震災時、多くの人にとって、フーゾクは一段と重要性を増す。非常時だからこそ、精神の安定と未来の希望のために、息抜き≠ェ絶対に必要なのだ。フーゾクは息抜きの最たるもの。「こんなときにけしからん」とフーゾクを非難する人もいるが、精神的な安定には欠かせない。震災時には不安から人との触れ合いを求める人が増える。そういった人の癒やしとなるのが、フーゾクの存在意義といえる。

東日本大震災のとき、岩手県盛岡市の店舗型ヘルスにやってきた34歳のビジネスマンがいた。他県から出張で同県釜石市へ来て被災したが、ようやく盛岡まで逃げてきたものの、会社の重要書類が入ったカバンをなくしてショげていた。それでもフーゾクへ遊びに来たのだ。当時、風俗嬢たちのなかには「フーゾクって、震災で暗い社会では気分転換になっていいじゃない」という声もあった。

ガレキ処理などのボランティアに行った若者が、活動後に宮城県仙台市のソープで遊んでスッキリしてから自宅に帰った、という話はよく聞いた。戦場のような被災地での重労働を終えた男性にとって、快適な個室で美女と遊べる風俗店はオアシス≠ナあったに違いない。

能登半島地震で大きな被害を受けた被災地の復興事業が順調に進み、地域全体が落ち着きを取り戻したら、景気回復のために、ご当地のフーゾクに遊びに行ってほしい。これも被災地への復興支援の一つだからだ。北陸で「フーゾクで遊んで応援」を、みんなで実践しようじゃないか。

取材・文:生駒明

ペンネームは『イコマ師匠』。『俺の旅』シリーズ編集長。徹底した現場取材をモットーとし、全国の歓楽街を完全踏破。フリーの編集記者として、雑誌やサイトの記事、自らのSNSなどで『俺の旅』を継続中。著書に『フーゾクの現代史』『ルポ日本異界地図』(共著)