも抱えたみたいに重たくなって、気管が詰まった様に息苦しくなる。 ◆水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
こういうのを定期的に貼ればいい気がしてきた 豪華な部屋に泊まり、高い服を着て、美味しいものを食べ、宝物のように優しく丁寧に扱われ、いつの間にか勘違いしていた。
―――この顔も身体も、金を出す人間にとってはただの商品でしかないというのに。
「・・・・・・そうだな。―――いいよ、別に」
自分でも驚くほど、感情は声に乗らなかった。
冷え切った心が、感情ごと固まってしまったみたいに。
けど、どれほど心が冷え固まっても笑みは作れる。
「あ、ほんとに!?」
愉しげに弾む童磨の声が耳を素通りしてく。
「これ、俺の連絡先ね。いつでも電話してもらっていいから!」
ジャケットの内ポケットから名刺を取り出し、その裏に携帯番号をさらっと綴るとそれを杏寿郎に差し出してきた。
「・・・・・俺が男娼だって、誰から・・・?」
名刺を受け取りながら答えなんてとうにわかっている質問をする自分に、杏寿郎は思わず笑いそうになった。
「へ?いや、伯治殿が・・・・」
「そうか・・・」
そして告げられた予測通りの答えに、杏寿郎は自分でも驚くほど穏やかな声を出していた。
感情が飽和して、僅かな揺らぎもなくしてしまったかのようだった。
ふと視線を泳がせると、じっとこちらを見つめている伯治と目が合った。
困惑したようなどこか物言いたげな眼差しがやけに癇に障り、杏寿郎は伯治から視線を逸らすと童磨に小さく笑いかけた。
「・・・・・・すまない、ちょっと気分が悪いから外に出てくる」
「え?大丈夫?」
「平気だ。・・・会場の中、ちょっと熱かったから」
心配だから付いていくという童磨の申し出を大丈夫だからと断り、杏寿郎は足早に会場の外へ出た。
「杏寿郎さんっ!」
会場を出て人気のない通路を非常口へ向けて歩いていると、後ろから肩を掴れた。
振り向かなくてもわかる。
伯治だ。
「・・・・・・どこ行くんですか?気分でも悪いんですか?」
振り返りもせず俯いたまま黙って立ち尽くす杏寿郎に、伯治から気遣わしげな声がかかる。 相手面倒だったら使って下さい
正体バラされるのが一番イヤなのに粘着やめられないってのは病気としか >>852>>854
死ねBBA若者は卍マイキーに行った >>852
ありがとう
これ定期的に貼ろう
本当にキチガイすぎるわこの荒らし
>>855
注意喚起されると逆ギレして噛み付く癖がどこのスレに行っても抜けないね義勇お婆さん 無理
別に高齢でも何でもいいんだがパクられたくない人の物を盗んでにやにやしてる時点で無理 「・・・・杏寿郎さん?童磨がなにか・・・」
「すぐに戻るから」
伯治の声を遮り抑揚のない口調で言い捨てると、杏寿郎は伯治の手を振りきり再び歩き出した。
杏寿郎の態度に何かを察したのか伯治は追ってはこなかった。
伯治の視線を背中に感じながら、ポケットに仕舞った童磨の名刺をくしゃりと握り潰す。
ひどく、惨めな気分だった。
Fend >>857
気にせずどうぞ
誰だって相手したくないよ… G
「どうかしましたか?」
ホテルの部屋に辿り着くや、髪を纏めていたピンや飾りを乱暴な手付きで取り去り、苛立ったように髪の毛をぐしゃしゃと掻き回す杏寿郎に声を掛けると、伯治の横を素通りしながら杏寿郎は「別に」と一言言い捨てた。
「別に、ですか・・・」
そんな杏寿郎の態度に、伯治はコートを脱ぎながら本日何度目になるのかもわからない溜息を吐いた。
「とてもそんな様子には見えませんが。・・・・なにかあるなら言ってください」
大股で部屋を横切りベッドルームへ向かう杏寿郎の背中に向けてやや問い詰めるように言葉を投げる。
「別に」
だが伯治を振り返りもしない杏寿郎から返ってきたのは、予測通りの変わり映えのない素気無い一言だった。
「・・・・・・それで8回目ですよ。さっきからそればかりじゃないですか。他の言葉を知らないんですか?」
これほどまでに頑なな態度を取られるとさすがに伯治も苛立ちを隠せなくなり、言葉の端々に苦々しさが滲んでしまう。
イベント会場を出てからタクシーでホテルに帰ってくる道すがら、もうずっと同じ遣り取りを繰り返しているのだ。
童磨と話をした後少し様子がおかしいように見えた杏寿郎だったが、再び会場内に戻ってきた時はいつものように綺麗な笑みを浮かべて伯治や他の人間とも普通に話をしていた。
だが会場を出るや否や、杏寿郎はまるで何かのスイッチが入ったかのように急に黙りこくってしまったのだ。
能面のように完全な無表情を崩すことなく、伯治をちらりとも見ようともしない。
話しかけても、無視はしないものの今のように『別に』と、やはり伯治の方を見向きもしないでそう一言冷ややかに言い捨てるばかりで。 もう皆に義勇腐バレてるのに壊レコみたいに盗んだ小説改変コピペで荒らすしか生き甲斐がない義勇BBAか
こういう老後だけは送りたくないもんだわ するとベッドルームに向かっていた杏寿郎はぴたっと足を止めると、勢いよく振り向いた。
「なら『馬鹿野郎』だっ!これでいいか?」
やや吊り上り気味の双眸に苛烈な情を滾らせながら伯治に向けてそう言い放った杏寿郎は、ベッドルームの扉を開けるとバタンッと部屋中に響き渡るほど大きな音を立てて扉を閉めた。
「・・・・・・『別に』の方がましですよ・・・」
コートをデスクの椅子の背凭れに掛けると、伯治はどうしたものかと細く息を吐きながら天を仰ぐ。
ベッドルームからは微かにクローゼットを開け閉めする音が聞こえてきて、伯治が所在なく閉じられたベッドルームの扉を見つめていると、少ししてバンッと再び大きな音を立てながら扉が開き、杏寿郎が姿を現した。
あからさまに険悪な雰囲気を押し出しながら伯治を睨み据える杏寿郎は、伯治と初めて出会った時の服に着替えていた。
「杏寿郎さん・・・?」
「君は俺を従業員として雇うって、そう言ったよな?」
怪訝な表情を乗せながら伯治が名を呼ぶと、杏寿郎はどこか突き放すような口調でそう確認してきた。
「そうですが・・・。それよりなんで着替えて・・・」
伯治が着替えの理由を訊こうとするのを遮るように、杏寿郎は眉間に皺を刻みながら「嘘を吐くな・・・」と掠れた低い声で吐き捨てた。
「君、俺が男娼だって言いふらしただろう」
「言いふらしてなんかいませんっ!」
杏寿郎からの台詞を伯治は即座に言い返す。
すると杏寿郎は俯き一瞬だけ唇を噛み締めたかと思うと、再び伯治に鋭い視線を据えてきた。
伯治を射抜く綺麗な金色と赤の双眸は怒りのせいか僅かに潤んでいるように見えた。
「君の従兄弟に、俺が男娼だって言っただろうっ!?」
「・・・っ!それは・・・・・っ」
断罪するかのような厳しい口調で反論のしようのない事実を突きつけられ、伯治は思わず口篭ってしまう。 バレたというかこんなんポカーンなんだが
とりま3食飯食べて規則正しい睡眠は取りなよ、同じ日本に住む者なんだから どんな理由があったとしても、杏寿郎の素性をばらしたことの非はすべて伯治にあるのだから。
「童磨に誘われたっ!君との契約が終わったら自分とどうかって!」
「っ!!」
そして吐き捨てるように続けられた台詞に、伯治は愕然とし息を呑んだ。
(なに・・・?童磨が・・・・?)
「君は従兄弟と俺をまわす気だったのかっ!?」
「な・・・・っ、違いますっ!そんな筈ないでしょうっ!?」
動揺する伯治の心情などお構いなしに杏寿郎はとんでもないことを言い出して、伯治は慌てて否定する。
一瞬でもそんな風に杏寿郎に思われるなんて耐えられなかった。
杏寿郎が過去に他の男に抱かれたと考えるだけで腸が煮えくり返って頭がどうにかなりそうなのに、他の人間と愉しそうにしているだけで醜い嫉妬に駆られるというのに。
「――ならなぜ言った・・・っ!」
感情を無理矢理に押さえ込んだ、どこか呻き声のようにも聞こえる声で問い詰めてくる杏寿郎に、伯治は自分を落ち着かせるように息をひとつ吐いた後、杏寿郎に頭を下げながら「・・・すみません」と口にした。
「・・・・・・童磨に、あなたが産業スパイじゃないかって疑われて、思わず・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「まさか童磨がそんなこと言うなんて思ってもみなくて・・・・。本当にすみませんでした」
後悔の滲む伯治の謝罪が、重い空気に支配された室内に頼りなく響く。
「・・・・・確かに俺は君に金で買われた」
そして少しの間の後、先ほどまでの激高が嘘のように静かな声音で杏寿郎が紡いだ。
「杏寿郎さん・・・」
「でも俺にだってプライドが有る。・・・・・・俺は金持ち連中の玩具じゃない」
「・・・・・・・・・・」
「精算してくれ。出てくから・・・・」
俯き、地を這うような低い声で告げられた台詞に伯治は思わず目を瞠る。
「杏寿郎さん・・・・っ」
「早くっ!」
伯治から顔を背け、どこか悲鳴のようにも聞こえる怒声を放つ杏寿郎は完全に伯治を拒絶していた。 ほんの数時間前まで柔らかな微笑を乗せて伯治の名を呼び、
優しい手付きで伯治に触れてきた杏寿郎だったのに、
あの甘い時間は幻だったかのように、伯治と杏寿郎の間には埋めようのない大きな溝が出来ていた。
「・・・・・・・・・」
2人の間にはただただ重い沈黙が落ち、伯治はこの状況を打破する術を必死に考えるも、
結局は何も出来ることなどないのだと思い知らされただけだった。
伯治は杏寿郎の傍からそっと離れると、
デスクの上に置いていた財布から紙幣を取り出すと、杏寿郎の手に握らせた。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・ありがとうございました」
手の中の札を見つめる杏寿郎に礼を言って、伯治は背を向けた。
去っていく杏寿郎の姿を見たくなかったのだ。
杏寿郎は無言のまま伯治の後ろを通り過ぎていき、
それから扉が静かに閉開する音が小さく聞こえてきた。
その音に伯治は僅かな期待を持ちながらのろりと後ろを振り返るも、
広々とした部屋にやはり杏寿郎の姿はなくて、途端言いようのない虚無感が怒涛のように伯治を襲ってきた。
身一つでここにやってきた杏寿郎は、身一つで出て行ったのだろう。
伯治が買った杏寿郎の服は、ソファの上に乱雑に置きっぱなしになっている。
「・・・・・・・・・・」
力ない足取りでソファへと足を進めた伯治が持ち主のいない服を手に取ると、その下からまるで隠されていたように紙幣が出てきた。
それは先ほど伯治が杏寿郎に渡した金だった。
(なんで・・・・・)
信じられぬものを見るようにその金を凝視していた伯治は、はっと我に返ると、慌てて部屋を飛び出した。
エレベーターの前で杏寿郎は静かな面持ちで佇んでいた。
伯治が追いかけてきたことに気付いているだろうに、
杏寿郎はエレベーターのランプから視線を外さず、一切伯治を見ようとしなかった。
「すみませんでした」
彫刻のように整った杏寿郎綺麗な横顔を見つめながら伯治はもう一度頭をさげた。 「本当にすみません。あなたのことを聞かれた時の答えを用意してなくて・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「上手く誤魔化せばよかったのに、あなたの気持ちも考えず俺が軽率でした・・・。許してください」
その時、ポーンと軽やかな音がエレベーターの到着を知らせ、
杏寿郎の目の前で扉が開いた。
杏寿郎が動き出す前に、伯治は杏寿郎に一歩近付きその腕を強い力で掴んだ。
「行かないでください。お願いです・・・・・・」
「・・・・・・なぜ?」
相変わらず伯治を見もせず、杏寿郎は無表情のまま視線を少し伏せると消え入るような小さな声で問いを発した。乗る者のいないエレベーターは再び扉を閉じ、そのまま階下に下りていく。
「・・・・・・黒死牟と愉しそうに話しているあなたを見て、嫉妬しました」
「ただの雑談じゃないか・・・」
「それでもです」
伯治が言い切ると、漸く杏寿郎の顔が伯治へとゆっくり向けられた。
伯治と目が合うと、杏寿郎は戸惑うように視線を彷徨わせ、また視線を伏せた。
「・・・・・傷付いたんだ・・・」
そしてぽつりと零された一言に、伯治の心臓がずきりと痛む。
「・・・・・・ごめんなさい」
「・・・今まで、これくらいで傷付いたことなんてなかったのに・・・」
「杏寿郎さん・・・」
嘆くような口調で呟く杏寿郎の手を引き、伯治はその身体をぎゅっと抱き締めていた。
杏寿郎は特に抵抗もなく伯治の腕の中に収まり、伯治の肩に顔を埋めてきた。
「君のせいだぞ。馬鹿。アホ。とんちんかん」
「・・・はい。すみませんでした」
くぐもった声で悪態を吐いてくる杏寿郎の身体を更に力を入れて抱き締めると、伯治の肩口から「痛いぞ」と小さな声が聞こえてきた。
「・・・・・・まだ、俺の傍にいてくれますか?」
杏寿郎を腕から解放し、その目を間近から覗き込みながら縋るような思いで問いかければ、杏寿郎は漸く伯治に笑みを見せてくれた。
「聞くなよ、馬鹿」
そう言って、くるりと踵を返し部屋へと戻っていく。 そんな杏寿郎の後姿を見つめながら、伯治も後を追い部屋へ入っていった。
「俺の前の恋人は、俺になにも言わないまま、姿消してな。それっきり・・・・・・」
情事後の気だる気な身体にシーツだけ纏った杏寿郎は、隣の伯治を眺めながらぽつりぽつりと話す。
そんな杏寿郎の話に一切口を挟むことなく、
伯治は杏寿郎の髪を時折撫ぜながら話に耳を傾けていた。
「向こうから一方的に告白してきて、一方的に付き纏って、
いつの間にか勝手に俺の部屋に住み始めたくせに、いなくなる時も一方的なんて酷いと思わないか?・・・・・・しかもさ、
彼が消えてから少しして、今度はアキレスを腱切ってしまって・・・・。もう踏んだり蹴ったりでな・・・。さすがにあの時期は荒れて、
無一郎には申し訳ないくらい心配をかけてしまって・・・・・・」
そう言って、杏寿郎は口許に小さな苦笑を浮かべる。
「退院して、最初はファーストフード店とかで働いてたんだが、それぐらいじゃ全然生活できなくて。
・・・・・・前に話したと思うが、本当に生活に困ってた時たまたま声を掛けられて・・・・・・」
その当時の記憶をぼんやりと思い出しているのか、
ほんの少し杏寿郎の眼差しが遠いものとなる。
「初めて客を取った時、俺、ものすごく泣いたんだ」
「っ!!」
淡々と紡がれた杏寿郎の台詞に伯治は言葉を失くした。
言いようのない感情が胸の内から溢れ出てどうしたらいいかわからなくなる。
何も言えない伯治の表情を見て一瞬躊躇うような素振りを見せたものの、
伯治の頬を慰めるようにそっと撫でながら杏寿郎はそのまま話を続けた。 「男とのセックスは初めてじゃなかったのに、会ったばかりのヤツに身体中触られたり舐められたり、
それがほんとに吐きそうなほど気持ち悪くて、怖くて、嫌で嫌で堪らなくて・・・・。泣く俺を見て、
相手は面白がってますますしつこく触ってきたりして、
結局最後まで俺は泣き通しだった。・・・・・・あれは人生で最低の夜だったよ」
「・・・・・・・・」
「でも、いつの間にかそれにも慣れた。・・・・・・好きなヤツ以外に抱かれても、何も感じなくなった。
人間って、うまく出来てるよな」
自嘲気味に吐き出した杏寿郎の頬に今度は伯治が指先で触れる。
「もう辛くはないんだ」
「杏寿郎さん・・・・・・」
そんな伯治の指先をそっと握り返しながら、杏寿郎は穏やかな微笑を浮かべながら伯治を見つめてくる。
辛くはないという杏寿郎の言葉は、
まるで自分自身にそう言い聞かせているようにも聞こえた。
否、そうやって自分に言い聞かせながら色んなことに耐えて、自分は『プロ』だと言い切れるまでになったのだろう。
それまでに杏寿郎が捨てざるをえなかったものを考えると胸が潰されそうな思いだった。
「今の生き方がベストとは言わないけど、過去は消せないし、これもひとつの人生だと思う」
「・・・・・・まだやり直せますよ・・・」
気付けば伯治は、目の前の澄んだ太陽のような双眸を見つめがらそんなことを口にしていた。
「あなたは賢いし、世の中を知ってるし、ちゃんと自分の意見も持ってる。努力して夢を叶えることを知っているあなたなら、きっと違う生き方が出来ます」
「買い被りすぎだよ、君・・・」 伯治の台詞に、杏寿郎は呆れたようにほんの少し照れ臭そうに目を細めた。
「でも、嬉しい。ありがとな」
「杏寿郎さん」
「君は優しいな」
―――俺、優しくされるのに弱いんだ、と杏寿郎は言った。
「あなただからですよ」
「伯治・・・・・・」
「あなただから、俺は――・・・・」
そこまで言って言葉を切った伯治に、杏寿郎は花が綻ぶような清しい笑みを向けてきた。
それからどちらともなく身体を寄せ合い、もう一度肌を重ねて、互いの熱を分け合った。
「・・・・・・まだ好きなんですか?」
浅い息を吐く杏寿郎の身体を後ろからきつく抱き締め、長めの髪が張り付く汗ばんだうなじに顔を寄せながら伯治が囁く。
それは目的語のない問い掛けだったが杏寿郎には伯治が何のことを言っているのかわかったようで、
質問の意味を問い返されることはなかった。
杏寿郎は自分の胸の前に回された伯治の手の上に自らの指を絡ませながら、ゆるゆると首を横に振った。
「たまに思い出したりするけど、それだけだ・・・」
「・・・そうですか・・・」
伯治を安心させるかのように穏やかで柔らかな口調で告げられる台詞に心の中がふわりと軽くなる。
伯治が甘えるように杏寿郎の首に唇を押し付けると、擽ったそうに杏寿郎は身を捩る。
逃がさまいと伯治は更に杏寿郎を抱く腕に力を篭めて、
まるでマーキングするように杏寿郎の髪を掻き分けながらうなじに何度も何度も口付けを落とした。
「伯治・・・・・」
「・・・・・よかった・・・」
心の底から溢れた言葉に、杏寿郎が小さく笑ったような気がした。
Gend ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
■■■■■■■■■■■■
スクロールした時に目立つようにデコ >>874
ありがとう
ついでに「長文荒らしのレスは名前の方をNG name推奨です」とも付け加えておくわ 状況だけ短く伝わればいいかと思いました
テンプレじゃないし各々で状況判断でやりましょう H
「・・・ん・・・」
毛布とは違うあたたかな感触を感じながらゆっくりと意識を浮上させると、瞼をゆっくりと持ち上げた杏寿郎の眼前にはすやすやと健やかな寝息を立てる伯治のドアップがあった。
「・・・・・・・・・・・・」
思いがけない光景に微睡んでいた意識が一気に覚醒した杏寿郎は、
まじまじと目の前の整った寝顔を凝視する。
出会ってまだ一週間にも満たないにも関わらず毎夜ベッドを共にしている杏寿郎と伯治だったが、
毎朝杏寿郎が目覚める頃には既に伯治はコーヒーを飲みながらデスクで仕事をしているので、
こんな風にベッドの中で伯治と共に朝を迎えるのは初めてだった。
(―――寝顔見たの、初めてかも・・・)
片腕で杏寿郎の腰を抱き込むようにして眠っているその姿を
どこか不思議な心持ちでぼんやりと眺めながら伯治の起床を待っていた杏寿郎だったが、
すぐに起き出すだろうと思っていた伯治はいくら待てども一向に起き出す気配はなかった。
ちらりとベッドサイドの置時計に目を遣った杏寿郎は、
その短針が10と11の間を指しているのを見てさすがにまずいと思い、呼吸に合わせて浅く上下する剥き出しの伯治の肩に手を置いてその身体をゆさゆさと揺すった。 「伯治・・・・。伯治、会社いいのか?」
伯治の顔を覗き込みながら杏寿郎が何度か問い掛ければ、目を閉じたままの伯治は「ん・・・・ぅ」と顔を思い切り顰めて変な呻き声をあげた。
まるで子供がぐずるようなその姿に思わず杏寿郎の口許が緩む。
「可愛い社長だなぁ・・・」
寝癖がついた伯治の柔らかな髪を指先で弄びながら独り言を漏らすと、ふいに伯治の手が杏寿郎の腕を掴んだ。
そして杏寿郎の腕を掴んだまま、ゆっくりとその瞼が開かれていく。
「杏寿郎さん・・・?」
「おはよう」
半分ほど開いた目で杏寿郎を見つめてくる伯治に笑いかけると、
状況を掴みかねるように伯治の双眸が宙を彷徨い、また杏寿郎に戻ってきた。
「あれ・・・?」
そしてどこか拙い口調で小さく疑問の声をあげる。
「10時過ぎてるけど平気か?」
「っ!!!」
杏寿郎が尋ねた途端、伯治は眠気が一気に吹っ飛んだようにベッドから飛び起きた。
「おっと」
「あ、すみませんっ!」
勢いよく起き上がった伯治にぶつからないように杏寿郎が身体を仰け反らすと、
慌てて伯治が手を伸ばし杏寿郎の背中を支えた。
「もしかしなくても寝坊か?」
そんな伯治の顔を覗き込みながら揶揄をこめて尋ねれば、
伯治はばつが悪そうな表情で「そのようです」と溜息混じりに呟いた。
その様が可笑しくて杏寿郎が含み笑うと、伯治も釣られたように口許に微笑を刻んだ。
「・・・・・・寝坊なんて、学生の時以来ですよ」
参ったな、とでも言いたげな口調で呟き肩を落とす伯治の姿に小さく噴出した杏寿郎は、
徐に伯治に手を伸ばし寝癖を直すように髪を指先で梳きながら、
「今日は行かなくていいんじゃないか?」と冗談半分でサボタージュを提案した。 「へ?」
「だって君、ずっと働きっぱなしだし、なんか切っ掛けがないと自分から休み取りそうもないしな」
「・・・・・・俺は社長なのに?」
戸惑う素振りを見せる伯治に杏寿郎が笑いながら、「社長だって休息は必要だろう」と言えば。
「ならそうしましょう」
伯治は思いがけずあっさりと杏寿郎の提案を了承した。
「へ?」
「携帯電話とパソコンがあれば1日くらい行かなくても平気ですし。・・・それによく考えたら、俺は社長になってから休みらしい休みを取ったことがないんです」
まさか仕事人間の伯治からそんな返答が返ってくるとは思わず間の抜けた声をあげる杏寿郎に、伯治はその男前の顔に艶っぽい笑みを乗せながら熱情を孕んだ双眸で杏寿郎を見遣ってきた。
「それに、あなたと一緒にいたいですし」
「・・・・・・・・・」
「今日を含めてあと3日しかないんですから」
「・・・・・・君、真面目なのに結構タラシだよな」
ストレートな台詞になんだか妙に面映い気持ちになった杏寿郎が視線をそっと外しながら呆れ気味に呟けば、当の伯治は。
「あなただからですよ」
なんて、昨夜の情事の合間に囁かれた台詞を恥ずかしげもなく杏寿郎に告げてきて、杏寿郎を赤面させるのだった。
「どこか行きたい所はありますか?」 早速とばかりに会社に休みの連絡を入れた伯治に尋ねられ、杏寿郎は顎先に手をあてながら少々考え込んだ。
いい部屋に泊まり、美味しいものを食べ、分相応とは程遠い至れり尽くせりな生活を送っている身としては、分相応な生活がやけに恋しくなったりするもので。
「なら、今日は屋台で昼飯はどうだ?」
「屋台?」
いつものようにきっちりとしたスーツに着替えながら不思議そうに首を傾げる伯治に近付くと、
杏寿郎は「そう、屋台!」とネクタイを締めようとしている伯治の腕に手をかけた。
「だから今日は、堅苦しい格好はなしだ!」
そう言って伯治のシャツの襟元からするりとネクタイを抜き取った。
「ウエストパークに毎日昼頃になると屋台が出て、その中にアジア料理の店があるのだが、そこのグリーンカレーとタンドリーチキンがすごく絶品なんだ!」
杏寿郎の台詞に伯治は「なら、そうしましょう」と優しく微笑みながら頷いて、羽織っていたスーツの上着を脱いだ。
「今日はあなたの望むままに」
「・・・・・・やはりタラシ」
さもそれが当然のように言い放つ伯治に杏寿郎が呆れた眼差しを向けると、更に伯治が何か言おうと口を開こうとしたので、
杏寿郎は反射的にその口を掌で塞いだ。
「その後の台詞、想像つくから言わなくていい」
杏寿郎が大真面目に言えば、顔半分を杏寿郎の手に覆われた伯治はひどく嬉しそうに破顔した。 ラフな格好の伯治の姿に驚いた表情を浮かべるホテルマンに2人で顔を見合わせ笑い、相変わらず穏やかな微笑を浮かべる産屋敷に「いってらっしゃいませ」と見送られ、杏寿郎と伯治はホテルを後にした。
バスと電車を使って公園まで行き、杏寿郎お勧めのカレーとチキンを購入し、公園のベンチでランチタイム。
美味そうに食べる伯治の姿に思わず杏寿郎の顔も綻び、食べ慣れたカレーも、いつも以上に美味しく感じられた。
「これってデートですよね?」
ランチの後、止め処ない会話を交わしながら公園脇の遊歩道を並んで歩いていると、ふと思い立ったように伯治がそんなことを言ってきて。
「・・・かもな」
笑みを絶やさない伯治に小さく笑みを浮かべながらそう返せば、伯治はますます笑みを深めてごく自然に杏寿郎の手をぎゅっと握ってきた。
「伯治ッ!」
平日の昼間とはいえ、全く人影がないとはいえない遊歩道で突然手を繋いできた伯治に咎めるような声をあげると、伯治は「あの信号まででいいですから」と、ほんの十数メートル先にある信号をもう片方の手で指差した。
「・・・・・特別サービスだぞ」
「はい」
杏寿郎の少々ぶっきらぼうな物言いに伯治は嬉しそうに頷くと、杏寿郎の手を握る手に力を篭めた。
結局、目印の信号を通り過ぎ、その次の次の信号を通り過ぎるまで、2人の手は離れることはなかった。
その後も街を目的もなくぶらつき、日が暮れると適当に選んだレストランに入った。 杏寿郎がメニューを広げている間、伯治は手帳を開きながら携帯電話でおそらく会社の人間と小難しい話をしていて、
その会話になんとなしに耳を傾けていた杏寿郎は、
伯治が通話を終えるや否や「なぁ」と身を乗り出して話しかけた。
「明日の夜って空いているのか?」
「えぇ、まぁ」
杏寿郎の問いに頷きながら伯治はぱたりと手帳を閉じる。
「明日の朝の会議で片がつく筈なので、明日の夜は完全にフリーですよ」
「じゃあ、俺先約だ!」
軽く右手を挙げて杏寿郎が言えば、
少し驚いたような表情を晒した後伯治は「いいですよ」と優しげに目を細めた。
「今日みたいに、どこかに連れてってくれるんですか?」
「ああ!君に見せたいものがあるんだ!」
メニューを差し出しながらの杏寿郎の台詞に、伯治は「それは楽しみです」と嬉しそうに笑った。
「折角ですから、ビールでも飲みますか」
「君、ビール飲むのか?」
「仕事上の食事の時は大抵ワインですが、ビールも好きですよ」
「ふむ。ま、君酒強そうだもんな」
「あなたはあまり飲みませんね。弱いんですか?」
伯治の問いに「まぁな」と杏寿郎が返せば、伯治は揶揄を滲ませた眼差しを杏寿郎に注いできた。
「酔ったらどうなるんです?」
「・・・・・・俺を酔わせてどうするつもりだ?」
やけに愉しげな伯治に杏寿郎が疑いの目を向けると、
伯治は「どうもしませんよ」と何食わぬ顔で躱す。
「へぇ〜。どうもしないのか?」
そんな伯治に杏寿郎がわざとらしく問い掛けると、
伯治は不意を衝かれたような顔になる。
「なにもしないのか?ほんとに?」
「・・・意地悪な人ですね」
ずいっと顔を近づけながらの杏寿郎の問いに、
伯治は眉を下げながら困惑したような少し拗ねたような苦笑を浮かべた。 「あははっ」
「笑ってられるのも今のうちだけですよ」
「・・・はは」
じっと大きな目で意味深に杏寿郎を射抜いてくる狛治に、思わず乾いた笑いが零れた。
ホテルに帰り着き部屋の扉を開けるなり、狛治は決して軽くはないだろう杏寿郎の身体をひょいと荷物のように肩に担ぐと、一目散にベッドルームへと向かった。
「なんだ!1人で歩けるっ!」
「そんな台詞は、電柱にぶつからず歩けるようになってから言ってください」
頭を地面に向けたまま目の前の伯治のコートのベルトを引っ張りながら杏寿郎が不平の声をあげれば、狛治はどこか苦々しい口調で言い放った。
「しょうがないだろうっ!俺は弱いって言ったのに、君が酒飲ませたんじゃないかっ!」
「反省してます。折角夜は長いのに、俺の迂闊さのせいで今夜は寂しい夜になりそうです」
「・・・・・・君の頭の中はセックスのことしかないのか」
「違います。あなたとの時間をいかに有効に使うか考えてるんです」
ベッドルームに入ると、ベッドに杏寿郎を下ろしながら伯治は真面目な顔で言い切った。そんな狛治に呆れつつも心の中がほわっとあたたかくなるのを感じて、杏寿郎はベッドの縁に座る狛治に腕を伸ばしその首に抱きついた。
「・・・・・・途中で寝ても怒るなよ?」
「途中で眠気が来るほど退屈なセックスをするつもりはありません」
「・・・・あ、そう」
やはり真顔で聞きようによってはものすごい台詞を吐く狛治に溜息を吐くと、狛治は器用に片手でコートを脱ぎながら杏寿郎をベッドの上にゆっくりと押し倒した。
深夜、喉の渇きを覚えて目が覚めた杏寿郎は、眠る狛治を起こさないようにそっとベッドから抜け出すと、簡易冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、それを一気に飲み干した。 「・・・・・・ふぅ」
ひと息吐いて再びベッドルームに戻ると、キングサイズのベッドの上では、杏寿郎が出ていった時と同じ体勢で狛治が眠っていた。
ベッドの端にゆっくりと腰を下ろすと、ギシッと小さくスプリングが鳴る。
「・・・・・・・・・・・」
そんな音にも気を留めず、杏寿郎はじっと狛治に視線を注いだ。
眠る狛治の顔は、起きている時よりもほんの少しだけ幼さが増す。
くっきりした目鼻立ちは、淡いオレンジのライトに照らされてより陰影を増していて、まるで美術のデッサンに使う彫像のようだった。
そして少し薄めの唇は僅かに開かれ、そこから微かな寝息が漏れている。
杏寿郎は人差し指を自らの唇に押し当て、その指先を狛治の顔へと伸ばす。だが、小さく息が零れる狛治の唇に指先があと少しで触れそうになった時、杏寿郎は無意識の内に狛治に触れようとしていたその指先を握りこんでいた。
そのままじっと狛治の寝顔を見つめていた杏寿郎は、徐にゆっくりと両手を持ち上げ狛治の頬をそっと包むと、
鼻先に触れるだけのキスを落とした。音もなく唇を離し、今度は瞼の上に。その次は眉間に、そしてまた鼻先に。
狛治の頬を両手で挟んだまま、杏寿郎は僅かに開かれた狛治の口許にそっと自らの唇を寄せると、狛治の上唇を食んだ。
ちゅっと微かな音を立てながら薄い唇から離れ、そして間を置かずに今度は狛治の寝息を遮るように、
目を閉じながらその唇に深く口付ける。
束の間の口付けを解き瞼を開いた杏寿郎の眼前には、
しっかりと目を開け杏寿郎をじっと見つめる狛治の深い眼差しがあった。
「・・・・・・・・・・」 視線が絡んでも、杏寿郎も、そして狛治も何の言葉も発さなかった。
その代わり、狛治は杏寿郎の手の上に自分の掌をそっと重ね、ゆるりと優しく撫でてきた。
その光景を目の端に映しながら、杏寿郎はもう一度狛治の唇にキスをした。首を傾げ角度をかえながら、ゆっくりと優しく何度も何度も唇を合わせる。
お互いの唇が熱を持ち始めた頃、
杏寿郎が微かな音と共に唇を離せば、狛治は杏寿郎の手に重ねていた自らの手を杏寿郎の頬と首筋に這わせて、
首を傾げながら杏寿郎の唇を覆い隠すようにキスをしてきた。
「ん・・・っ」
それは呼吸を奪い尽くすように激しく、獲物を喰らわんとする獣のように獰猛で、熱情を焦がすように情熱的だった。
「は、・・・ぅんっ、・・・はぁ」
息を吐く暇もなく互いの唇が合わさる隙間から、特有の水音と杏寿郎の苦しげな息遣いが漏れる。
いつの間にか杏寿郎はベッドに押し倒され、真上から口付けてくる狛治の手は逃がすまいとするようにしっかりと杏寿郎の頭を掻き抱いていた。
そんな狛治の首に両腕を回し、杏寿郎も熱に浮かされるように必死に伯治の激しい口付けに応える。
まるで何かの螺子が飛んでいってしまったかのように、杏寿郎も、そして狛治も思うまま相手の唇を貪った。
「杏寿郎さん・・・ッ」
切なく、そして愛おしさの滲んだ声に呼ばれて、胸の奥が発火したかのように熱くなる。 「んっ・・・、は・・・、はくじ・・・っ」
唇から顎先に、そして首筋から鎖骨に、噛み付くように激しい狛治の口付けが間断なく降ってくる。
狛治の掌が身体の形を確かめるように優しく時に性急に杏寿郎の肌の上を這う。
触れられる場所から、じりじりと身体の内側から燃えつくされるように熱が広がっていく。
数え切れないほどキスを交わし、境界線なんてないように互いの身体を重ね合わせれば、心も身体もひとつに溶け合っていくようで。
それはとても怖いことのようにも、そして幸せなことのようにも思えた。
愛の言葉などなくても、熱い吐息や重なる肌から、自分が求められているのは愛されているからなのだと、そう確信できる。
「あ・・・っ、ん、―――ぅあっ、はぁ・・・、あぁっ・・・」
「はぁ、・・・杏寿郎さん・・・ッ」
狛治の身分も自分の職業も全て忘れて、首に腕を回し腰に脚を絡ませ、ただ強く強く抱き合う。
―――この夜がずっと続けばいい。
初めて、そんなことを思った。
Hend
狛治の名前ずっと間違えててたくさんごめんと思うよ ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
■■■■■■■■■■■■ お疲れ様でした
二人の距離がぐんぐん密になるのが素敵です 続き待機
狛治幸せになれるといいな あれ見るとこいつを連想して嫌いになってきた
ヘイト溜めごくろうさん 公式の目にも悪さ止まってると思うよ自爆するから放っておきゃいい 幸いどこのスレでもあれの特徴を分かってテンプレまで作られているのだしね
あああれに粘着されてるのかと分かってもらえる I
「どうした?」
香ばしいクロワッサンを黙々と口に運ぶ狛治の前にコーヒーの入ったマグカップを置きながら、シャワーを浴びたばかりの杏寿郎が問うてくる。
そのまま狛治の隣の椅子を引いて腰掛ける杏寿郎から、甘ったるいシャンプーの匂いが香ってきた。
「何がです?」
「なんか機嫌悪そうだ」
銀の器に盛られたさつまいものグラッセを口に放り込みながらの杏寿郎の台詞に、知らず溜息が零れ落ちた。
「・・・・・・あなたとは今夜が最後です。―――明日になれば、俺はあなたに捨てられる」
新聞から顔を上げぬまま抑揚のない声音で杏寿郎に告げる。
自分の言葉に想像以上に自分自身が傷付いてしまい、狛治はひどく遣る瀬無い気分になった。
「そうだな。君のお守りは大変だからな〜」
すると杏寿郎は手にしたさつまいものグラッセを弄びながらわざとらしい口調でそんなことを言ってきた。
せめて自分の台詞を否定して欲しかったとそんな勝手なことを思いながら、狛治は「聞いてください」と真剣な眼差しを杏寿郎に据える。
「今日の午後の会議で、青い彼岸花社買収の件は決着がつきます。・・・仕事が終われば、俺は自宅に戻ります」
「・・・・・・ああ」
「でも、またあなたに会いたい」
「・・・・・・・・・」
杏寿郎を真っ直ぐに見据えながら言えば、狛治を見つめていた双眸が僅かに揺れたような気がした。 「治安のいい地区にマンションを用意します。車も。服や食事だって、あなたが望んだ時に、いつでも買える様にしておきます」
今の自分に出来ることを思いつくままを口にすると、ふっと視線を伏せた杏寿郎は湯気を立てるマグマップの中のコーヒーを見つめながら、その口許に呆れのような自嘲のような笑みを小さく浮かべた。
「・・・・・それで君は、この町に来るたびにベッドに金を置いていくのか?」
「そういう意味じゃ・・・っ」
「ならどういう意味だ?」
視線をあげながら杏寿郎が静かに問いを発す。
綺麗な日輪の双眸の中に、ゆらりと狛治の顔が映る。
「・・・・・・あなたに、街角に立って欲しくないんです」
「君の専属になれと?」
苦渋を吐き出すような思いで狛治が呟くと、杏寿郎はやはり静かな口調で問い返してきた。
そんな杏寿郎の姿にもどかしさを覚えつつ、狛治は「そうじゃないんです」と首を横に振った。
「・・・・・・・・・俺以外の誰もあなたに触れて欲しくない。誰にも抱かせたくないんです」
ただただ正直に自らの想いを愛しい人に吐露する。
あなたの朗らかな声が紡ぐ甘やかな声も艶めいた声も、他の誰にも聞かせたくなくて。
猫のように目を細めるあなたの綺麗な微笑みを他の誰かに向けて欲しくなくて。
―――あなたのキスを、俺で最後にして欲しくて。
「どうすればあなたは俺のものになってくれますか?」
身体だけでなく心も欲しいのだと、神に祈るような思いで杏寿郎に告げる。
もっと他に言いようがあったのかもしれないけれど、焦燥ばかりが募って閉塞感でいっぱいの狛治に気の利いた言い回しが出来るはずもなく、そんな言い方しか出来なかった。 >>807
義勇スレに
萌えスレってどこの事をゲロったのか凸してやってもいいのにやらないから皆エライねぇ 沈黙が降りる中、緊張に顔を強張らせた狛治に静謐な眼差しを注いでいた杏寿郎が不意にその口許を綻ばせた。
「馬鹿だな、狛治・・・・・・」
優しい声と共に、狛治の頬にあたたかな掌がそっと添えられる。
「俺はものじゃないから、誰のものにもならないぞ」
「杏寿郎さん・・・・」
「でも、君にそう言われるの、嫌じゃない」
そう囁くように言葉を紡いだ杏寿郎の唇が、優しい笑みを刻んだまま狛治のそれにそっと押し当てられた。
羽が触れるように微かな感触だけを残して離れていった杏寿郎の唇は、今度は軽く音を立てて狛治の鼻先に口付けを落とした。
微かに残るさつまいもの香り。
「嫌じゃないよ・・・・・」
狛治の目を覗き込みながら独り言のようにもう一度繰り返す杏寿郎の後頭部に手を伸ばし、まだ濡れた髪の毛に指を差し入れる。
そしてそのまま頭を引き寄せると、杏寿郎に深く口付けた。
僅かに開かれた唇から舌を忍び込ませ、熱を持った杏寿郎の舌に絡ませると、狛治の口内に濃厚なさつまいもの香りが広がった。
絨毯の上に寝かせた杏寿郎のバスローブを肌蹴させ、露になった肌に口付け落としていると、テーブルの上に置きっぱなしの携帯電話がブルブルと震え出し着信を知らせてきた。
「・・・・・・携帯鳴ってるぞ」
「はい」
「会社からじゃないのか?」
「多分」
「・・・・・・仕事しなきゃ、素山社長」
杏寿郎の胸元に口を寄せたまま顔を上げない狛治の行動を非難するように、杏寿郎の手が狛治の頭をコツンと軽く叩く。
「1回だけ・・・・・・」
縋るように呟きを漏らす狛治の頭に、「しょうがないなぁ」と呆れたように笑う杏寿郎の腕が優しく回された。
「煉獄〜〜」
ホテル近くのカフェ。
店の外のテラス席に腰を下ろし、頬杖をついてぼんやりと街を行き交う人々や車を眺めていると、杏寿郎の背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。 >>894
先日ジャンプショップの公式アカが指人形の宣伝画像ツイートしたら義勇ぼっちイジリだ!と怒った義勇モンペ達が大量に凸してツイ消しさせてたからね
頭おかしい連中が多い界隈だってのは公式にも把握されてると思う 「宇髄」
振り返った先にひらひらと手を振りながら近付いてくる宇髄の姿を見つけ、杏寿郎も手を振り返す。
ピンクのニット帽にゴールドピンクのサングラス、ショッキングピンクのロングコートとピンク尽くしの宇髄の出で立ちは、他の人間であればただの不審者となってしまいそうだが、宇髄だとその怪しさも含めて妙に様になっていた。
「おーおー。なんだよ、お前」
杏寿郎の真向かいの席にどかりと腰を下ろすと、サングラスを外した宇髄はにやにやと人の悪い笑みを浮かべながら杏寿郎を上から下まで観察するように視線を走らせた。
「とても男娼には見えねぇな〜。ま、最初から見えなかったけど」
「そういう宇髄だって、ポン引きには見えないぞ」
揶揄めいた台詞に杏寿郎が笑いながら返せば、宇髄は「俺はド派手めいた雰囲気を大事にしてんだよ」とにやりと笑った。
「ほら、頼まれてたもん」
そして早速とばかりに、宇髄はコートのポケットから封筒を取り出すと杏寿郎に差し出してきた。
それを受け取って封筒の中身を確認すると、宇髄に手配してもらったコンサートのチケットが2枚入っていた。
「ありがとう。助かる」
「俺様の血と汗と涙で築き上げた人脈に感謝しろよ?」
杏寿郎の礼ににやりと得意げな笑みを浮かべた宇髄は、たまたま通りがかったウェイターを呼び止めると、「カフェオレひとつ。ホットで」と注文した。
「で?」 そして再び杏寿郎に向けられたその眼差しには、どこか愉しげな色が覗いていた。
「?なにが?」
「若社長とはどうよ?」
前置きなど何もない唐突な宇髄の問い掛けに、杏寿郎は一瞬だけ言葉を詰まらせた。
「・・・・・・なんで宇髄が知っている」
「俺の情報網を甘く見るなよって言いたいとこだけど、無一郎から聞いただけ。『杏寿郎兄さんが変態社長に囲われた〜!』ってあいつほんと煩くてさ〜。なんか知らねぇけど俺まで責められるし」
「はは・・・」
その時の無一郎の様子がありありと想像できて思わず苦笑を零せば、宇髄は興味津々といった様子で身を乗り出してきた。
「あと1日なんだろ?上手くいってんのか?」
「・・・・・まぁ」
追求の視線から逃れるように視線を泳がせ言葉を濁す杏寿郎に、宇髄の片眉がぴくりと跳ね上がる。
「お前・・・・・」
「なに」
穴が空くほど間近から杏寿郎の顔を凝視してくる宇髄に、杏寿郎は緊張を覚えながらも敢えて素っ気無い口調で返す。
「・・・・もしかして、そいつに惚れたのか?」
「惚れてない」
様子を探るような宇髄の問い掛けを、杏寿郎は即座に否定した。
「ならキスは?口にしたか?」
すると宇髄はまるで尋問のように次々に質問を繰り出してくる。
「そ、れは・・・・」
「したのか?」
誤魔化しも逃げも許さないといわんばかりの鋭い眼差しに射抜かれ、これは逃げられないと悟った杏寿郎は破れかぶれの気分で「そうだよっ!」と宇髄の質問を肯定した。
「した!口に!悪いか!」
やけっぱちのように言い捨てれば、宇髄は「怒るなよ」と小さく苦笑した。
「怒ってないっ」
「その若社長に惚れたんだろ?」 ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
長文荒らしのレスを一括で消すためにNG nameで名前ごとNGすることをオススメします
■■■■■■■■■■■■
スクロールした時に目立つようにデコ 「惚れてない・・・っ」
「なんとも思ってないただの客に、お前は口にキスするのか?」
「っ!」
宇髄の台詞に杏寿郎は思わず口を噤む。
そして杏寿郎をじっと探るように見つめてくる目から視線を外し、消え入るような小さな声で続けた。
「・・・・・・少し、好きなだけだ」
「でも好きなんだろ?」
「・・・・・・・・・・」
「別れたくないって顔に書いてあるぜ?」
「宇髄っ!」
杏寿郎が咎めるような声で、それ以上の言葉を制するように名を呼べば、宇髄はそ知らぬ顔で大仰に両肩を竦めてみせた。
「いいじゃん、別に。客に惚れたってさ。専属なんて言い出すぐらいだから、その若社長もお前のこと・・・」
「よしてくれ」
宇髄が全てを言い終える前に、杏寿郎は突き放すように制止の言葉を挟む。
「彼は社長で、俺は男娼で。それ以外のなにものでもないし、それ以上のなにものにもなりようがないんだ」
自らに言い聞かせるように杏寿郎が言葉を紡げば、いつの間にか運ばれていたホットカフェオレに口をつけながら、宇髄がどこか優しい眼差しを向けてくる。
「馬鹿だね、お前は」
「・・・・・・・・・」
「やっぱお前、この世界に向いてねぇよ。いくら見てくれがよくてもさ」
「・・・・・・・・・・」
呆れたような口調には労りと慈しみが滲んでいて、それがやけに胸に染みて無性に切なくなった。
それ以降、宇髄は狛治の話題を口にしなかった。
どこそこの通りで刃傷沙汰があっただの、誰それが警察に捕まっただの、杏寿郎が離れている間の街の様子を話してくれた。
そして、別れ際。
「たとえ竹刀を振れなくたって、お前のその足はこの世界から抜け出す為にあるんだぜ?」
そう言って綺麗に整った顔に華やかな笑みを浮かべた宇髄は、くるりと踵を返し、来た時と同様ひらひらと手を振りながら去っていった。
「買収はやめたんです」
夕方、ホテルに戻ってきた狛治は、開口一番にそう言った。
「そっか・・・」
「彼の会社と提携し、今後は造船技術を海外に売ることにしたんです」
「君が決めたことなら、それが正解だよ」
狛治の頬を両手で包むと、ちゅっと鼻先にキスを送った。
すると狛治ははにかむように小さく笑って、お返しというように杏寿郎の頬に軽いキスを落としてきた。 「黒死牟が、あなたがいないことをすごく残念がってました」
「また妬いたのか?」
からかい混じりにそう尋ねれば、狛治は「妬く必要なんてないでしょ?」と男っぽい笑みを乗せて杏寿郎を見つめてきた。
そんな狛治に笑みを返すと、狛治は晴れやかな笑顔で「夕食はどうします?」と訊いてきた。
「コンサートの後でって思ってたんだけど、君腹減ってる?」
「コンサートですか?」
杏寿郎の返答に狛治が不思議そうに訊き返してくる。
「ああ。チケット用意してあるから」
ほら、と宇髄に手配してもらったチケットを見せると、それに一通り目を走らせた狛治は「その劇場ならここからそう遠くないですね」と不敵な笑みを浮かべ杏寿郎を意味深に見つめてきた。
「・・・・・・言っとくけど、する暇なんてないぞ。というかそんな暇あったら、そこらで飯が食える」
「誰もそんなこと言ってません」
「目が言っている」
疑いの眼差しを向ける杏寿郎に狛治は、「気のせいですよ」と愉しげに含み笑った。
結局最後まではしなかったものの、お互いの熱を高めあって吐き出して、そんなことをしているうちに出立の時間が予定より遅れてしまって。
「君のせいで遅刻だっ!」
「俺だけのせいですか?」
「君だけのせいだっ!」
「・・・大丈夫ですよ。大抵コンサートは時間が押しますから」
タクシーの中でそんな会話を交わしつつ、劇場に着いたのは、開演15分前だった。
「ほら、これ見ろ」
慌ただしく席についてひと息ついたところで、受付で貰ったパンフレットを開き、ある箇所を指差しながら狛治に中身を見せる。
(グラブルしてきます) 水腐荒らしがここで長文を荒らしを始めたのが7月14日
萌えスレを荒らし始めたのは5月初め頃から常駐 IDワッチョイ出ないから住み易いと思ってるかもしらんがその分軽率に色々喋ってくれたね 完全に被害者側だからそれだけを主張続けていくだけね
水腐の看板背負いながらずっとやってな すると杏寿郎の手元を覗き込んだ狛治から、「あ」と声があがった。
「ゲストで無一郎が出てるんだ」
杏寿郎の指が指し示す先には、きりっとした顔で四角い枠に収まった無一郎の顔写真があった。
「・・・・・本当に歌手だったんですね」
「なんだよ。信じてなかったのか?」
「あなたの言葉を疑ってたわけではないですが、ロビーで会った時の印象があまりよくなかったもので・・・」
「それは歌手と関係ないだろう」
狛治の言いように思わず噴き出せば、狛治は器用に片眉をあげて杏寿郎を見遣ってくる。
「彼、俺のことをまるで人攫いでも見るかのような目で見てたんですよ」
「あの子は、過保護だから」
からからと笑う杏寿郎に、狛治はなんとも言えないような表情で軽く肩を竦めてみせた。
様々なジャンルの歌手が集う、オーケストラとコーラスのついたコンサート。
メインステージが終わり、コーラス隊が下がると、暗転したステージの上にピンライトで照らし出された無一郎が登場した。
バックにオーケストラを従えたステージの上、幻想的な緑や紫の照明に照らされた無一郎の声が静まり返った劇場内に朗々と響き渡る。
歌声は伸びやかにメロディを紡ぎ出し、切なさと直向さを余すことなく観客席に運び、聴衆は息を潜めて無一郎の歌に耳を傾け目を閉じその歌声に聴き入っていた。
老若男女問わず観客の全てを魅了する、無一郎の歌。
心を震わせる、彼だけが歌える彼だけの歌。
無一郎が歌い終えると、途端劇場内は拍手と賞賛の声に溢れ返った。 >>909
グラブルやるのにいなくなるから支援不要と言いたかったんです 「・・・・・・素晴らしかったです」
人々が次々に席を立ちホールからロビーに移動していく中、そのゆっくりとした流れに乗って階段を下りていると狛治が感嘆交じりに言葉を紡いだ。
「あなたが、『世界が変わる』って言った意味がわかるような気がしました」
「君に一度でいいから無一郎の歌を聴かせたかったんだ」
そんな狛治に微笑むと、「ありがとうございます」と優しい声が返ってきた。
人混みに押されるようにして広々としたロビーに漸く出た時、ふいに杏寿郎の携帯電話が鳴った。
「もしもし?」
『杏寿郎兄さんっ!まだ劇場出てないよね!?』
電話の相手は無一郎で、打ち上げ断ったから今から一緒にお茶しよう!との誘いの電話だった。
「あれ?なんで俺が来てるってわかったんだ?」
『チケット、天元兄さんが手配したんでしょ?杏寿郎兄さんが座ってた席、関係者席だよ。2人してすっごく目立ってたし!』
「・・・・・・宇髄、只者じゃないな。知ってたけど・・・」
『今楽屋出るから、ロビー横の受付の前で待ってて!』
そう言って慌ただしく電話を切った無一郎に、杏寿郎は苦笑を禁じ得なかった。
「・・・・・・彼ですか?」
携帯電話を仕舞う杏寿郎に、狛治は幾分不貞腐れたような表情で確認してくる。
「ロビーで待ってろってさ。一緒にお茶しようって」
「俺もですか?」
「君もだよ」
あからさまに嫌そうに顔を顰めた狛治の背中をばしばしと叩きながら杏寿郎が笑うと、狛治からは憂いを帯びた溜息が聞こえてきた。 ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
■■■■■■■■■■■■ この水腐荒らしって
痛い信者を装って自分が嫌いな界隈(つまり炎界隈)ごと他界隈から叩かせる荒らしって言われてたよね? >>916
そう
それと内部からも揉めさせ分裂を起こしたい荒らし
何度も言うけど正体が特定と周知された時点で終わりですけどねそれでも粘着するからここまで有名になったと思うよ >>918
鬼滅全般どこも幅広くやられて冨関連だけテンプレも作られてない平和
それだけでもお察しですね 「杏寿郎兄さんっ!!」
杏寿郎と狛治が受付の前に辿り着いて間もなく、1階奥の関係者通路から出てきた無一郎は、杏寿郎の姿を見つけると主を見つけた犬のように嬉しそうに駆け寄ってきた。
「かっこよかったぞ!、無一郎」
杏寿郎に体当たりするように抱きついてきた無一郎を思いっきりぎゅっと抱き締め返してやると、無一郎は「へへっ」と照れ臭そうに笑った。
「杏寿郎兄さんが来てくれるってわかってたら、もう1曲弾き語りで歌ったのに」
「なんだ?無一郎、とちらずにピアノ弾けるようになったのか?」
わしゃわしゃと無一郎の髪の毛を掻き回しながら揶揄を篭めながら問い掛ければ、無一郎からは「今度杏寿郎兄さんだけに聴かせてあげるよ」と得意げな顔で返された。
「ん。楽しみにしている」
「杏寿郎兄さん、泣いちゃうかもね」
「あははっ、かもな!」
「・・・・・・いつまでじゃれあってるんですか?」
そこへ今まで黙って杏寿郎たちの遣り取りを眺めていた狛治が溜息混じりに口を挟んできた。
「ステージの上と降りた後じゃ、随分と印象が違いますね」
「四六時中ずっとカリスマのままでいられるわけないじゃん」
何言ってんの、と幾分小馬鹿にしたような口調で言い放つ無一郎に、狛治があからさまにむっとした表情になる。
「なんであなたはそう俺に対して喧嘩腰なんですか?」 >>917
武勇伝増やしてヘイト溜めて下さいと思っとこうw >>916
炎と蟲(水蟲カプ)嫌いだから他のスレでは蟲推し・水蟲推し装うこともあるみたいだな
今はもう本スレでも「煉獄・しのぶ・ぎゆしのカプが特に嫌いでこれらのファンを装って荒らすことが多い」と注意喚起されてて草生えるわ
直接的に義勇と名前を出してないだけで水オタが炎と蟲への嫉妬で荒らしてることを皆が知ってるというw 「理由わかんない?本気で?それとも後ろめたいからわかんないフリしてるだけ?」
「・・・・・・どういう意味ですか?」
狛治に剣呑な眼差しを向けられても無一郎は全く意に介した様子はなく、「胸に手ぇ当てて考えてみれば」と素気無い口調で言い捨てる。
2人の間に漂う間違っても友好的とは呼べない空気に杏寿郎が思わず「おい、君たち・・・」と嗜めるように口を出すも、全く2人の耳には入っていないようで。
「だいたいが、杏寿郎兄さんを愛人にしようだなんて100万年早いんだよ」
「愛人だなんて思ってません」
「じゃあ、どういうつもりで杏寿郎兄さんを囲ってんのさっ!言い訳できると思うなよ!」
「ちょ、無一郎・・・っ」
興奮してきたのか段々と声高になっていく無一郎の口を慌てて杏寿郎は押さえにかかる。
「こ、こんなとこで何言って・・・っ」
「杏寿郎兄さんは黙っててよ。あれだけ忠告したのに、この社長に情が移っちゃってんでしょ?」
「あなたこそ黙っててください。俺らのことに関してあなたに口を出される謂れはありません。不愉快です」
「こっちの方が不愉快だよっ!」
「無一郎・・・っ」
ますます険悪なムードを醸し出す2人の間に割って入り、肩を怒らせながら狛治に食って掛かる無一郎を落ち着かせようと杏寿郎がその背中を撫ぜようとした時。
「・・・っ!!」
突然無一郎がびくりと肩を大きく揺らしたかと思うと、目玉が零れそうなほどにその双眸を見開き身体を硬直させた。
「無一郎?」
不思議に思った杏寿郎が顔を覗き込みながら問い掛けるも、そんな杏寿郎の声などまるで聞こえていないように驚愕を顔中に貼り付けた無一郎は、真正面の狛治を通り越し、その背後をただ愕然と凝視していた。 ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
長文荒らしのレスを一括で消すためにNG nameで名前ごとNGすることをオススメします
■■■■■■■■■■■■
スクロールした時に目立つようにデコ 「?」
何をそんなに必死に見つめているのかと、無一郎の視線の先を追って杏寿郎も何の気なしに視線を動かす。
周囲をぐるりと見渡してみるも、そこには何の変哲もない広いロビーを無造作に行き交う人々の光景があるだけで、無一郎の気を引くようなものは見当たらなかった。
首を捻りながら再び杏寿郎が顔を戻そうとした時、視界の隅に何かが引っ掛かった。
人波の中にゆらりと現れた、ライトの光を反射させる透き通るような青白い肌。
世界から音が途絶えてしまったかのように、周囲のざわつきが一斉に消える。
強く脈動する心臓の音だけが、頭の中に鈍く反響する。
(―――なんで・・・・・・)
鋭くも懐かしい双眸に真っ直ぐに射抜かれ、息が止まるような錯覚を覚える。
ゆっくりと、だが確実に近付いてくる人影に、足が竦み動けなくなる。
怜悧にも見える整った容貌は、嘗てのそれより更に凄みが増したように見えた。
無意識のうちに、唇が言葉を紡いだ。―――もうずっと、心の中でさえ呟かなかった、その名前を。
「・・・・・猗窩座・・・・」
Iend ここを見てる人には言い逃れ出来ないほど正体バレたから後は検索から飛んでここを見る人用等に炎担がノーマナーをかましてる所を見せたいsageパフォーマンスを続ける
すげぇアホくさいけど不名誉だから私も続けよう 誰かがぱっとここを見たっておかしいけどね
支部やアプロダ使わないw パッとここに飛んで変だと思った初見の人にもすぐに理解できるように定期的に注意喚起を貼ることにするわ >>922
本スレのアレまともな義勇ファンに配慮しつつ荒らしの嫌いなキャラを詳しく書くことで誰が荒らしてるのか伝わる絶妙な注意で草 ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
長文荒らしのレスを一括で消すためにNG nameで名前ごとNGすることをオススメします
■■■■■■■■■■■■ 水さんの環境を嘆くのはいくらでもどうぞ自由
それで好かれてる炎界隈を陥れたい恨み思想を持ったのは頭おか >>935
年齢や性別の裾野が広いだけでそこまで恨まれる覚えは無いけどね
まぁいいやアレを理解しようとは思わず淡々と注意貼ってく 人の作品パクって名前だけ入れ替えてんの丸わかりなんだよ NG解除したら狛治を伯治と置換ミス
>>887あたりでやっと気がついて自白
呆れてため息しか出ない NGしてたから気付かなかったけど確認したらホントに名前を間違えてるなw 書いたことは消えない
やればやるほどおかしなことが記録に残る 11
『猗窩座』
向かいから人の波を縫うようにゆっくりとこちらに近付いてくる男を見て、拙く掠れた声で杏寿郎はそう呟いた。それはまるで夢現の中で紡がれたように、
どこか不安定な響きを持っていた。
「・・・・・・杏寿郎兄さん」
硬直していた無一郎の手が徐に動き、杏寿郎のジャケットの裾をぎゅっと握り締めるのが狛治の視界の端に映る。だが、
驚愕と困惑と疑念が綯い交ぜになった表情で杏寿郎を見つめる無一郎の声など耳に入っていないのか、
杏寿郎はただそれしか目に入らないとでもいうように、息を詰めて男の姿を凝視していた。
「久しいなぁ」
杏寿郎の目の前まで来ると、猗窩座と呼ばれた男は口許に微かな笑みを刻み、落ち着いた声音で挨拶を口にした。
冷たく冴え渡った端麗なその容貌は、間近で見るとひどく近寄り難い雰囲気を醸し出していた。
「な、んで・・・、ここに・・・・」
ぎこちなく唇を動かした杏寿郎がそう問いかけると、猗窩座は口許の笑みを深くした。
「別に、知り合いからチケット貰ったから聴きに来ただけだ」
「・・・・・・・・・・・」
「無一郎、お前、一段と歌上手くなったなぁ」
黙り込む杏寿郎から視線を外すと、猗窩座は今度は無一郎に視線を移してそう言った。
途端、弾かれたように猗窩座を見た無一郎の眼差しに剣呑な光が宿る。
「俺のことはどうだっていいだろっ!」
思わずといったように苛立ちを含んだ怒声を放つと、
無一郎は杏寿郎と猗窩座の間に割り込むように一歩進み出て、猗窩座と真正面から対峙した。
まるでその視界から杏寿郎を守ろうとするかのような無一郎の態度に、猗窩座の目が可笑しげに細められる。 「あんた、今迄何してたんだよ・・・っ!勝手に消えて勝手に現れて、勝手過ぎるんだよ!杏寿郎兄さんがどんだけ・・・っ」
「無一郎っ」
身の内の憤怒を吐き出しながら猗窩座を責め立てる無一郎の台詞を制するように、杏寿郎が小さく声を上げる。
そして、今の状況を把握しかね口を挟むことも出来ず成り行きを黙って見つめていた狛治に一瞬だけ視線を遣ると、
杏寿郎はすぐに視線を戻し無一郎の肩に手を置いた。
「俺は大丈夫だから」
「杏寿郎兄さん・・・」
無一郎の戸惑った眼差しを受けると、ぎこちない笑みを口の端に浮かべた杏寿郎は、
無一郎の頭に掌を乗せぽんぽんとあやす様に軽く叩き猗窩座に視線を向けた。
その眼差しは、何故かひどく頼りなげに揺れているように見えた。
「・・・・・・元気そうだな」
「まぁな」
「・・・・・・この町にいるのか?」
「まぁな」
猗窩座の素気無い返答に一瞬だけ杏寿郎が何か言いたげな表情になったが、僅かに眉を寄せ俯いただけで結局は何も言わなかった。
代わりにその猗窩座の台詞に反応したのは無一郎だった。
「戻ってきてるなら、なんで杏寿郎兄さんに会いに来なかったんだよっ!杏寿郎兄さんはあんたのこと待ってたんだっ!それなのに・・・っ!」
「無一郎、俺のことはいいから・・・」
悔しげに顔を歪ませる無一郎を宥めるように、
その背中に杏寿郎の手がそっと置かれる。
そしてやはりどこかぎこちない笑みを浮かべると、狛治を見つめてきた。
「行こう、狛治」
「杏寿郎さん・・・」
無一郎の背に手を添えたままの杏寿郎から促された狛治は、
言いようのない不安を覚えながらもこの場で口にするべきではないと判断し小さく頷きを返す。
すると杏寿郎はほっとしたような表情を浮かべると踵を返し猗窩座に背を向けた。
「・・・・なるほどな」 そんな杏寿郎の背中に向けて、猗窩座の暗い愉悦の混じった声が投げ掛けられた。
「やっぱり、そいつが素山狛治か」
愉しげに続けられた台詞に、杏寿郎が反射的に振り返る。
狛治も、唐突に紡がれた自分の名前に驚きを隠せなかった。
「なんで、俺の名前を・・・」
怪訝と疑念を孕んだ問い掛けに、
猗窩座はふっと目を細めて酷薄にも見える微笑を浮かべ狛治を見遣ってきた。
「堅物で仕事人間の素流商会の若社長が、最近やけに綺麗な新顔の秘書連れてあちこち出歩いてるって噂になってるぞ?
上流階級の人間は、人の噂やスキャンダルが三度の飯よりも好きな連中だからな」
「・・・・・・何が言いたいんですか?」
「笑っちまうよな。せっかちで人の名前もすぐ覚えられないこいつが秘書なんてな」
くくと喉奥で笑みを噛み殺す猗窩座の揶揄と蔑みの篭められた冷ややかな眼差しが狛治へと突き刺さる。
「―――お前、いくらで杏寿郎を買ったんだ?」
それは、明らかな悪意の籠もった言葉だった。
思わず杏寿郎を見れば、
驚愕にはち切れんばかりに双眸を見開いた杏寿郎が愕然と猗窩座を凝視していた。
「なん、で・・・・」
唇を戦慄かせながら虚ろに言葉を吐き出す杏寿郎に、
猗窩座はふっと皮肉めいた笑みをその端整な顔に乗せた。
「お前、俺が何も知らないと思ってたか?あれだけ堂々と客引きしといてか?」
「っ!!」
嘲りの台詞を浴びせられた杏寿郎の顔色が見る間に蒼白になる。
「昔はセックスするにも宥めてすかしてひと苦労だったのに、今は自分から足開くんだからな」
そんな杏寿郎の様子に小さく笑った猗窩座は、
呆れと感心が混じったようなわざとらしい口調で肩を竦めながらそう言い放った。
杏寿郎を貶める以外の何物でもないその台詞を耳にした途端、
狛治の胸の中にどす黒い感情が噴き上がり、瞬く間にそれは身体中を侵食していった。
身体も脳内も悉く真っ黒な靄で覆い尽くされ、湧き上がる激情に脳髄がぐらぐらと揺れるような錯覚を覚えた。
彼の言葉は不安を確信に変え、ひとつの事実を狛治に突きつけてくる。
(――彼だ――・・・)
何も言わずに姿を消したという、杏寿郎の唯1人の男の恋人。 ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
長文荒らしのレスを一括で消すためにNG nameで名前ごとNGすることをオススメします
■■■■■■■■■■■■ 「こいつ、よかっただろ。骨抜きになったんじゃないか?」
固まる杏寿郎の姿にくぐもった笑みを零した猗窩座は、口許に笑みを刻んだまま狛治を見据えてきた。
「口でしてもらったか?そこらへんの商売女よりかよっぽど上手いぞ?」
「っ!!」
挑発するように紡がれた台詞に、狛治の瞼の裏が真っ赤に染まりまるで火傷をしたように熱くなった。
気付けば拳を握り締め、猗窩座の方へ一歩踏み出していた。途端。
「・・・・・やめろ」
地を這うような杏寿郎の低い声が制止の声をあげた。
それは、猗窩座の台詞に対してのものだったのか狛治の行動に対してのものだったのか、狛治には俄かに判断がつきかねた。
「杏寿郎さん・・・・・・」
握り締めた拳を開き、俯く杏寿郎の腕に触れようとした時、「なんだ。怒っているのか?」と嘲笑交じりの声が聞こえてきた。
「折角褒めてやっているのに。男娼にとっちゃ喜ばしいことじゃないのか?」
「っ!!」
猗窩座の口からはっきりと『男娼』という単語を耳にした途端、我を忘れそうなほどの怒りが狛治のつま先から頭の天辺まで駆け抜ける。
「黙れっ!!」
だが狛治が動き出す前に、叫び声と共に猗窩座に殴りかかったのは無一郎だった。
けれど無一郎の拳は、猗窩座に届く前に杏寿郎の掌によって遮られた。
「無一郎、よせっ!」
「なんでっ!なんで杏寿郎兄さんは怒んないのさっ!!」
拳を掴まれたままの無一郎が、杏寿郎の腕を振り切ろうともがきながら声を荒げる。
その表情には溢れんばかりの憤怒と僅かばかりの悲愴に満ちていた。
「無一郎、もういいから・・・っ」
「よくないよっ!杏寿郎兄さんは何も悪くないのに・・・っ!あんな風に言われる筋合いないじゃんかっ!」
どこか泣き出しそうにも見える無一郎を見つめる杏寿郎の顔は、ただ底のない悲しみに沈んでいた。
すると2人の様子を眺めていた猗窩座が、無一郎を見遣りながら呆れたような笑みを零した。
「相変わらず杏寿郎にべったりなのな、お前」
「あんたに関係ないっ!」
揶揄めいた猗窩座の台詞に無一郎の頬が怒りの為に紅潮する。
そんな様子すら楽しむように猗窩座は尚も続ける。
「そんなに杏寿郎が好きなら、金出して抱けばいいだろ?こいつはそれが仕事なんだから」
―――そいつがしてるみたいにな。 そう言って、猗窩座の双眸が真っ直ぐに狛治へと据えられた。
底冷えするような冷淡さを湛えた眼差しの奥、
ちりりと火種のように燻っているのは憎悪のような嫉妬のような、
彼が纏う雰囲気とはまるで真逆の苛烈な感情だった。
「・・・あんた、何言ってんだよ・・・・・」
呆然自失といった体で無一郎が呟きを漏らす。
「なんでそんなこと言えるんだよ・・・・・・。杏寿郎兄さんは、あんたの・・・・」
「俺の、なんだ?」
猗窩座の周囲の空気がひりつくような鋭さを帯びる。
「自分の身体売って生計立ててるヤツが、俺のなんだっていうんだ」
唾棄するように吐き出された言葉には隠し切れない怒りが滲んでいた。
それは間違いなく、杏寿郎に対するもので。
「・・・・・・杏寿郎さん、行きましょう」
完全に表情をなくしその場に立ち尽くす杏寿郎の腰に手を回すと、狛治は返事も待たず杏寿郎の身体を支えながら歩き出す。
唇を噛み締めた無一郎も、無言のまま狛治の後に続いてきた。
「―――お前、俺に何も言うことないのか?」
感情を押し殺したような抑揚のない声に、杏寿郎の足が歩みを止める。
項垂れたままの杏寿郎の表情は暗く影が落ち、狛治からはよく見えなかった。
「・・・・・俺は――」
どこか空虚にも聞こえる、掠れ気味のか細い声が静かに言葉を紡ぐ。
「君のこと、好きだったよ。・・・・・・愛してた」
周囲の喧騒に紛れることなく、その小さな声は狛治にも無一郎にも、そしてきっと猗窩座にも真っ直ぐに届いたのだろう。 杏寿郎の腰に回した手に思わず力を篭める狛治の背後で、彼が小さく笑みを零す気配がした。
「・・・・・・そんな言葉、今更なんの役に立つんだ」
感情の窺えない淡々とした声は杏寿郎に対する怒りと落胆と諦念を孕んでいた。
微かに肩を揺らした杏寿郎の身体を伯治は思わず自分の方へ引き寄せていた。
「お前はなにもわかっていない」
吐き捨てるように宙に放られた言葉に微かに覗く悲哀にも似た切望に、狛治の頭の奥が冷え固まっていくような気がした。
彼がいったいどんな表情をしていたのか、振り向いて確認する気も起きなかった。
「すまない、無一郎。今日は・・・・・・」
劇場を出て少し歩いたところで、ずっと無言だった杏寿郎がそんな風に口を開いた。
「・・・・・うん。また電話するね」
「ごめんな」
この数十分の間で一気に窶れたような顔の杏寿郎が無理矢理と一目でわかる弱弱しい笑みをひっそりと浮かべながら無一郎に謝ると、
「いいって」と、やはり憔悴した表情で無一郎がぎこちなく笑みを返す。
「余計なこと考えずに、ちゃんと寝なよ。・・・杏寿郎兄さんはなんにも悪くないんだから」
眉根を引き絞り悔しげに唇を噛み殺す無一郎の頭を、
困ったように眉を下げた杏寿郎の手がぽんぽんと軽く叩く。
「帰ったら、弾き語り聴かせてくれな?」
宥めるような優しい声音に、黙って頷いた無一郎は徐に杏寿郎に抱きついた。
「杏寿郎兄さんは何も悪くない。悪くないんだよ?」
杏寿郎をぎゅっと抱き締めたまま、
そう何度も同じ言葉を繰り返す無一郎に、
杏寿郎が独り言のように小さな声で「ありがとう」と礼を言ったのが微かに聞こえた。 バス停で無一郎と別れ、狛治と杏寿郎はタクシーを拾いホテルへと戻った。ホテルへ戻る道すがら、杏寿郎はずっと口を噤んだままで、表情のない顔を窓の外に向けてぼんやりと流れる車を眺めていた。
安っぽい慰めなど杏寿郎が望んでいるとは到底思えず、狛治は口下手な自分自身を忌々しく思いながら、
杏寿郎の完璧に整った横顔をじっと見つめることしか出来なかった。
『君のこと、好きだったよ。・・・・・・愛してた』
考えないようにすればするほど、杏寿郎の台詞が頭の中で何度も甦る。
―――杏寿郎から愛を与えられ、杏寿郎から愛の言葉を告げられた男。
狛治が欲するものを全てもっている男。
それなのに、杏寿郎を躊躇いもなく言葉の刃で傷つける男。
まるでそれは、杏寿郎を傷つけてもいいのは自分だけに許されたことなのだと主張しているようで。
そしてどれだけ屈辱的な言葉を浴びせられても何一つ言い返すことのなかった杏寿郎は、
自分で思っているよりもずっとあの男に心が残っていることにおそらく気付いていないのだろう。
手を伸ばせば触れる距離にいる杏寿郎が、ひどく遠く感じる。
あたたかな体温を持つ身体が確かにそこにあるのに、
その心は空っぽのような気がして。
狛治は胸の奥に鎮座する重苦しい塊を吐き出すことも出来ず、
ただ無力さを噛み締めるように拳を握り込むしかなかった。
ホテルの部屋に入り扉を後ろ手に閉めるなり、
狛治は前にいた杏寿郎の腕を思い切り引きその身体を力任せに反転させると、杏寿郎の唇に噛み付くように口付けた。
「は、・・・じっ!」
何か言いかけようとする杏寿郎の顎を掴み上げ、更に深く唇を合わせて、
杏寿郎の舌をきつく吸い上げる。
「は、・・・ぅんっ」
歯列をなぞり上げ唾液を送り込めば、杏寿郎は重なる唇の僅かな隙間から鼻にかかった声を零し、
狛治の首に手を回してきた。
息継ぎもままならないほどの口付けを交わしながら、リビングへ移動し、革張りのソファの上に杏寿郎を押し倒す。
「狛治・・・」
熱を帯びた潤んだ眼差しで狛治を見上げてくる杏寿郎の額に、
狛治はそっとキスを落とす。
唇を離すと、杏寿郎の両頬に手を添えながらその綺麗な日輪の宿る双眸を覗き込んだ。
「愛してるんです」 鼻先が触れそうな距離で目を合わせ、狛治は自分の持つ有りっ丈の想いを篭めて杏寿郎に告げた。
「狛治・・・」
「愛してます、あなたを。―――愛してます」
繰り返しながらもう一度唇を合わせる。
一瞬だけ触れ合うだけの軽い口付けを解くと、杏寿郎の口許から熱っぽい息が漏れた。
「・・・・・・俺は男娼だ」
「だからなんですか?」
「・・・そんなこと言うな」
掠れた声で呟きながら杏寿郎は自分の目元を腕で覆った。
僅かに震える唇に、狛治は何度もキスを送る。
「あの人をまだ愛してるんですか?」
杏寿郎の首筋に顔を埋めながら伯治が小さく尋ねれば、杏寿郎が小さく首を横に振ったのがわかった。
「ち、がう・・・。俺は、もう・・・・・・・」
「杏寿郎さん」
たどたどしい口調で紡ぐ杏寿郎の言葉を遮り、目元を覆っている杏寿郎の腕をゆっくりとどかせた。
するとそこから、迷い子のように心許ない、ゆらゆらと揺れる眼差しが現れた。
薄い膜を張ったその双眸の中に、狛治の姿が歪に映りこんでいる。
「愛してます」
自分の全てを捧げるように、希うように告げれば、ゆっくりと目を閉じた杏寿郎の目尻から一筋の涙が伝った。
11end 12
『愛してます』
しなやかな長い腕で身体を抱き込まれ、肌の上に耳元に、何度も何度も囁かれた。
心臓が押し潰されそうに痛むのは、胸の奥で泣いている様に聞こえるのは、嬉しくて切なくて、そして愛しくて仕方ないから。
(・・・・・・俺もだよ)
罪を告白するような思いで胸の中で繰り返す言葉は、決して君に届くことはないけれど。
契約最後の日の朝、杏寿郎はあたたかな腕に包まれる感触になんともいえない想いを抱えながら目を覚ました。
「・・・おはよう」
「おはようございます」
寝起きの掠れ声で挨拶を口にすると、狛治は微かに笑みを刻んだその唇を杏寿郎の額に軽く押し当ててきた。
「君も今起きたのか?」
「いえ。一度起きて、事務処理をしてからまたベッドに戻りました」
「起こしてくれればよかったのに」
上半身を起こしながら杏寿郎が言えば、
「あなたを抱き締めていたかったので」と狛治は擽ったそうに笑った。
けれどその笑みは何故かひどく切なげにも見えて、杏寿郎は一瞬返す言葉を失ってしまった。
最後なので、と狛治の柔らかに細められた双眸がそう言っているような気がしたから。 シャワーを浴びた杏寿郎がリビングの扉を開くと、部屋いっぱいに広がった香ばしいコーヒーの香りが鼻腔を刺激してきた。
「朝食どうぞ」
テーブルで新聞を広げていた狛治が杏寿郎に気付いて声をかけてくる。
その狛治の前にある皿は既に綺麗に片付いていた。
狛治の真向かいの席に座り、この一週間そうしてきたように「いただきます」と手を合わせ、
シーフードが惜しげもなく乗せられたサラダをフォークで食べる。
すると狛治が「サーモンが美味しかったですよ」と頬を緩ませながら杏寿郎に声をかけてきて、
そんな狛治の態度は杏寿郎が想像していたよりずっと普通で、ほんの少しだけほっとした。
「杏寿郎さん」
朝食のサラダとスープを黙々と食していると、
同じく無言で英字新聞を読んでいた狛治がふいに改まった声音で名前を呼んでくる。
「ん?」
「先日教えてもらった口座に、一週間分の専属料と契約金を振り込んでおきました」
伯治の台詞に杏寿郎の手が止まる。
視線を感じ目の前のサラダから顔を上げると、
怖いくらいに真剣な眼差しの狛治がじっと杏寿郎を見つめていて、一瞬息が詰まった。
「・・・・・・・・・」
「取締役会で今回の件を報告をした後鬼舞辻氏の青い彼岸花社と契約を交わして、
それで今回の仕事は全て終わります」
「・・・うむ」
「料金を精算した今、俺たちは雇い主と従業員の関係ではないし、
あなたを俺の傍に縛りつけるものは何もありません。
けど、俺は今後のことをきちんとあなたと話し合いたい。
それも全てあなたの意思次第です。
俺には強制する権利はないですから」
「・・・・・・・・」
熱の籠もった眼差しに射抜かれ、絡んだ視線は一度も反らされることはない。
静かに告げられる言葉の端々に、普段はどちらかというと物静かで冷静な伯治の熱情が見え隠れしていた。 ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
長文荒らしのレスを一括で消すためにNG nameで名前ごとNGすることをオススメします
■■■■■■■■■■■■■■ 「―――杏寿郎さん。俺はあなたを愛してます。・・・・・俺に少しでも望みがあるなら、会社から戻るまでこの部屋で待っていて欲しい」
真摯に紡がれる言葉に杏寿郎の心臓が引き絞られるように締め付けられ、無性に泣き出したいような衝動に襲われる。
真っ直ぐに杏寿郎に向けられる狛治の想いが空気の密度すら変えるような気がした。
何か言葉を返さなければと思うものの、結局唇を開きかけただけで何の言葉を発することなく、杏寿郎は再び視線をテーブルの上に戻した。
「・・・・・すみません。困らせたいわけじゃないんですが、こんな風に言われたら困りますよね・・・」
「・・・・・・・・」
狛治の苦笑交じりの台詞に杏寿郎は黙ったまま首を横に振る。
すると狛治が小さく笑みを零した気配がした。
「そろそろ時間なので、行きますね」
そう言って、新聞をテーブルに置き椅子を引いて立ち上がる。
「それじゃ、杏寿郎さん」
「狛治・・・っ!」
コートを羽織り、颯爽と部屋を出て行こうとする狛治に杏寿郎は知らず駆け寄っていた。
そして振り向いた狛治の肩に手をかけ、首を傾げながらその唇に口付けた。
「・・・・・・・」
ちゅっと微かな音を立て唇を外すと、呆気に取られたような顔の狛治が目を丸くして杏寿郎を見つめていたが、
すぐさまその表情は蕩けるような幸せそうな笑みに変わった。
「今のキスはなんのキスですか?」
「・・・・・挨拶だ」
からかうように尋ねてくる狛治に杏寿郎はやや突き放すような口調で言い捨てる。
今のキスが何のキスかなんて、そんなこと言わなくても分かっているだろうにそんなことを言う狛治が小憎らしくなる。
契約が完了した今、杏寿郎の行動は全て杏寿郎自身の意思なのだと、他でもない狛治が今しがた言ったばかりなのだから。 「・・・行ってきます」
笑みを湛えたままお返しとばかりに啄ばむような口付けを杏寿郎に送ると、狛治は今度こそ部屋から出て行った。
(俺はどうしたい――?)
ひとりきりの広い部屋の中、ソファに深く腰かけて、
繊細な文様の描かれた天井をぼうっと眺めながら自問する。
疑いようもなく自分は狛治に惹かれ、共にいることを望んでいる。
それは言葉にすれば『愛』というやつで。
だが杏寿郎は男娼で、今まで数え切れないほど男相手に身体を売ってきて、伯治のような人間とは住む世界が百八十度違うのだ。
『彼は社長で、俺は男娼で。それ以外のなにものでもないし、それ以上のなにものにもなりようがないんだ』
それなのに宇髄に言った言葉が揺らいでしまう。
それ以上になりたいと望んでいる自分をもう偽ることは出来なくて、身動きが取れなくなる。
伯治は猗窩座のように、杏寿郎が男娼であることを一度も蔑んだりしなかった。
最初の時から、まるで宝物を扱うみたいに大事に大事にしてくれた。
『杏寿郎さん』と愛おしさが滲み出る声で名を呼ばれ、優しい手付きで触られると、
この仕事でやっていく為に色々と捨ててきたあたたかで繊細なものが甦ってくるような気がした。
そうやって暫し物思いに耽っていると、静寂を破るようにジリリリリ・・・と呼び鈴の音が部屋に響き渡り、杏寿郎ははっと我に返った。
「狛治に用事だろうか・・・」
独り言を漏らしながら杏寿郎はソファから腰をあげる。
この部屋を訪ねてくるのは、
ルームサービスかコンシェルジュの産屋敷しかいないので、
そのどちらかだろうと杏寿郎は何の疑問を持たずに呼び鈴が鳴り続ける扉に向かった。
―――だが。
「っ!!!」
「杏寿郎」 扉を開けた向こうに佇んだ、薄っすらと微笑んだ猗窩座の姿を目にした途端、杏寿郎はぎくりと身体を強張らせその場で硬直する羽目になった。
「猗窩座・・・っ」
「邪魔するぞ」
絶句する杏寿郎の横を通り過ぎ、猗窩座はずかずかと部屋に侵入してくる。
「な、なんで君がここに・・・っ」
慌てて猗窩座を追いかけ、その肩を掴みながら問い質すと、
猗窩座は億劫そうに振り返ると「素流商会に電話して聞いた」となんでもないように言い捨てた。
「出ていけ・・・っ」
「何?他の男は部屋に入れるなとでも言われているのか?」
ドクドクと忙しなく鼓動を叩く心臓を無意識に服の上から押さえながら叫ぶと、
猗窩座はその端整な容貌に冷ややかな笑みを浮かべながら杏寿郎に揶揄めいた眼差しを据えてきた。
「君に関係ないだろう・・・っ。早く出ていけっ!」
「昨日は俺が何言っても大人しかったのに、今日はえらく反抗的だな。あいつがいないからか?」
「狛治は関係ない・・っ!」
杏寿郎が反射的に狛治の名前を出した時、猗窩座の双眸が俄かに細まり、その手が素早く動き杏寿郎の顎先を思い切り掴んできた。
「・・・っ!」
痣になりそうなほどの強い力に思わず杏寿郎の顔が歪む。
するとそんな杏寿郎の様子に小さく含み笑った猗窩座は、顎先を掴んでいた指先を顔の輪郭に添って滑らし、
杏寿郎の結わえていない肩より少し長い髪の毛をひと房掴んだ。
「髪、伸びたな」
「・・・・・」
「その方が客ウケがいいからか?」
くくっと笑みを噛み殺す猗窩座の手を振り払い、杏寿郎はもう一度「帰れっ!」と低い声で吐き捨てた。
「つれないな」
杏寿郎のあからさまな拒絶に軽く肩を竦めると、猗窩座は隙を衝いて杏寿郎の後頭部に手を回すと、
かぶりつくように杏寿郎の口に口付けてきた。
「んっ!」 無理矢理に歯列を割って口内に押し入ってきた猗窩座の舌が、まるで蛇のように口内中を這い回り、
柔らかい粘膜や舌を嬲ってくる。
息継ぎが出来なくて顔を背けようとするも、獲物に喰らいつく肉食獣のように猗窩座の唇は離れることはなかった。
「ぅっ、んん・・・っ!」
口の端から呑み切れない唾液が垂れていく。
杏寿郎の後頭部と顎を固定する鍛え上げられた猗窩座の腕はどれだけ杏寿郎が外そうと試みても外せず、
猗窩座の口付けはますます深く濃厚なものとなり、
上手く鼻で息が出来ない杏寿郎は酸素不足で眩暈までしてきて抵抗する力も比例するように奪われていった。
長かった口付けが漸く終わり唇が離れた時にはすっかり酸欠状態で、
ぐらりと立ち眩んで、そのまま絨毯の上に座り込んでしまう。
すると、傍のソファに脱ぎっぱなしになっていたバスローブから腰紐を抜いた猗窩座が、
床に手を付き荒く息をつく杏寿郎の両腕を掴み背中に回すと、
抵抗する時間すら与えずあっという間に杏寿郎の両手首を縛り上げた。
「猗窩座・・・っ!」
驚愕と恐怖に引き攣れた声で非難する杏寿郎を無視し、
猗窩座は杏寿郎の肩を押し絨毯の上に転がすと、上半身の自由を奪われた杏寿郎の首筋に顔を埋めて、
そこに歯を立てきつく吸い付いてきた。
「っ!」
ぞわりとした背筋を走る快感に反射的に息を詰める杏寿郎の様子に小さく笑みを漏らすと、
猗窩座は杏寿郎のセーターを乱暴な手付きでたくしあげた。
「・・・随分とお前にご執心のようだな」
上半身に散らばる狛治が残した赤い鬱血痕を、
猗窩座はひとつひとつ指先で辿っていく。
杏寿郎の肌の上を縦横無尽に蠢く猗窩座の指先や唇が、杏寿郎の中に熱を灯し快楽を引き出していく。
痕を残すようにきつく吸われ、胸の先端を弄られ、
強弱をつけて肌を撫ぜられ、杏寿郎の身体を知り尽くした猗窩座の愛撫に身体がびくりと揺れる。 「は・・・っ、あ・・・」
声をあげまいと引き結んだ唇から、杏寿郎の意思を嘲笑うように掠れた喘ぎ声が零れ落ちてしまう。
「感度よくなったか?さすが場数こなしてきたヤツは違うな」
「っ!!」
笑みを含んだ声で侮蔑の台詞を耳元で囁かれ、悔しさに身体が震える。
刺激を与えられ、それに敏感に反応するこの身体が、ひどく汚れたものに思えて仕方なかった。
杏寿郎の屈辱に歪む顔を満足そうに見遣っていた猗窩座は、
胸を弄っていた指先をゆっくりと焦らすように下ろしていく。
「や・・・っ!猗窩座っ、やめろ・・・っっ!!」
下半身に伸ばされた猗窩座の手がガチャガチャとベルトを外し始めその意図に気付いた杏寿郎が、
強張った声で叫びながら身を捩る。
だがそんな抵抗などものともせず、猗窩座はジーンズのボタンを外しファスナーを下ろすと、
その中に手を差し入れて下着の上から杏寿郎の中心に触れてきた。
途端、大仰なほど身体をびくつかせる杏寿郎に冷ややかな眼差しを向けながら、
猗窩座は下着の中に手を入れ直に杏寿郎のものを握り先端に爪を立て刺激を与えてきた。
「は、・・・んっ、あぁ・・・っ」
腰の痺れるような快感が杏寿郎を襲い、反射的に上擦った声を上げてしまう。
その様子を見た猗窩座は愉悦に満ちた笑みを浮かべると、
杏寿郎の熱を煽るようにますます強くそして巧みに愛撫を施してくる。
「んっ、あ、・・・やめ・・っ」
(最低だ――・・・)
快楽のせいで火照り朦朧としてきた頭の中に、
断続的な自分の喘ぎ声が響いてきて吐き気がした。
濁流のように理性を呑みこんでいく猗窩座の愛撫に身体中を侵食され、
狛治に愛された感触が跡形もなく消えていくような気がして、涙が出そうになった。
「や、・・・ぅ、はぁ・・・っ、あぁ・・・っ」 ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
長文荒らしのレスを一括で消すためにNG nameで名前ごとNGすることをオススメします
■■■■■■■■■■■■
スクロールした時に目立つようにデコ 相変わらず猗窩座の手はいやらしく杏寿郎のものを扱き、
その口は更なる快楽に引きずり込もうとするように胸の先端を嬲り続ける。これから先の行為を予測し、
そしてそれが避けられるものではないと絶望と諦念の中で悟った杏寿郎は、それまで拘束から抜けようとがむしゃらに動かしていた腕からふっと力を抜いた。
「・・・お、俺を・・・」
腕だけでなく身体中から力を抜きながら、杏寿郎は掠れた声で呟いた。
「俺を抱くなら金を払え」
すると、杏寿郎のジーンズと下着を剥ぎ取ろうとしていた猗窩座の手がぴたりと止まり、
一瞬だけ奇妙な沈黙に包まれる。
「・・・・・なんだ、それ」
冷え切った声音。
それ以上に冷え切った眼差しが杏寿郎を射殺すように見つめてくる。
「昨日、君が言ったんだろ。・・・金を貰って身体を抱かせる。・・・それが俺の仕事だって」
惨めで仕方ない思いがどうか声に乗らないように祈りながら、
杏寿郎は感情を殺しながら言葉を綴る。
杏寿郎の台詞に、猗窩座は「はっ」と唾棄するように吐き捨てた。
「俺に、金払えっていうのか・・・?客と一緒だって・・・?」
「君はもう恋人でもなんでもない」
嫌悪と憤怒を孕んだ声で問うてくる猗窩座に、杏寿郎はそう言い切った。
すると猗窩座の顔が歪んで、その端麗な面差しにひどく暗い影が落ちた。
「・・・・・俺はもう用済みか?・・・モノも人も、簡単に捨てるよな、お前は」
「俺を捨てたのは君の方だろう!?」
勝手過ぎる猗窩座の言い様を耳にした途端、杏寿郎は反射的に怒声を上げていた。
頭に血が上って、今まで心の奥底に閉じ込めていた感情が爆発する。
噴き出す激情と共に、当時の記憶やその時の感情まで呼び起こされる。
「理由もなにも言わずに出て行って、連絡も一回も寄越さないで、それでも俺が待ってるなんてなぜそう思えるんだっ!?勝手過ぎるだろう!!ふざけるなっ!」 荒ぶる感情のまま叫び倒すと、猗窩座は押し殺した声音で「ならお前は・・・っ!」とその双眸に怒りを灯しながら杏寿郎の肩を強く押さえつけた。
背中に回された腕に体重がかかり、筋が引き攣れるように痛む。
「・・っぅ」
「なぜ俺が出て行ったのか、真剣に考えようとしたことはあるのか?」
「ぅあ・・っ」
猗窩座の手にますます力が籠もり腕が悲鳴をあげるも、
そんな杏寿郎の様子など、猗窩座は目に入っていないように、ただ只管杏寿郎を睨み据えてくる。
「俺がどんなに不安だったかお前知っていたかっ!?お前はいつだって剣道のことばかりで常に仕事が最優先。
その次は友達を優先させた。俺を『愛してた』だ?はっ、冗談だろう。お前の愛は全部一緒ではないかっ!俺とお前の友達の違いはなんだ!?セックスするかしないかの違いだけだったろう!」
「・・・・っ!!」
血反吐を吐くように告げられた台詞に杏寿郎は目を見開いた。
それは初めて聞く猗窩座の胸の内だった。
付き合っている時、我儘も沢山言われたが、いつも猗窩座は剣道や友達付き合いを大切にする杏寿郎の望むように行動してくれて、
杏寿郎はそんな猗窩座に甘えていたのだ。
そのことがどれだけ猗窩座の不安を募らせていたのか、杏寿郎は気付きもしなかった。
「その証拠に、俺がいなくなっても、お前は普通に生活して普通に笑って普通に剣道していたではないかっ!
俺の存在など最初からなかったみたいに!俺のこと探そうともしないで、お前は全部切り捨てたんだ!」
「・・・・・・・・」
猗窩座の言葉が、杏寿郎の古傷をえぐる様に突き刺さる。
そう、杏寿郎は猗窩座を探さなかった。
いつの間にか増えていた猗窩座の私物が綺麗に無くなっているのを見て、『終わったんだ』と麻痺した神経でそう思っただけだった。 今にして思えば、それまで女性としか付き合ったことのなかった杏寿郎は、男同志の関係がいつまでも続くものではないとどこかで諦めていたのかもしれない。
来るべき時が来ただけだと、自分に言い聞かせこんなものだと納得させた。杏寿郎はあまりにも不器用で、そして臆病だった。
『俺のこと愛してるか?』
当時猗窩座は何度も杏寿郎に訊いてきた。
愛してるからキスだってセックスだってするのに、猗窩座は事あるごとに杏寿郎にそう確認してきた。
―――幸せな関係を築きながらも終わりを見据えていた杏寿郎が、猗窩座を不安にさせその言葉を繰り返させたのだ。
「人伝にお前が怪我して剣道やめたって聞いた時、俺はどこかでほっとしたんだ。
『これで杏寿郎は俺に集中してくれる』ってな。・・・・・・なのに・・・・」
そこまで言って、猗窩座は込み上げる怒りを無理矢理押し殺そうとするように切れそうなほど唇を噛み締めた。
「町に戻ってきた時、お前があの通りで客を引いているのを見た時の俺の絶望がわかるか・・・・・・?」
「猗窩座・・・・・・」
「いっそのこと殺してやろうかと思った。お前を買う客も、お前も・・・・」
独白のように紡がれる声は、底に沈んでいくように暗く陰鬱だった。
杏寿郎の肩を押さえていた猗窩座の手が、ゆっくりと首に移動する。
冷たい指先が、ゆるりと杏寿郎の喉仏を押さえつける。
「あんなに綺麗だったお前が、これ以上汚れる前に、俺の手で――・・・」
「あ、か・・・」
まるで金縛りにあったかのように、杏寿郎は身動ぎすら出来なかった。
杏寿郎を見つめる猗窩座の双眸には、果ての無い悲哀と収めきれない怒りと、捨て切れない情愛がゆらゆらと揺れていた。
「ごめんな、ごめん・・・・・・」
もはや今となっては何の意味も持たない謝罪の言葉が無意識に口を衝いて出る。
胸の奥に充満する罪悪感が杏寿郎の声を震わせた。
不安にさせてごめん。甘えてばかりでごめん。諦めてごめん。
―――君の元に、戻れなくてごめん。
猗窩座が、未だに杏寿郎のことを想っていることを、杏寿郎は気づいてしまったから。 「・・・・・・ここでお前を抱いたら、素山狛治はお前を手放すと思うか・・・?」
杏寿郎の謝罪の意味を悟っただろう猗窩座が、喉元から手を離し、再び杏寿郎の肌へと掌を這わせ始める。
「猗窩座・・・ッ」
途中まで下ろされていたジーンズと下着に手をかける猗窩座の行動を制そうと身体を捩ろうとするも、それは抵抗と呼べるものではなくて。
「やめろ・・・っ!!」
片方の足がジーンズから抜かれ、ぐいと胸につきそうなほどに折り曲げられる。
絶望に目が眩む。
恐怖にも似た感情に身体を支配され、震えが止まらなくなる。
嫌だと、拒絶の言葉ばかりが脳内で繰り返される。
男娼のくせに、狛治以外には抱かれたくないと思ってしまう自分が、ひどく哀れに思えた。
「あかざ、嫌だ・・っ!やめ・・・っ」
「黙れ・・・っ」
「いやだ・・・っ!!!」
忌々しげに舌打ちする猗窩座が後ろに触れ、杏寿郎がぎゅっと目を閉じたその時。
「その人から離れろ・・・っ!!」
ゴツッ、と鈍い音がして、杏寿郎の上から重みが消えた。
12end ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想、賛同を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
長文荒らしのレスを一括で消すためにNG nameで名前ごとNGすることをオススメします
■■■■■■■■■■■■■■■■ 義勇腐お婆さんさっき原作スレで煉獄腐の二次垢を晒してキモいと叩いてたよ
>>374でも言われてたけどやっぱりここで小説パクリ長文投下するのは煉獄腐を叩きたいからなんだろうね
>>939>>940
この荒らし義勇腐は昔から他スレでも誤字の多さをネタにされてたけど相変わらずで草 当該スレ住民からしたら>>972が荒らしじゃん
>>972がキモいって言われてんだよ
腐小説なんか渋にとっくに山のようにあるのに >>973
荒らしバラされて顔真っ赤なの?
水腐の荒らしなんてみんな知ってるから今さらてしょ あっちでもこっちでも気に入らない奴を
全部水腐だと思いこんでる君らがそもそも
かなりキモがられてると思うよ
マジで知能指数30くらいだよね 様々な鬼滅関連のスレの先人達がテンプレを作ってくれたおかげで手口が知れ今があり良かった >>975
私もそう思ってた
スレに動きがあるとすっ飛んできて、水腐水腐と粘着してて異常 今まで荒らし指摘されても無視して延々と長文荒らしやってたのに今日の本スレでの荒らしに言及されたら急に発狂し始めたね
向こうで炎オタの二次を叩こうとして失敗したのがよっぽど悔しかったのかな? この水腐おばさんって痛いところ指摘されるとすぐに噛み付くよな
単細胞で草生える 前にこのスレで二次晒そうとして>>543で批判されてたけど遂に本スレで煉獄受けの二次晒したのかよ
水ババアきっも 晒しで思い出したけど荒らし義勇お婆さんが尻尾を出した流れ読み返すたびに笑う
543 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/27(火) 23:51:02.81 ID:???
自演で質問するフリしながら嫌がらせで二次ヲチ晒しする気か
この義勇腐マジで悪質すぎる
546 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/28(水) 00:37:01.08 ID:???
>>543
そうなったら前にバレてたこいつのツイ垢を晒してやればいいんじゃねw
547 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/28(水) 00:40:27.40 ID:???
人違いで晒し案件で訴えられて前科者になる君ら可愛そうwww
549 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/28(水) 00:46:58.79 ID:???
これまで二次ヲチの話が出ても知らん顔してたくせに荒らし義勇腐のツイ垢の話が出た途端に慌てて>>547で晒すと前科になるぞ!と必死で脅してるあたり
やっぱり義勇腐の荒らし本人なのがモロバレでめちゃくちゃ面白いなw ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想、賛同を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
長文荒らしのレスを一括で消すためにNG nameで名前ごとNGすることをオススメします
■■■■■■■■■■■■■■■■ >>750といい水腐おばさんってアホだからすぐに馬脚を現すのが笑えるよな 次スレ誰も立ててないよね?
980過ぎてるからいってくる 続き気になるから取り急ぎ立てた
もともと過疎スレだし、あまり水水言わないでまったりいこうよ 現状荒らしが暴れるスレと化してるから>>926>>931の言う通りにした方が良いと思ってる
そう思わない人にまで押し付けないけど 過疎スレを長文で埋めるためにやってたんだろ
長文書くために次スレ立てるとかアホかよ 他にもpink過疎スレあるからせめてそっち使えば良かったのに
次スレ立てるとか呆れる 985です
そうでしたか
勘違いしてすみません…
ここって書き込まなくてもdat落ちしないんでしたっけ?
スレ削除できないか調べてきます ここ落ちないよ
削除できなければ立てた人が責任持って落としなよ これを機に去ります
ありがとうございました
狛治と杏寿郎は苦難を乗り越え幸せになりました
おしまい >>995
乙でした
過疎スレも埋まったし良かった良かった ■■■水推しの有名荒らしが何ヶ月も頑なに炎推しを装いノーマナー行為や、超長文を落とし自演感想、賛同を書いて炎推しをsageる工作荒らしをしています
長文荒らしのレスを一括で消すためにNG nameで名前ごとNGすることをオススメします
■■■■■■■■■■■■■■■■■ 過疎スレを私が有効活用してやったなんて言うノーマナーはいません
 ̄ ̄ ̄ ̄丶 ⊂ヽ∧_∧ ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
僕もさ > ヽ( ´∀`) (・∀・∩)< 1001さん大好き
____/ Y つと ノ \_______
(⌒) ノ 〈 (⌒)
 ̄ し' (_) ̄
おやおや、このスレッドに残るのはお邪魔なようです
新しいスレッドに移動いたしましょうか
life time: 832日 22時間 33分 43秒 BBSPINKの運営はプレミアム会員の皆さまに支えられています。
運営にご協力お願いいたします。
───────────────────
《プレミアム会員の主な特典》
★ 専用ブラウザからの広告除去
★ 過去ログを取得
★ 書き込み規制の緩和
───────────────────
会員登録には個人情報は一切必要ありません。
月300円から匿名でご購入いただけます。
▼ プレミアム会員登録はこちら ▼
https://premium.5ch.net/
▼ 浪人ログインはこちら ▼
https://login.bbspink.com/login.php レス数が1000を超えています。これ以上書き込みはできません。